【コミカライズ化決定】引き抜いた聖剣が独占欲剥き出しなヤンデレ彼女面してくる件   作:アスピラント

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皆様お久しぶりです!
この度は諸事情で更新再開する運びになりました!
また読んでくれたら嬉しいです!


謎解きはヤンデレ聖剣と共に

「担い手アレックス、少し良いか」

「貴方は……」

「レヴァン、王国の黒き風とは俺のこと。以後……お見知りおきを」

(絶対言わなきゃいけないのかな……)

 

 一癖どころか三癖ぐらいある騎士団員との邂逅を終えた直後、アレックスはオッドアイの厨二病患者――レヴァンに呼び止められる。アレックスはチラリとパーティメンバーに目配せすると、ローズが「大丈夫っす、先にこの2人と集会所の酒場に行って話し合いするっす」と言った。

 つくづく察しのいい仲間だ、アレックスは感心しながらもレヴァンの誘いを引き受けた。

 

「ちゃんと自己紹介が出来ず……申し訳ない。俺はこう見えてかなり……伝説の英雄や聖剣様の話、語り継げられる神話を研究している」

「ああ……大丈夫です、大好物なんだろーなって気はしました」

 

 だってこっちをバッキバキな目で見てきた時点で――という言葉は引っ込めた。何か指摘するとそれはそれで面倒な気がしたからだ。

 

「そんな貴方に……俺はある重大なお願いがあって呼び止めさせてもらった」

「!」

 

 しかし空気が一変する。

 腐っても彼はルカから信頼された身、こんな真剣な感じに来られたらアレックスも真面目な雰囲気にならざるを得ない。

 

「お願いとは……」

「少し人気のない場所でもいいか?」

「はい」

 

 一体何だろうか。

 人気のない場所を指定してきた辺り、かなり重要な話だと思ったアレックスは自然と背筋がピンとなる。

 

(重要な事って……何だろ)

『さぁ……』

 

 緊張感を持ったアレックスはそのままレヴァンについていき――

 

「聖剣様にぜひともかつての武勇伝について聞きたく思いまして!!! 俺のようなファ――じゃない、研究者としては世界を救った勇者を、リアルタイムで見届けた貴女の話は歴史的価値が非常に高く――」

「急に何がどうしてこうなった!?」

 

 めちゃくちゃ凄まじい熱量で捲し立てられ、早速ゲンナリしていた。重要なお願いと言っていたが、実際はレヴァンが痛いファン拗らせて聖剣の話を聞きたいだけだった。

 

 しかもツッコミどころはそれだけじゃない。

 

(人気のない場所って……普通にカフェの個室かい……)

 

 個室とは言え、客はちらほらいる。

 多分何人かには聞こえてる。

 恥ずかしいったらありゃしない。

 

『何よ……この人……私のファン?』

(頼むよマルティアナ、君もちょっとはツッコミを……)

『良い心がけね、私と担い手であるアレックスがいかに相性抜群か、騎士団のネットワーク使って広めて頂戴』

(味方いないじゃん、詰んでるよこれ)

 

 更に最悪なのがマルティアナがノリノリなことだ。

 しかも既成事実を作ろうと画策している。

 とんだ聖剣である。

 

「わ、わかりました……でもちゃんと魔獣退治とか、色々進めないといけないのでは?」

「何を言う、この質疑応答こそ魔獣問題解決に繋がるのだ」

 

 とレヴァンは目を光らせながら言う。

 一応考えはあるらしい。

 

「ずばり……担い手の決め手は!?」

『運命が導いたの、そらもうぶっとい赤い糸が導いたわ!』

「魔獣関係ないだろ!!」

 

 考えはなかった、レヴァンは変な人だった。

 堪らず突っ込むアレックスだったが、マルティアナはアレックスの体を乗っ取り、呪詛みたいに愛をぶちまけ始めた。

 

『私とアレックスが結ばれたのは必然!!! 他のメスが入る余地なし!! 最近何か一緒に魔獣倒したからもう絆は深まりすぎたし、アレックスからの熱い感情も伝わってきてる!! もうこれは勝ち確!! 全ての並行世界でも結ばれたも同然なの!!』

「おおお、マルティアナ様の深い愛がすごく伝わってくる!」

(誰か助けてくれぇええ!!!)

