陰の実力者になりたくて!Re:W.O.F   作:ka-主

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どうも皆さん、ka-主です。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、自分はこの作品以外にバンドリ!の作品も執筆しております。興味のある方は是非、其方の作品もご覧いただければと思います。
それでは第2話…どうぞ!


第2話:フィアンナイツ

魔法使い─…魔力をもって情報体を変化させる者。私が生涯かけてなりたいと思っている職業。

……だったのだが、その夢・道は惜しくも絶たれてしまった─…そう思っていた。しかし…異世界転生によって、第2の人生を歩む事になったの。「何を言ってるんだ?」って思うかもだけど……これが私のみに起きたありのままの出来事で、紛れもない事実なの。

まぁ…その話はさておき、私がこの異世界ライフを満喫(?)し始めて13年がたったのだけど─…自分の身の回りやこの世界について色々と分かった事があるの。

 

 

1つ。私の生立ちなのだけど、『聖地リンドブルム』から西方の地にある山地を領地にしてる『ヒグレン家』の次女として産まれたという事。

 

1つ。母親のロズ・ヒグレンと父親のオディ・ヒグレンはここから遥か遠方にある『王都ミドガル』にある『ミドガル魔剣士学園』の卒業生だったという事。卒業後結婚し、現在は私と姉のカルーア・ヒグレンの4人家族で過不足なく生活しているという事。

 

1つ。最後に─…この世界は、『魔力』に満ち溢れているという事。

 

 


 

 

魔力に関しては生まれて直ぐに認知し、理解した。それが出来た時、理解出来た時はそれはもう心の中で私は感動した。物理的に作る訳でもなくて、この世界ではそこら中の空気と同調でもするかの様に漂っているのだから。

そしてもう一つ(・・・・)。私には見えるのだ。『緋・赤・青・黄・緑・紫・藍』─…全部で7種の『炎』が。この世界の人の心臓部分で、1人につき1種燃えているのだ。

私はこれらの炎を『命の炎』と名ずけて、物心が着く前にその炎について内緒に研究した。

研究する過程で、私はとある事実にたどり着いた。まぁ研究が捗る裏には家系とかも関わってくる。案の定─…ヒグレン家は代々からこの『命の炎』…又の名を『E・F(エレメント・ファイヤー)』を体外に放出出来る身体の造りをしてるそうだ。

 

だけど─…その資料は半ば偽り。私はさっき世界の人と言った。

ヒグレン家だけなら、この屋敷にいる用心棒の騎士や召使い、メイドらにまでそれがともってるはずない。

つまり─…だ。何らかの方法でヒグレン家以外の人間でも炎を灯し放出させることが出来るという事。

 

 

「確かこの辺りに……!(いた)」

 

 

私は深夜にこっそり屋敷を抜け出し、とある廃坑道に来ていた。この廃坑道は、昔先代のヒグレン家を初めとした坑道で作業する人達が石炭初めとした鉱物を堀に掘り尽くして、廃棄された場所。

こんな真夜中になんでこんな事するのか?一言で言えば─…いえ、言わなくても前世から目的は変わらない。魔法使いになる為…それ以上でも以下でもない。

なら何故こんな廃坑に?私の目指す魔法使いになる為に相応しい物がこの廃坑に生息(・・)してる可能性があるから。

液体物ではなく…ゼリーでもない。それなりに弾力がありドロっとしてるもの─…そう、『スライム』だ。

スライムはこの異世界でなら基本何処にでも居る。しかし生息してる地域によって、形態を変化させその環境に適応する力をどの魔物より持っているのだ。

私はそのスライムの環境適応力にまず注目した。どんな魔物、生物にも適応力というものは存在するが、スライムのそれは他のそれとは全く持って別もので有能と言われる。だからどの区域にも生息出来る力があり絶滅しないのだから。

