リア充に憧れて   作:荒北龍

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あの日見た白い少女・・・と交尾してぇ

 

 

 

俺とオトモはクエストを完了して竜車に乗りながら、街に着くまでの間に武器の手入れをしていた。

竜車の中ではガタガタと小石などに車輪がぶつかり、軽く揺れる音と、砥石(といし)で武器を研ぐ音だけが響き続ける。

 

「昔、俺にもリア充だった時期があった」

 

「冗談は顔だけなしとくにゃー」

 

「そんなに?」

 

あまりのオトモの辛辣な態度に軽く俺の心が3乙した。

 

「アルバトリオンがカティちゃんと一緒にトラベルナ歌ってたって聞いた方が信じられるにゃ〜」

 

「はっはっ!それは流石に冗談だろ?」

 

「・・・・・・」

 

「え、そんなに?」

 

無言の圧力と、オトモの目がどれだけ本気かを物語って居た。

 

「まぁ聞けよ」

 

「またご主人の妄想話にゃー」

 

オトモは呆れながらも耳を傾ける。

狩りが終わった後、暇な時はいつも自慢げに嘘か誠か自身の武勇伝を語る。

酒場でもそうだが、わざわざご主人の様な希少モンスターに話しかけてくれるハンターさん達にもそんな武勇伝を話しているから、呆れられて今では誰も話しかけないのだ。

 

「結構昔なんだけどよ、真っ白なドレスを着た白い少女に会ったんだけど、いきなりデートに誘われてよぉ、気づいたら祖龍と戦ってた」

 

「過去1意味のわからない話にゃー」

 

タイヤキはご主人のここまで短い文でよくここまで意味のわからない文を作れるなと本気で思いながら、街に戻ったら一番最初に頭のお医者様を呼ばなくてはと心の中で決めた。

 

「いやマジマジ」

 

「本当だったら今頃ご主人は未来永劫語り継がれる英雄にゃー」

 

「ほんとなのになー」

 

まったく信じたないタイヤキは、せっせと自信の武器を再び磨き始め、俺は外の景色を竜車に揺られながら眺めた。

 

───退屈なんてさせないんだから・・・・

 

「可愛かったなぁ」

 

あの時の少女にもう一度会えたら、絶対交尾してもらえるか聞こう。

俺は心の中で決断した。

 

 

 

▷▶︎▷

 

 

 

 

「私を貴方のパーティーに入れてください」

 

「交尾は週何回してくれる?」

 

「は?こう・・・は?」

 

「ふんッ!」

 

「ぷぎゃッ」

 

ダンテは目の前にいた受付嬢によりカウンターに顔面をめり込ませながら、代わりにタイヤキが聞き手となる。

 

「うちのご主人様に何か用かにゃー?」

 

「え?あの、ダンテさんは・・・・」

 

「ほっとくにゃー」

 

完全に動かなくなっているダンテを他所に、少女は困惑しながらも話を進める。

 

「えっと、実は噂になってるG級ハンターが複数で討伐すると言われてる"あの"モンスターの討伐に同行させてもらいたくて」

 

「・・・・今のランクは幾つにゃー?」

 

「・・・・・ハンターランク7です」

 

「お言葉ですが、G級ハンター以外にG級クエストを受けさせる気はありませんよ」

 

そこで受付嬢が口を開く。

曲がりなりにもカウンターに顔をめり込ませている男はG級ハンターであり、受けるクエストもほぼ全てG級クエスト。

上位ハンターは上位クエストしか受けることはできない。

以前街を突然襲った古龍ダレン・モーランの様な緊急事態、一部の例外を除き、その規定が破られることは無い。

 

「別にいいじゃねぇか、死ぬだけだし」

 

「ッ!」

 

カウンターから顔を上げたダンテの言葉に、少女は下唇を噛む。

 

「ご主人サイテーにゃー」

 

「もう少しオブラートに包めないのですか?」

 

2人の容赦ない言葉がダンテの心を抉る。

しかし、内心2人もダンテとほぼ同じことを考えていた。

G級クエストが何故上位クエストと別れているか、それはモンスターの危険度が上位で計り知れない別次元のものとなっているからだ。

 

これまで培った技術、実力、戦友、その全てがG級モンスターには無いに等しい。

これまで運悪くG級モンスターに遭遇したハンター達が、まるで虫けらのようにモンスターに蹂躙された話を、受付嬢である彼女は耳にタコが出来る程聞いてきた。

 

受付嬢の役目はそのハンターの実力にあったクエストを紹介するのが役目。

その役目を放棄すれば、自身の存在意味など無いに等しい。

 