 

 マルティアナの感情が爆発し、力が湧き出る。

 それを見たレヴァンは更に捲し立てる。

 

「さぁ! もっと思いをぶちまけてください!」

『望むとこよ!!』

(やめてぇえええ!!)

 

 ――といったような地獄の時間が約10分以上続き……。

 

「――いやぁ流石は聖剣様だ、噂に違わぬ愛深き者だ」

『でしょう?』

「……この世界で一番残酷な拷問だ……」

 

 アレックスはトロルと戦っていた時より疲れ果てていた。

 何の恨みがあってあんな質疑応答をしたのだろうか。

 もうアレックスは実家に帰りたくなっていた。

 

「そして予想通り……聖剣様の力が強まると、この魔石の力も弱まったな」

「ん……?」

 

 するとレヴァンはいきなり紫色の宝石のようなものを取り出す。その淡い輝きにアレックスは魅了されていると、マルティアナが「はっ」と何かに気づく。

 

『懐かしい……闇の魔石ね、かなり古いものだけど……』

「闇の魔石?」

「ああ、そうだ。これは闇の魔石――魔獣化したモンスターの中から取れる特殊な物質だ」

「……いきなりシリアス……?」

 

 ちょっとあまりにもトーンが違いすぎて体調崩してしまいそうだったが、とりあえずアレックスは魔石をよく見る。全体的に禍々しいが、確かに言われてみたら魔獣化トロルの肉体は一部が硬質化していたりと、石が取れそうな見た目はしていた。

 

「この魔石の存在自体はかなり昔から知られている。だが問題は作れる技術を持っているのが、現代ではほとんどいない」

「そうなのか? マルティアナ」

『魔王および彼の側近たちが作っていたわ、だけど製造を最初にしたのは魔王じゃない。私が現役の時の話では結局誰が作ったのかはわからなかったのだけど……』

「マルティアナは製造者が誰がわからないって……」

「そうだ、誰が作ったのかわからないのだよ。この魔石は」

 

 レヴァンは石を机の上に置いた。

 

「だがそんな誰が作ったのかわからない石が魔獣から取れる。最初はまさかそんなバカなと思った。見た目だけは似てる別物――だがさっきの問答を経て、膨れ上がった聖剣の力をこの魔石に浴びせたら、見事に反応を示した。みてみろ」

 

 レヴァンは石の中身を見せつけた。

 

「石の中にある魔力が希釈し、若干白んでいる。浄化された証だ」

「じゃあさっきの問答は魔石が本物か確かめるため……?」

「そうだ」

 

 まさかそんなしっかりとした理由だとは――アレックスはレヴァンの評価を改めると、ガタンとレヴァンは席を立つ。

 

「これでまず確証は得た、今度は見てほしいものがある」

 

  ◇◆◇

 

 一方ローズ達はというと――

 

「魔獣を簡単に倒すとは流石ですね、ローズ先輩」

「ん……? ん、んーそうだなぁ後輩ー……」

「偉く歯切れ悪いね、ローズ」

 

 マリー、カイアスの2人を交えて集会所にて打ち合わせをしていた。内容はざっくり言うと精霊ユピテルスに一体何が起きているのかという状況を共有しようという建前で、親睦を深めるためだった。

 

 何せこのユピテルスを救うという大きな仕事だ。

 普通のクエストとは違って明らかに緊急性は高く、必要とあらば騎士団全員すら出す事態になりかねないもの。

 ただもうすでに普通の会話ではなくなっていた。

 

「あのさ……カイアス? だっけ、アタシらって知り合いだっけ?」

「え? 違いますけど?」

「何それこわ」

 

 お淑やかで凛としたキャラだったレイナはキャラ崩壊レベルのツッコミをかました。ローズは「え」と顔を引き攣らせる。

 

