「何やってんだあんたッ!?」
「離せ!私は人間の可能性を証明するんだッ!」
「なんでそれが全裸でイビルジョーと戦うことになるんだ!?」
私は今全裸で闘技場に入ろうとしていた。
私は別に露出狂でもどこかの変態ふんどしハンターとは違うのだ。
だが、私が全裸なのはその変態ふんどしハンターが理由でもあるのだ。
「安心しろ!致命傷を受け瀕死になるだけだ!」
「何とち狂ったこと言ってんだアンタッ!?」
スキル【火事場力】
瀕死になることにより力が増すというスキル。
人間は命の危機に瀕することにより力が増すという事が証明されている。
しかし、それが飛躍的に強くなるわけでも、永続的に続く訳でもなく、そのスキルは傷が癒える事により無くなる。
しかし、【番犬】は違った。
あの男は【番狼】の弟子だった頃見かけたことがあったが、絶対にG級になることは無いと確信していた。
しかし、あの男はオストガロアを撃退し、その後もG級モンスターや古龍を討伐した。
ありえない事だ。
何がきっかけでそこまで飛躍的に強くなったのか、それを知ることができれば私の研究している人間の可能性を証明することができることが出来るかもしれない。
話を聞く限りオストガロアの龍属性ブレスを喰った瞬間、気分が良かったと言っていた。
痛みが感じず、戦いを楽しみ、心臓が爆発するほど鼓動し、言葉に出来ないような高揚感を感じたと話していた。
という訳で私も龍属性ブレスを喰らってみる事にした。
全裸で。
今まで様々な装備で龍属性ブレスを受けてみたが、【番犬】の言っていた症状が現れることはなかった。
ならば残りは全裸で受けるのみ。
だと言うのにこのギルドナイトは自殺行為だのなんだのと訳の分からないことを言って止めてくる。
今まで協力してくれたイビルくんならきっと私が死なない程度で本気のぶっ殺龍属性ブレスをしてくれるはずだ!
「てか女が全裸で出歩くんじゃねぇよ!」
「うるさい!別にいいだろ!?人間産まれた時は全裸なのだから!」
「そんなんだからテメェ【番犬】にセック〇誘っても断られるんだよ!」
「セッ〇スではない!繁殖行為だ!未来の強靭な人間を産むためのなッ!」
「産まれてくる子が可哀想だとは思わんのかッ!?」
「産まれてくる子は全力で愛してやるわッ!」
「産まれてくる経緯が可哀想だつってんだよッ!」
ちなみに余談ではあるが突然全裸になった【博士】が【番犬】に向かって「人間の未来と可能性の為に生殖行為をしないか?」と誘ったら秒で「愛のないセック〇はやだ」と即断られた。
「えぇい!なぜ邪魔をする!」
「アンタは馬鹿でもハンターズギルドにとっては必要だからだよ!」
ちなみに【博士】の研究で様々なモンスターの生体や弱点、狩の仕方などが発見され、元々古龍であったラージャンが牙獣種であると証明したのもこの【博士】であった。
「てか別のハンターにやらせればいいだろ!?言っちゃ悪いが上位ハンターも下位ハンターも代わりは居るっ!G級ハンターのアンタが命をキケンに晒す必要はねぇ!」
実際【博士】によって多くの命は救われ、【博士】の研究の為なら命を差し出すハンターは多く存在する。
しかし
「こんなとち狂った研究を他の人間にさせられるかッ!」
「自覚あんならやめろぉッ!」
そんなふたりの行動を遠くから見つめる上位ハンターと受付嬢。
「今日もやってますね」
「止めなくていいんすか?」
「いいんです、あの人自分の体で何度も死ぬギリギリの体験をしてるので、そこら辺の調整は上手くやりますよ」
「へー、やっばァ」
今日も今日とてG級ハンター【博士】ハツユキとギルドナイトであるカモミールの戦いは続いていた。
「てかそろそろG級会議なんだ!こんなバカみてぇなことしてる暇ねぇんだよ!」
「む?」
その瞬間、ハツユキの身体がビダリと止まった。
顎に手を当て、何かを考えるハツユキ。
「・・・・・ふむ」
(今回のG級会議、次期G級ハンターを決める会議でもあったはず・・・・ならば私の求める人材がいるかもしれんな)
そう思い、ハツユキは回れ右をして馬車の方に歩き出す。
「では直ぐにドンドルマに向かうとしよう」
「服を着ろ変態がァッ!」
カモミールは全力投球でハツユキの装備をぶん投げた。
しかし、この目の前の女は静かにドンドルマに向かうなど出来るはずもなく、道中見つけたモンスターを追いかけ回し、G級会議半年前に出発したはずなのに、着いたのはG級会議前夜であった。
余談ではあるが、最近雪山で全裸でティガレックスを追いかけ回したり、突進してくるディアブロス亜種に正面から突撃したり、ブラキディオスに抱きついたりする変態女の噂が流れるようになった。
ドンドルマに着いた頃、カモミールの胃に穴が空いた。