個性【ボイスデーモン】のヒーローアカデミア 作:ねぎトロ丼ねぎ多め
「…危なかったな……!!」
「あの人が来てくれてなきゃ今頃爆音窒息してたよな…」
マジで助かった。確か…普通科の砂藤力道だったか?偶然次の授業が移動教室だったアイツが通りかかって"個性"使ってねじれを引き離してくれた。アイツにゃ感謝だな。
「はぁ…まったく、波動の暴走が無ければもっとスムーズだったんだがな。じゃ、気を取り直して自己紹介をしてもらおう。天喰から頼む」
「っ……!!!」
ビリビリビリッ!!
「「「「!?!?」」」」
天喰が自己紹介を促された瞬間、教室内に異様な空気感が広がっていった。
「一瞥だけでこの迫力…!さすがはビッグ3といったところか…!!」
「いや、別にそんなんじゃねえぞ。特に天喰ならな…」
「む?」
「…駄目だ、ミリオ…波動さん…ジャガイモだと思って臨んでも頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない…!!どうしたらいい?言葉が出てこないよぉ…」
((((んんんんん!??))))
「頭真っ白だっ…!!辛い…帰りたい…!!」
やっぱこうなったか……
「なあ爆音…あの人って本当に雄英のヒーロー科のトップ…なんだよな…?」
「?そうだが」
尾白は信じられんらしい。ま、あのザマじゃしょうがねぇな。
「ねぇねぇ天喰くん!そういうのノミの心臓って言うんだって!人間なのにね!不思議!」
「ノミっ…!?」
「おいねじれ、天喰はノミじゃねえだろ」
「爆音…」
「コイツはミジンコ以下だろ」
「ミジンコ!!?」
珍しく天喰が声を張り上げる。
「あ、私の自己紹介がまだだったね!私は『波動ねじれ』!I・アイランドで会ったことあるから久しぶりの人もいるんじゃないかな?で、こっちのノミ…じゃなくてミジンコの人は『天喰環』!今日はインターンについて皆にお話して欲しいって頼まれて来ました!」
「ミジンコ……ミジンコって……」
「…さっきから気になってたんスけど、爆音はなんで先輩方と親しそうなんですか?」
「そりゃ二年前からの付き合いだからな」
「「「え!!?」」」
…言ってなかったか?
「二年くらい前にね、私が2人と仲良くなった時に声野のことも紹介したんだー!その時に仲良くなったんだよね!」
「…俺は…訓練と称して爆音に右から左にかけてボコボコにされて…!!うっ!…あの時の忌まわしい記憶がぁ…!!」
「あの頃の事は俺もちょっと思い出したくないんだよね!めちゃんこ辛かったし!」
「オイオイ、人聞きが悪いな?オレはただ軽ーく揉んでやっただけだぞ?」
(なんかもう全部察したわ)
(多分爆音くんに扱かれまくって強くなったんやろうなぁ)
「おい、なんだその視線は」
「…合理性に欠くね?」
色々と駄弁っていたら相澤がキレた。
「あっ!ごめんなさいイレイザーヘッド!改めて…大トリは俺なんだよね!それじゃ…前途〜〜!!?」
((((ゼント…?))))
