陰の実力者になりたくて!Re:W.O.F   作:ka-主

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第1章
第1話:人畜無害一般女子高生


─…人は誰しも、幼い頃にメルヘンチックな物に夢見る。妖精の姫、勇者や魔法使い、特撮ヒーローが主に上げられる。しかし歳を取るに連れてそれらは警察官や野球選手、アイドル等とメルヘンチックなそれらと比べて現実味のある方へと変わり……次第に建築士や介護士、教師や作家等と本格的にそれらは現実味のある物へと変わる。

何が言いたいのかと言うと、皆幼い頃に抱いていたメルヘンチックな思想や夢は歳をるに連れて羞恥や常識の概念によって抱かなくなるという事だ。

多くの多数派はそうだろう。しかし少数派─…それも100の内10にも満たない者が幼い頃から抱いていたメルヘンチックな思想や夢を忘れておらず、尚今現在も諦めずにそれらに成ろうと努力をしている者達が居たら……

 

 

「─…実に、素晴らしいと思わない?」

 

 

午前2時頃……。

誰も居ない図書室で自分の思いを語り終えた私。「何してんのコイツ」と思う人達も居るだろう。

まぁ……本当に誰もいない。だからそう思われても別にいい。

だけど私は、人ではない何に向けて話している─つもりで居た。

 

 

「やっぱり、この時間にここで行う会話は……実に良いわね。今日も満たされたわ」

 

 

そう呟いた私は図書室を出て、心躍らせながら校舎を出た。

校庭を歩いてる最中─…私の心の中…いや、身体全体が何かに満たされ満ちてく感じだった。

 

「この感じ……(時が、来たようね)」

 

 

何かを確信したのか……校門をくぐろうとした足を止めて踵を返し、駆け足で来た道を戻った。

来た道─…否、屋上を目指して私は目を輝かせながら向かった。

 

 


 

 

そう言えば─…自己紹介がまだだったわね。

私の名前は緋暮華琉那(ひぐれかるな)18歳。一部の例外除けば人畜無害で平凡な長野県上田市に住む女子高生3年だ。文武共に一般的な高校3年生程で、人望やコミュニケーション力も一般高校3年生程。このスタイルを生まれて物心着く頃に掲げた目標に向けてずっと変えずに貫いてきた。

その目標こそが一部の例外。幼い頃に見つけた周りからしたらメルヘンチックな夢。私にとっては生涯終えるまでに成りたい憧れ()

 

 

『魔法使い……なんて素晴らしい存在なの!?』

 

 

幼い頃に見た魔法使いのアニメ。初めて見た時─…そのアニメに出てくる魔法使いに、私は細胞レベルで憧れた。

魔法使いに一目で惚れ、尊く思えた。

 

 

『大きくなったら、魔法使いになりたいです!!』

 

 

幼稚園の誕生日会でも私はその夢を誇らしげに掲げた。あの時見た魔法使いの容姿、活躍…その他諸々に私は心を奪われたのだから。

 

 

『大きくなったら、マジシャンになりたいです!!』

 

 

だけど……そんな私でも、羞恥心と言うのは芽生えるもの。小学生にあがったらそれを公に公言するのは辞めた代わりに、それになる為にそれっぽい─…マジシャンというものになると公言する事にした。マジシャンだって、私から見たら魔法使いの親戚みたいなものだからそれで良い。何より手品も私からしたら魔法そのもの。アニメや小説等を見て魔法使いについて勉強。手品を極めて魔法使いになる為の研鑽も積んだ。

 

 

『魔法使いも凄い…だけど魔法使いが繰り出す魔法も、それの元になる魔力もとても魅力的。─…研究が尽きないわ!!』

 

 

そんな中、日々の魔法使いになる為の勉強や研鑽を積んでく内に私は一つのツールを見つけた。

魔法使いは、その人格故に表舞台の人達に正体を明かしてはいけない。つまり表舞台では魔法使いではなくあくまで一般人を装ってなくてはならないのだ。

だから私は小学校高学年辺りから『人畜無害一般人スタイル』にも磨きをかけることにした。それが私が見つけた魔法使いになる為のツール。ここから先はこのツールに近い勉強・研鑽材料を探しそれを糧にしようと心に誓った。

