それと今回から試験的に地の文を変えます。
何かご意見などあれば、感想欄にてお願い致します。
「おかえり、良いのは買えた?」
と、半ば追い出されるように退店した私は、外で待機していた空崎に尋ねられた。
だが残念な事に、私は彼女の問に答えられない。なぜなら銃という武器に関する知識が無いのでこれが良い銃なのかが分からないからだ。
「……見せてみて」
空崎に言われ、私は彼女に銃を手渡した。彼女はそれをあちこち弄り回して、銃の性能のチェックを始めた。
「……まあ、平均的な性能の銃ね。お釣りは?」
「いや、無い」
「そう。……五千円のハンドガンにしては、ちょっと安っぽい作りな気が……?」
「何か言ったか?」
「…別に……」
空崎の調べによれば、先程四千円で購入した銃は『平均的な性能』らしい。
平均的な性能の武器。何と素晴らしい武器だろうか。狭間の地において、『平均的な武器』というのはつまり『強い武器』という事だった。平均的な武器の代表格、ロングソードにはかつて随分と世話になったものだ。
ただ一つ問題がある。それは、この武器の使い方を全く知らないという事だ。
狭間の地で手に入れた武器は、大抵そのまま振り回すか魔力を込める事で使用する事が出来たが、残念な事に銃とは遠隔武器であり、断じて振り回して使う物では無い上に魔力を込めても何も起こらない。
よって、私はこの武器を使う事が出来ないのである。
「……使い方が分からない? 店員さんに教わらなかったの? ま、それなら私が教えてあげるわ。まずは……───」
「───……あっ。そう言えば弾は買えてないわよね?」
二人に購入した銃の使い方を教わり、銃の使い方を知った後、思い出したかの様に深良は私に問いかけた。銃弾なら確か『ワンマガジン』分サービスされた筈だったが。
「そう。それなら良かったわ。……練習の為に、近くの射撃場にでも行く?」
「次の角を右に行って、その次は───」
空崎に先導され、私達は『射撃場』なる施設へと移動している。その道中───
「……悪いな、散々金を払わせてしまって」
「別に良いわ。使うあても無いし、溜まっていく一方だから」
「……オイ、聞いたかお前ら」
「「……?」」
突然、横から声を掛けられた。見れば、自分達と同じくゲヘナの制服を身に纏った生徒達が、何やらにやけた顔でこちらを見ている。
「……何?」
「へへっ、てめぇら、ゲヘナの新入生だろ?」
「……それが何か?」
「入学式ん時言われなかったかぁ? 『一年生は上級生に出会ったら持っている金を全部差し出さなくてはなりません』ってな! ギャハハハハ!」
「……そんな事を言われた記憶は無いのだが」
「奇遇ね、私もよ」
「……クソッ、こうなりゃ実力行使だ、コイツらからも金を巻き上げて夕飯みんなで寿司屋行くぞ!」
「「「おぉー!!!」」」
「オデ……マワラナイスシヤ……イグ……」
「そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!!!!!」
「っ星見くん、来るわよ!」
「分かった」
かくして、戦闘の幕が切って落とされた。空崎は彼女の身の丈程の大きさの黒い銃*1を構えた。
「……覚悟して」
彼女の銃の連射に、早速一人の生徒が倒れた。
「……ねぇ星見君、貴方魔法使いだったんでしょう? ……今、ちゃんと戦える?」
と、銃を構えつつ空崎は心配するような声色で私に問いかけた。
「問題ない。
「……そう、分かった。私はこっちを抑えるから、貴方はそっちから来る人達をお願い!」
「了解した」
空崎に言われ、私は増援らしき三人組に向かい合った。既に何度も被弾しているが、ヘイローの効果か余り痛くない。先程教わった通りに右手で射撃し、8発の弾丸全てが一人に命中。見事敵を倒した。
残念ながら、これ以上の銃弾の持ち合わせは無い。よって、これにてこの戦闘での銃の出番は終了である。
「……おい、アイツリロードする様子が無いぞ!」
「きっと弾切れだ、取り押さえて人質にしちまおうぜ!」
と、何かを決めたらしい二人組の片割れが、こちらに向かって突進して来た。残りの一人はその場に留まり遠くから援護する事にしたらしく、私に銃を乱射してきた。
銃は正直な所余りダメージになっていないので無視する事にしたあなたは、ひとまず突進を左に転がり回避した。
「避けんな、このッ───」
突進を躱された敵は、そのまま掴みかかって来た。私を掴もうとするその手をバックステップで躱し、隙をついて右脚を軸にした後ろ回し蹴りで反撃。
「うげっ!?」
「ッ───」
反撃に怯んだ隙を更について、空いていた左手の甲で顔面の辺りを殴りつける。
ある人物が使っていた物を見て学んだ、『落葉格闘』及び『ダン流蹴術』という徒手空拳による攻撃だ。
