個性【ボイスデーモン】のヒーローアカデミア 作:ねぎトロ丼ねぎ多め
最近は寒暖差がエグいですよね…作者は一週間くらい風邪ひいてました。
皆様も体調を崩さないよう気をつけてください。
それと今回短めです。
「くああぁ……ねっむ…」
その辺の切り株に腰掛け、大欠伸をかます。
あの後オレを見捨てた緑谷らを報復として全員寮の前に首以外埋めて晒し首みたいにしてドチャクソ説教食らったり、その罰としてねじれが召喚されて死にかけたり、ミラーボールになる青山を動かす為に緑谷のダンスパートが一部削れるなど色々あったが、文化祭当日。
校長も言っていたが、オレが警備を担当する地区は森。割と早朝から警備を始めてるのに加えて、聞こえてくるのは精々虫が蠢く音か鳥の鳴き声くらいなもんだからめちゃくちゃ退屈だ。
「…ん、そろそろ10分か…」
一応、万が一侵入者が出た時のために10分に一度、少し耳の"コルクボイス"を外して半径5km以内に人間がいないか確認はしてるが、まあ流石にいないだろ……
「…ん?」
いや待て、何か聞こえてくるじゃねえか。
ゴムのような物が何かを弾き返すような音、デカい衝撃音、そしてこの声は…緑谷…!?アイツ何やってんだ…!?
「…見に行くか」
"ジェットボイス"を発動し、音の出所まで飛んで行く。
現場に到着すると、そこには緑谷と…誰だあの髭面のジジイ?
まあとにかく、不審者が緑谷に攻撃している。
「…サンドイッチとは本来、薄いほど上品であるとされる食べ物。幾重にも重ねるのはあまり好みではないのだが…それでも成し遂げt「何やってんだテメェ」うわあぁっ!!?」
オレが声をかけるとジジイは驚きながら飛び退いた。
…いや、一見するとジジイだがよく声や心音を聞くと、ジジイにしては色々と健康すぎる。大体中年…30代後半くらいか?
「爆音くん…!ありがとう、助かったよ!」
「お前何やってんだこんなトコで」
「ごめん!新しいロープ買いに行ってたら巻き込まれた!それより、そこの2人は雄英に侵入するつもりの敵だ!急いで他の地区を見回りしてるヒーロー達に報告を!」
「なるほどな…とりあえず連絡はしておくぞ」
緑谷の話から大体の状況を把握して、大至急"音弾"を近場の警備を担当している2人に飛ばす。
『おいハウンドドッグ!エクトプラズム!例の山の近くの工事現場付近に敵が2人!とっとと手錠持ってこい!!」
2秒ほど経つと、それぞれの音弾の着弾地点から「了解」との声が。
ちゃんと届いたみてぇだな。
「…よし。連絡は終わった。あと10分もしねえうちにアイツらが手錠引っ提げて到着するだろうよ」
「ジェントル!彼、爆音くんよ!あのAFOとかいうオールマイトに勝った敵を一方的に倒したって噂の!」
「あぁ、知っているさ。しかし雄英も大胆なことをするな、警備には索敵に優れたハウンドドッグあたりを担当させると思っていたが、まさか生徒に警備を任せるとは…残念だが、私は彼に到底敵わないだろう。逃走なんて夢のまた夢だ」
「よく分かってんじゃねえか。ならとっとと諦めて自首しろ」
「…だが、それは真っ向勝負での話。まさか警備を担当しているなんて予想だにしなかったが、私達はちゃんと君への対策をしてきているのさ!ラブラバ!例のアレを!」
「ええ!でも少し待って!10秒もあればいけるから!」
「何ごちゃごちゃやってん……だッッ!!」
バイィィィィィン……
「どわぁっ!!?」
「…今のは本当に死ぬかと思った…念の為バリアを貼っておいて正解だった…!」
なんだ!?
あの髭面に殴りかかったはずの拳が弾きかえされた!?
