「今回G級の皆様方に集まっていただき感謝します」
大理石でできた机に8人のG級ハンター達が座る。
その1番奥で紙束を持ちながらギルドナイトに入隊したと同時に配られる装備であるギルドナイトの初期装備。
しかし普通のギルドナイトとは明らかに違うのは右胸に付けられた豪華な金細工が施されたギルドナイト団長である証。
それが彼女をギルドナイト団長であるマリア・ライラックの証であった。
「えー、では今回の議題である」
「「はい、質問です」」
「・・・・なんでしょうか」
会議を始めようとしたのもつかの間、すぐに話を遮られ多少イラつくも、もしかしたら、万に一つでも大事な話である可能性に賭けて話を聞くことにした。
「では先に私が」
「は?ざけんな、俺が先だろ」
「薄汚い性欲にまみれたオスが、テメェら猿は後回しに決まってんだろ」
「お?殺るか?」
既にバッチバチな二人。
(はー、タバコ吸いてぇ)
この2人をどうやって落ち着かせるかと考えると、胸ポケットにしまってあるタバコとマッチに手を伸ばしたくなるも、それをぐっとこらえるマリア。
もしもこの場で姉さんが居ればこのバカ2人は黙って私の話を聞いただろう。
現団長マリア・ライラックは、ライラック家の生き残りであり、【狩人】の実の妹であった。
10代でギルドナイトに入隊し、数年でギルドナイト団長にまで上り詰めた彼女の実力は本物であり、モンスターを狩る化け物揃いのハンター達、そしてその中に必ずいる法を犯し、ハンターである自分たちを良いことに罪のない民や村人に危害を加えるハンターを数多く始末してきたマリア。
しかしG級ハンターとなれば話は別だ。
本気の殺し合いになれば良ければ重症、悪くて共倒れ。
しかも複数のG級ハンター達がいる中でそんな事をすれば他のG級ハンターが何をしでかすか分からない。
マリアは過去に法を犯したG級ハンターを始末した経歴を持つも、それは相手が1人であったからである。
このようなG級ハンターが一度に集まっている場ではほぼ不可能だ。
よって彼女は心底面倒であるが、このモンスター(ハンター)達に下手に出ているのだ。
(なんでよりによって姉さんが不在なんだよ)
「あ、あの」
「なんでしょうか、【剣神】様」
2人が睨み合いながらバッチバチになっている中、マリアの立つ位置から最も近い【剣神】がこちらを睨みつけながら手を上げる。
マリアは少し警戒しながら、武器に手をかけ【剣神】の方に目線を送る。
「何故ライラックさんとダンテさんが不在なんですか?」
すると先程まで殺気を飛ばして睨み合っていたはずの【妖艶】ユズハが物凄いスピードでこちらを凝視する。
「姉さんはなんでも『結婚してくる』とか言ってどこか行きました」
「は?」
「【番犬】様は近年アザミ・スイセンを弟子を取りまして、そのアサミさんとの修行の為不在です」
「はあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッ!?!?」
「煩いですねアンタ、少し静かにしてくれません?」
そのまま【妖艶】は崩れ落ち、ブツブツと「なんで」「どうして」「殺す、アイツを殺して私がライラック様と・・・・」とか何とか言っている。心底めんどくさい。
「俺はその【番犬】の事で話がある」
「なんでしょうか、【双星】様」
そう言って先程よりも真剣な面持ちでこちらを見る。
確か【番犬】と【双星】はあまり接点がなかったはず、もしもなにか揉め事ならば面倒だがこのバカをぶっ殺さなければと思いながら武器を何時でも抜ける準備をするマリアであった。
「アザミ"様"の師に【番犬】は相応しくない、俺がなるべきだ。うん、そうするべきだ」
「・・・・・・」
一瞬その場の誰もが沈黙した。
そして一同同じ言葉が頭の中に過ぎる。
───何を言っているんだコイツは?
そう思って頭を抱えながらなんと言おうかマリアが考えていた時
───バキィッ!
「ごべらッ!?」
次の瞬間、【双星】の愛用装備である赫耀・暦シリーズの頭部の装備を破壊され、そのまま顔面を殴なれ、壁の向こうまで吹っ飛ばされ、上半身が壁にめり込まれる。
そこには【双星】をぶん殴ったと思われる【雷光】の姿があった。
「純愛に挟まる寝取りキャラ許すまじッ!」
(何言ってんだコイツ)
本気で頭が痛くなってきた。
まだG級会議は始まっていない。
剣神(あれ?なんで私質問しただけで武器に手をかけられてるの?)
ギルドナイト団長の警戒に心に深い傷を負った剣神でした。