あっつい……暑くて干からびそう……
誰か筆者に……黒焦げた橙の指輪を……下さい……
炎竜印のタリスマン+3でも可……
コイツ、バカなんじゃないかって思った。
……言われなくても分かってる。級友に対して『バカ』なんて言葉を軽々しく使っちゃいけない事くらい。でも、今回ばかりは許してほしい。
……だって彼、『海へバカンスに行く』って言う時に全身をガチガチの金属鎧で固めてるんだもん。
コイツ、バカなの?何?溺れに行くの?不死になると、溺死する事が趣味にでもなるの?私達、バカンスって言ったわよね?死地にでも赴く様な雰囲気を醸し出してヘリに乗り込んで来たんだけど?
ほら、みんなフリーズしちゃったじゃない。直前までの『わ〜い、これからリゾートだ〜キャピキャピ』みたいな雰囲気返してよ。
「……さぁ、行こうか」じゃないわよ、決死の覚悟でも決めた様な言い方だけど本当に何?私達これから遊びに行くのよ?『休暇』ってノノミ先輩ちゃんと言ってたわよね?
「ああ、その鎧……良く、似合っているではないか」でもないわよこのバカ夫婦、ユウには似合ってるかも知れないけどこれから行く場所には何一つとして似合ってないのよ本当に何なの?
……いや、頭では分かってる。ユウとラニさんはキヴォトスの外、常識も何もかも違う狭間の地からやって来た異邦人である事くらい。
でもね?狭間の地がどうかは知らないけど、少なくともキヴォトスでは海に金属鎧着て入ると溺れるの。まさか向こうの海ってあんな鎧着てても浮ける位に浮力が強いの?*1
あ、そうよね!そうに違いないわ!なら早く言ってあげないと!
「ねぇ、ユウ。向こうがどうかは知らないけど、キヴォトスの海はね、金属鎧着て入ると沈んじゃうのよ?あ、まさかその鎧、水に浮ける様な魔法でもかかってるの?」
「……?いや、知っているが。それにその様な魔法、存在する筈が無いだろう」
「ならなんでそんな鎧着てるのよこのバカ!!!!!」
『え……えぇっと……その、何で鎧を……?これから海に行くんだけど……?』
「み、見るからに『これから戦闘に行くぞ!』って感じの装備です……!」
「海へ行く?ああ、知っているとも。だからこそ、装備を整える必要があるのだろう」
「"整ってない、整ってないよ星見君。沈む。沈むってその装備はさぁ"」
「良い?ユウ、私達は今からリゾートにバカンスに行くの。間違ってもそんな鎧の出番なんて来ないし、戦闘になる事なんて無いから」
「何を言う。君たちとて、戦闘の準備はしている様だが。特にその服」
「……は?」
コイツは本当に何を言っているの?何で水着が戦闘の準備になるのよ???
「防御手段はヘイローに任せ、出来る限り身軽になり、機動力を確保……良い選択じゃないか」
「……えっ」
あっ。ユウ、また凄まじい勘違い起こしてる。
すごーい!空をとんでるー!
『わ、ユウくん、凄いテンション上がってる!』
「私にも景色を見せてくれないか?……ああ、これは……確かに、空を飛んでいるな。鳥にでもなった気分だ」
ラニ人形を膝の上に乗せていたあなたは、要請の通りに彼女を持ち上げ、外が見える様にした。
それにしても良い景色だ。ここまで地上が遠く見えた事は、狭間の地では無かった様に思う。巨人の火の釜に登った時は標高こそ高かった物の、しかしあの時は地上などの景色を見る余裕は無かった。
「見ろ!ほら、あそこだ!高く聳えていた建物が、あんなに小さく……!」
確かに、地上にいた時に見えた大きな建物が、今はとても小さく見える。
「ああ、そうだな。空を飛ぶとは、こんなにも……」
「……ねぇ、あの二人……」
「言わなくても分かるよ、セリカ。あれは……」
「うん、凄く『夫婦』って感じだね〜」
「そういえば!お二人の馴れ初めって、どういった物なのでしょうか!よろしければ聞かせて頂きたいです☆」
『あ!私も気になる〜!』
「……ふむ。まあ、良いだろう。……ユウ、聞かせてやれ」
「分かった。……私が初めてラニに出会ったのは、狭間の地に導かれ、そして旅を始めたばかりの頃………」
確か、あの夜は満月だった。
今よりもずっと知力が低く、まだ一切の信仰を持ち合わせて居なかった頃。メリナとトレントに出会い、しばらくの後、あなたは夜中にエレの教会という場所に訪れた。
そこに居る、カーレという名の放浪商人と、取引をする為だ。
たどり着いた時、何者かに呼びかけられた。
声のした方向を見れば、誰かが崩れた壁に腰掛けている。
彼女は、確かその時は『レナ』と名乗った。当然、彼女の正体はラニである。
曰く、霊馬を駆る褪せ人がいると聞き、探していたのだと言う。
『お前は、喚んでいるのだろう?トレントという名の霊馬を』
『ああ。そうだが……』
などと、いくつかの会話を挟んだ後。
最後に彼女は言った。
『もう会うこともないだろうが、狭間の地をよく知るがよい。…私は、楽しみにしているのだよ。お前たち褪せ人が、いつまで、二本指に従順であるのかとな』
そう言うと、彼女は何処かに消えてしまった。
次に出会ったのは、カーリアの城館、その奥地のスリーシスターズ。
3本の魔術師塔の聳えるそこで、自分達は2度目の邂逅を果たしたのだ。
そこまで言うと、どこからか『ガコン!』と言う音が聞こえてきた。正直言って、とても嫌な予感のする音だ。
「……?何だ?高度が落ちている様な……」
「あ、あれ……?」
「……どうしたの、アヤネ。薄々察しはつくけど」
「その……ヘリが、故障しました」
な、なんですってーーー!?