「多難〜!!つってね!よぉし!ツカミは大失敗だ!」
「…ビッグ3って聞いてたから身構えてたケド…その割にはなんかさ……ねえ?」
「風格が感じられん…」
常闇と口田が何か言い始めた。…今のやり取り見てたらただただオレに半殺しにされた奴ってイメージだろうしな。
「うーん、まぁ何が何やらって顔してるよね。必修でもないインターンの説明に突如現れたよくわからない三年生…そりゃわけもないよ…そうだなぁ…よし!!君たちまとめて!俺と戦ってみよう!」
「えっ……」
「「「ええ〜〜!!?」」」
—体育館γ—
「あの…マジでやるんすか?」
「マジだよね!!あ、ただ爆音は今回出たらダメだよ!俺の"個性"知ってるから!」
「わーったよ……」
面白くねぇな…久々に通形と闘れると思ってたのによぉ…
「ミリオ…やめた方がいい。形式的に"こう言う具合でとても有意義です"と語るだけで十分だよ…それに……皆が皆上昇志向に満ちているわけじゃない。かつての俺みたいに立ち直れなくなる子が出てはいけない」
「えー…」
「失礼ですが、とてもそういう風には…」
「そうです…我々はハンデ有りとはいえプロとの戦闘において勝利している」
「それに敵との戦闘も経験してます!」
「それでもそんな心配される程俺らってザコに見えますか…?」
「まあ雑魚ってわけじゃないけど……」
通形は無駄に傷つけようとしない癖があるからな…代わりにハッキリ言ってやるか。
「そうだな…お前ら全員が一斉に通形と戦ってキズをつけられる可能性はほぼゼロだろうな」
「「「!!?」」」
「ちょ、爆音!それってどういう…」
「そのまんまだよ。お前らが束になったところで通形には勝つどころか傷一つつけられんだろうよ」
コイツらは例年の生徒と違って敵の強襲、プロヒーローとの戦闘を経験した。その結果、良いように言えば自信、悪く言えば慢心が生まれてしまった。そのせいで通形との実力差を過小評価しちまっている。
「…爆音が言っちゃったけど、いつどこからかかってきても良いよ!さ、一番手は誰だい!?」
「あ、じゃあおr「僕…行きます!!」
「えっ!?」
お。意外だな、切島あたりが先駆けて突っ込んで行くと思ってたんだがな。
「ふんっ!!」
緑谷が力むと同時に緑谷の体に稲妻のようなものが纏わりつく。
「近接隊は一気に囲め!!」
「遠・中距離持ちの奴らは少し離れた場所で固まって構えとけ!」
「そいじゃ先輩!!ご指導…よろしくお願いs」
ドカッッ!!!
「ぐぉおお!!!?」
「ごめんね!構えの時点で割とスキだらけだったからやらせてもらったんだよね!」
開始の合図とともに、"個性"を使って硬化した切島がガードも虚しく、突然地面から現れた通形により体育館の壁までぶっ飛ばされた。
「きゃあああああ!!!?」
「何ィィィ!!?」
「ちょ、先輩!!なんでモロ出しなんですか!!」
「あ、ごめんね!俺"個性"使うと服が脱げてちんちん丸見えになっちゃうんだ!」
「いやああ!!近寄らないでぇぇ!!?」
「というか前から思ってたけど、通形のちんちんって声野のよりちっちゃいよね!」
「そういうのは思っても言わないでくれると嬉しいな!!」
「てかなにサラッと爆弾発言してんだ…!!」
なんか葉隠と芦戸のあたりから『嘘だろ…!?』って視線感じるんだが。
「てか、突然の全裸に気を取られてたけど切島をぶっ飛ばすって…!一体どんな馬鹿力なんだよ!!」
「しかもなんかワープしてたし!"個性"複数持ちかよ!?」
「おっと!お喋りする余裕があるのかい!?」
「早———」
「きゃあっ!?」
「うっ!!?」
「ぐえっ!?」
「タコス!?」
「あべし!?」
「たわば!!」
「ひでぶっ!?」
「ふっふっふ…!POWEERR!!」
通形の乱撃(腹パン)で緑谷、飯田、轟以外の全員が落とされた。アレモロに喰らうとオレでもキツイからな…男共はまだギリ動けそうだが、女子…中でも特に耐久力の低い葉隠あたりはゲロ吐きまくって死にかけてる。
「遠距離持ちから落とすのが定石!あとは近接主体の人ばかりだよね」
「うっそだろ…!?ワープも出来て…パワーもあって…」
「まさに無敵の"個性"!」
「よせやい!照れるだろう!」
「…無敵、か……」
「んなこと言ってる内は100%勝てねえだろうな」
ただの一般市民がオールマイトとオール・フォー・ワンの戦闘を見ても何も分からないのと同じだ。レベルの差があり過ぎると同じ土俵に立つどころか何が起こってんのか理解することすらできねえ。ハナから期待してなかったが、こりゃ負け確か…
「いや、何かカラクリがあると思うよ」
「……!」
「お」
「すり抜けの応用でワープしてるのか、ワープの応用ですり抜けてるのか。どっちにしろ、直接攻撃される訳だからカウンター狙いで行けばこっちも触れられる時がある筈!何してるか解らないなら、解っている範囲で仮説を立ててとにかく勝ち筋を探って行こう!」
「だったら探ってみなよ!」
そう言うと同時に通形が走り出す。そして走っている最中に通形の身体が地面に沈み、緑谷達の目の前から姿を消した。
「沈んだ!」
(これまでのパターン的に現れるとすれば……背後!)
