Tarnished Archive   作:助動詞

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メリークリスマス。
投稿者のクリスマスイブは店内に流れるクリスマスソングに洗脳されながらひたすらにチキンを調理し続ける作業に従事していたら終わってしまいました。
暑くて熱くて喉が渇いて辛いですね……苦しいですね……でした。
これを読む読者の皆様が、クリスマスという日を幸せに過ごせた事を願って───
───Vanitas Vanitatum et Omnia Vanitas(すべてはむなしい)……

今回、ゲーム的な表現を多々含みます。ご了承ください。
……待てよ?そういえば原作はどっちもゲームなんだから別に何もご了承頂く必要なんて無いんじゃないか?


そうだ、シャーレに行こう

『───本日も○○線をご利用頂き、誠にありがとうございます。まもなく───』

 

およそ数十分電車に揺られ、あなたは遥々遠方へと足を運んでいた。目的地は『シャーレ』───特別な仕事が無い限り、先生がいつもそこで仕事をしているというオフィスに彼の手伝いをしに行く為だ。

 

こうした先生の手伝いは、何も珍しい事では無い。曰く彼の抱える仕事量は余りにも膨大であり、故にあなた達の様な生徒に『当番の生徒』として手伝いのお呼びがかかるのである。

 

何を隠そう、あなたの同級生の一人がつい昨日当番としてシャーレに赴いたのだ。彼女に当番のいろはを聞いた所、『えっと……ほら、あの祈祷を記憶して行った方がいいわ。……あの……ほら、なんかカタカナの『イ』みたいな変なポーズとった後にバシュンッ!ってなって足元に紋章がピカーッてなって金色の光がブワーッ!ってなるやつよ!』という一言を頂いた。……恐らく、『回帰性原理』の事だろう。

 

この祈祷が必要になるとは、何か毒物の様な危険物でも扱うのだろうか。キヴォトスの住人達の様な頑丈さやあなたの様な不死性を持たない先生に任せるにしては、些か危険すぎる仕事なのではないだろうか。

 

……まあ、何はともあれ最寄り駅には着いた。さっさと先生を手伝いに行こう。

 

 

 

 


 

 

 

「……やあ先生、久し───」

 

その言葉を、あなたは飲み込んだ。何故ならそれをかけるべき相手が居なかったからだ。

 

……妙だ。話によれば、このオフィスに先生は居る筈なのだが。机の上に堆く積み上げられた何かの書類の山々があるばかりで、肝心の先生がどこにも居ない。

 

有事に備え、あなたは腰に差しておいた慈悲の短剣を引き抜き、左手に盾を取り出した。

 

部屋の内部へと足を踏み出し、あなたは探索を開始する。…………そうして。

 

"今日も書類の作業をします今日も書類の作業をします今日も作業の書類作業をしま今日も作業を書類しま今日もしょる書類の作業をしままま"

 

あなたは書類の山の影に倒れた、先生の姿を発見した。

 

"書類の内容に目を通しt目を通して判子を今日も書類の作業を判子を押します。書類を押します"

 

なんという事だろうか、先生が扱っていた物は毒物ではなく狂気だったらしい。

 

「……。貴公の人間性も限界と見える」

 

そう呟いたあなたは左手に聖印を取り出し、回帰性原理を放った。あらゆる異常を取り除く金色の光が、あなたと先生を包み込む。

 

"新しい書類が運ばれて来る前に運ばれて来る前にここにある分を片付けていざ今日も書類の作業カカカッかカッカッカカァ!? こ、ここは!? 私は今何を!?"」

 

「……気が付いたか」

 

「"……あ、あれっ、星見君!? どうしてここにってもう朝!? ご、ごめん! いきなりで悪いんだけどちょっと手伝って───!"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「……渡された分は終わったが、これでいいか?」

 

「"ええっと……うん、かんぺき〜"」

 

作業を開始してから数時間が経過し、緊急性の高い仕事が大方片付いた。机上の書類の山々の質量が、明らかに減っている。

 

ちなみに先生曰く、『本当はもっと余裕がある筈だったんだけどねぇ、色々あって忙しくなってこうなったんだよねぇ。……あ、別に誰か生徒と遊んでてこうなった訳じゃ無くてね?本当だよ?』だそうだ。