そして今…目の前にいるスライムは洞窟や山岳地帯の環境に適応する為に形態を変えて生息してるスライム。人々は『グランドスライム』と呼んでいる。

 

 

(グランドスライムは、その名の通り大地…つまり土や鉱物に含まれる成分を体内に取り込んでその地に適応する力を得たスライム。それ故に他のスライムに比べて、多少なりとも頑丈。だからこそ……)

 

「─…私の実験に、耐えて頂戴ね?」

 

 

そう言い終えるのと同時に、私は目の前のグランドスライムに自分の魔力を注ぎ込んだ。

 

 

「(ふふっ♪思った通り。素晴らしい程の魔力の伝導率ね)…こうしてこうやって…うん、段々私の魔力がこの子に馴染んで来たわね」

 

 

そう言いながら、私は自分の魔力を目の前のスライムに注ぎ続け、馴染ませていった。

スライムは魔物であり、魔法生物。液体であるが為様々な形物になれるのだけど…その伝導率は、脅威の99%。剣や魔法道具等が持つ伝導率が75%辺り……スライムに注目したもう一つの理由がこれ。魔力を込めれば込めた分だけ力を発揮してくれる。

 

 

「(現にこうして魔力を注ぎ続けていても、暴走等を起こす予兆すら見せない。ならば……)─…第2ステップね」

 

 

そう言って、左手で魔力を注ぎ続け…右手に緋色の炎を灯し、それをスライムに照射した。

第2ステップ……突然変異を意図的に起こす。適応力、伝導率が高いスライム。これらのお陰であらゆる環境下に置いて絶滅せずに生きながらえているのだ。

しかし自然の摂理……こうなってくると至る地域にてその環境に適した『突然変異』と言うものが誕生する筈。詰まる話…目の前のグランドスライムもその突然変異のスライムの1種だ。

意図的─…と言うのは、今行ってる魔力の馴染ませにある。

どんな生物、魔物でも魔力と言うのは僅か微力ながら保有している。例えば魔力を10保持してる人aに魔力を10注げばaの人の魔力保持は20になる。

「それなら馴染ませる必要は何処に?」─…単純かつ簡潔的に言うとすれば……自分で思う様に操れる様にする為だ。

 

 

「(まぁ所謂使い魔みたいなものね。自分の手足のように出来たら、それこそ出来る事が増えるってものだし…)─…っと、炎の揺らめき方が変わったわね」

 

 

炎の揺らめき方が変わった。恰も、自らの意思でその炎を燃やしてるかのよう……そう思っていた刹那、更なる変化が起きた。

照射してる炎の炎圧を上げてる訳でもないのに、グランドスライムに照射してる炎が一際大きく燃え上がった。

そして、炎がみるみる小さくなっていく。ガスコンロの火が小さくなる感じのそれだ。更に…グランドスライムの体色も、黄色から段々緋色へと変化していき、完全な緋色になった頃には─……

 

 

「……ふふっ、成功したわ」

 

 

気付けば、自分の右手の上に、拳大のサイズになって緋色のグランドスライムが…自分が照射していた炎を透き通る位煌らかに放出させていた。

新種のスライムの完成だ。

 

 

「エレメンタル・フィアンマスライムじゃ長ったらしくて格好悪いから……『フィアンマスライム』。そう名ずけましょう」

 

「……!!」

 

「!…フィアンマスライムが─」

 

 

生物に意思があり感情がある以上スライムも例外じゃないとい事だ。余程嬉しかったのだろう。主に名前を付けられて喜んでるフィアンマスライムが形を変えて、私の全身を覆った。

 

 

「─…凄いわね。これぞ魔法使い…いいえ、魔女のローブね。(それに…指輪まで。グランドスライムであったからこそ出来る芸当と言う物ね)─…試しに魔力を込めて見ようかしら?」

 

 