緑谷の背後の地面から全裸の通形が浮上するようにして現れた。
「ここっ…だぁ!!」
緑谷は背後に振り向きつつ、通形に向けて回し蹴り蹴りを放つ。
「(反応じゃない!俺がここに現れるのを予測した!?)だが必殺!ブラインドタッチ目潰し!」
「!?」
「おー、アレ技にしたんだな」
「敵を傷つけずに怯ませられるからね…」
『通形の"個性"ですり抜ける』、そう解っていても緑谷は思わず目を閉じた。オレ自身猿王との戦いで痛感しているが、強者との戦闘において瞬きをするほんの0.1秒ですら致命的な隙を晒すことになる。さすがに通形に猿王程の戦闘能力は無いが、それでも3秒程度は時間を稼いでいる。そしてその3秒を逃さず、通形は右拳で緑谷の腹を遠慮なく殴る。
「ウッ……!?」
「殆どがそうやってカウンターを画策するよね!ならば当然、そいつを狩る訓練!するさ!主に爆音とだったけど!」
「緑谷君!?」
出久に拳を叩き込んだ通形は再び地面へ潜る。そして今度は飯田の背後に出現し不意を突いて蹴りを入れる。
「うあっ……!?」
「知ってるかい?人間の足って腕の3〜4倍の筋肉があるらしいよ!そりゃ痛いよね!」
バキバキバキバキッッ!!!
「うわあっ!?寒っ!!」
「俺がいるってこと忘れてたか…!?」
緑谷に続いて飯田が落とされたところで、通形の背後から巨大な氷塊が現れ、通形を襲う。最初の攻撃をギリギリのところで耐えてた轟だ。
「やめてぇ!俺裸だからちんちん凍っちゃう!」
「なら燃やし尽くす…!!」
「嘘だろ!?」
氷と炎を器用に使い分け、なぜか股間を執拗に狙いながら通形を少しずつ、だが確実に端の方へと追いやっていく。
「うわぁ!!やられちゃう…なんてね!」
「!また地面に…!なら!!」
轟は自分の足元に巨大な氷塊を出現させて高台のようにし、さらに周りに炎を出した。
「これなら背後にも回り込めない筈…!」
「残念!下からなんだよね!!」
「何っ!?ぐっ…!」
「あっ!そっちはちょっとマズ……」
咄嗟に通形の出現した場所に氷塊を出現させて防御しようとしたらしいが、それが仇に出た。突然出現した氷塊のせいで、通形の排出される地点が少々ズレた。
KAKIIIIIIINNNN!!!
「み゛っ゛っ゛…!!!!?」
「うっ…うわああああ!!!?」
「轟ィィィ!!?」
「うわあ!痛そう!!」
通形の出現場所が少しズレたせいで、轟の股間に通形の拳がクリーンヒットした。
「あっ…ご、ごめんね!でも俺もさっきちんちん燃やされかけたからこれでおあいこってことで…ね?」
「ミリオ!!そんなこと言ってる場合じゃあ無い!!」
「相澤ァァ!!救急ロボ連れてこい!!!」
「轟くーん?大丈夫?」
「ぐぅああ…!!?!!?」
「駄目だ!!喋ることすらままならないみたいです!」
「ドイタドイタ!!急患ハドコダ!?」
「あ、救急ロボ来たよ!」
「こっちだ!!早く!!!急げぇぇぇ!!!」
「えー…轟くんという尊い犠牲が出てしまった訳だけど……こんな感じなんだよね!」
「ほぼ全員が訳も分からず腹パンされただけなんですが……」
「轟に至っては股間だもんな……」
轟が保健室に搬送された後、戦闘を終えた緑谷たちは腹パンを喰らったダメージがまだ癒えないのか腹部を手で抑えながら呻いていた。
「俺の"個性"、強かった?」
「強すぎッス!」
「ズルイや!私の事も考えて!」
「すり抜けるしワープだし、轟みたいなハイブリッドですか~!?」
「いや、1つ!」
「えっ……1つ!?」
「は~い!私知ってるよ"個性"!ねぇねえ言っていい?」
予想外だったのか、緑谷が聞き返すとねじれが会話に割って入った。
「透過!」
「波動さん……今はミリオの時間だ」
「そう!俺の"個性"は透過なんだよね!君たちがワープと言うあの移動は推察されたとおりその応用さ!……あぁゴメンて」
通形に言葉を奪われ、不機嫌になったねじれは頬を膨らませてポカポカと通形の胸を叩く。
「え、じゃあどういう原理でワープを?」
出久はノートに指で文字を書くような独特の動きをしながら質問する。
「全身に"個性"を発動すると俺は凡ゆるモノをすり抜ける!凡ゆる、即ち地面もさ!!」
「あっ……じゃあ、あれ地面に落っこちてたって事!?」
