Tarnished Archive   作:助動詞

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お久しぶりです、助動詞です。
皆様に謝罪しなければなりません。前回まで居た本作のオリキャラの存在を無かった事にします。
今回、なぜエタっ……こんなに更新が遅れていたのか、ですが、単刀直入に申し上げますと、オリキャラの扱いに困ってました。ノリで出すもんじゃ無いですね。マジで無理なんです、あいつをこのまま登場させて続きを書くのが。
ですので、大変申し訳ないのですが、前回までのお話含めて、彼女の存在を無かったことにして書き直します。
書き直しました。



角待ちはエルデンリングの十八番


注意

今回、大変閲覧注意な内容が含まれます。グロテスクな描写が苦手な方、お食事中の方は、十分にお気を付け下さい。

 


 

 

 

例の実験から約一ヶ月後。

 

人気(ひとけ)のない廊下を、私は一人で歩いている。というのも、次の『理科』という授業がいつもの教室ではなく理科室で行われるからだ。

しかしながら、一つ重大な問題がある。

 

───そう。なんと私はその『理科室』の場所が分からないのだ。

 

こんな時に空崎が居れば良かったのだが、生憎彼女は委員会の先輩に呼び出されておりここには居ない。と言っても、次の授業までには用事が済むらしいのだが。

 

しかし何故、こんなにも廊下に人気(ひとけ)が無いのだろうか。

今は休み時間だ。授業中では無いので、いつもならもっと大勢の生徒で廊下が賑わっているはず。何かあったのだろうか。これでは誰かに目的地の場所を聞くことが出来ないではないか。

……そう言えば、ここ最近一部の生徒から凄く怯えた様な……なにか化け物でも見るような目つきで見られる事があるのだが、それはこの件と何か関係があるのだろうか。

 

 

しばらく歩き回っていると、幸運な事に一人の少女が曲がり角から姿を現した。良かった、彼女に理科室の場所を聞いてしまおう。

 

 

「……すまない、少し良いか? 道を尋ねたいのだが」

「はい、どうしましうわあああああああああっ!? 誰かーーーーっ!タスケテーーーーーーーーッ!!?!!誰かーーーーーーーーーーっ!!!!!!

 

 

耳をつんざく大音量の叫び声を上げながら、彼女は物凄い速さで一目散に逃げ出してしまった。

その叫び声を聞きつけたのか、見覚えのある姿の少女───空崎が駆けつけてきた。用事はもう済んだのだろうか。

 

「どっ、どうしたの!?大丈夫!? ……って、星見くん? 何かあったの?」

「いや……道を聞こうと声を掛けたら、叫び声を上げながら逃げられたんだ。……そっちの用事はもう済んだのか?」

「……ええ」

 

そんな会話をしていると、遠くの方から声が聞こえてきた。

 

「たたたたたタスケテーーーッ!」

「お、おい!大丈夫か、何があった?!」

「あっ、ああああああっちの廊下に例のあたまのおかしい風紀委員がががががが」

「何ぃ?! 聞いたなお前たち!逃げろ!ここ最近何かやらかした頭ゲヘナなバカタレどもは今すぐに全力で向こうの廊下から逃げ出すんだ!!!」

「「「了解!!!」」」

 

 

「……ねぇ、最近何かあったの? ……あなた、明らかに怯えられてない?」

「いや……別に何も。強いて言うなら、……『壺』の作り方と『劫罰』の仔細な説明をした事位か」

「つ、壺……? 劫罰……?」

 

そう。この現象に心当たりが無い訳ではない。数日前の事だった。……が、その件の説明をするにはまず数週間前の出来事を語る必要がある。

あれは遡ること数週間前───

 

 

 

 

 

 


 

───数週間前───

 

 

 

「おはよう、星見くん」

「ああ、空崎か。おはよう」

 

件の実験を終えたあなた達は、朝の教室で授業の準備をしていた。

 

「……少し、良い?」

「何だ?」

 

と、突然空崎から声をかけられた。何か用事だろうか。

 

「星見くんは、もう入る部活や委員会は決めた?」

「いや……まだだ」

 

何かと思えば、その件か。

 