そう言って、私はフィアンマスライムが作ってくれた指輪に魔力を込めた。触って見た感じ、しっかり硬いし指輪そのもの…グランドスライムは、主食が土や鉱物などの成分である為頑丈である。つまり、体内に鉱物らの成分が馴染んで他のスライムより頑丈な身体となった訳だ。

 

 

「だからこうして、指輪の様な繊細で小さなものもより強固に、よりリアリティをまして変形する事ができる。(そしてこの指輪…魔力は込めれるけどそれだけ。恐らく何か他の用途がある筈)─…まあ、それは明日また此処で研究することにしまs─「そこにいるのは誰だ!!」…あら?」

 

 

今日も色々と堪能した為、さて帰ろうとしたその最中─…奥の方から、男の人の声が聞こえた。

一瞬早急に逃げようと思ったが……止めた。先の言動から察するに、既に私が此処に居るという事はバレてる訳であり、何より─…

 

 

「研究した成果と…フィアンマスライム(この子)の力を見て見たいし……ふふっ♪(魔女の見習いとしての、初陣ね♪)」

 

 

そう思った私の行動は…前世と変わらず素早かった。

魔女としての最初のセリフ……見習いだけれど、考えて置こうかしら?

そう思いながら。

 

 


 

 

「あら、誰が来るかと思えば…盗賊さんじゃない」

 

「誰だ貴様っ!?」

 

「その身なり…もしかして魔女!?」

 

 

目の前に現れたのは、前世では絶滅危惧種と言われても過言じゃない盗賊さん達。数は確認出来る限りで……

 

 

「ヒーフーミー…7人、ね。私を前にして、その程度の人数で大丈夫なのかしら?それとも……それだけしか人が居ないのかしら?」

 

「な、何をぉ!?」

 

「魔女のくせに生意気だ!!」

 

「そもそもお前…何者何だ!?」

 

 

あらあら…図星だったのね?それも痛い感じの。それをピンポイントに付かれて数名わ〜ぎゃ〜騒ぎ出したわ。

それにしても……何者か、ね。

魔法使いは本名は公の前では堂々と晒したりしない。2つ名だけ考えて置けばいっか…って最初は思ったけど、魔法使いのお約束事があるから…そう言う訳にも行かない。あの約束はそう言う事だったのね。

 

 

「ふふふっ…♪貴方たちは運がいい。運のいい盗賊さん達に、いい知らせと悪い知らせがあるの(あぁ…完璧ね。初陣にて敵の前で発したかったセリフの一端を言えたわ♪)」

 

「いい知らせと…」

 

「わ、悪い知らせ……?」

 

「そう。いい知らせ…それは貴方達がこの世界で初めて私の存在を目にし、その名を知る人物となるという事。悪い知らせは……魔女はね?正体をバレてはいけないの。バレた場合─……その要因をこの世から消さなければならない

 

「な、何だって!?」

 

「ふざけるな!!そもそもお前が俺達のテリトリーに入ってきたからこぉなったんじゃねぇか!!」

 

「そんなもの…私にとっては関係無いことよ?」

 

「んだとぉ!?」

 

「まぁ落ち着け、お前ら」

 

「か、頭…!」

 

 

私のセリフに至極当然そうに見えて何かと理不尽な反論をしてる取り巻き達を頭と呼ばれたガタイのいい男が場を黙らせた。

外見からして話がまともに出来そうな人じゃ無いように見える。けど……先の一言で取り巻きを黙らせたあたり、カリスマ性だけはありそう。

 

 

「ウチの子分が済まなかったよぉ、嬢ちゃんや。悪いが此奴らの言ってた事は本当でな?俺達の報酬を隠したりするのに打って付けの場所なんだわァ…」

 

「それで?悪いけどそれだけで私を納得させるのは無理と言うものよ?」

 

「だから落ち着けって。実は此処は……『悪魔憑き』を置いとく場所としても良い場所なんだァ」

 

「…………」

 

 

