あなたが引き抜いた武器。それは『メイス』、打撃攻撃を得意とする、金属製の槌の1種だ。戦技は『ウォークライ』、雄叫びにより自らを鼓舞し、一時的に攻撃力を高める戦技である。
打撃による攻撃は、おそらく魔法や状態異常を除き、ヘイローを持つキヴォトス人に対して最も有効な攻撃であろう。それは堅牢な鎧や硬い外皮などに護られた敵に対して非常に効果の高い攻撃であり、故にどんな鎧よりも頑丈な肉体を持つこの地の住人に対して斬撃や刺突よりも有効打となりうる筈だ。
「ア"ア"ア"ァァァーーーッ!」
咆哮により自らを鼓舞したあなたは、しかし攻撃には転じずに盾を構え『その時』を待つ。
使用した『ウォークライ』は、なにも自らの強化のみが目的では無い。あなたはその咆哮を───
「ア"ア"ア"ァァァーーーッ!」
『───!』
───『彼』に届かせたかったのだ。
そして、その咆哮は届いた。
「「なっ……!」」
敵の上空から降り注ぐ、重力の矢雨。それは、あなたの咆哮に呼応した赤獅子騎士の降らせたもの。
それに怯んだ隙を逃さず、あなたはメイスを振り上げ、ラブ隊長目掛けて突進する。
渾身の力を込めた振り下ろしが、彼女の被るヘルメット越しに脳天に直撃。
「ぐえっ」
その金属製のヘルメットは僅かに歪み、彼女はその体勢を大きく崩す。
その隙を逃すあなたでは無い。あなたは敵の腹部に、メイスを思い切り叩きつけた。
「がっ……」
その威力に膝を付いた敵、その顔面に目掛け、
見れば、矢雨の攻撃から立ち直ったもう一人の敵が、あなたの身体を撃ち抜いた様だった。……だが今のあなたにとっては、この程度の攻撃は致命足り得ない。つまり、まだまだ余裕で戦える。
「その傷で、戦えますか……!」
更なる追撃への対処の為、あなたは盾を構える。回復はまだ良いだろう、予め使用した祈祷、『黄金樹の恵み』の効果によって、傷は癒え始めている。
銃の連射を盾で受け、しかしその威力にやがて盾を崩される。更なる攻撃を受けると思いきや、しかし何も起こらず。敵はどうやら弾切れを起こした様であった。
この隙に、あなたは左手の盾を聖印に持ち替え、『暗闇』の祈祷を放った。
周囲に広がる暗闇が、敵の視界を完全に奪う。
そうして作った隙に、あなたは赤髪の敵の背後に忍び寄り、その後頭部に武器を叩きつける。
「がはっ……」
そのまま倒れた彼女は、もう起き上がる事は無かった。ヘイローが消えているので、意識を奪う事に成功した様だ。普段であれば更なる追撃で確実に命を奪う所であるが、しかし今はそれは出来ないししない。
その時、あなたは頭部に強い衝撃を受けた。
……まさか敵は、この暗闇の中で銃をリロードし、さらに物音の位置からあなたの頭部を正確に撃ち抜いたのか。やはり彼女は強い……!
では、次の手段だ。今度は祈祷『影送り』、金色の影を放ち、それを狙わせる魔法だ。曰く、その金色の影は見る者の最も憎い人物の姿を取るらしい。
「そこですねッ!」
その魔法に翻弄され、彼女は金色の影に向けてライフルを連射。その隙に傷を癒す『緋雫の聖杯瓶』を飲む。
弾切れを起こした、その瞬間を見計らい、あなたは『油壺』を投擲する。
「っ……!?」
あなたの方を振り返る敵。近距離故にリロードは間に合わないと判断したのか、彼女は銃先の脇差による攻撃を選択。それは、あなたの読み通りの行動だった。
───『血炎の爪痕』
あなたが左手で目の前を引っ掻くと、空間に紅く輝く巨大な爪痕が残る。
「まずっ……!」
飛びずさって回避しようとしたのだろうが、しかし時すでに遅し。その爪痕は、小規模な爆炎を生み出した。
それは只の炎に非ず。その炎は『血炎』、炎に巻かれた者に対して出血を強いる、血の君主の扱う炎だ。戦闘前に物理・炎属性の攻撃力を高める祈祷『火よ、力を!』を使っていた事、更に投擲した油壺により油まみれになっていた事もあり、覿面の効果を発揮している様だ。だが完全な出血には至らない。
ならばとメイスから切り替えた武器は、刀の一種『屍山血河』。ぼろぼろの刀身は血の様に紅く、呪血を滴らせたこの刀は数え切れぬ人を斬った呪刀である。
───『死屍累々』
その滴る血を刃と成し、あなたは高速の斬撃を見舞う。呪血を纏うそれは、非常に広い範囲への攻撃を可能とし、また敵に対して───
「ごふっ」
出血を強いる効果がある。
「っ、まだです……!」
「……まだ立つか……。何がそこまで、お前を支える……」
言葉とは裏腹に、あなたはこの程度で決着が付くなどとは考えてはいなかった。ちょっと出血を起こした位では、雑兵一人殺せない事をあなたは良く知っている。
「負ける、訳には……っ、先生を誑かしたあなたに、このまま負けてたまりますか……!」
追撃を警戒してか、敵はあなたから距離を取った。だがしかし、この中・遠距離こそ、本来のあなたの間合いだ。屍山血河を仕舞い、あなたが右手に取り出した武器は、赤金の刃を持つ亡国の宝剣。
───『エオヒドの剣舞』
その宝剣は、使い手の気を宿し自在に動く。エオヒドの剣は、空を舞うのだ。
「うっ……!?」