鍛え抜かれたこの拳は、鎧を着た騎士や狭間の地を跋扈する魑魅魍魎の化け物共、更には硬い鱗を纏った古竜やあの伝説の戦士『ホーラ・ルー』を殴り殺す事に成功している。*2そんな拳の一撃を顔面に受けた彼女は派手に吹っ飛び、建物の壁に激しく激突してぐったりと動かなくなってしまった。
……何か妙だ。やけに拳に力が入る。自分の筋力ではここまでの威力は出せない筈だが。
だがこの感覚に覚えはある。タリスマンや大ルーンの効果などにより、一時的に筋力が上昇している時の感覚だ。
どれ程上昇しているのか正確な数値は分からないが、それでもこの力の入りようから考えて相当な恩恵が私の肉体に宿っている様子だ。
……であれば、今この場で検証してみようか。相手の攻撃が致命傷足り得ない、今。
無数の弾丸に晒されつつ、私は狭間で最も重い武器である特大武器、『巨人砕き』を取り出した。
遥か昔の巨人戦争で使われた、岩の大槌。これを片手で振るう事が出来れば、これまでに入手した全ての武器が扱えると言っても過言では無いだろう。
という訳で、適当な敵を狙い殴りつけてみよう。
「……いや待てちょっと待て待ってくれそんなバカデカいハンマーお前どっから出したお前待て待て待て待てっつってんだろなぁ頼むやめ痛っ……くないな。……何だそれ、発泡スチロール製か?」
「あれぇー、もしかして君、そんな見かけ倒しのよわよわ武器で私たちを倒そうと思ってたのぉ〜? ざぁ〜こ♡ざぁ〜こ♡くそざコ゜ッ」
残念な事に、この武器を振るうには片手のみでは筋力不足だった様だ。
だが両手では十全に使えた。という事は、私の現在の筋力は大体40は超えているという事。
つまり、王家のグレートソードや黄金ハルバードなど、片手での運用を諦めていた数々の武器を片手持ち出来る様になったという事。魔法は使えなくなってしまったが、これは思わぬ収穫だ。これなら魔法が使えなくても問題はある。かなりある。凄くある。
魔法が使えなくなったという事は、つまり祈祷が使えなくなったという事。狭間の地に伝わる祈祷は強い。それはもう物凄く強い。
自らに蓄積した毒や腐敗を癒す『火の癒しよ』に少しの間攻撃力を高める『火よ、力を!』、巨大な敵に対して覿面の効果を発揮する『蟲糸』『蟲糸の槍』、自らの負傷を一定時間徐々に癒し続ける『黄金樹の恵み』、そして何よりも『黄金樹に誓って』───
この辺りが使えなくなったのが本当に辛い。
一応『黄金樹に誓って』は戦技やアイテムで代用が効くが、どちらも効果量・効果時間共に劣る上にアイテムに至っては数に限りがある。よって戦技に頼るほか無いが、そうすると持てる武器が減る。
筋力が上昇して使える武器が増えたと言うのに、これでは本末転倒だ。
それに私のメインウェポンはあくまでも魔術や祈祷。近接戦闘は当然ある程度こなせるが、どうしても魔術や祈祷を用いた戦闘よりはどうしても実力が数段劣る。
……そんな事を思案しつつ、私は巨人砕きで周囲の敵を殲滅していった。
一応、止めは刺していない。
先程の店主との会話が、妙に耳にこびりついているからだ。
「やっ、やめてくrグハァッ!」
最後に立っていた敵を叩き潰し、私は深良や空崎の居る方向に目を向けた。二人が戦闘中なら加勢してやろう、という考えの下である。
「……」
喜ばしい事に、空崎は既に戦闘を終えていた様だ。そして、何故か私の方を妙な目つきで見つめている。
「魔法使い……えっ、魔法使い? 体術と巨大なハンマーで戦う、魔法使い? えっ、魔法使い? ???」
「……?」
何故だろうか。彼女の背後に宇宙を感じる。
「……えっと……その、今日はもう帰りましょう? 初日から色々あったし、明日からの授業に備えて色々準備しなくちゃ。復習に予習……はぁ、面倒くさい……星見くんも、帰って予習しておいた方が良いわ。……まあ、初日だし大した事はやらないと思うけど……」
「……ああ」
……そういえば、ゲヘナ学園とは一体何を学ぶ事が出来る学園なのだろうか。レアルカリアの様に魔術を学べる訳では無いだろう。もしも学べるとしたらとても嬉しいが、残念ながら今の私に魔術は使えない。習得した魔術を使えない悲しみと絶望と恨みで発狂不可避である。
それ以外となると……歴史、文学、あるいは……星にまつわる分野だろうか?この分野ならばかなりの自信があるが。
そういえば自宅に置いてあった『教科書』なる本には歴史がどうこうやら生物の構造がどうこうやら書いてあった様な気がする。
まあ、今は一旦帰宅しよう。
という訳で今回はここまで。
読んで下さりありがとうございました。
次回の投稿は多分4月1日になります。また変なのを書いて投稿すると思います。
それと今後の展開にまつわるアンケートを実施します。ご協力お願い致します。
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