『悪魔憑き』……ヒグレン家の屋敷の書斎に、それについて書かれていた。女性が感染する奇病。身体中が腐り、終いには醜い肉塊となって家族始めとした親族や身内、村人などから嫌われ捨てられる。それを昔から、とある教団が『浄化』と称して有料で引取りを行ってるとか。

実に胡散臭く真実味にかけるオカルト話かと思ってスルーしていた。だけど…実在していた、悪魔憑きは。

 

 

「悪魔憑きを置いといて、教団の連中に売り飛ばす。その取引き場所として……ここの廃坑が使われてんのよぉ」

 

そして─…分かった事がある。

悪魔憑きを……教団は浄化なんてしてない。悪魔憑きのワードがこの男から出て、かつ取り引き場所としてこの廃坑を利用する位だ。

そうに決まってる。

 

 

「へぇ……それじゃぁ何かしら?貴方達は教団の浄化活動のバックアップに有償で買って出て、本職も含めて儲けてるって事よね?」

 

「あぁそ〜言うこった。だから交渉しないか?俺達は嬢ちゃんの事を公にばらさない。嬢ちゃんも此処に立ち寄らない。その為の交渉に必要なものは俺達が用意する……な?悪くない話だろ?」

 

「(はぁ……カリスマ性がある癖して交渉は下手中の下手。多分ど素人でもこんな下手な交渉しないと思う)─…そうね。なら私からも交渉に必要なものを貴方達に差し出すわ。此方に、来てくれないかしら?」

 

「おう、分かった」

 

 

 一応口だけの交渉は成立した。

 男は何も疑わず…先程魔女だのなんだのって疑ってたのにも関わらず。

 

 

─…5、4、3、2、1─…0

 

 

Negotiation breakdown(交渉決裂ね)♪」

 

 

パチンッ…

 

 

「え─……」

 

「う、うぅゎあぁあぁぁあぁぁぁっ!!??」

 

「か、かか…かしらあぁぁぁぁぁっ!!??」

 

 

 私がそう呟くと同時に指を鳴らした。

 それが合図となって、男の足元に緋色の魔法陣が展開され…魔法陣と同じ色の炎の渦みたいなものが男を覆い尽くす。

 炎の渦みたいなそれはフィアンマスライムが変形した、炎の刃。

 緋色の炎の刃に切り刻まれていく男は、悲鳴を上げる暇もなく、細胞一つ一つ燃やされ─…男は。盗賊の頭は私が先程言った通りに消えたのだった。

 

 

「お、おいおまえ…か、頭をどこn─ギャッ」

 

「ひ、ヒィッ!?てめぇ…調子乗んのm─ギャン」

 

「私……言ったわよね?魔女は正体がバレてはいけない。バレたらその要因を消さなくてはならないって」

 

「そ、そんな!?俺達はお前の名前すら知らされてなi─ガァ」

 

「え─…あぁ、言って無かったわね?私の『魔女の名前』」

 

 

 頭に続き、取り巻きの3人を始末した私。目の前で仲間を一瞬にして焼き切り刻まれた光景を見た残りの3人の取り巻きの顔は、この暗がりでもわかるくらい真っ青に染まっていた。

 

 

「─…我が名は『七曜陰炎の魔女ラフィーネ』。七曜の陰炎で陰に潜みし悪を燃やす者」

 

「し、七曜陰炎の魔女……」

 

「ら、ラフィーネ……」

 

 

 うん…我ながら、彼らが来るまでに即興で考えた割には中々良い名前ね。けど…この名を口にした私自身、覚悟を決めなければならない。

 見習い魔女から…魔女になる為の覚悟を。

 いや、それはもう産まれて魔法使いになりたいと思った時から出来ている。だから……

 ─…この盗賊達との間で起こった初陣イベント。フィナーレといきましょうか。

 

 

「七曜の陰炎に焼かれ……消えなさい」

 

「「「ぎゃああぁぁぁぁ〜〜〜〜ッ!!!」」」

 

