個性【ボイスデーモン】のヒーローアカデミア   作:ねぎトロ丼ねぎ多め

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ヒーローインターン〜雄英文化祭編
元魔王との面会!


 

 

——少し前——

 

オールマイトside

 

「…こちらです。くれぐれも気を抜かないでください。…とは言っても、奴が会話できる状態とは到底思えませんが……」

 

「いや、大丈夫だ。ありがとう」

 

奴が収監されている監獄、タルタロス……私は奴から情報を得る為にそこへ赴いていた。

 

シュウゥゥゥ……

 

いついかなる時でも収監された囚人を逃がさない為の頑強な扉が、ゆっくりと開いていく。

 

「やめろ……くるな……来ないでくれ……」

 

開いた扉のさらに奥、扉と同じくらい分厚い強化ガラスの仕切りの先に奴はいた。

 

「(何を言っているんだ…?)…久しぶりだな、オーr「ひっ!?うわあああ!!?」

 

私が声をほんの一言かけた瞬間、奴は突然大声を上げて取り乱し出した。

 

「来るな!?来るなぁぁ!?あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?!!?!?!?」

 

「何をしている、オール・フォー・ワン!?」

 

何があったんだ…?少なくともコイツは声をかけた程度でここまで荒れ狂うような人間では無い…というか普通の人間でもここまでの怯えて様は異常だ…!!

 

「はっはっはっはっ……!!!!……オール…マイトか……?」

 

「そうだ、私はオールマイトだ」

 

少しして、漸く奴は落ち着きを取り戻した。

 

「はは、すまなかったね…どうも彼に腕を吹き飛ばされて以来、ずっと悪夢やら寝起きの幻覚に悩まされてるんだ……」

 

彼とは十中八九、爆音少年のことだろう。

 

「…何を言っている、お前は目がほとんど見えない状態らしいじゃないか。なんて見る筈が……」

 

「あるんだよ。確かに僕は目がほとんど見えていないさ。視覚系の"個性"をフル稼働して、漸く視力0.1もあるかどうかぐらいにね。…それでも見えてしまうんだ。いや、見えると言うより…脳内に直接イメージが伝ってくるんだよ。それにここの職員達は全く話し相手になってくれなくてね、気を紛らわせる事すら許されないんだ。オマケにほんの少しでも体を動かそうもんならそこかしこに設置された銃口がこちらを向くし、脳波とバイタルサインまで常にチェックされるんだ。まさにギリシャ神話のタルタロス……ほんと、生き辛いったらありゃしないよ、ココは」

 

「…よく喋るな」

 

「おっと、すまない。久々にマトモに会話が成立して気分が高揚してしまったよ。それに…他人と話してる間なら多少は彼の幻影と幻聴がマシになるからね」

 

多少は以前のような調子を取り戻しているが、よく見ると体が少し震えている。…嘘はついていないみたいだ。

 

「…単刀直入に聞こう。死柄木は今何処にいる?」

 

「残念だが、僕にもわからない。君のとこの子と違ってあの子はもう独り立ちしてるんでね。親がいつまでも大きくなった子供の面倒を見ることは無いだろう?」

 

「そうか…………貴様は何がしたい。いや、何がしたかった?人の道から外れてまで生き永らえ、その全てを搾取に支配、他人の人生を弄ぶことに費やして……何を為そうとした」

 

「んー…生産性が皆無な話題だな。君と同じだよ。君が正義のヒーローに憧れたように僕は悪の魔王に憧れた、それだけさ。まぁそんな憧れも悪魔に悉く踏み躙られてしまったわけだがね」

 

「ならばなぜ後継者など……」

 

「君がソレを聞くかい?君が僕から全てを奪ったからだよ!見てくれ、この体を。この大量の管に奪ってきた"個性"、これらをフル活用して僕はようやく生命活動を維持できるんだ。永遠に続く筈だった僕の理想は君のせいで有限となってしまったんだ。……終わりがあるから人は後継に託す。なんだってそうだろう?そこかしこのビル、何気なく口にする食品、そして……キミ達とかね。全て人から人へと託され、発展してきた。ソレをやろうとしているだけさ」

 

「…………」

 

『オールマイト、あと3分程で……』

 

…もうそんなに経っていたのか。

 

「なんだって?そりゃないだろう!もっと話をしていたいんだ!もっと…そうだな、世間は君の引退にかなり動揺したと思うんだが、様子はどうだい?」

 

『オールマイト、外の情報は遮断しています。軽率な発言はお控え願います…』

 

「……だそうだ」

 

「そうか…残念だよ……でもなんとなく予想がつくさ。今頃メディアは君がいなくなったことに加え新たなリーダー、エンデヴァーへの懸念が重なりヒーロー社会全体の団結を訴えている。一方で不安定になりつつある空気を察知してヒーローを支持していない日陰者が行動を起こし始める。……弔達はしばらく潜伏を続けるんじゃないかな?敵の組織同士での争いも頻発するだろうね。僕が描いたシナリオが正しいのなら大体そんな流れになってるんじゃないかな?」

 

「っ……!!!」

 

コイツ…!やはり未来予測に長けているな。人間の範疇を超えている。

 

「それと後…僕の片腕を吹き飛ばした彼、今頃きっと襲われているんじゃないかな?」

 

「!?どういうことだ!!」

 

「…待ってくれ、自分でもなんで口にしたのか分からなくなってきた。なんで分かったんだ……?」

 

……あの時の衝撃で頭に重大な障害でも残ったのか?

