Tarnished Archive   作:助動詞

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『……621、手に入れたハーメルンのアカウントの情報を伝える』

識別名『助動詞』
投稿作品数:2

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……いやあの本当にすみませんでした。


『ビナー』その2 

 

───ep.1 百合園さんと変な夢───

 

 

「う あ あ あ あ あ あ あ あ っ!?」

 

叫び声と共に飛び起きた。

寝汗で寝巻きとベッドのシーツがべっちょりしていて不快だ。

 

だがそんな不快感は今はどうでも良い。

 

化け物みたいな見た目の少年に『きさまーっ!』と叫びながら突撃する自分、それがあの夢で見た最後の光景だった。

 

近ごろ───高校生になり、トリニティに入学して頭上にヘイローが顕れてから、妙な夢を見る様になった。例えば、知っている人物が転んで怪我をする夢、クラスメイトが忘れ物をする夢、店が爆発する夢。

 

そしてそれらの夢は───例外なく、正夢となった。

 

自分はどういう訳か、予知夢を見る様になってしまった。

そんな現実味に欠けた現実が、突然私に襲いかかった。

 

もしも、『神様』とやらが───この世の『運命』とやらを操っている者が居るとすれば。勘弁してくれ、と。そう、文句を言ってやりたい。ただでさえ私は身体が弱い方なのだ。こんなものまで持たされては困る。ただでさえベッドから起き上がるのが辛い身体だったのに、その上ろくに眠れない身体にされてしまった。

 

教室へ向かうのさえ辛い。毎日、体を引きずる様にして歩いている。……幸いな事に、今は夏休みで学校は無いのだが。

級友はそんな私を心配してくれていた。或いは、心配する素振りで腹の中で黒い笑みを浮かべているのか。

 

───そんな事はどうでもいい。あの、黄色い火の前では。

 

あれは『いけない物』だと、私は直感していた。

理屈ではない。感じたのだ。

嬉しさ。悲しさ。怒り。悲しみ。希望も、絶望も。

あの黄色い炎からは、それらの全部を感じた。

 

───そんな物が、果たしてまともな物であろうか。

 

否。否である。

 

あの炎は、総てを灼き溶かしていたのだろう。だから、……あんなにも、悍ましかった。

 

そしてそんな炎が、三年以内にキヴォトスに放たれる。

あの、謎の男子生徒の手によって。

 

であれば、己は彼を止めなければならない。例え視た未来が不変のものであったとしても、未来を知るものとして、精一杯足掻かなければならない。

きっと、私にはその義務がある。

 

───幸いな事に、下手人は恐らくゲヘナ学園所属の男子生徒だった。あの場に居た生徒たちは皆、トリニティかゲヘナの制服を身にまとっていたので予測はつく。すぐに身元が割れるだろう。運が悪ければ、彼の入学は来年か再来年になってしまうが。

 

とにかく、できるだけ早く『彼』を見つけ出さなければ。そして、なんとかあの黄色い火について、使用の阻止───が叶わずとも、せめて何なのかを聞き出さなければならない。

 

「……話の通じる相手であれば良いのだがね」

 

私は、小さくそう呟いた。

 

 

 

 

 


 

 

───ep.2 空崎さんとラブ(?)レター───

 

 

 

「……ねえ、天……アコ」

「はい? 何でしょう、ヒナさん」

 

ゲヘナ風紀委員会、情報部の執務室。

机に向かう二人の少女の間には、喜色と哀愁の混ざり合った、奇妙な空気が漂っていた。

 

「貴女って、風紀委員会だっけ?」

「ああ、転入したんですよ」

「そう。……遊園地、楽しかったわね」

「はい、そうですね♪ 来年もまた行きましょう!」

「…………来年になったら、星見くんも来てくれるかしら?」

 

……そう。 なんとあのあほあほ祝福褪せ野郎こと星見少年、二週間にわたるモモトーク・未読スルーをキメやがったのだ。脳みそ褪せてんのかあいつ?

 

信じられるだろうか? 半月に渡ってモモトークに返事やスタンプどころか既読すらつけねーアホの存在を。

想像できるだろうか? 友人関係が一方通行の片思いだったと判明した当時のヒナの悲しみを。

 

エグいなんてものじゃない。

 

「オラァァァァ!!!」

 

と、そこへ大きな声を出しながら誰かが慌ただしく駆け寄って来る様な足音が。

 

「……? この声は風紀委員長の……? 何かあったんでしょうか?」

「……さあ、私は特に何も聞いてないけど」

 

次の瞬間、扉は蹴り破られ───

 

オラーーーッ! 星見のバカはどこだーーーーッ!!!!!

 

前代未聞の大きな声で、風紀委員長はそう叫んだ。

 

 


 

 

えぇーーーーーーーーーーーーーーっ!? 星見さんにラブレター?!?!

「いやそうなんよ。ラッブラブのレターよ(?)。ほら二人とも見てみ?」

 

委員長が机の上に置いたそれを、二人は覗き込んだ。

尚、ナチュラルに他人宛の手紙を勝手に読んでいるが、ここはゲヘナである。何も問題は無い。イイネ?*1

 

「なるほど、『百合園セイア』さんからのお手紙ですね。内容を要約すると、D.Uシラトリ区の喫茶店に、一人で来る様にとの事ですが」

「ああ。これは、デートのお誘いという事で間違いないだろう」

 

などと、委員長は神妙な顔でそう(のたま)った。

しかしながら、今話の前半千文字くらいまでを読んでくださった粉骨砕身、眉目秀麗、仙姿玉質にして頭脳明晰な読者の皆様方はお察しの通り、手紙の送り主である百合園セイアは予知夢で見た星見少年のキチゲ解放狂い火解放をなんとかしたいだけであり、決してデートだなんだと浮かれぽんちなお話では無い訳である。

