大丈夫大丈夫、ヘタこいたら死ぬだけだから
「準備出来たニャー・・・・・どう言う状況にゃ?」
タイヤキがあらかた竜車から装備や武器を下ろし終わり、ご主人であるダンテとその弟子であるアザミの様子を見に来てみれば、インナー姿で地面に転がるふんどし姿のダンテを蹴りまくるアザミの姿があった。
「あの、イタッ! ちょ、痛い! ちょ、そこはまず・・・はぅッ!」
「もっと!こう!言い方があるでしょう!!」
「どう言う状況ニャ」
タイヤキが見るに見兼ねて仲裁に入るが、アザミは蹴る足を止めることは無かった。
「アザミが勘違いして俺に処女を捧げようとして」
「全て把握したニャ」
「〜〜〜ッ!」
「痛い痛い痛い」
更に脚に力を込めてダンテを容赦なく蹴り続けるアザミに対し、タイヤキはこれからの事を考えるだけで頭痛がしてきた。
▷▶︎▷
「んじゃ、とりあえずその状態でジャギィを五体討伐してこい」
ジャギィ、小型の鳥竜種モンスター。
一般的には十体以上の群れで行動しているモンスターで、比較的弱めのモンスター。
初心者ハンターが一番最初に討伐するモンスターでもあり、よく新人ハンターの練習台になることもある。
「ジャギィですか」
「なんだ、不思議か?」
「いえ、もっと強いモンスターと戦わせられると思っていたので」
アザミとしては少々拍子抜けした気分だ。
G級になるための試練が、まさか初心者ハンターが一番最初に狩で学ぶ事のひとつである小型モンスターの討伐。
言わばジャギィを討伐する事はハンターにとって通過儀礼のようなものだ。
「全長約365cm、足の大きさだけでも30cm以上。脚力に至っては自分の体より3倍も高く飛ぶこともある。そんな足で攻撃されたら、人間なんぞひとたまりもないだろうな」
ジャギィ。
確かに比較的に弱い小型モンスター。
"モンスターの中では"比較的に弱い。
だが、それはモンスターが基準であり、人間の基準ではない。
力も、スピードも、持久力も、耐久度も、全てにおいて人間の基準よりはるかに上だ。
もしも何も知らない村人がジャギィの群れ五体に囲まれれば、容易に刈り取られ、肉を貪られるだろう。
「恐らく俺も裸と素手でジャギィを討伐しろと言われたら、逆にジャギィ達の餌になるだろうな」
「・・・・・・」
「もう一度言うぞ、その状態でジャギィを五体討伐してこい」
背筋に嫌な汗が流れる。
基本的に群れで行動しているジャギィ。
その中にはジャギィのリーダー格であるドスジャギィが居る。
ドスジャギィともなれば小型のジャギィなどとは比べようもならないほど大きく、強い。
しかもジャギィは群れで行動している。故に油断や、たった一つの選択を間違えればすぐ様囲まれ、狩られてしまうだろう。
恐らく一体倒すのがやっとだ。
それを五体。
その時、アザミは目の前の男から言われた課題が、どれだけ危険な事かやっと理解した。
「ま、死んだらハンターナイフくらいは拾ってやるよ」