個性【ボイスデーモン】のヒーローアカデミア 作:ねぎトロ丼ねぎ多め
スランプ気味だから雑だけどユルシテ…
「ねぇ…何してるの…?」
エリちゃん達と見学に行った時に着ていた、ミスコン用の衣装のドレスを靡かせながら、波動先輩はゆっくりと歩を進める。
ぶ、ブチギレてらっしゃる…!ヒーローが出したらダメなタイプのオーラを発しまくってる…!
「ど、ドレス…?いや、それより彼女は一体…!?」
「うるさいね、これ。……えいっ」
バギョッ!!
「えっ?」
「に、握りつぶした!?強化系の"個性"か!?」
ええええぇ!!?
嘘だろ、素手でスピーカー握り潰したよあの人!!先輩の"個性"って実は強化系とかじゃないよね!?
「あの長髪、あの見た目からは想像できない馬鹿げたパワー…!思い出したわジェントル!彼女は波動ねじれ!雄英生の最高戦力、BIG3の一人よ!」
「なるほど、先ほどゼブラが呼んでいた応援と言う訳か。ならば気乗りはしないが……しばらくの間拘束させてもらおうッ!」
バシィッ!!
「何ィッ!?」
「えぇぇっ!?」
掴んだ!?ラブラバの"個性"で強化されたあのスピードのジェントルを、強化系の"個性"でもない波動先輩が見切るどころかノールックで掴んで止めるなんて…!
「ふんっ!!」
ドスッ!
「おごぉっ!?」
うわあぁぁ!?腕掴んだままヒールの踵の尖ったとこで鳩尾蹴った!?モロに入ってたし、あれ絶対痛い…!
「ジェントル大丈夫!?モロに入ったわよ!?」
「うぐぐ…ま、まさかヒーロー候補がなんの躊躇もなく急所を狙ってくるとは…!うぐおぉぉぉ…!?」
「… ねじれる機関銃」
悶絶しているジェントルをよそに、波動先輩がまるで独り言のように小さく呟くと、先輩の五指にエネルギーが普段の数倍の速度でチャージされ、高速で発射されていく。
ジェントルは慌てて立ち上がると、それを間一髪のところで避けていくが、いかんせん数が多い。10秒と経たぬうちに何発か掠るようになり、そして…
「ぐはぁっ!?」
ついに3発ほどの波動が直撃した。
ただ、直撃とは言ってもダメージはなさそうだ。アレは多分、威力を殺した代わりに連射性能を上げた技。強化された状態の今のジェントルには効果が薄い。
「…効かないかぁ…」
「波動先輩!あの敵は今"個性"でブーストがかかっているんです!高威力の技じゃないと…!」
僕の言葉に波動先輩が小さく頷くと、射出される波動の数とスピードがさらに上がった。いくら身体能力が上昇したジェントルとはいえ、先ほどより増えた波動の弾幕に対応できる筈もなく、衝撃でどんどん壁に追いやられていく。
…でも数とスピードを増やすということは、威力が下がることを意味する。生半可な攻撃は効かないって教えたばかりなのに、なんで先輩はそんなことを…?
「ジェントル!早く逃げないとそろそろラバーモードが…!」
「わ、わかっては…いる…!だ、だがっ!衝撃が強過ぎて…上手く体が動かないっ…!」
絶え間なく襲い続ける衝撃に拘束され動けないジェントルに、波動先輩は
一歩ずつ、だけど確実に近寄っていく。
そしてジェントルの目の前に到達すると、服の襟元を掴んで上空に放り投げた。
そうか、さっきの弾幕はダメージを与えるためじゃなくて近づくための足止めみたいなものだったのか…!
「うっ…うおおおおお!!?」
空中で上手く身動きが取れないジェントルに向けて波動先輩は両腕を向ける。
「チャージ満タン、出力…130!!ねじれる大洪水!!」
先輩が叫ぶのと同時に両腕から放たれる、普段の波動の数倍はあろうかと言うほど程巨大な波動。それは蛙を丸呑みする蛇のようにゆっくりと、ジェントルを飲み込んでいく。
「ぐっ…!?ぐおおおおおぉぉぉ!!!?」
ほんの1、2秒後、波動が消えると、ジェントルはズタボロの姿で現れ、そのまま地面に向かって墜落するかのように落ちていく。
…波動先輩も一緒に。
「あれ!?先輩!?なんか落ちてる!?」
間一髪のところで小さな波動を出して、二人とも無傷で着地できたみたいだけど、ぐったりとしたまま動かない。多分ジェントルは気を失っているだけなんだろうけど、先輩はなにがあったんだ…!?