 

「で、だ。デートの様子は遠巻きに見物させて貰うとして───」

 

そんな事は知らぬ浮かれぽんちこと風紀委員長が、再び口を開いた。

 

「───あの羨ましいけしからん野郎、今どこにいんの? あいつ学校でも見かけないし家にも居ないし電話にもでんわってかwww」

「……そうなんですか? 実はこちらからもモモトークで連絡が取れなくて」

「……二週間……未読スルー……二週間……既読すら……うぅっ……」

「私のダジャレも未読スルーしないで? ……しかし不思議だねぇ、ここまで連絡が付かないなんて。もっかい電話掛けてみる?」

 

という事で、ヒナがもう一度電話をかけてみる事になったのだが───

 

『私に連絡を下さるとは……感激だ……♡』

「やった! 星見君、電話に出てくれ…待って、様子がおかしい」

 

狂い火を使うまでも無く、彼は狂っちまっていた。

 

『……ッ! すまない、妙な言葉を口走った。こちらは星見だ。何か用か? 空崎』

「……そうね、ちょっとお時間頂ける? 聞き出したい、事が、色々、あるの」

『別に構わないが……どうした? 凄まじい圧力が……待ってくれ、この着信履歴は───!? すまない! す、少し事情が』「そう。直接、会って、話しましょう。色々、用意しておくから」

『───!?』

 

電話口で、彼は確かに息を呑んだ。

 

空崎さんはちょっとお冠だった。

 

 

 

 

 


 

 

───ep.3 元ネタ分かるかな?───

 

 

 

私がその時ゲヘナ学園自治区に居たのは、全くの偶然だった。

 

というのも、頭の中で妙な幻聴が聞こえ始めたのである。

 

これは当時の状況なのだが───

 

「クソッ、被弾した───! ここは回復を……いや、一先ず回避に専念しt『迷えば、敗れる』何だこの幻聴グワーッ!?」

 

 

 

 

 

YOWAI

 

 

 

 

 

「ミサイルは空中で回避、その為には───『坩堝の諸相・翼』!」『見せて貰いましょうか。作り物の翼で、どこまで飛べるか』「何だこの幻聴グワーッ!?」

 

 

死んでしまった!

 

作り物の翼では羽ばたけないでしょう(笑)

スコア:465

 

リスポーン

タイトルに戻る

 

 

 

 

 

「クソッ、どうすれば……一体何をやれば、ビナーを倒せるんだ……!?」『悠久を思うと良い』『焼き芋、食べる?』『興味あるなら、連絡してちょうだい』『さあ、やってみよ』『あなた達は通れないよ』『補給品を受け取ってください!』「何だこの幻聴達はグワーッ!?」

 

 

DEFEAT

戦闘時間 4:00

 

 OK 

 

 

 

……何度か、いい線は行った。恐らくはそこそこ奴を追い詰める事に成功したのだろう。しかしながら───

 

 

 

  █████████ 

    ████████ 

    ███████████ 

 

⚓︎ 古雷の槍   

 黄金樹に誓って 

     

            静観の理解者、ビナー 

           ████████████████████████

緋雫の聖杯瓶

  0
 

 

 

 

 

───そう。奴はまだ奥の手(第二形態)を隠していたのである。

 

雷の力を宿した槍である『グランサクスの槍』、そしてその戦技による遠距離狙撃で奴を的確に削れてはいたのだが、しかし本気を出した奴が口から吐き出した熱線により、私は───

 

 

 

 

 

 

Ⓐ こんなん勝てるかボケが

 

 

あなたは静観の理解者『ビナー』の攻撃をかわした。どこかで何かは干からびかけた。「ひいん」

静観の理解者『ビナー』を突き刺してかすり傷をつけた。

あなたは『グランサクスの雷』を誇らしげに構えた。静観の理解者『ビナー』は大道の業火を放った。あなたはミンチになった。さようなら……遺言は?

 

 

───私は、為す術も無く灰燼と化した。

 

その後も何度か同程度まで追い詰める事に成功したのだが、何回やっても何回やってもあの熱線が避けれない。

『坩堝の諸相・翼』で上空に逃れても、空中まで熱線の照射が追尾してきて結局焼かれ。

盾を構えて受け止めようとしても盾ごと消し炭になり。

 

私が死んだのは何回だったか……617だったか? 618だったか? ビナーの行動パターンを、何度でもウォッチしてや……

 

まずい、幻聴の後遺症でまた語彙が変になった。

 

……そう。 奴が熱線を使い始めてから、変な幻聴が聞こえ始めたのである。お陰で戦闘に全然集中できない。……ので、幻聴が治まるまで少し精神を休めようしようと思い、こうしてゲヘナ自治区へと戻ってきたのだが。

 

さてどうしようか。空崎がとても怖い。

 

なんと私は、戦闘に熱中する余りに彼女たちからの連絡を二週間にわたって無視してしまっていたのである。

これはまずい。由々しき事態である。

 

さてどうしようか。

 

このまま空崎に会いに行けば、精神的死は避けられない。どうにかして彼女の機嫌を取る必要がある。確か……このような時には菓子折りというのを準備すると良い、と聞いた事がある。それで空崎の機嫌を取る事が出来れば、あるいは。

 

精神を休めるためにゲヘナ自治区に戻ってきたのに、それで更に精神的ダメージを負ってしまっては元も子も───

 

「みーつけた」

 

背後から、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

振り返った。

 

空崎が居た。

 

私は死を悟った。

 

 

 

 

*1
星見にすらその辺の良識はあったのに!(モーン城のイベントの件)

今後の展開について

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