……また陸八魔が
「ちょっと!?これ大丈夫!?流石に溺れるのはマズいわよ!?」
「大丈夫です!何とか目的の陸地には……!」
さて、どうしたものか。どうやらキヴォトス人の彼女達は、ヘリが墜落しても問題ない様だが、あなたと先生とユメ先輩は違う。特にあなたと違って不死ではない後者二人が。
と、あなたはホシノ先輩が自分とユメ先輩と先生に激しく目を移しているのを発見した。かなり逼迫した表情の辺り、さしずめ誰を最優先で守れば良いか分からない、といった所か。
「ホシノ先輩、私は大丈夫だからユメ先輩か先生を頼む!」
「"私も大丈夫!『シッテムの箱』があるから!……アロナァ!"」
彼は取り出した端末に呼びかけると、先生の身体を何か力場の様な物が覆ったのが分かった。正直今の現象と『シッテムの箱』『アロナ』について知りたいが、今は後だ。
「ラニ!」
「任せろ」
ラニに呼びかけると、あなたの身体が冷たい魔力を帯びる。以前カイザーと戦闘した際、あなたの肉体を銃弾から守った物と同じ力だ。あなたはラニ人形を仕舞い込んだ。
さて、問題はあと一人、ユメ先輩だ。
大急ぎで『鉄壺の香薬』を取り出し、彼女の口に瓶を突っ込み中身を飲ませる。
『んぐっ!?……んっ……ごくんっ、ま、まずい……な、なにこれ!?』
彼女の身体が硬い鉄に変化し、
「……任せて下さい、ユメ先輩」
「っそろそろ地面に不時着します!身構えて下さい!」
来たる衝撃に身構えながら、あなたは思案する。
……待てよ?この場合、周囲の仲間含めて受ける負傷を一度だけ大幅に軽減する『高揚の香薬』を使った方が良かっ───
そんな思考は、激しい衝撃の前に霧散した。
「みんな……無事……?生きてる……?」
「生きてる……」
「な、何とか……」
「ぶ、無事です……」
『えっと……生きてるって言って良いのかな……?「良いんです!!!」あ、うん!』
「"うん。平気だよ。……ありがとう、アロナ"」
『ふふん、これ位は朝飯前です!』
「……私とラニも、無事だ。……念の為、回復祈祷を使うぞ」
「はい、ありがとうございます」
さて、かくしてあなた達は『リゾート』へと降り立ったのだ。……いや、墜ち立った、の方が正しいかも知れない。
「さて、このヘリ……修理すれば何とかなるだろうけど、……時間が必要」
「すみません、私がもっとうまく操縦できていたら……」
「操縦とか関係なくいきなり壊れたんだから、アヤネちゃんが謝る事は無いわよ。出発前の時だって、異常は無いかみんなで何度も点検したし……」
『そうだよ!それでもいきなり壊れちゃったんだから、これは誰の責任でも無いよ!』
「そ、それは……」
「"まずはリゾートに行こう。もしかしたら、何か修理できる手段があるかも知れないし"」
「先生まで……。ありがとう、ございます……。リゾートに行けば、何か方法は見つかりますよね?」
「うんうん!急がば回れ、です!」
『ほら!見て、アヤネちゃん!パンフレットによれば、すごーく大きくてリッチなリゾートみたいだし、部品や整備できる人もいるかも!』
「……ところで、せっかくの空気に水を差す様で悪いんだけどさ。……『すごーく大きくてリッチなリゾート』って……あれの事……?」
『「「「「???」」」」』
ホシノ先輩の指差す先。そこには、あなたがとても良く見慣れたものがあった。
そう。あなたが良く見慣れたもの、である。
全てが壊れた世界、狭間の地で旅をしていた褪せ人である、あなたが良く見慣れたもの。
そこにあったのは、さながら廃墟の様にボロボロになった建築物であった。
『『「「「「「「「"ワッ……ワァッ……!"」」」」」」」』』
もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?
-
給食部ルート
-
美食研究会ルート
-
温泉開発部ルート
-
激長!便利屋ルート
-
やっぱり激長!風紀委員会ルート
-
全部書いて♡