 

 

『成程…魔法が使えるだけじゃ駄目なのね?常にそれを扱うに等しい精神、体力、知識も必要。─…となると……』

 

 

そして中学に上がった頃、私は普段から行ってる勉強や研鑽の他に筋トレや瞑想も取り入れた。

『人畜無害一般人スタイル』の磨きも忘れずに。

具体的に語ると…長すぎるけど、人として会得できる物は全て会得した。体術や話術等…ネット等で片っ端から調べ上げ、悉く極めて行った。

そして遂に……─

 

 

「はぁ…はぁ…ッ!(遂に…遂にこの時が!)」

 

 

屋上に辿り着くまで、私はそう心の中で呟きながら駆け足で屋上に向かっていた。

心身共に何かに満たされ満ちた感じがするのに、身体が軽い。今までこの時間帯に瞑想、研鑽を積んでもこんな感覚になった事は無かった。

予兆的な…『今日は何か起きそう』みたいな感覚は夜が訪れたと同時に感じれた。

予想は見事的中。丑三つ時に学校の図書室に忍び込んで正解だったわ。

 

 

「ふぅ…─…月が綺麗ね(これも─…持って来て正解だったわ)」

 

 

屋上に辿り着いて、私はそう呟きながら「もしかしたら」と思って持ってきたバイオリンケースを開き、バイオリンを取り出した。

世界で一つと言って良い─…私だけのバイオリン。バイオリンの素材を1から調達し、作り方を模索し理解した上で納得いく物を作ったわ。

色は深紅色に自分が納得いく深みがかった色に調整(やり方とかは割愛)。ニスは…この日見たく月光でも艶やかな光沢を出してくれるニスをチョイス。

弦は勿論ガット。活きのいい羊の─…いや、これは説明しない方が良いわね。

 

 

「調律も済ませ…(時間も2時15分を過ぎた処)─…よし」

 

 

スマホで時間を確認し、バイオリンを構え─…演奏した。

何時かこの時に備えて動画を見て半ば独学で練習した、私の魔法使いになる為に歩んできた道、その先の道、その上を歩く自分の姿を想像してそれに合った今日─…『ベートーヴェン作曲ピアノソナタ「月光」第一楽章』。

この曲を聞いた瞬間……脳内にさっき言った事が全てイメージとなって投写された時、「これだッ!」って思った。

ピアノでも勿論出来るけど、折角作ったこの子を無駄にしたくないと思い、脳内でリピート再生出来る位暗譜練習してからバイオリンで弾けるように練習した。

 

 

「(ああ……やっぱり、この曲は落ち着く。どんな事があってもこの曲に癒された、救われた。しんどいって思わなかった訳じゃないから、少しでもそう思った時は尚のこと癒された)─…〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪」

 

 

それにしても……演奏してる最中でも、幾度なく私の心身が満たされて行く─…。

曲が終盤に差し掛かった頃……私は不思議な感覚に見舞われた。

初めての感覚─…自分は今バイオリンを弾いてるはずなのに身体がフワフワしている。

何時しかその感覚に身を委ね、自分が今何をしてるのかすら忘れてしまうくらい。

 

 

「(けど…それで良い。きっとこれが、これこそが─…私の憧れていた者になる為の1歩を踏み出せた瞬間なんだ)…─〜♪〜♪〜♪〜♪」

 

 

もうすぐ…この曲が終わる。

終わった頃には……きっと私は憧れていた魔法使いに近ずけて居るだろう──…。

 

 

…──その後の事は、良く覚えていない。

覚えているのは……校庭から仰向けで見た月はとっても綺麗な満月で、その月光が私をそっと抱き抱えるかのように照らしてくれていた事だけだった…──。

 

 


 

 

「…………」

 

「ロズ、よく頑張ったな!ヒグレン家2人目の女の子だ!カルーアが喜ぶぞ〜!」

 

「そうですねアナタ。ですがこの子…さっきから全く泣かなくて……」

 

 

えっと……ここは、何処なのかしら?