「先輩、大丈夫ですか…?」
「あははは…うん、大丈夫ー…いまの技、後のことととか無視して全力で打っちゃうから、打った後はすっごく疲れて…ちょっとの間"個性"が使えなくなっちゃうんだ…」
なるほど、つまりあれは波動先輩の全身全霊の一撃。
ジェントルは咄嗟に何層か空気のバリアを貼っていたらしく、重傷と気絶程度にとどまっているけど、あれを叩き込まれたら多分大抵の敵は致命傷は免れないだろう。
流石はBIG3…トップヒーロー候補の通形先輩と同等と称されるのも頷ける、いやむしろ十分すぎるほどの強さだ。これならジェントルももう動けない……
「…あれ?ジェントルは?」
ついさっきまでその辺りで倒れ伏していた筈のジェントルの姿がない。でも、あんなボロボロで、それも気絶してるのに逃げられるはずが…
「ねぇ緑谷くん…そういえばあのヒゲおじさんと一緒にいたちっちゃい子は…?」
「…あっ!」
先輩に言われて気付いた。波動先輩がきたあたりからずっと電柱の影に隠れて戦いを見ていたラブラバがいない。まさか…!
「見つけた!あんなところに!」
「ひっ!み、見つかった…!」
波動先輩が指を指す方を見ると、ラブラバがジェントルを半ば引きずるようにおぶって逃げているのが目に入った。だけど強化系の"個性"じゃないラブラバにとって、その小さな体ではジェントルを担いで逃げるのはほぼ不可能と言っても差し支えない至難の業。追いかければ確実に確保できる。
「待てっ!……くそ、上手く走れない…!」
体を縛られていなければ、の話だけど。何度かOFAを発動して力んでみるけど、今の僕の限界、30%でも引きちぎれない。
かといってこのまま逃してしまうと、またいつか雄英にちょっかいをかけようとしてくるかもしれない。となると…もう自傷覚悟で出力を引き上げるしかない!
「フルッ…カウル…40%ォォ…!!!うおおおぉぉぉ…!!!」
慣れていない出力に耐え切れるわけもなく、全身が悲鳴をあげている。だけど、それでもロープは千切れない。あと一歩、ほんの後一歩だけパワーが足りない。けど40%でこれだけの負荷なら、多分これ以上は体が耐えきれない…どうすれば…!!
「よく頑張った。後は俺達に任せろ」
「…え?」
「逃サンッ!」
「きゃあっ!?」
聞き覚えのある声がした直後、僕らの背後から数人が飛び出し、ジェントルごとラブラバを取り押さえる。
そして別の毛むくじゃらの人影がこちらに歩み寄り、倒れ伏している波動先輩を支える。あの人は…!
「はっ…ハウンドドッグ先生!?それにエクトプラズム先生も!」
「爆音クンカラノ連絡ガキテカラスグニ飛ンデキタノダガ…一足遅カッタヨウダナ。ソレト緑谷クン、ソノロープハ?」
「あぁ、えっと…そこの二人にやられちゃったんです。僕のパワーでも引きちぎれなくて」
「なるほど、このロープか。これは下手をすればほんの1、2秒程度ならオールマイトすら抑え込めるほど強力、故に敵がヒーローの無力化用に携帯してるケースが最近増えてきた代物だ。…だが、繊維と繊維の間を突けば簡単に破壊できる。つまり俺の牙なら…」
そう言ってハウンドドッグ先生は自分の口輪を外す。
…こんな状況でいうのもなんだけど、口輪無しのハウンドドッグを生で見れるなんてすっっごいラッキーだ…!滅多なことがない限り外さないし…!
「アグッ…よし、切れたぞ」
「ありがとうございます!」
「ソウ言エバ、オールマイトガ心配シテイタゾ。A組ノライブ、10時カラダロウ?」
「あっ!」
慌ててスマホの時計を見ると、既に時刻は9時半を過ぎている。
しまった…しかもジェントル追いかける時に買い物袋置いてきちゃった!
