Tarnished Archive   作:助動詞

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私はヒナちゃんのエミュに自信がありません。もしも「こんなのヒナちゃんじゃねぇ!」「こんな事ヒナちゃんは言わない、こんな言い方しない!」「なんか口調がおかしい/違うんだけど?」などありましたら、遠慮なく感想欄にてご意見頂けると幸いです。
それと、物凄く恥ずかしい事なのですが、私、ゲヘナについて余り詳しくないんですよ。
ですので原作との設定の乖離などありましたら、そちらも伝えて頂けると幸いです。


入学式とエマージェンシー

 

「……? ……!?」

 

あなたの隣の席に座る少女は、あなたを見るなりぎょっとした様な表情をした。

 

「ちょっ……あなた、銃は!?  持ってないの!? というか人間の男性!? 外の世界から来たの!?」

「ジュウ……? 外……?」

 

外の世界というのも気になるが、ジュウとは一体何だろうか。

反応からして、もしや持っていなければいけない物なのだろうか。

 

「え……? いや、別に駄目という訳では無いけど、珍しくて……」

「……そうか」

「……あなた、この席? 私は空崎ヒナ。隣同士よろしく。あなたの名前は?」

「星見ユウと言う。星見と呼んでくれ」

 

あなたの隣人は空崎ヒナと名乗った。

見た目はまるで幼い子供の様だ。ここ『ゲヘナ学園』は幅広い年齢層を受け入れているのだろうか。そして彼女は、その頭上にやはり光輪を浮かべている。

 

……が、その形をあなたははっきりと知覚する事が出来なかった。黒い色だというのは辛うじて分かるのだが、どうにもそれ以上の情報が頭に入って来ない。

 

そして特筆すべき事に───彼女は、頭に角を、腰の辺りに翼の様なものを生やしているのである。

 

あなたの出身地である狭間の地において、彼女の様に角を持つ者は『忌み子』と呼ばれ、蔑みの対象となっていた。場合によっては、産まれてすぐに地下深くに幽閉された事もあるという。

これはかつて狭間の地を総べていた『永遠の女王マリカ』と角を持つ種族『角人』の間に『ちょっと色々』あった事が原因なのだが───今は触れないでおこう。あまり語る気にはなれない。

 

また翼に関しては───角や喉袋、花に針といった人ならぬ諸相も含んで───『坩堝の諸相』と呼ばれ、やはり狭間の地ではあまり良くは見られていなかった特長だ。

 

……まあ、町の風景や文明の発達具合を見るに、この地は狭間の地とは文化や習慣が大きく異なるのだろう。

そう考え、あなたは余り深くは考えない様にした。下手に警戒して敵対されても困る。

 

「どうしたの? 私の顔に何か付いてる?」

「……いや、何も」

「……そう。所で、入学式、そろそろ移動した方が良いんじゃないかしら?」

「……そうか。分かった、そろそろ行こうか」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「えー、諸君らの新しい一年の始まりにあたり……あー、『文筆頻々、然る後君子』という言葉を紹介します。これの意味はと言いますと───」

「「「……」」」

 

現在、あなた達は万魔殿(パンデオニウム・ソサエティ)というこの学園の行政組織の長だという人物の話を聞いている。……ここまで長い話を聞くのは、いつかのユミル卿による魔術の講義以来だったか。

……所で学園の行政組織とは一体どういう事だろう。

学園とは何かを学ぶ事であり、行政組織とはローデイルの様な王都などに置かれるべき組織である事は自分も知るところだが………。

 

「……長いな。さっさと終わらんかね」

「……ちょっと、今は話の途中よ」

「しかしねぇ……ここまで長いともう飽きてくるっつーか……。それにほら、周りを見ろよ」

 

前列に座っていた少女に言われ、あなたは周囲を見回した。

講堂に集まったほぼ全員が、全く話を聞いていない。

ある者は謎の薄い板を操作し、ある者は友人らしき隣人と会話をして、ある者は目を閉じている。

まともに話を聞いているのは、空崎やあなたを初めとする極一部のみである。

 

ちなみにあなたがしっかり話を聞いているのは少しでもこの地の情報を得る為である。

一聞して価値のない様に思える会話でも、不意に重要な情報を相手がこぼす事もあるのを、あなたは知っている。

 

