リア充に憧れて   作:荒北龍

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荒北龍「え、なにそれ聞いてない」


白い少女「次回!ダンテ死す!?」

 

 

 

 

かつて、とある国に名もない英雄がいました。その英雄は黄金の月を倒し、銀色の太陽を地に撃ち落としました。

その名は大陸全土に響き渡り、英雄は10人の王の一人に選ばれました。

 

王は村を、街を、国を守り続け、何時しか国を守る【番狼】と呼ばれるようになりました。

しかし、番狼とて人、老いには逆らえず、日に日に弱くなる自身の姿を嘆き、悩み、そして自身の後継者を探しました。

英雄と呼ばれ、王と呼ばれ、番狼の名を継ぐことの出来る後継者を。

 

しかし、探せども探せども、自身の名を継ぐ者は現れませんでした。

年月が過ぎ、とある戦が起こりました。

 

ヘドロと呼ばれる厄災との、国が滅ぶほど大戦。

多くの民や兵士が結託し、ヘドロは倒されましたが、大勢の人々が死に、10人の王のうち3人が欠け、番狼の牙はとうとう折れてしまいました。

 

そんな大戦の後、番狼はとある小犬を拾いました。

まだ弱く、幼く、しかし自身と同じ目をする小犬に番狼は惹かれ、その小犬を自身の子として育てました。

 

───お前、独りか?

 

───私もさ。

 

───行くあてがないなら、私の子になるか?

 

───独りぼっちなもの同士、仲良くしよう。

 

そして小犬は番狼の元で番狼の力と技を真似し、何時しか番犬と呼ばれるようになった。

番狼の新たな牙として。

 

そんなある日、牙の折れた番狼は再び厄災と戦うことになりました。

突然現れた厄災は全てを飲み込み、残るのは屍だけ。

かつての番狼ならいざ知らず、牙の折れた番狼はいとも容易く厄災に喰われ、命がつき果てました。

とある一言を残し───

 

 

───後は、頼んだぞ。

 

それは番犬の見えない、しかし決して壊れない首輪と鎖となりました。

 

番犬は未だ英雄となれず、しかし王となり、英雄を夢みて鎖に繋がれたまま···············。

 

 

 

「おしまい」

 

そう言って白い少女は絵本を閉じた。

 

「えー」

 

「続きはないの?」

 

「気になるー!」

 

子供達がブーイングを飛ばしながら、アザミも子供達のように続きが気になってしまった。

しかし、そんな思いとは裏腹に白い少女はすぐに絵本をしまってしまった。

 

「このお話はね、途中なの。続きはまた今度」

 

「「「えー」」」

 

「ちなみに文句を言う子供には続きは聞かせてあげません」

 

「次が楽しみだなー!」

 

「次いつ?」

 

「気になるー!」

 

子供特有のあまりの変わり身の速さ。

そんな中、アザミだけが未だ続きが気になって仕方なかった。

それはその登場人物に、番犬がいたからか、それともどこか引っかかる点があったのか、自分自身ですらよくわかっていなかった。

 

そんなアザミを見兼ねたのか、白い少女はアザミの前に立ち、耳打ちをする。

 

「特別に、次回予告を聞かせてあげる」

 

「次回予告?」

 

「残された番犬!そんな番犬の元に現れた復讐に狂う狂犬!2人の出会いは偶然か!?はたまた必然か!?そしてその2人の前に現れた運命の宿敵!二人は深淵の厄災に勝つことが出来るのか!?そして突然現れた狩人!運命を握るは狂犬!次回!番犬死す!?」

 

「死んじゃうんですね、番犬」

 

何故か派手な決めポーズを決めながら大声で話す次回予告と、重大なネタバレにアザミも苦笑いをうかべた。

 

「んー、今の路線だと死ぬのは確定かなぁ。でもまだ次回予告だし、話の展開次第では番犬生存ルートもありゆるね。まぁそれもこれも運命と狂犬次第かなー。まぁ、運命のみぞ知るってやつだよ」

 

そう言ってバチコーン★と笑顔でウインクする白い少女。

 

「そろそろお別れの時間だね」

 

「え?」

 

「最後に、死に急ぐな。師を引き止めろ。それが吉と出た」

 

そう言って少女はアザミの胸を押し、笑顔で手を振りながら

 

「それとひーちゃんに『英雄になりたくなったら何時でもおいで、あの場所で待ってる』て伝えといて。ばいばーい」

 

そしてアザミの視界が突然シャットアウトした。

 

気がつけばそこは先程まで自分の居た街の真ん中だった。

辺りを見渡してみれば、あたりは既に真っ暗になっていた。

空を見上げれば、太陽の代わりに丸い満月が浮かんでいた。

 

「おい」

 

「え?」

 

「お前今の今までどこで油売ってやがった」

 

「あ、あの、師匠、これには深い訳が····················」

 

「問答無用!その褌めくらせろやぁ!!」

 

「キャアアアァァッ!?!?」

 

この後ダンテの股間にアザミの蹴りがクリンヒットして失神した。

その一部始終を見ていたタイヤキにより、ダンテは衛兵に連れていかれることになったのは言うまでもない。

 

 

 

▷▶▷▶

 

 

 

「あははッ!ひーちゃん変わったなぁ」

 

街の一番高い建物で、ダンテとアザミのやり取りを笑いながら足をパタパタさせて眺める白い少女。

 

その目は確かにダンテを写していた。

 

───一目惚れだ、結婚と子孫繁栄を前提にお付き合いしてください。

 

「ふふっ、あの時の告白、OKすればよかったなぁー。勿体ないことしたなあー·························」

 

そんなふうにボヤきながら、空に浮かぶ星を見る。

あの夜に見た綺羅星に負けずとも劣らない綺麗な星々。

少女は大きなため息を吐くと、その場に立ち上がる。

 

「でも、君が英雄を目指す限り、また会えるよね?ひーちゃん」

 

そう言って少女は消えた。

少女のいた場所に黒く焦げた跡と、紅い電を残し───







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