Tarnished Archive   作:助動詞

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『ティビアの呼び声』アイテム化ってこれマジ?


やーい!お前の頭……劣等種ー!!!

拭き、拭き、窓を拭き、机を拭き、床を拭き。

 

磨き、磨き、壁を磨き、壺を磨き、家具を整えて。

 

極悪非道、冷酷無慈悲、正体不明の勢力による襲撃により無惨にも廃墟への逆戻りを遂げた館内を、あなた達は再び綺麗に整えていた。

 

「……セリカ、確か『戦闘になる事なんて無い』と言っていたな。あれは一体、どういう事だ。いつぞやの様に襲撃を受けた訳だが」

 

「う、うるさい!しょうがないじゃないの、あの時はまさかこんな事になるなんて思ってもいなかったんだから!」

 

……しかし、どうしたものか。ああして襲撃を受けるなら、何とかして迎撃の準備を整えたい所だが。

迎撃と言えば、以前訪れたカーリアの城館に残された恐ろしい魔術の罠が、狭間の地では有名だろう。

空から降り注ぐ魔術の矢雨に、突き刺さった剣を発動の鍵とし、地面から魔術を撃ち出す罠魔術。幻影の兵達。それらはかつてレアルカリアの学院に仕えるカッコウの騎士共が攻め入った際、彼らを骸に変えた数々の魔術たちだ。

 

……あれらの内、1つでも使えれば良いのだが。侵入を防ぐ事ができるし、そうでなくとも侵入を悟り、また奴らの力を削ぐ事ができるだろう。

 

そういえば、空中に描いた魔法陣から輝剣を射出する魔術、『魔術の輝剣』は古いカーリア王家に由来するのだったか。地面から魔術を撃ち出す罠魔術は、案外この魔術の応用だったりするのかも知れない。

 

『……ほう、気付いたか。確かに、あれは『魔術の輝剣』を元とし、そして応用した魔術だ。地に描いた魔法陣に特殊な魔術を施した剣を突き刺し、それが外れた途端に……後は言わずとも分かるだろう?』

 

身を持って知っている。とても痛かった。所でその『特殊な魔術』というのはどういった代物なのだろう。凄く気になる。いくらでもルーンを支払うので、どうか教えて欲しい。習得できたら色々と試したい事がある。例えば封じる魔術をもっと高威力のものにしてみたり巨大な陣を描き広範囲に効果を及ぼしたりもしも祈祷にも使えるとすれば『拒絶』や『黄金の怒り』といった敵を吹き飛ばす事に特化した祈祷を封じてしろがね人共を吹き飛ばしたりああ考えるだけで興奮が止まらない素敵だぁ……!」

 

『(・∀・;)』

 

「(눈_눈)」

 

近くに居たユメ先輩とセリカは、何とも言えない表情であなたを見つめている。これはどうした事だろう。何かあったのだろうか。

 

まさか今の思考が声に出ていた訳では無いだろう。あり得ない。いくら極度の興奮と歓びに身を焦がされていたとしても、まさか思考が声に出るなどあり得ない。その様な人物は居るわけが無い。もしもその様な人物が居るとしたら、あなたはその人物に対して『頭しろがね(劣等種)』の烙印を押さざるを得ない。

 

「『どうした』って……自覚無いの?あんた今凄い早口で封じる魔術がどうとか巨大な陣がどうとか言ってたわよ?」

 

なるほど、なるほど。

 

あなたは『神の遺剣』を取り出し、自らの首にあてがった。

 

あなたの頭は現在しろがねに汚染されている。早く聖属性の攻撃でしろがね成分を消し飛ばさなければならない。

 

「危なーい!?」

 

と、セリカはあなたに飛びかかり、剣を押さえつけた。

 

「離せ!早くしなければ……!」

 

『な、何をしてるの!?な、なんかその剣ピリピリするんだけど!?し、しまって!危ないから!そんな事しちゃ駄目だよ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「片付いたら、案外キレイになったわね……」

 

「"そうだね。ちょっと愛着が湧いてきた?"」

 

「……まあね」

 

「"そっか。……その、所で、さ。……なんで星見君は両手をロープで後ろ手に縛られてるの……?なんか凄いもがいてるし……"」

 

「それは……安全の為よ。彼と、そしてユメ先輩の、ね」

 

「ち、ちょっと別れた間にそっちで一体何が……!?」

 

渾身の力を込めて、あなたは両手を拘束するロープを引きちぎろうとした。

 

しかしMP(マッスルポイント)がたりない!