このゲヘナ───というよりも、ここキヴォトスに存在する殆どの学校には部活動や委員会というものがあるらしい。そこに所属して、何らかの活動を行うらしいのだが……私はまだ、どの部活動に所属するのかを決めていないのである。

曰く、これは完全に自分のやりたい事や趣味で決めて良い───というよりも、むしろそうするべき───らしいのだが、魔法が使えない以上、自分の趣味なんてものは天体観測位しか思い当たる節が無い。そしてこのゲヘナ学園には天体観測を行う『天文部』が存在しないのである。

 

「……ああ、なるほど。それは残念ね」

「全くだ。……そう言う空崎はもう決まったのか?」

「ええ。風紀委員会の情報部に入ろうと思っているわ」

 

風紀委員会の情報部と言えば、確か他校の情報を秘密裏に収集する組織……だっただろうか? この辺りは余り詳しくないのでもしかしたら間違っているかも知れないが。

まあ、少なくとも私がこの情報部に所属する事は無いだろう。秘密裏に情報を手に入れる事は出来そうにない。

立ち塞がる全てを破壊して情報を持ち帰る事なら出来なくもないかも知れないが。

 

……だが、情報部以外の風紀委員会の部門に入るのは悪くないかも知れない。風紀委員の主な仕事はここゲヘナの治安を乱す不良生徒の鎮圧、つまり戦闘だ。私に出来る事はそれしか無い。

 

「そうか……。今考えたのだが、私も風紀委員会に入ろうと思う」

「そう、あなたも入るの? それは良かった」

「……良かった? 何が良いんだ」

「……ほら。私、あなた位しか知り合いが居ないから……」

「……そう言う事か。奇遇だな、私もそうだ」

「……そうなの? まあ、そう言う事なら───部門は違うけれど、これからよろしく。星見くん」

「ああ。こちらこそ」

 

 

 

かくして、私と空崎は共に風紀委員会に所属する事になった。

 

 


 

───数日前───

 

 

 

『例によって例のごとく、いつものように不良生徒が俺の自宅を吹っ飛ばしたからとっちめて欲しい』

 

……それが、私が風紀委員として初めて受けた仕事だった。

犯人は一人。対して我々風紀委員会の戦力は自分含めて十五人。負ける筈が無かった。実際負けなかった。

尚、戦闘の内容は諸事情により省略する。囲んで撃ってそれで終わり、とだけ言っておこう。

 

……それで、その犯人の護送と収監を私が請け負う事になった。何故私一人でやる事になったのかは諸事情により省略する。先輩は『お前が一番何もしてなくて云々』などと言っていたが諸事情により理由は省略する。知らない事が良い事もある。これはその一つだ。

 

「……少しは反省する事だな」

「いや、アタシを捕まえるのに一番貢献してなかったって理由でこの作業やってる奴に言われても」

 

……。

 

「ねえねえ今どんな気持ち? 多分お前が撃った弾一発も当たってなかったけどどんな気持ち? ねえねえ今までの訓練とか真面目にやってたの新入りくん?」

「……黙ってくれ。私としては貴様を痛めつけて黙らせてやっても良いんだぞ」

「え! それって私の事脅してるつもりなんですか! あの場で一番のザコだったお前が私に『貴様を痛めつけてやっても良いんだぞ』って脅してるんですか! ぜんっぜん怖くねー! マジでウケる! やってみろよ、痛めつけて見ろよほら!」

 

自ら痛みを欲するとは、まさか彼女は『どえむ』というやつなのだろうか。

 

「……そうか。そこまで言うなら……やってやろう。方法は二通り思いついた。『劫罰』と『壺』、どちらが良い。説明が欲しいなら言え」

 

意地の悪い、にやにやとした笑みを浮かべる彼女に、私はそう言った。

 

「ご、ごうばつ?つぼ? 内容が掴めないんだけど何それ? 『ごうばつ』の方から説明してくれ」

「分かった。『劫罰』には───この大剣を使う」

 

そう言いながら、私は劫罰の大剣を取り出した。幾本もの逆棘が、ゆるりと巻き付いた黄色い大剣だ。

 