「ローズ先輩は憧れです、同年代の魔法使いではやはり最優秀な魔法使いとして有名ですから」

「え? え、えへへ……いやぁそれほどでも……」

「だから俺は貴女を先輩にしました」

「ちょっと理由になってなくないすか?」

 

 あまりに飛躍した理由だ。

 照れ笑いしたローズはすぐ真顔になった。

 

「これ以上に立派な理由はないですよ、俺はいつか立派な魔法使いになり、より多くの人を救いたい。そんな理想の姿を貴女はその若さで成し遂げてきている」

「ああ……そういう風に段階的に言われたらまだわかるっすよ……うん」

「あと見た目が好きです」

「……ん?」

 

 ちょっと空気が変わった。

 

「その愛くるしい見た目が俺の心にリビドーを齎す」

「君って魔獣?」

「愛の魔獣です」

 

 リリアが刀に手をかけた。

 ローズは杖を構えた。

 

「おい! お前全然アタシの活躍とかで好意持ったわけじゃないな! 近寄るな!」

「大丈夫です! 実害はありません!」

「ねぇレイナ、騎士団員ってこんな変な人でもなれるの?」

「……能力主義だからかもね、うん。多分きっとそう」

 

 何やらえらくやばい奴らと組む羽目になったなとため息を吐きつつ、レイナはマリーにも疑いの眼差しを向ける。するとマリーは至って冷静に首を横に振る。

 

「ご安心を、私は貞淑な腐女子(しゅくじょ)ですので」「ああ……良かった、淑女(しゅくじょ)か……」

 

 残念なことにすれ違いが起きたことに気づかず、レイナは安堵する。

 

「とは言え失礼な態度は申し訳ありません。私たちは何せ……正規の手段で騎士団に入ったわけじゃないのです」

「そうだったの?」

 

 リリアが聞いた。

 

「はい、我々は元々……冒険者だったのですが、色々理由があってやめた立場です」

「!」

 

 マリーはちょっと儚そうに言った。

 

「行き場のない私たちは騎士団として名を馳せるには実力が足りなかった。でも団長は私たちを遊撃部隊という、情報収集の為の部隊を作って引き入れてくれました。ちょっとクセがあるのは……まぁ元が落ちこぼれだからというのもあります」

「そうだったんすね……」

 

 冒険者をドロップアウトするというのはよくある話だ。

 ただ良い理由はあまりない。

 パーティメンバーが亡くなってしまったり、怪我したり、精神を病んだりが多い。だからこそローズは同情の眼差しを向けた。

 

「まぁ理由は少し優しくされたらすぐ好きになるのが厄介だから、とりあえずパーティから追放ねって言われただけだが」

「おい魔獣じゃないっすか!」

 

 台無しである。

 やっぱりちゃんとダメなやつだった。

 

「能力は使えるので、どうかお手柔らかに……」

「は、はぁ……」

 

 レイナは思った。

 この普通そうなマリーもちょっと変な気がしたからだ。

 

「失礼……ちょっと話はずれましたが、話す内容は真面目に行きますよ。まずユピテルス様の遺跡がどうなっているのか……一眼見て分かるようにと、写真を撮りました」

 

 マリーが差し出したのは薄い水晶板だった。魔導具による記録媒体らしく、軽く魔力を流すと、空中に像が投影される。

 

「……これは」

 

 レイナが息を呑む。

 

 映し出されたのは、古代の塔――精霊ユピテルスが眠るとされる遺跡だった。だが、かつて文献で見た神聖で澄んだ姿とは似ても似つかない。

 

 塔の根元から中腹にかけて、黒い霧がまとわりつくように立ち込めている。霧はまるで生き物のように蠢き、周囲の空気すら歪ませていた。そして、その霧の中や塔の周辺を、無数の影が徘徊している。

 

「……小型の魔獣、っすよね」

「ええ。確認できただけでも、この数です」

 

 マリーが淡々と答える。

 

 ゴブリンに似たもの、獣型、昆虫のようなシルエットのもの――統一性はない。しかし一番厄介な点はその数にある。ざっと見ても100体はいるのだ。

 

