リア充に憧れて   作:荒北龍

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G級会議
【剣神】の憂鬱


 

 

 

 

 

「おい、あれって··········」

 

「ああ、【剣神】じゃねぇか」

 

「あの武器と防具は··········てことはあの噂は本当だったのか」

 

「あぁ、本当にあの【燼滅刃】を··········」

 

まるで炎のような太刀を背負い、装備を着た女剣士。

それはかつて【燼滅刃】と呼ばれる二つ名個体である【燼滅刃】ディノバルドの素材によって作られた1式装備と武器。

太刀の名を【真滅刀】ヴァンダノヴァ。

 

それは彼女の武勇の一つであり、【剣神】と呼ばれる二つ名を付与された理由の一つ。

【燼滅刃】ディノバルドにソロで挑み討伐した証であり、実力を示す一つの証明でもあった。

他にも彼女の武勇は多く、太刀の抜刀速度は光の速さを超える、二体の上位個体である【斬竜】ディノバルドを1太刀で討伐し、グラビモス亜種を一刀両断したなど、彼女によって作られた伝説は数多く存在する。

 

「さ、サイン貰えるかな?」

 

「バカっ!真っ二つにされんぞ」

 

そして彼女はとても寡黙であり、一人でいることを好むハンター。

彼女を慕い、憧れるハンターは多いが、そんな理由から話しかけるハンターは一人もいない。

 

が、当の本人はと言うと

 

(サインくらい書いてやるに決まってんだろッ!)

 

実は自分にファンが居ることにめちゃくちゃ喜んでる。

寡黙と言われているが、彼女はただ単に人見知りで何を話せばいいのか分からず、狩りで常にソロなのは普通に実力が上澄みも上澄みなせいで自分と同じクエストを受けられるハンターが居ないだけである。

しかも彼女は生まれつき目付きが鋭く、目が合うと何故かいつも怒ってると勘違いされてしまう、悲しいモンスター(ハンター)なのだ。

 

(どこで、どこで間違えてしまったんだろう、私··········)

 

最初は強いハンターは他のハンター達から狩りに誘われやすくなると聞いて、強くなろうとひたすらモンスターを狩り続け、気がつけばどんなハンター達よりも強くなり、気がつけばギルドからはG級に昇進され、【剣神】とまで呼ばれるようになった。

しかし、何故か今の今まで誰も自分と「ひと狩りいこうぜ」してくれない。

自分から話しかけようとしてもだいたい逃げられる。

自分にファンがいることは素直に嬉しいが、そんなファンに至っては話しかけたら「解釈違いです」とか訳の分からんこと言って逃げ出す始末。

 

最近話しかけられたことと言えば頭のおかしい男から突然「交尾してくれませんか?」とか訳の分からん内容で話しかけられ、反射的にぶん殴ってしまったことだろうか。

 

正直あの男でいいから「ひと狩りいこうぜ」すれば良かったかもしれない。

それほど話しかけて貰えない。

正直ものすごく辛い。

 

今回このドンドルマで行われるG級会議に参加したのも、もしかしたら自分と「ひと狩りいこうぜ」してくれる奴がいるかもしれないと思ってのことである。

自分にハンターの未来だとか、G級のこれからだとかの話は正直よく分からないし、責任重大すぎて自分には荷が重すぎる。

後普通に興味ない。

 

G級会議は明日。

私をここに連れてきたギルドナイトは「もう自分には無理です!彼女怖すぎるんですもん!」とか何とか言って泣きながら連れていかれていた。

何故だ。

私は何も言わずに黙ってついて行ってやったのに、なぜそこまで言われなければならない。

普通に傷ついた。

思い出したら泣きそうになる。

 

「··········ひと狩りいこうぜしてくれる人、居るかなぁ」

 

そんな寂しい独り言を聞いてくれるものはいなかった。

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