運命の赤い糸
「俺達ってもしかしたら赤い糸で結ばれてるのかもな」
───ギシャアアアアァァァッ!!!
「おっ、お前もそう思う?」
深淵よりも更に深く、死骸と腐敗の臭いが漂う場所。
その残骸の中で蠢く禍々しい怪物。
耳を劈く方向、人に本当的恐怖を抱かせる嘴と黄色い巨大な瞳、死臭を漂わせる身に纏う骨。
「俺さ、最近童貞卒業したんだけど多分あれアザミとマリーの百合セック〇の竿役やらされたんだよ。アザミとマリーが欲しかったのは俺のチン〇だったんだ。俺の体が目的だったんだよ」
その正面に立つのは褌とレウスSヘルムを装備した男が立っていた。
「にしてももう10年近くか、懐かしいじゃねぇか」
次の瞬間、赤い閃光。
それは全てを消し去る消滅の紅。
残骸諸共赤い閃光が通った場所が削られたように消える。
男と、その前に刺さる蒼く黒い神秘的な大剣を除いて。
「随分な挨拶じゃねぇか」
大剣を引き抜き、レウスSヘルムの中で歪に笑う。
「なぁ、俺はお前に会いたくて・・・会いたくて・・・会いたくて」
───ギイイイィィィッッ!!!!
その巨大な骨に包まれた触手が振り下ろされる。
───ガイイィッ!!!!
その振り下ろされた触手は大剣によって防がる。
骨が削られど、大剣には小さな傷すらつかない。
「ハハッ、お前が生きていてくれて本当に嬉しいんだ」
───パキッ
次の瞬間、触手に包まれた骨が砕ける。
「お前を殺せると思うとよぉ、嬉しくて仕方ねぇんだッ!」
次の瞬間、触手が弾けた。
そして再び紅い閃光。
「ッ!」
すぐにローリング回避で紅い閃光を避ける。
それはオストガロアから放たれる圧縮された龍属性ブレス。
ダンテが避けた隙に左側の触手の先端が丸い大きな骨に変わっていた。
それはウラガンキンの硬く、堅牢な顎の骨。
それを重力に任せ振り下ろす
「ぐッ!」
(速い、あの時よりも。··········そして何より)
その前後ろに垂直に吹き飛ばされる。
その後またあの紅い閃光。
大剣を地面に突き刺し、そのまま盾とし、そのまま薙ぎ払う。
「元気そうでなによりだよッ!骨もどきッ!!!」
(何発もバカスカ撃ってんじゃねぇよ)
【博士】曰く「どう言う訳か極度の飢餓状態にあるモンスターは進化の過程で龍属性を得る」と言う。
例を上げるなら【恐暴竜】イビルジョー、そして近年新大陸で発見された【兇爪竜】オドガロン亜種。
イビルジョーとオドガロンは種族も生体も違う。
ただ一貫しているのはその果てなき食欲と縄張りを持たない点だ。
モンスターの中で縄張りを持たないモンスターは稀であり、その理由もその食欲を満たすために様々な土地を転々としている為である。
これまで龍歴院やギルド等がどうして古龍以外のこの種が龍属性を使うのか、様々な考察や議論、仮説を立てたが、解明されることはなかった。
そして【博士】の仮説は二つあった。
1つが「偶然、突然変異によるもの」であるとされている。
そしてもう1つが「偶然死骸、もしくは縄張り争いで古龍以外が古龍を捕食することに成功し、その個体が古龍の力を得た。それによりその個体が交配し、龍属性が使えるようになった」
1つ目の仮説の方が信憑性と現実味のある仮説だ。
突然変異という突発的な物、その方が納得できるほど古龍を殺す、そしてその血を体に取り込み、あまつさえその力を手に入れるなどというのはありえない話だった。
事実、通常個体であるオドガロンに古龍の血を与えたが、全ての個体が死に絶えた。
そして【博士】によるもう1つの仮説。
それは【骸龍】オストガロアが【古龍】ではなく全くの別種であるという仮説だ。
だがもしこの仮説が正しいとすれば、極限の飢餓状態と果てなき食欲を持つ【骸龍】オストガロア。
もしもかつて古龍と呼ばれたラージャンの様に別の種であった場合、オストガロアの巣であるこの竜ノ墓場には多くの古龍の骨が発見されている。
その数はわかっているだけでも20体以上。
【博士】曰く「撃退したオストガロアがもしも更に古龍を捕食していた場合、仮説ではあるが更なる進化をしていてもおかしくない」
(紅くなってねぇ)
オストガロアはその口から龍属性ブレスを放つ時、一定の体力を削った上で長い為とバチバチと龍属性の稲妻が口の周りで放ち、身体が紅くなる。
だが、今のオストガロアは通常の状態のままであった。
───カッ
次の瞬間、眩いほどの紅い光が視界を埋め尽くす。
それはオストガロアの口から放たれたエリア一帯を浄土と化す極太の龍属性ブレスであった。
「ノータイムかよ」
回避は不可能と判断したダンテは狩技の一つである【絶対回避(臨戦)】を発動し大剣を盾にして自らオストガロアの龍属性ブレスに飛び込んだ。
その瞬間、すぐに予め口の中に含んでいたいにしえの秘薬を飲み込む。
かつてオストガロアと相対した時、これによりオストガロアの龍属性ブレスを回避した時は全身に第三度の火傷という"軽傷"で済んだが
───ザクッ
次の瞬間、青い血液が噴水のように宙を舞う。
───ギイイィィィィッッ!!!
その瞬間、耳を劈くような不気味な悲鳴が木霊する。
それはかつてオストガロアが抉られた瞳から吹き出す青い血飛沫だった。
「まさかここまでとはな、おかげで狙いが外れちまったぜ」
10年以上前、かつてダンテの師であるリナリアはオストガロアの龍属性ブレスを"無傷"での回避に成功している。
そして今、ダンテの実力は技術だけならば師であるリナリアよりも上であった。
「まったく、無痛なんて久々だよ」
全身に第三度までの火傷、及び右腕と左脚の消失と右目の失明をもってダンテはオストガロアの龍属性ブレスの回避に"成功"していた。
師匠とおそろいだね