 廃坑に響き渡る断末魔と共に燃え上がる緋色の炎。断末魔は次第に小さくなり……完全に聞こえなくなった頃には、彼らがいた場所には塵しか残って居なかったのだった…─。

 

 


 

 

「盗賊のお頭さんが言ってるだけあって…それなりに仕事はしていたようね」

 

 

 盗賊達を一掃した後、私は彼らが来た道を進んで行き……町の人や商隊らから盗ったであろう金銭並びにそれなりに根を張るであろう陶芸品や長期保存が聞く食料等が置いてある部屋に辿り着いた。

 

 

「(商隊の皆さん、町村の皆…仇は私がとったわ)─…貴方達が盗られた物は、私が責任もって再利用させて頂くわ」

 

 

 そう呟いた私は、盗賊達が盗った物を物色し始めた。

 硬貨や宝石、アンティーク系の置物や武具等……ピックアップしようにもしきれない値打ちものがずらりと置かれていた。

 そんな中─…微かだが、ガタンガタンと何かが揺れる音が聞こえた。音がした方を向くと…そこには木箱が壁いっぱいに積まれていた。

 気のせいか…と思ったが、先程の音はこの奥から聞こえてくる。

 「もしや」と思い、私は積まれてる木箱目掛けて魔弾を放った。

 

 

「やっぱり…(ビンゴね)」

 

 

 思った通り、木箱の向こう側は空洞になっていた。見た感じ急ごしらえで掘って作った小部屋なのだろう。整備やらはあまりされて無く、薄暗かった。

 緋色の炎を人差し指に灯し、前方を照らした。目の前に、古びた大きな布に覆いかぶさった何かがあった。私はゆっくりと近づいて、その布を掴んだ。

 

 

「先のお頭さんの言ってた事が、もしも本当なら……(この布の中には─)…居たわね」

 

 

 悪魔憑き。本当に実在していて、彼らはこの小穴に隠していたのだ。

 仮にも……見てくれだと性別とか判断つかないが、悪魔憑きを発症させるのは、女性。つまり元は1人の人間なのだ。

 恐らく─…「発症したら治せないから」と言う理由でだろう。村、町、集落から追い出され…盗賊に捕まり、教団に引き渡され浄化─…否、きっと殺処分される所だったのだろう。

 

 

「ギィィ…ギィィ…」

 

「……可哀想に。でももう大丈夫。貴方を捕らえたであろう人達は私が始末したわ」

 

 

 檻の中で蠢いてる肉塊となった彼女に、私はそう話しかけて檻にてを置いた。

 ─…意図してやったわけでなはいのに…それに呼応するこのように檻の中にいる彼女の至る所から赤色の魔力が迸った。

 

 

「(この現象…屋敷の書物や前世のアニメで見かけた事があるもしかして─)…悪魔憑きって、魔力暴走の一旦なの?」

 

 

 仮にもしそうであれば…私に何とか出来るかもしれない。

 魔力暴走に関してのノウハウ、その直し方諸々は前世で学んだ。だがしかし…今は時間が惜しい。恐らくもう既に日付が変わってるはずだ。

 

 

「また……戻ってくる。だからお願い、どうか何処にも行かないで頂戴」

 

 

 そう彼女に言って、私は廃坑を後にした。外はすっかり暗黒の世界。大丈夫だと思うが…万一に備えて、あの子部屋に彼女を中心とした気配を隠す結界─…の様な魔法をかけて置いた。万一の事がなければ、かけた人物以外には1晩欺ける。

 もう一度、心の中で祈ってから…私は屋敷へ戻った。

 

 

✱✱✱✱

 

 

 彼女を保護してから数日経ったある日─…

 私は毎日の様に廃坑の小部屋へ足を運んでは治療…元い解呪を試みた。

 前世の記憶を思い返して、試行錯誤の繰り返し。「あ〜でもない、こ〜でもない」と可能性のあるもの全て試した。そのお陰か、今は恰も会話をするかの様に解呪を試みる迄に至る。

