リア充に憧れて   作:荒北龍

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星が墜ちた日

 

 

 

 

─3日目─

 

 

お腹がすいた。

薬草だけでは物足りない。

身体も昨日狩ったジャギィの抵抗で脚を切り裂かれ、手首は牙で何度も切り裂かれた。

今は薬草を食べてどうにか血は止まり回復しつつあるが、あのやり方ではダメだ。

もっと確実に、ジャギィに抵抗する暇も与えないよう確実に殺す方法、目を貫く。

 

どうやって?

私はジャギィ達の巣を観察しながら考える。

するとドスジャギィ達が帰ってきた。

ドスジャギィは周りを見渡し、自身の手下が減っていることに気づくと匂いをたどって水辺まで向かった。

 

巣に残ったのは寝ているジャギィノス2匹と、ジャギィが1匹。

 

私はドスジャギィが見えなくなるのを確認した後、足元の石ころを手に持つと、私から5m程遠い岩陰に投げた。

石は石とぶつかり「カンッ、カンッ」と音が鳴る。

それに気づいたジャギィはその岩陰に警戒しながらゆっくりと近づいてきた。

それに合わせて私も岩陰にゆっくりと近づく。

 

ジャギィノスは起きる気配がない。

私は再びハンターナイフを握る。

 

もし失敗すればジャギィに逃げられるだけでなく、ジャギィノスが起きて襲ってくるかもしれない。

ドスジャギィが突然戻って来るかもしれない。

そうなれば失敗だけでなく、私が死ぬことも有り得る。

 

緊張と恐怖が私の中でぐるぐると渦巻いている。

なのに、私はものすごく落ち着いていた。

心臓の鼓動も一定で、息が乱れることもなかった。

 

私の心の中ではただ一つの想い、目の前のジャギィを殺すという事だげだった。

 

ジャギィの目の前まで来た。

気づかれていない。

私はハンターナイフを取りだし、脚に力を込め───

 

「ギッ」

 

ジャギィが叫ぶより前に、片方の目から反対の目まで深々とハンターナイフが突き刺さった。

そのまますぐにハンターナイフを抜くと、ぐぽッという音を立てながら、鮮血を飛ばしそのまま2、3回痙攣してそのまま動かなくなった。

 

やっと、2体目。

 

「お腹、すいたな」

 

私は目の前で死んだジャギィの死骸を見つめていた。

 

 

 

─4日目─

 

 

ジャギィの肉はあまり美味しくない。

筋張って、肉も固く、でも食べられないほどじゃなかった。

多少スタミナが元に戻ったが、状況はあまり良くない。

 

あれからドスジャギィは手下のジャギィ達と巣を何度も巡回している。

しかもジャギィ達にはあまり単独行動をさせないようにも徹底している。

恐らくこのまま巣の近くに居たらそのうち見つかってしまう。

私はそう判断するとジャギィの巣より少し離れた場所で1日をそのままやり過ごした。

 

 

─5日目─

 

 

私は朝目が覚めると同時に水辺に向かうと、ジャギィが1匹で魚を食べていた。

私はすぐに茂みに隠れ、周りを見渡す。

他のジャギィたちの姿は見当たらない。

ジャギィは魚を食べるのに夢中になっている。

 

本当ならばもっとジャギィに近づきたいが、ジャギィが居るのは水辺の向こう側。

この浅い川をどうやっても渡る必要があるが、隠れられる場所がない。

何より、皮を渡る時どうしても音が鳴ってこちらに気づかれてしまう。

 

私は何か方法がないか考えていると、目の前に小さな小石を見つける。

私はそれを拾い、タイミングを見計らうとそのまま茂みから立ち上がる。

 

「ギャィッ!?」

 

ジャギィはすぐに私の存在に気づいたが、その時には既に私の手から小石は離れ、吸い込まれるようにジャギィの片目に小石がぶつかる。

 

グチャリと、潰れる音と共に、ジャギィの目から血が滴っている。

ジャギィが片目の視力を失い、怯んでいる隙に水辺を渡り、そのままジャギィの潰れた目にハンターナイフを突き刺した。

 

私はジャギィの目からハンターナイフを引き抜くと、息絶えたジャギィをそのまま水に沈めた。

他のジャギィ達に、血の匂いで悟られない為だ。

私も身体に着いた血を落とし、ハンターナイフに着いた血を落とす。

そしてあらかた血が身体から落ちたのを確認すると、ジャギィ達の巣に向かった。

 

そこでは他のジャギィ達がまだ寝ていた。

だがドスジャギィの姿が見当たらない。

恐らく巣の周りを巡回しているのだろう。

 

私は音を立てないようジャギィ達に近づき、眠るジャギィの首にハンターナイフ突き刺した。

 

「ッ!ッ!?」

 

ジャギィは何が起きたのか混乱していたが、ハンターナイフがジャギィの首の骨を断つと、そのまま声を上げることも出来ず絶命た。

私は直ぐに周りを見渡すと、他のジャギィ達が起きる様子はない。

 

再び近くで寝ていたジャギィに近づき、同じように殺した。

これで5匹目。

 

私はすぐにこの場を立ち去ろうと、茂みに向かう。

 

「グオオオオォォッ、オッオッォッ!!」

 

私はビクッと体がはね、驚きながらもすぐにこさ音のした方に目を向けると、特徴的な大きなエリマキを広げ、牙をむき出しにし、こちらを見つめるドスジャギィの姿があった。

 

周りの寝ていたジャギィ達もドスジャギィの遠吠えに気づき、起き上がり、あっという間に囲まれた。

ドスジャギィ達は威嚇しながら、私の様子を伺っている。

だが、さしたる問題は無い。

囲まれたと言っても、逃げる隙はある。

私は予め拾っていた小石を目の前のジャギィに思いっきり投げつけ、ジャギィが痛みで怯んだ隙に、私はそのまま全力で走った。

 

ジャギィたちも急いで私を追いかける。

だが、ジャギィ達の足の速さなら追いつかれることは無い。

普段から重い装備と武器を携えて、毎日のようにモンスターの攻撃を回避し、時には逃げる事もあった。

それに比べれば今の状態でドスジャギィ立ちから逃げることなど容易だ───

 

───ゴオオオオオォォォォ

 

物凄い速さでこちらに向かってくる何か。

私は忘れていた。

ここはモンスター達の住まう大地。

例えどんなクエストでも油断してはいけない。

たとえどんなに弱いモンスターを討伐した後でも、油断はしてはいけない。

 

空に見える天を横切る1つの赤い彗星

それは曰く、古来より神と呼ばれ、自然現象の1つと言われて来た。

数千年に1度確認されるその彗星は、あらゆる文明を滅ぼし天地を灰塵に帰する。

存在はとうに絶滅したとされ、古文書にしかその姿は記されておらず、何時しかその存在を【銀翼の凶星】と呼んだ。

神にも等しい力を持ち、全てを破壊し尽くすその生物はこう呼ばれていた。

 

【天彗龍】バルファルク

 

───ドオオオオオォォォッ!!!

 

そしてバルファルクはそのまま轟音と共に、ドスジャギィとアザミを巻き込み、着地する。

その時の余波でアザミは吹き飛ばされドスジャギィはバルファルクによって体を潰され、バルファルクの姿を確認することも無く一瞬で絶命した。

 

絶滅の始まりだ。

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