……ちなみに今の所の情報の収穫は殆ど0だ。

 

「入学式からこの騒がしさ。うーん、ゲヘナしてんねぇ」

「……」

「ゲヘナする……?」

「あ? 知らねぇの?ゲヘナ。ま、そういう事なら教えてやるよ。良いか、ゲヘナってのはな───」

 

彼女が何か重要な事を言いかけたその時、突然少し離れた場所の少女が立ち上がった。……何か妙な形の恐らくは武器らしき物を構えている。

 

「おいテメェ! 万魔殿だか何だか知らねぇが、いつまでつまんねぇ話してんだ! さっさと終わらせろ!」

「───ゲヘナってのはな、『自由と混沌』がキャッチフレーズの素敵な学校なんだぜ!」

 

そう言うや否や、彼女も勢いよく立ち上がり、やはり奇妙な形の武器であろう物を構えた。

 

「……彼女と戦うつもりか?」

「あったり前よぉ! 腕が鳴るぜぇ!」

「……分かった。助太刀しよう」

「助太刀って、あなた何も持っていな───」

 

彼女とは多少の縁がある。ほんの少し言葉を交わしただけだが、それでもあなたにとってはそれで十分だ。己の紙より軽い命を懸ける価値はある。

かくして、あなたは立ち上がり左手に杖を取り───

 

…………待てよ? そういえば祝福もマリカの禊もまだ見つけていないな?

……復活場所は、どうなるのだろうか。

 

杖を取り出す直前、あなたはふと思い至った。自分が死んだらどうなるのかが、分からない事に。

 

一瞬、あなたが考え込んだその時、どこからか凄まじい炸裂音が響いた。

 

「痛ってぇ! う、撃ちやがったな!」

「い、いや、今のは私じゃ……」

 

音のした方向を見れば、細長い筒状の何かを持った少女がいた。恐らく、あれで彼女を攻撃したのだろう。

 

……あれは恐らく遠距離武器だ。発射された物は見えなかったので、飛ばした物が小さかったか、目で追えない程に速かったか、或いはその両方か。

もしかしたら、『夜のつぶて』の様な不可視の魔法による攻撃かも知れない。ほんの僅かに、魔力とも違う何か───強いて言語化するなら、大ルーンやルーンの弧から感じる神秘的な力───をあなたは感じ取っていた。

 

「風紀委員より警告する。無許可で暴れた者には制裁を下す。……そこの貴様らもさっさと座れ」

「……はーい」

「……分かった」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「……話が長かったな」

「それは……まぁ、同感ね……」

 

『入学式』が(あなた基準では)無事に終わって教室に戻ったあなたは───教室に戻った後、万魔殿のメンバーの一人だという少女から授業など諸々の話をされた───空崎から、この地『学園都市キヴォトス』についての説明を聞いていた。

曰く、ここキヴォトスは数千にも及ぶ自治権を持った学園の存在する、学生中心の都市だと言う。ここにはあなたの様な人型の男は居ないらしい。

そして、あなた達の頭上に浮かぶ光輪はヘイローと言い、これのお陰で常人なら死ぬ筈の攻撃を受けても平気で居られるそうだ。

 

……ちなみにあなた達二人以外の生徒は既に帰ってしまった。

 

あなたの頭上には、光輪が浮かんでいる。

もしもこれが彼女の言う『ヘイロー』であれば、きっとあなたの肉体はかつて(生命力:9の時代)とは比べ物にならない程にとても頑丈な物になっている筈だ。

 

「……ねえ、ちょっと良い?」

「何だ?」

 

早速どれ程頑丈になったかを試してみようと適当な短剣を取り出そうとしたあなたは、突然空崎に声をかけられた。

 

「さっき、あなたは助太刀しようとしていたわね?」

「ああ、そうだな」

「……その、どうやって戦おうとしてたの? 銃、持っていないんでしょう?」

「ああ、それか。私の得意分野は魔法だからな。杖を取り出して戦おうとしたが」

「……えっ?」

 

あなたの発言に、空崎は盛大にフリーズした。

 

「……ま、魔法? ……え、魔法?」

 

……何故か空崎はとても困惑しているような表情であなたを見つめている。

 