 

 

「こんにちは、今日も来たわよ」

 

「ギィィ…ギィィ…」

 

 

 今日も彼女にそう挨拶して、私は早速解呪に取り掛かった。初めて見た時よりも魔力暴走は穏やかになり、波長もゆったりとしたものに変わっていた。「今日こそは解呪出来るだろうな」と思いながら、波長に合わせて魔力を送る。

 因みに、解呪を始めた当初から…彼女を檻からだして解呪を行っている。流石に遠距離から解呪を行おうなんて、おおちゃくな真似はしない。私の中では、解呪は直に触れてなんぼだと思っているからだ。

 

 

「(!!…魔力暴走が、みるみる弱まって行く─)…ふふ、この数日間長かったわn─…え??」

 

 

 解呪が成功したと思った私。だけど、その後の事を全くもって考えていなかった。

 だから……今、私の目の前で起きてる現象も全くの予想外と言う事、私にとって。

 

 

「まさか……発症する前の姿に戻るなんて思わなかったわ……」

 

 

 前のめりになって倒れてきた茶髪ロングヘアで多分…龍人なのだろう。白い2本の角を生やしているその子を私は情景反射でそっと抱き止めた。しかも……

 

 

「まいったわね…何も着てないじゃない」

 

 

 悪魔憑きを発症させ肉塊になってしまうと、衣類も無くなってしまうのだろうか?

 まぁ風邪をひかれても困るし…確か貿易品にブランケットみたいなものがあったわね。それをかぶして置くことにした。

 

 

「んっ、んん……」

 

「あら?(どうやら─…目覚めそうね。ん〜、本当に、その後の事を考えてなかったかr─)…そうだ」

 

 

 今にも目を覚まして起き上がろうとしてる彼女に対して、どうしようか悩んだ結果……前世の記憶の中で似たようなシチュを思い出し、それを実行する事にした。

 一先ず、彼女の目の前にいるていを作りたい為、彼女の視線の先にある木箱の上に…チョコんと座った。

跡は上手く、対応するだけ。

 

 

「(……いざ、七曜陰炎の魔女の初仕事ってね)─目が覚めたようね?」

 

「え…貴女は?この姿…私は─」

 

 

 うん…思った通り、相当頭の中が混乱してるわね。無理も無いわね…『治ることは無い』と言われていた悪魔憑きを発症させて、醜い姿に成り果てていたのだから。今起きてる事が信じられないのも理解できる。

 

 

「(だからこそ─…この手口が、やり方が手っ取り早くかつ彼女の為にもなる─)……貴女は、不幸にも悪魔憑きを患い世の中から追い出されてしまった。何故こんな姿になってしまったのか、何故追い出されてしまったのか……事の『真実』を知ることも無く」

 

「……真実??」

 

「(案の定…食い付いてきたわね─)…そう、真実。学者らの見解では悪魔憑きは女性の間で起こる奇病である。それは正しい……だけど真実はこう。女性の中でも、『英雄の血を引く子』…またの名を『英雄の末裔』たる者たちが悪魔憑きになってしまう。これが…真実。」

 

「…………」

 

「しかし、その真実をとある組織が抹消し…学者らに偽りを垂れ流したの。療法含めたデータ全て…ね」

 

「そんな!?何の為に……組織の名前は??」

 

 

 おっと……ここで想定内の質問が来たわね。名前名前…組織名は……

 

 

「(……あ。アレにしましょう)─…【ディアボロス教団】よ」

 

「ディアボロス…教団。彼等が真実を抹消しなければ…私や他の英雄の末裔である子達は、醜い姿になって生涯を終えずに済んだと言うのに…ギリッ」

 