「おい緑谷!んだぁ今のは!?」
「アイツはジェントル・クリミナル!迷惑動画を投稿してる敵で、"個性"は【弾性】!空気なんかを含む触れたものに弾性を付与するんだ!」
「弾性だぁ…!?」
弾性…確か変形した物体が元の形に戻ろうとする力、だったか?要するにアイツが触ったもんはゴムみたいになる訳か。
じゃあ今のはアイツが自分の目の前の空気に弾性を付与してたってことか…なるほどな。
「物理攻撃は効果が薄いっつーことか…めんどくせぇな」
「ジェントル!ハッキングが終わったわ、こっちは準備OKよ!」
パソコンを弄っていたラブラバと呼ばれていたチビがポケットから何かを取り出す。
あれはスマホ…いや、音楽プレイヤーか?それも多分安物の。
「秘密兵器!スイッチオン!」
キィィィィィィンン……
「……?な、何だ…?そこら中のスピーカーから変な音が出るだけ?これが秘密兵器?」
「フフフ…確かにそうかもしれないな。だが少年、隣の彼を見てごらん?」
「……ぅ…ぁ……!?」
なんだこの音…!!頭が…割れる…!!形容し難いが、とにかく不快だ…!
「ば、爆音くん…?」
「この…音ッ…止めろぉぉ…ッ!」
「フム、まだ動けるか…仕方ない。ラブラバ、音量をマックスまで上げてくれ」
「ええ!」
キィィィィィィィィンンン……
「ぐおああああああ!!?!?!?」
緑谷side
キィィィィィィィィンンン……
「ぐおああああああ!!?!?!?」
「爆音くん!?」
ラブラバが「秘密兵器」と呼んでいた音楽プレイヤーのスイッチを入れると、街中のスピーカーから変な音が流れると同時に爆音君が頭を抱えて苦しみ始めた。
「ふはははは!爆音君の"個性"は調査済みさ!彼は数キロ離れた場所で落ちたコインの音すら聞き分けるほどの地獄耳を持つのだろう?そこを突いたのさ!これは人間が不快に感じるとされている4000Hzの音をラブラバが微調整したもの!緑谷君にはあまり効果がないだろうが、予想通り彼には効果バツグンだったようだね!」
「そ、そういうことか…!」
「うっぷ…オエェェェ……!!」
ジェントルが説明してる間にも音は流れ続け、ついに爆音くんは倒れこんで嘔吐してしまった。
僕ですら多少の不快感を覚えるこの音。僕の数百倍以上の聴覚を持つ爆音くんにとっては、筆舌し難い、拷問にも等しい程の苦痛になっているのだろう。
「爆音くんしっかr「おっと、目の前の私よりもお友達の心配かい?」なっ…ぐわぁっ!?」
爆音くんに駆け寄ろうとすると、ジェントルが僕の背後に跳んできて何かで叩きつけてきた。
多分、ジェントルがさっき"ジェントリーサンドイッチ"と呼んでいた技だ。
「ラブラバ、例のロープを」
「ええ!」
そしジェントルはダメージを負って動けない僕の全身をあっという間に黒いロープで雁字搦めにする。
でもロープくらいならフルカウルで…!
「フンッ!……あ、あれ…!?伸びた!?」
「おっと、引き千切ろうとしても無駄さ。それは君たちのように圧倒的なパワーをもつ者たちへの対策として購入した、海外で制作された非常に伸縮性が高いロープ。軍用のジープで引っ張り合いをしても千切れないという優れものでね。それと私の"個性"とも似てる、素晴らしい商品さ」
「でも普通のロープより500倍くらい高かったわ」
「そういうのは言わないのがお約束さ。…さて、早くしないとラバーモードも切れてしまう。そろそろ本来の目的を達成するとしよう」
…本当にまずい。このままだとジェントルに侵入されて、文化祭が中止になってしまう…!生徒も先生たちもあんなに頑張ったのに…エリちゃんが楽しみにしてるのに…!
「ごぼぁっ…!」
「爆音くん!?」
苦しみ続けていた爆音くんの体が突如として痙攣し始めた。それによく見ると口から泡を吐いている。
極度のストレスに晒され続けたせいか…!?いや、そんなこと考えてる場合じゃない!早くあの音楽プレイヤーを破壊しないと、爆音くんが…!
「…すまないね少年ら。だがこの夢は最早私1人のものではないのだ。行くぞラブラバァッ!!?」
「…へ?」
ジェントルがジャンプしようと構えると、僕らの背後から何か光るものが飛んできてジェントルの体にヒットする。それなりの衝撃があったらしく、ジェントルは後方に吹っ飛んでいく。
あの"個性"は…まさか……
「あ、あれは…」
「ねぇ…私の声野に…なに…してるの……?」
はっ…
「波動先輩…!?」