「うーむ……ちょっと多すぎるっす」

 

 ローズは腕を組み、眉をひそめる。

 

「正直に言うっすよ。アタシらだけじゃ、倒しきれない可能性もあるっす」

「……ですよね」

 

 カイアスも珍しく真面目な表情だ。

 

「その点については想定済みです」

 

 マリーは静かに頷いた。

 

「最悪の場合、騎士団が集結します。団長もその覚悟はしています」

「へぇ……本気中の本気だね」

 

 レイナが肩をすくめる。

 だが、その直後、マリーの表情がわずかに曇った。

 

「……ですが問題はこれだけじゃありません」

「というと?」

 

 リリアが促す。

 

「本来……精霊ユピテルス様の結界は、都市ハイベルズを守るためのものです。外敵を拒み、内部の魔力を安定させる……非常に強力な防御機構です」

 

 マリーは一呼吸置いて、続けた。

 

「現在、その結界が……逆に利用されています」

「利用?」

「結界が塔全体に張られてしまい、中に入れません」

 

 一瞬、沈黙が落ちた。

 

「……だるいやつっすね」

 

 ローズが間の抜けた声を出す。

 

「守るための結界があだになるなんて」

「そうなんです。外部からの侵入を完全に遮断している状態にあるんです。恐らく結界の管理権限が、何者かによってユピテルス様じゃない何者かに譲渡されてるんです」

「黒幕を突き止めなきゃいけないのか……」

「そういうことになりますね」

 

 レイナは額を押さえた。

 

「魔獣が溢れてるのに、元凶に辿り着けないなんてもどかしい……」

「……っ」

 

 マリーはそこで、深く頭を下げた。

 

「だからこそ……お願いがあります」

 

 全員の視線が集まる。

 

「この結界を突破、もしくは解除するための鍵を探す必要があります。そのために、皆さんの力を借りたい」

「鍵って……具体的には?」

「精霊の結界は、力押しではどうにもなりません。必ず仕掛けがあります。遺跡に刻まれた謎、儀式、象徴……それらを読み解く必要がある」

 

 マリーは顔を上げ、真っ直ぐにローズたちを見た。

 

「つまり――謎解きです」

「うわ、急に頭使うやつ来たっす」

 

 ローズは露骨に嫌そうな顔をしたが、すぐに真剣な目に戻る。

 

「でも、やらなきゃ始まらないっすね」

「……ええ」

 

 リリアが短く頷く。

 

「中に入れなければ、ユピテルスも、ハイベルズも救えない」

 

 その言葉に、全員が黙って同意した。

 

「どうか協力してください」

 

 マリーの声は静かだったが、そこには確かな切実さがあった。

 

「わかった、ただ1ついい?」

「何でしょうかリリアさん」

「アレックスと……もう1人の団員は今何してるの?」

 

 とリリアが聞くと、マリーとカイアスは顔を見合わせてから言った。

 

「何でも……レヴァンはちょっと聖剣様にやってほしい事があるみたいでして……」

「……2人きりで大丈夫っすか……それ」

 

 ローズはジト目になった。

 もしレヴァンが変なやつならアレックスの心労が増してるのでは――と。

 

 ◇◆◇

 

「どこまで行くんだろ……」

 

 アレックスは、レヴァンの背中を見失わないように歩いていた。

 

 石畳の通りを抜け、露店の並ぶ広場を横切り、やけに賑やかな方角へと進んでいく。人通りは多く、笑い声や呼び込みの声が飛び交っている。

 

(……騎士団の極秘案件って雰囲気、もう欠片もないな)

 

 そんな疑念が胸に膨らんだところで、アレックスは意を決して口を開いた。

 

「えっと……レヴァンさん」

「どうした、担い手アレックス」

「一体、どこに向かっているんですか?」

 

 率直な疑問だった。

 レヴァンは歩みを止めず、だが声音だけは妙に低く、真剣なものに変えた。

 

