個性【ボイスデーモン】のヒーローアカデミア 作:ねぎトロ丼ねぎ多め
「我々が……来た!!」
「オールマイト……!」
壁をぶち破ってきたオールマイトに続くように何人かのヒーローと銃で武装した警察がぞろぞろと入ってくる。
「怖かっ…いや怖いか?……いやいや、怖かっただろう!ごめんな…もう大丈夫だ少年達!」
「怖くねえよヨユーだクソッ!」
「てかその前になんか言わなかったか?」
「うん、全然大丈夫そうだな!良かった!」
「せっかく色々こねくり回してたのに……何そっちから来てくれてんだよラスボス…」
オールマイトと会話していると突然死柄木がブツクサと文句を言い始めた。
「仕方がない……俺たちだけじゃあない……それはお前たちだけじゃない、こっちもだ。黒霧。持ってこれるだけ持ってこい!!」
死柄木が叫ぶが、何も起こらない。
「すみません死柄木弔…所定の位置にあるハズの脳無が…ない…!」
「!?んな馬鹿な……!!」
この状況はアイツにとってかなりイレギュラーな事態らしく、焦りが見える。
「やはり君はまだまだ青二才だな、死柄木弔!」
「あ?」
「敵連合よ、君らは舐めすぎた!少年達の魂を、警察のたゆまぬ捜査を……そして!」
「我々の怒りを!!」
「ッ!!?」
オールマイトの気迫に死柄木はたじろぐ。
「おいたが過ぎたな!ここで終わりだ死柄木弔!!」
「いや、待てオールマイト。オレの経験上、追い詰められた奴は後先考えずに予想もつかねぇような事をしでかす。気ィ抜かねぇで最後の最後まで徹底しろ……!!」
モンキーレストランの猿共とかそうだったが…追い詰められた奴らは自暴自棄になるか逆に冷静になるかの二択だ。だがいずれにしろこっちにとって脅威になる。
「え?うん、まぁ分かったけど……それ普通コッチが授業とかで言うやつじゃない?立場逆じゃないの?」
「終わりだと……?それに何くっちゃべってんだ……ふざけるな…始まったばかりだ……仲間も集まり始めたんだ…ここからなんだよ………!黒ぎっ…」
ズッ!!!
「り……!?」
死柄木が黒霧の名前を呼んだ瞬間、黒霧の体を何かが通り抜けて気絶させた。
「忍法千枚通し!この者は敵連合の中で最も厄介…故に眠っていてもらう」
そこから出てきたのは忍者のような格好をした長髪の男。確か…エッジショットだったか?
「さっき言ったろ、大人しくしといた方が身の為だって」
緑谷の職場体験先のジジイが敵連合のメンバーの本名を読み上げていく。
「なぁ死柄木、聞きてえんだが…お前さんのボスはどこにいる?」
「……………………」
ジジイに問いかけられても死柄木は冷や汗を垂らしながら黙り込み続ける。
「ふざけるな…!こんな…こんなァ…!」
「奴は今どこにいる…!!死柄木!!!」
「お前が!!嫌いだ!!」
オールマイトの問いに対して死柄木が咆哮のような声を上げると、何も無かった空間から黒い液体が出現し、そこから脳無共が現れた。
「お゛!?」 「う゛お゛ぇ゛っ!?」
それと同時にオレと爆豪の口から同じような黒い液体が溢れ出し、オレたちを包み始めた。
「んだこれ体が…飲み込まれ……!!?」
「マッズ!しかもクッセェ……!!!!」
「っ!!二人とも!!」
オールマイトが慌てた様子でこちらに向かってくるのが見えたが、それも虚しくオレたちは完全に黒い液体に包まれた。
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「……ブハッ!!オェェェ!!!マズ……」
「クッセェ…んっじゃこりゃあ!!」
黒い液体に飲み込まれ、気がついたら更地のような場所に出ていた。
「悪いね、二人とも」
「あ!!?」 「あぁ!?」
バシャッ!! バシュッ!!
「ゲエエ…!」
少し遅れて敵連合の奴らも黒い液体から出てきた。
「また失敗したね、弔。でも決してめげてはいけないよ。またやり直せばいい。こうして仲間も取り返した」
オレたちの目の前で死柄木に優しく話しかける大男。その様子はさながら失敗した生徒を励ます教師のようだった。
「いくらでもやり直せ。その為に僕がいるんだよ。全ては…君のためにある」
そう言って大男は地面にへたり込んでいる死柄木に手を差し伸べる。
「ッ……!!」
「何も言うな爆豪…死にてえのか」
林間合宿の時の煙と同じ感じ……コイツはアウトだ。近寄るのすら避けた方が良い。
「……やはり…来てるな…」
大男が呟いた瞬間、空から拳を構えた状態のオールマイトが降ってきた。
「全て返して貰うぞ!オール・フォー・ワン!!」
「また僕を殺す気かい?オールマイト…」
二人が拳を打ちつけ合うと凄まじい衝撃波が辺りを襲った。
「うおおお…!!」
気張ってはいるが、いつ吹き飛ばされるかわからない。早いとこ離脱したいが…
「おっと、そういえば君たちがいたね」
そう言うと大男……否、オール・フォー・ワンの指が黒霧に向かって伸びていった。
「【個性強制発動】……黒霧、彼をあそこへ」
次の瞬間、オレの目の前に黒いモヤのゲートが現れた。
「マグネ、彼をゲートに」
「はーい」
「ぬおっ!?」
オレの体は黒いゲートに引き摺り込まれていった。
「!爆お————」
爆豪が手を伸ばしていたが間に合わず、目の前で完全にゲートが閉じた。