「えっなにそれは」

「『劫罰の大剣』だ。まずこれで身体を脳天から貫く」

「すごいシンプルな処刑じゃん。『まず』って何その後にまだ何かあんの?」

「貫いた後にこの棘をこの様に───展開する」

「あの、絵面がとてもグロいっていうか貫いた時点で死ぬよね?」

「耐えろ」

「無理……ってかアレじゃん! 私キヴォトス人だから剣なんて身体に刺さんないじゃん! 残念でしたー!(あっぶねぇー!私キヴォトス人で良かったー!)」

 

……言われてみれば確かにそうだ。

 

ならばこちらはどうだろう。

 

「……ならば『壺』はどうだ」

「……『つぼ』? まさか主に陶器でできてる、物を入れるあの『壺』の事?」

「その壺だ」

「……ははっ、あっははははははは! お前マジで言ってる? そんなんでどうやって人を罰するんだよ! いいぜ、その罰受けてやるよ! ちなみにどんな罰? 壺の中に入れられんの?」

「…………まあ、そんな所だ。まず、罪を犯した人間の肉体を巨大な包丁で切り刻む」

「えっ?」

「次に、予め攫っておいた巫子を特別な鞭で痛めつける」

「えっ?」

「その鞭は雑菌に塗れた不潔な歯がびっしり並んでいて……やがて傷口が膿み爛れ、『他の肉』と良く馴染む様になる」

「えっ?」

「最後に、その巫子と刻んだ罪人を壺の中に入れれば……完成だ」

「………………ハハハ、良くできたフィクションダナ」

 

ところがどっこい、これは紛れもない実話だ。罪人を『善き人』に更生させるべく、ボニの村で行われていた儀式である。

 

「……で、これが実際の作業に使われていた『ボニの解体包丁』と『歯の鞭』だ」

「おっとこれ多分実話だわ怖っわキッショグッロ」

 

妙なうめき声を上げた彼女は、凄まじい勢いで私からできる限り距離をとった。

そんな彼女の足元に、私はあるものを投げつける。床に落ちたそれは、べちゃり、という音を立てた。

 

「……あの、……なに、この肉」

 

今にも泣き出しそうな彼女に、私は笑顔で言い放った。

 

「それは、『壺の中身』だ。感じるだろう? 鞭打たれ、切り刻まれ、壺に詰め込まれた彼らの絶望を。今なお肉にこびり付く、怨念を。……『その罰、受けてやるよ』……と、言っていたな?」

 

「いやあああああああああああごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!もう二度と悪いことしませんから!もう二度とこんなことしませんから!お願いしますっ、お願いしますどうか……!」

 

「……よく考えたらヘイローのせいで貴様の身体はこの包丁では刻めなかったな、ハッハッハッ……」

「いやーーーーっ!怖いよーーーーっ!タスケテーーーーッ!!!誰かーーーーーーーーっ!!!!!」

 

 


 

 

……という事があった訳だ。

そして後で知った事なのだが、どうやらこの件が当時牢獄に囚われていた彼女から広まったらしく、現在私について『奴に捕まるとこの世に生まれたことを後悔する様な凄惨な拷問を受ける』だの『散々鞭でしばかれた後、身体を刻まれて壺に詰め込まれる』だの『百鬼夜行から巫女さんを攫って鞭で痛めつけようとしてるド変態』だの、根も葉もない噂が流れているらしい。

 

この噂のお陰で、ゲヘナで我々風紀委員のお世話になる様な真似をしでかす不良生徒は大きく数を減らした訳だ。

かくして、風紀委員会の仕事はかなり減り、少しだけ暇になった。

 

 

───この壺の一件が少し厄介な形で空崎に知られ、後に彼女から叱責される事を、この時の私はまだ知らなかった───

 

 







という事で今回はここまで。
読んで下さりありがとうございました。

次回、褪せ人、人生初の夏休み 〜ビナー戦を添えて〜(予定)


Q.なんで百鬼夜行が出てくんの?

A.話を聞かされた人が、
『巫子を攫う→ミコを攫う→巫女を攫う→キヴォトスで巫女がいそうなのは百鬼夜行くらいじゃね?→百鬼夜行から巫女を攫おうとしてるんだ!』
って感じの連想ゲーム的な勘違いをした結果です。

今後の展開について

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