「私が受付嬢である限り、貴方にG級クエストを任せる気はありません。一部の例外を除き、それがまかり通ることはありません」

 

「そこを・・・・・」

 

「くどいッ!」

 

「ッ」

 

受付嬢の怒声に、少女はビクリと体を強ばらせる。

集会所がシィン・・・と静まり返った。

 

「わかって頂けましたか?それでは・・・・・」

 

「要はこの娘をG級ハンターに育てりゃァ文句はねぇわけだろ?」

 

「「は?」」

 

少女が渋々諦め、それを見て安堵した受付嬢が他のクエストを紹介しようとした時、待ったをかけたのはダンテだった。

 

「G級ハンターになるのなんて簡単だ、要は強けりゃいい。ギルドが認めるくらいな」

 

「あなたという人は、それが一体どれほど無理難題かわかって言っているのでしょう!?」

 

声を荒らげたのは受付嬢だった。

 

「人は貴方ほど強くない!G級になる、これすなわち独りで災害を食い止めるということ!しかも一つでなく幾つもの!人が海に勝てますか!?人が煮えたぎる溶岩に、一瞬で全てを消し炭にする業火に、嵐に、異常気象に、自然に!人が自然に『勝つ』という表現すら使わない!しかし、その自然に勝つことが出来るのがG級!この世界でも今現在存在するのはたったの10人!」

 

ダァンッ!とカウンターに手を叩きつけ、怒りに染った表情でダンテを見る受付嬢。

 

「その意味、あなたが知らないわけが無いでしょう!そして、そのG級ですら勝てない存在が居ることを、あなたが身をもって知っているでしょう・・・・・ッ!」

 

二人の間に長い沈黙が流れた後、ダンテが口を開く。

 

「・・・・・・招集されたG級ハンターは俺と他に三人。G級ハンター『冥海』『妖艶』『狩人』。・・・・G級最強と名高い【狩人】が居るとはいえ相手はあの"骨もどき"だぞ?お前の命の保証なんてない」

 

「知ってます・・・・でも、私は仇を取りたい。家族の、村の皆の!!」

 

「・・・・・・」

 

ダンテは目を閉じた。

 

あの夜はとてもいい夜だった。

満月の夜、白い光が綺羅星の様に舞いちり、世界の1番高い場所で、その絶景を見ながら、目の前には白き神のような龍が全てを、無に帰す紅い雷を降らし、その紅い瞳が俺を捉えて離さない。

 

あぁ、そしてあの龍は俺の身体に消えない痛みと傷を残し、どこかえ消えてしまった。

 

そしてもう1つ、暗い深淵の中、人々とモンスターの慟哭が響くあの深淵で、ガシャガシャと笑う双龍。

 

───どうか、どうかあの龍を・・・家族の、村の皆の仇をうってくれ!

 

あの深淵で、俺の全てを奪い、消えたあの双龍。

甘い記憶と、苦い記憶がダンテの中で入りまじる。

 

そして再び目を開ける。

時間にしてみればただの瞬きと同じくらいだろう。

しかしG級ハンターにとってその一瞬の瞬きがとても長い。

まるで1時間目を閉じているのと同じほど。

 

「まぁ俺もG級ハンターの端くれ。弟子くらい取ってみるかなぁ」

 

「な・・・・ッ!」

 

───ダァンッ!!!

 

『!?』

 

突然強く開かれたギルドの扉に集会所の全員の目がそちらに移動する。

それもそのはず。

音に驚いたものも多く居るだろうが、それよりも目がいったのはその人物が着ている装備。

羽根帽子が特徴的な真っ赤な装備。

ハンターが狩りで使用するものとは似て非なるもの。

それは胸に飾られている黄金に輝く金細工。

それは国王直々に授かるギルドナイトとしての証。

 

その女性が本物のギルドナイトであると証明するもの。

 

「・・・・・その言葉、取り消しが効かんぞ」

 

「もしかしてストーカー」

 

その言葉に全員が耳を疑う。

ギルドナイトとと言えば、ハンター家業をするものなら誰もが耳にする単語。

狩りを装ったモンスター、卵、薬草等の密売、ハンターによる殺人、犯罪を犯した者を暗殺、もしくは殺害するのが主な任務。

 

全員がダンテの死を容易に想像できた。

 

「お前の監視が私の役目だ」

 

「言い方の問題じゃねぇか」

 

「そうだ」

 

(((認めた!?!?)))

 

混沌とした空気は続いた。

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