あなたの手を離れ独りでに動き、そしてあらゆる方位からの攻撃を始めた『エオヒドの宝剣』に、敵はリロードを妨害される。*1
「ならば……!」
リロードを放棄した敵は、以前海岸でそうした様に、銃先の短剣による突進突きを放った。以前は喰らった攻撃。だがこれは二度目だ。当然、対応は出来る。
右手で宝剣の制御を取りつつ、あなたは左手の装備を聖印から『ダガー』に切り替える。それは何の変哲もない短剣。何か魔力を宿している訳でも特別な由来がある訳でも無い、ただの店売りの武器だ。
その短剣を、あなたは構える。半身になって、身体の前に。
敵の刃が届くその刹那───あなたはその短剣で、相手の攻撃を完璧に受け流して見せた。
───『パリィ』
無事に成功した短剣によるパリィ*2で、完全に体勢を崩した敵の背後から高速回転しつつ迫る宝剣。
それは彼女の後頭部に大きな衝撃を与え、ヘイローの輝きを奪う事に成功した。
「……ああ、先生……あなた様……。すみません、私は敗れました……。あなた様の正気を、取り戻す事も出来ずに……。どうか、……ご無事で…………」
「……は?『リゾート狩り』?連勝?」
暫く後、意識を取り戻したラブ隊長の降伏を受け入れたあなた達は、彼女の口から発せられた衝撃の事実に目を白黒させていた。
曰く、『あんた達が持ってるリゾート使用権は、持ってる奴はごまんといる』『その契約書の穴を突いて、多くの『リゾートハンター』が自らの領地を広げるべく日々戦闘に明け暮れている』『だから、あんた達に争う気が無くても、うちらみたいなのに襲撃を受けるよ』……だそうだ。
更に詳しい説明を求めようとした所、いつの間にか彼女達は船に乗り込み遙か遠くへと出発していた。どこかあなたを恐れる様な気配が漂っていたのは、きっと自分の気のせいだろう。
ちなみにワカモは、先生から直接『"私は彼───星見君から魅了なんて受けていないよ"』と説明されながら頭を撫でられ、顔を赤く染めながらどこかへ行ってしまった。
「……まあ、タダより高い物は無いって事だね、セリカ」
「……」
『大丈夫だよセリカちゃん!契約に騙される事なんて恥ずかしく無いよ!私なんて「あばばばばばばばばっ!?」ああっ、ホシノちゃん!』
発狂したホシノ先輩を皆で宥め、落ち着かせると、唐突に先生が「"シャーレに戻らないと"」と言った。
「"このままリゾート地に居ると、ちょっと信じられない位に増殖するお仕事君達に圧殺されてしまいます。だから、早めに戻っておく必要があったんですね"」
「……そうですね。先生は、本当にお忙しいですし……」
「……そこまで忙しいならば、今度手伝いに行くが。確か……当番制度、だったか?それで、我々生徒をシャーレの手伝いに呼び出せるらしいが」
「"うん……そうだよ……。本当に、良いの……?"」
「まあ、貴公の為ならば、な」
「"……『ありがとう』……本当に……それしか言う言葉が見つからない……!"」
「……では、先生をシャーレまで送りに行きますね」
アヤネは先生とヘリに乗り込み、飛び立った。ちなみにあなた達は翌日アビドスへと帰還する予定である。備品などの片付けをしなければならない為だ。
「……よーし!それじゃ、片付けの時間よ!」
「「「「『おー!』」」」」
……所で、先ほど意識を失ったラニは大丈夫だろ『むにゃむにゃ……は、は……いいぞー、我が、王……兄様とミケラを、倒せー……むにゃ……』ああ、これは駄目だ。
ちょっと待って欲しい。少し待ってくれないか。
何故自分がミケラと戦う羽目になっているのだろう。それにラニの『兄様』とはまさかどこぞの星砕きか冒涜の蛇の事だろうか。何故既に自分に滅ぼされた存在と戦っているのか、これが分からない。
「星見?どうしたのよ、戸惑った様な顔して……」
「……ああ、いや、なんでも無い。……さあ、片付けを始めようか」
という訳で、イベントストーリー『アビドスリゾート復旧対策委員会』はこれにて終了です。では次回、影の地編にてお会いしましょう。
……もしかしたら、何か変なのを書いて投稿する……かも、知れません。
もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?
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給食部ルート
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美食研究会ルート
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温泉開発部ルート
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激長!便利屋ルート
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やっぱり激長!風紀委員会ルート
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全部書いて♡