ちょっと待って欲しい。少し待ってくれないか。

 

恐らく空崎はあなたの先程の発言を何故か信じていない様だ。別にあなたは嘘をついていない。自分以上の魔法の使い手など片手の指で足りるだろう、それ程の実力をあなたは有している。

……まさか、キヴォトスには魔法が存在しないのだろうか。

 

「…………少なくとも、嘘や冗談を言っている様には見えないわね。……じゃあ、このペットボトルになんか魔法をかけて見てちょうだい。 そうしたら信じるわ」

 

そう言うと、空崎は半透明な何かを少し離れた机の上に置いた。どうやら、あれを的に魔法を使えと言うらしい。

 

「……良いだろう」

 

……どうせ見せるのなら、自分が優秀な魔術師である事を証明出来る魔法でも使おうか。あなたは右手に大いなる彼方の杖を取り出した。

 

「今、どこから───?!」

 

「『彗星』───」

 

あなたはいつもの様に杖に魔力を込めて、いつもの様に呪文を唱えて、いつもの様に杖を振りかぶって───

 

「『アズール』!」

 

いつもの様に杖を突き出した。

 

……何も、起こらない。

 

「……?」

 

「……『ほうき星』」

 

何も起こらない。

 

「『渦巻くつぶて』」

 

何も起こらない、嫌な汗が出てきた。

 

「『虫糸の槍』……!」

何も起こらない。

「『輝石の大つぶて』!」

何も起こらない。

「『アステール・メテオ』ッ!」

何も起こらない。

 

「ね、ねぇ、あなた大丈夫───」

 

あなたは魔術や祈祷についてが記された羊皮紙を、片っ端から取り出し、記憶していった。

 

「……『悪神の火』」

何も起こらない。

「レ、『レラーナの双月』」

呪文を唱える声は震えて、

「『アデューラの月の剣』」

早口に、

「『火よ、迸れ』」

そして弱々しく、

「ひ……『火付け』」

消える様に、途切れ途切れで、

「きっ……『輝石の、つぶて』」

それでも、何も起こらない。

 

青雫の聖杯瓶を飲んでも触媒を変えても呪文の詠唱の調子を変えても普段以上の魔力や祈りを込めてもタリスマンを魔法補助の効果の物に変えても何度も何度も杖を振ったり聖印を構えたり呪文や祈りを呟いたりしても───

 

あなたは、彗星アズールやほうき星といった高度な魔術はおろか、輝石のつぶてや火付け、性急な回復といった初歩的な魔術・祈祷すら、使う事ができなかった。

 




ヘイロー

キヴォトスに転移したあなたの、頭上に浮かぶ光輪
白い色のシンプルな円環の見た目

永続的に防御力・カット率・筋力・技量・神秘・持久力を大幅に高め、ガード時のスタミナ減少を大きく抑える上にある程度の強靭を得られるが、タリスマンの装備枠が一つ減り、魔法の類が使えなくなる
また、ヘイローの効果でステータスが上昇しても、状態異常への耐性は上昇しない






……という事で、星見くんにヘイローが生えてきました。ステータスや防御力諸々が屈強になりましたが、タリスマンの装備枠が減って魔法が使えなくなった様ですね。今作ではヘイロー(つまりキヴォトスの神秘)を持つ者は狭間の地及び影の地産の神秘(つまり魔法とか)を使えない事にします。(戦技は問題なく使えます)

……セリカが雷の槍とか使ってただろって?
あれはキヴォトスに転移した星見くんが彼女に祈祷の使い方を教える事で、狭間産の神秘がキヴォトスナイズされてヘイロー持ちのセリカでも祈祷が使えるようになったという事です。
つまりセレン師匠やトープス師匠、コリン、ミリエルといった狭間の地の魔法の師がキヴォトスに来れば主人公はまた魔法を使える様になります。
……まあほぼ全員死んでたり身動きが取れなくなってるので無理なんですけどね。

それにそれ以外にも方法はあります。
キヴォトスの神秘の影響で魔法が使えないなら、それを狭間の地の神秘で塗りつぶせば良いのです。
狭間の地に存在する、圧倒的な大神秘の片鱗……そう、大ルーンの力ですね。まあつまりそういう事です。

……それでは皆様、良いお年を。




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