 

ラニ、どうにかしてくれないだろうか。

 

『はぁ……。これで良いか?』

 

あなたの両手を拘束するロープが氷に覆われた。状況がより悪化した様に思えるのは自分だけだろうか。

 

『少し頭を冷やせ。今のお前には、丁度良い手助けだと思うが』

 

………。

 

「所で、本当に綺麗になったわね、私達のリゾート。まだ設備も機械も修理してないけど」

 

「なら早速修理しようか。だからこの拘束を解いてくれ」

 

『……えっと、修理の為にはどこに行けばいいんだっけ?』

 

「制御室よ、ユメ先輩」

 

「はい、そこで、使える設備やシステムを再稼動させないと……」

 

「そうか。ならば制御室へ行くとしようか。手を縛られたまま歩くのは危険だから、この拘束を解いてくれ」

 

「……それにしても、部屋が片付いてるとスッキリするわね」

 

「そうだな。拘束を解いてくれると、私もとてもスッキリするのだが」

 

「……あー、もう!あんたはもう少し頭を冷やしなさい!そんな鎧なんて着てるから頭に影響でも出てるんじゃあないの!?絶対熱が籠もってるから脱ぎなさいよ!」

 

『そうだよ!今までは特に何も言わなかったけど、そんなの着てたら熱中症になっちゃうよ!?ちゃんと水分摂ってる!?』

 

「……ミン°」

 

『ホシノちゃん!?ほ、本当にごめん!?でも星見くんが心配で……!』

 

……どうやら、皆はあなたの纏う防具が心配らしい。どうしてもと言うなら、装備を変更するが、それで良いだろうか。

 

「うん、まぁ……」

 

それでは、装備を変更するとしよう。

 

あなたはノノミ先輩に拘束を解いて貰い、(背後から「バキバキッ!ブチィッ!」と凄まじい音が聞こえてきた)あなたは身に纏う装備を変更した。

 

「うんう───長袖!?長ズボン!?手袋にフードに外套まで!?」

 

「暑い!暑いよ星見君!見ているだけなのに暑いよ〜!」

 

「……そういえば、制御室の件よりも、食料が先かも」

 

「……え?食料……?」

 

「うん。食料。無人島で次に気にしなきゃいけないのは、生存の為の食料問題」

 

「……生存?別にそんな切羽詰まった状況じゃないと思うけど……。ここはスマホの電波も飛んでるし、捨てられた船もあるし」

 

「こういう所では、魚で動物性タンパク質を補給するのが最善。……ん、必ず獲るよ、『生存』の為に」

 

「別にそこまでしなくても、茹でエビに茹でカニに干し肉なら持っているぞ。それにワープで物資は調達して来れる」

 

「……そう言う事じゃない。でも干し肉はとても良いチョイス。……所で、ここに釣りの道具が。……準備は出来てる。行こう。……え、『釣り』が気になるの?なら付いてきて、一緒に釣りをしよう」

 


 

かくして海辺に移動したあなたとシロコ先輩、そして付き添いの先生は、『釣り』と呼ばれる行為を始めようとしていた。幸い、付近にタコを初めとする敵性生物は居ないようだ。

 

「釣竿、餌、バケツ……よし、いつでも始められるよ」

 

「"……えっと、釣った魚を持ち上げる網は?"」

 

「それは大丈夫。……星見」

 

「何だ?」

 

「私が釣竿を支えている間に、魚を仕留めてくれる?」

 

「分かった。任せておけ」

 

そう言うと、あなたは右手に『黄金律の大剣』左手に『暗月の大剣』を構えた。

 

「"……ねえ、星見君。思うんだけどさ、それ多分魚に対して使う様な武器じゃないよね?もっとこう……『強大な敵!』とかそんなのに使う様な武器だよね……?"」

 

「……えっと、どうして星見さんは大剣を二刀流しているんですか?釣りをするんですよね?」

 

と、あなたの背後から声が聞こえてきた。

 

「あれ、アヤネ?」

 

「何となく心配で付いてきたら……これ、どういう状況なんです……?」

 