「校舎マデココカラダト10分クライダ、マァギリギリダガ間ニ合ウダロウ」
「そ、それが買い物袋あっちの方に置いてきちゃって…大体ここからだと10分はかかるとこに…」
「…ナンダト?」
どうしよう、このままじゃ遅れちゃう…!
「…ねぇねぇ、声野に飛ばしてもらったら?」
「えっ?爆音くんに?」
ハウンドドッグ先生に担がれている波動先輩の提案に思わず驚く。確かに、爆音くんの"個性"なら10秒もあれば荷物を回収して学校まで行ける。
でも爆音くんは気絶してるし、一体どうやって…
「ちょっと待っててね、今キスして起こすから。ハウンドドッグ先生、ちょっと声野のとこに連れてってくれませんか?」
「………え?キス?え?波動、お前一体何を言っt「いいから、早く」はい直ちに!!」
冷や汗をダラッダラだしながら先生は波動先輩を倒れている爆音くんのところまで運んでいく。
…嫌な予感がする。いや、予感じゃないな。確定事項だし。
「すぅぅぅ……… むちゅっ!!ぶじゅるるるるるるっっ!!!むちゅっ…ぢゅるる…じゅぞっ!!!…れろれろれろれろれろ……」
「んぶっ!?もがぁぁぁっっ!!?」
ほらやっぱり!!!
「ちょっ波動先ぱ…あっ起きた!爆音くん起きましたよ先生!」
「言っとる場合か!早く波動を引き剥がせ!爆音また気絶しかけてるぞ!」
「あっホントだ!もう白目剥いてる!」
「クソ、なんて力だ!!おいエクトプラズム!ちょっと分身5体くらいこっちに寄越してくれ!」
30分後
ゼブラside
「はいはい、隅から隅まで検査したけど、鼓膜にも脳にも異常は無し!まさにパーフェクトの一言に尽きるね」
あの後、ジェントルとラブラバは警察に引き渡された。
あの2人が雄英に侵入するという計画を立てていたため、本来ならば文化祭は中止になるはずだったが、実行に移す前に無力化できたこと、そひて教師の2人の情けもあって、オレ達には「今回の事件について何も喋らない」という条件をつけられたものの、文化祭は続行することとなった。
「そうだ、アンタんとこのライブ!そろそろ終わってる頃じゃないかい?」
「…あぁ、今丁度終わったっぽいな」
あっちの様子は音でわかる。観客どもの声量、心拍数などを聞く限り、どうやらウケは悪くない。いや、それどころかむしろかなり良い。"コルクボイス"で耳栓をしていなかったら、鼓膜が破けそうなくらいの大歓声に包まれている。
「ほら、あっちの方の手伝いに行ったげな!これあげるから」
「…なんだこのデカいの」
「お徳用の大容量ハリボー。アンタが入学してから保健室に来るたびバクバク食べるもんだから量もお金も足りなくなってきてねぇ、最近は安いのをいっぱい買うようにしてんのさ。ま、そんなの良いから早く行っといで!友達が待ってるよ!」
そう言われ、ババアにバシバシと背中を叩かれて保健室から追い出された。…しかし、このグミはどうしたもんか。別に食い切れないわけじゃねぇが…1kgくらいあるじゃねぇか。流石に飽きるぞグミでこの量は。
「……アイツらにやるか」
大袋から小袋を1つ取り出して開封し、何個かのグミを口に放り込んで、咀嚼しながら体育館に向かって歩き出した。
オリジナル技紹介
ねじれる機関銃
五指に小さな捻れて穿つ槍を充填して発射する。一発一発の威力は低い代わりに連射力に非常に優れ、さらにノックバックが発生するため、周囲への被害を気にせねばならない街中での戦闘や相手を傷つけずに捕縛するのに向いている。
ねじれる大洪水
両腕に全力の波動を集中させて放つ、現状ねじれちゃんの最強必殺技。生半可なプロヒーローの必殺技を遥かに凌駕する火力を誇る。
ただし、体内の活力を全ての波動に変えて一気に放出するため、使った後は体力が回復するまでの一時間程"個性"が全く使えなくなる。
実は本作、投稿をサボってる一ヶ月の間に何故かお気に入りが1500件を突破いたしました!なんで投稿しない方がお気に入り数が増えるのかは謎ですが、ともかくみなさまありがとうございます!