私は確か─…丑三つ時の学校の屋上で月光を演奏してて、気付いたら校庭で仰向けになってとても綺麗な満月を見てた筈なんだけれど。

それに…何か何処ぞの貴族の屋敷とも言える一部屋のベッドの上で、知らない女の人─…そこにいる白髪の散切り頭で紅眼で右目を眼帯で隠してる、少し歳がいった厳つそうなおじさんがロズと言った銀髪ボブで紅眼の女性に抱かれて居る……。

抱かれて居ると言うことは私は赤ん坊か何かという事…多分赤ん坊だろう─…て、赤ん坊??

 

 

「(ちょっと待って?さっきのこの2人の会話からして赤ん坊である事には間違いない─…この現象、魔法使いを目指す為に見てたアニメのジャンルにあったわ。命を落とした主人公が異世界の名もしれぬ家系の子として生まれ変わった─…もしかして)…………」

 

「ん〜、顔色からして病気ではないと思うのだがな……カルーアと違って静かな子なのかもしれんし……」

 

「そうかしら…?赤ん坊って、私はてっきり元気に泣くものだと思っていたのだけど……」

 

 

あれ?もしかして私……泣かないといけない感じかしら?さっきからこの2人の会話を聞く限りそれを期待してるっぽい。

 

 

「(ああもう…ッ、気になる事の答え合わせは後よ!嘘泣きとかやったことないから分からないけど─…一か八かよ!)…ウッグ、ヒッグ…!」

 

「「!!??」」

 

 

理解出来ないこの状況を、一旦棚上げして…私はやった事ない嘘泣きを実行する。

申し訳ないけど、私のお父さんであろう厳つそうなおじさんを一瞬見て涙腺に涙めいいっぱい溜めて─………

 

 

「おぎゃ〜〜〜おぎゃ〜〜〜おぎゃ〜〜〜ッ!!!!」

 

「泣いた!?泣いたわよアナタ!!」

 

「良かったなロズ!!この泣きっぷり、元気な証拠だ!!(だけど何だ?俺の顔を見て泣いた気がするんだが…??)」

 

 

おお……案外上手くいく物ね、嘘泣き。やった事は無いけど、知識があって助かったわ。

『効率良い嘘泣きのやり方』にあったわね。怖いものを想像するか悲しい事を想像すると嘘泣きをしやすいって。

お父さん(?)には悪いけど、厳つそう=怖そうなイメージだったから容易に泣くことが出来たわ。

 

 

「(ん〜、それにしても……思い切り泣きすぎたからかしら?何だか下半身腹部が妙にグルグル鳴って─…もしかして、出る??)ヒッグ、ヒッグ………」

 

「そういえば……ロズ、この子の名前はもう決めたのか?こんな元気な女の子なんだ。折角なら俺の名前をもじっt─「却下よ」なぬ!?」

 

「この子の名前は……生まれて顔を、目を見た時から決まったの。私とアナタと同じ紅眼、そして透き通る様な艶やかな黒髪…………この子の名前は─…『カルナ』。カルナ・ヒグレンよ」

 

 

カルナ・ヒグレン……悪くない名前ね。前世の名前を文字った感が否めないけど…響き良ければ全て良しって感じね。

まぁそれは置いておいて……名前決まって喜んでる御二方…?

 

 

「(そろそろ…─)おぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!

 

 

こうして……私は、緋暮華琉那からカルナ・ヒグレンとして異世界転生を果たし、第2の人生を歩むのだった……。

 

 

 

 

to be continuous




どうも皆さん、ka-主です。本日より「陰の実力者になりたくて!Re:W.O.F」の連載を開始します。相変わらずの不定期ナメクジ更新ですが、暖かい目で見守って下さると幸いです。基本的にアニメ側の時系列を参考に物語を進めますが、スマホアプリのカゲマスこと「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」のイベントストーリーの要素も偶に組み込む場合が御座いますので、ご了承ください。
それではまた次回お会いしましょう!
感想、高評価等お待ちしております!

P.S:主人公ことカルナの紹介は次回行います。またタグに記載した通り、随時タグを増やす予定ですので御理解了承の方よろしくお願いいたします。
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