「"えっと、釣った魚を持ち上げる為の網が無くて……"」

 

「あ、それなら私が持ってきました!これ、使って下さい!」

 

「……うん」

 

「"そういえば……シロコはアヤネの言う事、よく聞いてる気がする"」

 

「えっ!?……そ、そうなんですか……?」

 

「……うん。アヤネの判断は大体正しいから。アヤネが違うって言う時は、私も違うって思ってるし、みんなそうだと思うよ」

 

「え、えぇ……そ、そんな……」

 

「ここで釣った魚も、生食して良い物なのか、毒は無いのか、後でアヤネに聞くつもりだったし。……いつも、ありがとう」

 

「う、うぅ……先輩……」

 

シロコ先輩の言葉に照れたのか、アヤネは顔を赤く染めた。それはもう耳まで真っ赤である。

 

「……それと「見つけたぞ!ここに居たのか!」っ!?」

 

と、聞き覚えのある声が響いた。見れば、件の極悪非道、残忍酷薄、悪逆無道、冷酷無比、残虐極まる正体不明のヘルメット勢力のお出ましであった。

 

リーダー格の赤髪赤ヘイロー少女は身体のあちこちに包帯を巻いている。セリカの攻撃は、ヘイローを持つ彼女であっても重症を免れない程の物だった様だ。

 

「……あれ、さっきの連中じゃないような……?」

 

「何だ、他に仲間が居たのかよ……」

 

「……星見、先生、さっき襲撃してきた集団って、あいつら?」

 

「"うん、そうだよ"」

 

「あの……どちら様でしょう……?その、怪我は大丈夫ですか……?」

 

「ふ、ふふ、ふ……。今回は、うちらも負けないわよ……!なんたって、こっちには『応援部隊』がい、居るんだから……!!」

 

今の彼女に必要なのは、応援部隊よりも治療の手段の様に思えるのだが。……まぁ、敵が弱体化するに越した事は無い。包帯の数を更に増やしてやろう。

 

「さあ、出番よ。給料分はしっかり働いてちょうだいね───()()()!」

 

呼ばれ、姿を現した彼女を見たあなたは、反射的に防御姿勢を取った。何故なら彼女は、圧倒的な強者のみが纏う事を許された、所謂『覇気』の様な物を醸し出していたからだ。

 

長髪に狐の耳を生やし、またその顔を狐の面で覆い隠している。

 

以前出会ったゲヘナの空崎委員長程ではないが───彼女は強い。あなたの命など、軽く十回は刈り取れるだろう。

 

「あらあら……正直、ガッカリです。たったこれっぽっちの人数に、苦戦なされていたのですか?……それでどうやってこの広いリゾートを狩り尽くすと言うんですか。……たったの3人すら───ん?その……お姿……もしかして、先生……!?」

 

もはや躊躇は出来ない。あなたは右手を高く掲げ、『ルーンの弧』を握り砕いた。

 

GREAT RUNE AWAKENED

 

『モーゴットの大ルーン』が、あなたにその恩恵を齎す。劇的に向上する生命力。今なら、どんな攻撃にも耐えられる───!

 

「"……ワカモ?こんな所で、奇遇だね……?"」

 

「……貴公、知り合いか?」

 

やったか?やらかしたか?ルーンの弧が無駄になったか?

 

「"え、えっと……一応……?"」

 

「えっ……ど、どういう……?これは、一体どういう状況なのです……?じ、状況の整理を……?ひ、ひぃん!?」

 

「……」

 

何とシロコ先輩は、戸惑う彼女───ワカモと呼ばれていた───を、無言で撃ち抜いたのだ。今のはあなたも見習いたい、見事な不意打ちである。

 

「シロコ先輩!?」

 

「"何をしているの!?いきなり攻撃はちょっと……!"」

 

「……ん。先手必勝だよ。先生、指揮をお願い。ほら、星見もやる気満々だし」

 

「シロコ先輩??????一体何を言っている?????」




言い忘れていましたが、アンケートの締め切りは『そうだ、シャーレに行こう』編の投稿が終わってからとなります。

もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?

  • 給食部ルート
  • 美食研究会ルート
  • 温泉開発部ルート
  • 激長!便利屋ルート
  • やっぱり激長!風紀委員会ルート
  • 全部書いて♡
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