「そう!地中に落ちる!そして落下中に個性を解除すると不思議なことが起こる。質量のあるモノが重なり合うことは出来ないらしく、弾かれてしまうんだよね!つまり俺は瞬時に地上へ弾き出されているのさ!これがワープの原理。体の向きやポーズで角度を調整して、弾かれた先を狙うことが出来る!」
通形は自身の"個性"について種明かしを続ける。
「……?何かゲームのバグみたい」
「イイエテミョー!」
ゲームのバグ…それが一番わかりやすい言い方だな。コレ以外の性質もバグとしか言い表せないからな。
「攻撃は全て透かせて自由に瞬時に動けるのね。やっぱりとても強い"個性"」
「いいや。強い"個性"にしたんだよね」
「「「?」」」
「あ、言い方が悪かったね!えっと、俺の"個性"発動中は肺が酸素を取り込めない。吸っても透過しているからね。同様に鼓膜は振動を、網膜は光を透過する。凡ゆるモノがすり抜ける。それは何も感じることが出来ず、只々質量を持ったまま落下の感覚があるという事なんだ」
「えっ!」
「それって……」
通形は尚も説明を続ける。
「解ったかな?そんな感じだから壁1つ抜けるにしても、片足以外発動→もう片方の足を解除して設置→そして残った足を発動させすり抜け。簡単な動きにもいくつか工程がいるんだよね」
「俺だったら急いでる時程ミスるな」
「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねぇ」
オレも初めて聞いた時は驚いた。ま、ソレをここまで応用しまくったのは流石としか言えねえ。マジでコイツは努力の天才だ。
「そう。案の定俺は遅れた。ビリッけつまであっという間に落っこちた。服も落ちた。この"個性"で上に行くためには遅れだけはとっちゃダメだった」
通形は自身の額を指で高速で突つきながら説明を続ける。
「予測!!周囲よりも早く!時に欺く!何より予測が必要だった!!そしてその予測を可能にするのは経験!経験則から予測を立てる!長くなったけどコレが手合わせの理由!言葉よりも経験で伝えたかった!インターンにおいて、我々はお客ではなく1人のサイドキック!プロとして扱われるんだよね!それはとても恐ろしいよ?プロの現場では時に人の死にも立ち会う…!けれども、怖い思いも辛い思いも全て学校じゃ手に入らない一線級の経験!俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので!怖くてもやるべきだと思うよ1年生!」
「「「「おおおお!!」」」」
通形の力説に全員が拍手を送る。
「話し方もプロっぽい!」
「1分で終わる話を此処まで掛けて下さるなんて!」
「お客か…確かに職場体験はそんな感じだったな」
「危ない事はさせないようにしてたよね」
「インターンはそうじゃないって事か……」
「仮免を取得した以上、現場に出ればプロと同格に扱われる」
「覚悟しとかなきゃな」
「上等だっての!」
「そうだよ!私たちプロになるために雄英入ったんだから!」
「そうだな」
「上昇あるのみ……」
「プルスウルトラ」
通形の話に感化されたのか、轟以外はインターンへの意欲が高まったみてえだ。
「そろそろ戻るぞ。挨拶」
「「「ありがとうございました!!!」」」
「……ああああああ!!!!!」
「!?」
「なんだ?どうした峰田、言ってみろ」
終わりの挨拶をして教室に戻ろうとした時、峰田が何かに気づいたのか突如大声をあげた。
「お、オイラとんでもねえことに気づいちまった……!!」
「なんだよとんでもねえことって!!」
「…轟ってさ、ちんこを怪我してんだよな?」
「まあそうだな。それがどうかした?」
「おい!お前ら忘れたのかよ!?保険医のリカバリーガールの"個性"の発動条件!!」
「え?確か患部へのキ…ス……」
まさか…!!?
「今更気づいたのか…!!轟は…轟のちんこは……!!今頃リカバリーガールにキスされて……!!」
「っ!!!!」
「うわあ!?ヤオモモ速っ!!」
八百万が普段の倍以上のスピードで保健室の方に走って行った。
「こうしちゃいれねえ!!早く轟の下へ向かうぞ!!」
「「「おお!!!」」」
こうしてオレとビッグ3、相澤以外は全員保健室まで行っちまった。
「……通形?」
「ごめんなさい先生!!!」