「聖剣様の力は、あくまで最終手段だ」

「……は、はぁ」

「力というものはな、担い手。高まれば高まるほど、その影響範囲は指数関数的に広がる。全てを薙ぎ払う力となる反面、制御を誤れば街一つが消し飛ぶ可能性すらある」

 

 やけに重い話が始まった。

 アレックスは思わず背筋を正す。

 

「他の団員は、ユピテルス様の塔へ入るために仕掛けを解く必要があると言っているだろう」

「ええ、謎解きが必要だって……」

 

 一応塔に入れない理由は聞いていたアレックスはすぐに理解した。

 

「だが、その謎そのものが失われている可能性もある」

 

 レヴァンは振り返り、真剣な眼差しで言い切った。

 

「千年以上の時を経た遺跡だ。儀式の手順、象徴の意味、解釈……どれか一つ欠けていれば、謎解きは成立しない」

「……確かに」

 

 アレックスは頷いた。

 

「だから俺は、強硬策を“同時に”進めることにした」

「強硬策……?」

 

 嫌な予感が、胸の奥でむくむくと膨らむ。

 

『……嫌な言い方ね、その強硬策って』

(奇遇だね、俺も同じこと思ってた)

 

 マルティアナの声が、わずかに警戒を帯びていた。

 

「もし結界を解除できず、内部に侵入できない場合――」

「場合……?」

「結界そのものをぶち壊すしかない」

 

 アレックスは一瞬言葉を失った。

 

「精霊の結界に対抗できるのは、同格以上の神性、もしくはそれに準ずる存在だ」

「それって……」

「聖剣様だ」

 

 レヴァンは断言した。

 

「聖剣マルティアナ様が本来の力を発揮すれば、結界の位相を書き換えることも不可能ではない」

「いやいやいや! それ、塔ごと消し飛びません!?」

「可能性はある」

「あるんだ!?」

 

 あまりにさらっと言われて、アレックスは思わず声を裏返らせた。

 

『ちょっと、何勝手に私を最終兵器扱いしてるのよ』

(だよね!? 俺もそう思う!)

『私なら愛のために世界すら焼き払う!』

「お前が世界の敵になるな!」

 

 マルティアナがさっきから調子に乗りまくってる。レヴァンが煽てるせいで本当大変な事になったらどうしてくれようか。

 そんなやり取りをよそに、レヴァンはふっと足を止めた。

 

「着いたぞ」

「……はい?」

 

 アレックスは顔を上げる。

 

 目の前にあったのは――

 

 ピンク色の看板。

 ハートマーク。

 フリルたっぷりの衣装を着た少女のイラスト。

 

 《癒しの館☆メルティ・ハート

 ~ご主人様、おかえりなさいませ♪~》

 

「…………」

 

 アレックスは、しばらく言葉を失ったまま立ち尽くした。

 

「……レヴァンさん」

「どうした」

「ここ……」

「ああ」

「メイド喫茶、ですよね?」

 

 レヴァンは胸を張った。

 

「そうだ」

「なんで!?」

 

 反射的に叫んでいた。

 

 聖剣、精霊、結界、強硬策――そんな単語が飛び交った直後に辿り着く場所が、どうしてメイド喫茶なのか。

 

 脳が追いつかない。

 

「説明してもらっていいですか!?」

「もちろんだ」

 

 レヴァンは大真面目な顔で言った。

 

「聖剣様の力を引き出すには、感情の爆発が必要」

「は、はぁ……」

「つまり……聖剣様のジェラシーを引き出し、力を高める!」

 

 レヴァンは看板を見上げ、目を輝かせた。

 

「この店は、王都でも屈指の癒し空間と聞く。可憐なメイドたちによる献身的な奉仕、肯定、承認……心の緊張が解け、魂の波長が整う。そこでしばらく働いて仲間になる」

 

 そしてレヴァンは振り返って言った。

 

「ハイベルズを救うために……メイドハーレムつくれ!」

『あ゙ぁ??』

 

 聖剣マルティアナのドスの効いた声を聞いて思う。

 冥土違いだろ、これ――と。

 




これからは頻度高く更新したいと考えてます!
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