……発見したこの遊び道具は見なかった事にした方が良いかも知れない。

 

「……?」

 

そして次なる業務の準備の一環として机を整理していた所、あなたは奇妙な物を見つけた。

 

それは紫色のバインダーで、何か紙が挟まっている。キヴォトスではよく見かける、何の変哲もない物に見えるが、しかしあなたはそのバインダーから不思議な力を感じ取った。

それはあなたも知っている様な、それでいて初めて感じる様な───

 

「"? どうしたの?"」

 

「ああ、……その、これは一体?」

 

「"ああ、これは『最上級レポート』だね。それを読めばレベルが上がって、手っ取り早く強くなれるんだよ。……まあ、私が指揮している戦闘の間だけだけどね。……よし、折角だから今から君の強化をしようか!……いや別に仕事から逃げようとかそんなんじゃなくてね?"」

 

「……なるほど」

 

説明を聞いて、あなたは納得した。どうやらこのレポートとやらは、読んだ者のレベルを上昇させる効果があるらしい。もし今これを読めるとしたら、知力や信仰、神秘は十分なので生命力や持久力、筋力を上げてみるのが良いだろう。

 

……だが、果たしてこのレポート一つであなたのレベルを上げられるのだろうか。何せあなたの現在のレベルは321、この状態で祝福でレベルを上げようとすると十万ルーン以上が要求される。それ程の力を、あなたはこのレポートから感じ取る事は出来なかった。

 

「"……え?これ一つで自分のレベルを上げられるか? 全然余裕だよ、だって君のレベルは1()()()()()()"」

 

「……はぁ???」

 

ちょっと待って欲しい。少し待ってくれないか。

 

…………自分のレベルが1?

さらっと恐ろしい事を言わないで欲しい。ここまで強くなるにはかなりの時間を要したのだから。

それにもしも何らかの要因でレベルが1に戻ってしまったとしたら、物凄く困った事になる。何せ現在のあなたの戦闘を支える数々の武器や盾、魔術・祈祷にそれらを使う為の触媒が軒並み使用不能になってしまうのだから。

防具は何とか装備出来るだろうが、無に等しいであろう持久力の関係上ロクなものを装備出来そうにない。

 

それにあなたが狭間にやって来た直後でさえ、自分のレベルは6だった。レベル1ともなると、完全に未知の領域となる。

 

「"えぇっ!?レベル321!? 嘘だあ、だって私のレベルまだ56だもの*1それ以上はどれだけレポート読ませても上げられないよ!?"」

 

「ごじゅうろく!?」

 

ちょっと待って欲しい。少し待ってくれないか。

1よりはマシだが56が最大とはどういう事だ。五十歩百歩、殆ど変わらないではないか。

 

───と、そこまで考えたあなたは思い出した。

つい先程、使用にそこそこ高い知力を要求する祈祷、『回帰性原理』を使ったばかりだという事を。

 

……なるほど、レポートで上げられるレベルは狭間の地のそれとは少し違うのかもしれない。

あなたは先生に詫びを入れ、レベルについての詳細な説明を要求した。

 

「"え。えっとね……レベルが上がるとね、HPと攻撃力と防御力と治癒力が強くなるんだよ"」

 

「成程……?」

 

……どうやらこの辺りは狭間のそれとは細部が異なるらしい。最大HPを増やすにはレベルアップ時に生命力という能力値を強化せねばならず、攻撃力は武器依存───筋力や知力による補正はあるが───、防御力はレベルアップで勝手に(多少は)上昇するが、治癒力に関しては馴染みが無い。

 

「"まあ、取り敢えずやってみようよ。やって損は無いしね"」

 

あなたは『最上級レポート』数個の他に、幾つかの同じ様なレポートを手渡された。それを読むと、身体に力が滾っていくのを感じる。一気に大幅にレベルを上げた時と同じ様な感覚だ。

 

「"あ、ついでにコレもやっちゃおうか。……えっと、どこにしまったっけな……"」

 

「……?」

 

待つこと暫し、先生はデスクの引き出しから大量の謎の欠片を引っ張り出した。

 

「先生、それは一体……?」

 

「"これ? これはね、神名文字。君の神秘が詰まった欠片だよ"」

 