 

「まぁ僕の言いたいことは…仮に世間がそうなっているとしたら原因は全て君の偽りの姿と引退なワケだ」

 

「…………!!!!」

 

「これから君は人を救うことはできず、自分が原因で増加する敵を指を咥えて眺めることしかできない。無力さに打ちひしがれる余生を過ごすことになるだろう。…なあ、教えてくれよ。今、どんな気分だい?」

 

「っ!!!貴様っ……!!」

 

『オールマイト、離れて下さい。いくら貴方でもこればかりは認可できません』

 

「あぁ…すまない……」

 

私としたことが…つい取り乱してしまったか。

 

「はっはっは!人ってのは図星を突かれると怒ってしまうものなんだねぇ。残念だけどここじゃ僕を殴れないよ」

 

「ふぅ……貴様だけが全てを分かっていると思うなよ。貴様の考えならよくわかっている。お師匠の孫である死柄木に私……あるいは私と少年を殺させる。それが筋書きだな?」

 

「うーん、まあ半分は合ってるかな?…で?」

 

決意を込めるように、グッと拳を握り込む。

 

「私は死なない!死柄木に私を殺させはしない…!!」

 

「…そうかい」

 

『オールマイト、時間です。退出を』

 

入ってきた時のように再びドアがゆっくりと開いていく。

 

「貴様の未来は…野望は私が何度でも打ち砕く!貴様こそここで指を咥えて余生を過ごすといい…」

 

「ははっ!……それはそうとオールマイト、偶にはまた遊びに来てくれよ。ここ退屈だから」

 

私が部屋から出てドアが閉まるまでの間、最後の最後まで奴は減らず口をたたいていた。

 

 


 

 

「ケンカして」

 

「謹慎〜〜〜〜!?」

 

「馬鹿じゃん!」

 

「ナンセンス!」

 

「おバカ!」

 

ねじれに搾り取られた翌朝、ロビーに降りてくると緑谷と爆豪が掃除に勤しんでいた。話を聞くと、色々あって夜中にタイマン張ることになり、それが相澤にバレたらしい。

 

「オレが寝てる間にそんな面白そうなことがあったのか…惜しい事したな」

 

「こっちも馬鹿ぁ!」

 

「てかそれより!仲直りはできたん?」

 

「仲直り…うーん……言語化できないや…あはは……」

 

「バッカ、麗日考えてみろよ。コイツらが仲直りなんて想像できるか?」

 

「…うん、爆豪くんが変わらんかぎり無理!!」

 

「んだとコラァ!!ぶちのめすぞ!!」

 

麗日に爆豪がいつもの調子で吠え散らかす。

 

「よく謹慎だけで済んだものだ!ではこれからの始業式は君たち欠席だな!全く!」

 

「ごめんね、飯田くん……」

 

「チッ……!!!」

 

ーーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「皆いいか!?列は乱さずそれでいて迅速に!グラウンドへ向かうんだ!」

 

「いやお前が一番乱れてるよ」

 

「委員長のジレンマ!!!」

 

「一番前に立って指示飛ばせば良いんじゃねえのか?」

 

「おお、それだ!ありがとう爆音くん!」

 

いつもの調子で軽く暴走しかける飯田をオレと瀬呂が制止する。コイツ委員長としての責任感感じすぎなんだよな。

 

「聞いたよー、A組ィィ……二名!!そちら仮免落ちが二名も出たんだってぇぇ!!?」

 

「あ、物間だ!」

 

「相変わらず気が触れてやがる!」

 

コイツまたか。イキってる割りにコイツ結構ミスというか、抜けてるとこがあんだよな。

 

「さてはまたオメーだけ落ちたな?」

 

「ハッハッハッハァァ!!!!ざんねぇぇん!こちとら全員合格!差が開いちゃったねぇA組ィィ!!」

 

「なっ……何ィィィ!!?」

 

そんな驚く事か?B組は別に劣ってる訳じゃねえからな。轟みてえに変な事やらねぇ限りは受かるだろうよ。

 

「あっ……」

 

「お、鉄哲か。久しぶりじゃねえか」

 

「…………!!」

 

鉄哲がオレの顔を見るなりこっちにツカツカと歩いてきた。

 

「爆音…申し訳ねえ!!!!

 

「「「!!?」」」

 

土下座……?

 

「ちょ、鉄て「ちょっと待ってやって!」あふっ……」

 

「林間合宿の時、お前らのことなんにも分かってなかったのに『チャンス』だのなんだの言って…!挙げ句の果てにお前が誘拐されんのをただ見る事しか出来んかった!謝って済む話じゃねえが、ほんっとうに申し訳ねえ!!」

 

「鉄哲……」

 

「コイツもコイツなりに思うところがあるみたいでさ……私からも謝罪させて。本当にごめん」

 

拳藤まで頭を下げた。

 

「謝る必要なんざねぇよ。微塵も気にしてねえ」

 

「爆音……」

 

あん時お前らが戦ってもよくて半殺しだったろうしな

 

「あっうん……」

 

「…俺さ、自分が情けねえんだ…!!友達がピンチだってのに…!指咥えて安全な所から見ることしかできなくて……!!」

 

「……悔しいか?」

 

「悔しいに決まってんだろ…!!!」

 

「なら血反吐吐くぐらいに戦いまくって強くなれや。二度とんな思いしなくて良いぐらいにな」

 

「………!!」

 

「おーい、後ろ詰まってんだけど」

 

「はっ!すみません!皆、私語は慎んで早くグラウンドへ移動しよう!」

 

「…だってよ、早いとこ行こうぜ」

 

「っ!おう!」

 

何処か晴れやかな顔になった鉄哲と共にグラウンドへと向かって小走りで進み出した。

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