神秘と言うと、あなたにも聞き馴染みがある。……が、ここで言う神秘とは、いつか黒服が言っていたキヴォトス固有の『神秘』の方だろう。

 

先生から『神名文字』を受け取ると、それらはあなたの身体に溶け込んでいった。

その瞬間、あなたは先程の『レベルアップ』とは比べ物にならない程の強化が施されたのを感じ取る。

その感覚に、あなたはどうしようも無い高揚感を覚えた。

 

「この感覚は───ふふ。良いだろう、この力、貴公の為に存分に振るおうではないか」

 

「"うん。期待してるよ。それじゃあ、これ───"」

 

そう言うと先生は、ポケットからある物をぬるっと取り出した。それは、あなたのとても見覚えのある物で───

 

「"これ、君の固有武器の『暗月の大剣+10』ね。良かったら使って?"」

 

「……はぁ?????」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

理解の及ばない事についてあれこれ考える事程、無駄な事は無いとあなたは良く知っている。だからもう気にしない事にした。

キヴォトスにはあなたの理解の及ばない物事が起こり続ける場所。だからもう何も気にしない。何も考えない。先生が何故か暗月の大剣を持っていた事なんて知らない。

 

……という事で、現在あなたはオフィスを離れ、ヘリポートにてヘリの到着を待っている。『カイテンジャー』なる謎の集団が市街地で暴れているという通報があった為だ。それを、あなた達が先生の指揮の元鎮圧しに行くのである。

 

……そう。『あなた達』である。現在、ヘリポートのある屋上には、あなたを含めて6人の生徒が集結していた。

 

「ん……」

 

黒いドレスを着た、長い銀髪に狼の耳を生やした女性(シロコ先輩が成長したらこんな風になるだろうか。もしかしたら親族かも知れない。後で聞いてみよう)に───

 

「ふふ、見て下さいコハルちゃん。ミカンの皮を一筆でムケましたよ。この形、見た事ありませんか?そう、おち「エッチなのはダメ!死刑!>꒰ঌ(⸝⸝ↀᯅↀ⸝⸝)໒꒱」

 

何やら騒がしい、ピンク髪の2人組(何故か身長の高い方は水着だ)に───

 

「もう……もう、お腹いっぱいだよ……焼き芋もおせちもロールケーキも要らないから……」

 

何故かグロッキー状態の、翼の生えたピンク髪の少女に───

 

「……」

 

何故かとてもとても見覚えのある白いローブを纏い、これまたとてもとても見覚えのあるフードを被り、とてもとても見覚えのある忌々しい顔の仏頂面の青年。

 

……。

 

「"皆お待たせ。後五分でヘリが来るから準備し「先生奴は誰だ、誰なんだ!?」うわっ、どうしたの!?"」

 

ドアを開けて現れた先生に、あなたは激しく詰め寄った。

 

「"え……彼が誰かって、そりゃあSPECIALの君に決まってるじゃないか。あ、君はSTRIKERだね。前線での戦闘、よろしくね"」

 

「……はぁ?????」

 

*1
この先生のレベルは現在の筆者の先生レベルだね 色々とサボりまくってるんじゃないか?





固有武器:暗月の大剣+10
星見の愛用する武器の1つ。

氷のように冷たい魔力を宿したこの大剣は、ある国の王族が自身の伴侶に贈る物なんだとか。




何でSTRIKER5人にSPECIAL1人の編成なんだとか突っ込んじゃイケナイ、良いね?


Q.何で主人公は自分の顔を『忌々しい』って言ってたの?まさかボックとかセレン師匠の件で色々やらかしまくった自分を憎んでいる悲しき過去───とかあるタイプ?

A.いいえ。もっとバカみたいな理由です。
……その、今まで触れ損ねていたのですが、主人公の見た目は完全に16歳のそれです。
……というか実年齢もそのくらいです。
16歳位で祝福に導かれて狭間にやって来ました。
その若い外見を、パッチとかそのあたりの人間にバカにされてきた事を根に持ってるだけです。

もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?

  • 給食部ルート
  • 美食研究会ルート
  • 温泉開発部ルート
  • 激長!便利屋ルート
  • やっぱり激長!風紀委員会ルート
  • 全部書いて♡
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