「……そう、彼らは『魔人ディアボロス』復活をむくろみ、悪魔憑きを捕えては研究に使い仕舞いには魔人復活の糧にする残虐非道な教団なの。抹消した理由としては、十中八九目的を悟られぬ為でしょうね」

 

「そんな……!」

 

 

 自分で言うのもあれだけども…お互いに演技力が高いわね。アレだわ…学芸会でお笑いコンテストみたいなのがあったら、ペアで優勝狙える程よ。

 彼女の頭の上にある角から見た感じ、きっと龍人でしょう。龍人って何かと真実かどうかも分からない事を鵜呑みにしがちな点がお決まりなのよね。

 ─…閑話休題。会話を続けましょう。

 

 

「我が名はラフィーネ。七曜陰炎の魔女として陰に潜みし悪を燃やす者……貴女に、2つの選択肢を今から与えるわ」

 

「2つの…選択肢…?」

 

「そう、貴女は私の正体を知ってしまった。魔女は魔女である事を知られてしまったら……その要因を始末しなければならない。だけど逆に、私は貴女を救い悪魔憑きの真実を提示した。よって貴女に与える選択肢─…1つ、魔女の掟に乗っ取り今此処で生涯を終える。1つ、私と共に世界に潜みし悪を燃やす。この二つに一つ。さぁ……選びなさい」

 

 

 まぁ……詰まる話、これが私の考えたやり方。不可抗力であるにせよ、彼女は私の正体を知る事になる。しかしそれ以前に私は彼女を救った。故に彼女にとって恩人も同然。

 そんな彼女を魔女の掟で消してしまうと言うのは、いくら何でも酷という物。

 であれば……ここから先の人生を、彼女自身に決めさせ─…後はなる様に私が先導するだけ。

 

 

「……答える前に、教えて下さい。貴女は、魔女…なのですよね?」

 

「えぇ。この姿、七曜陰炎の魔女ラフィーネという魔女の名が私の真実。他の名前、姿は全て偽りよ」

 

「……私は1度人生を終えた身。そして今…本当に終わりを迎えるか新たな人生を始めるかの選択をせばまれている。新たな人生を始めさせるキッカケを作ってくれたのは、貴女様、ラフィーネ殿。私は…貴女が誰であろうと、再生してくれた恩を返さなければならない。新たな人生と引き換えに

 

「そう……。なら、改めて聞かせて頂戴?

─…貴女、我に全てを賭ける覚悟はある?

 

 

 彼女なりに答えが纏まったと見えて、私はそう尋ねた。

 そして彼女は……

 

 

「貴女の為に、この命…この身を全て捧げる事を誓います」

「ふふっ……良い返事ね(─フィアンマスライムよ、彼女に力を)」

 

「!?…こ、これは─」

 

 

 彼女の返事に対して、私も確りとか耐えなければならない。

 だから私は、指輪に魔力を練り……このねった魔力を、スライムのほんの一部と共に彼女に放った。

 スライムは彼女にまとわりつき、身体をおおった。

 ……そして、私の目の前に現れたのは─…赤色のマジシャンローブに身を包んだ龍人の彼女が立っていた。

 

 

「私と契約を交わした証─…私と共に生き、前へ進む為の証とも言えよう」

 

「前へ進む為の……ラフィーネ殿、貴女達の敵は先の話を聞く限り強大─…そうですよね?」

 

「……そうね。(流石彼女、乗りに乗ってきた感じかしら?それにしても……彼女って、そろそろ言い続けるのしんどくなってきt─)「でしたら、私達2人だけでは奴らに立ち向かうのは困難でしょう。私以外の英雄の末裔を探して仲間を増やさないと。それに……組織名や拠点等も必要になってくるわ」…そ、そうね(す、凄い乗り具合ね)」

 

 

 そう思う反面……私はこの際だから、纏めて解決してしまおうと思った。

 組織名と彼女の名前。拠点は……暫く此処でいいでしょう。何時か彼女に難癖付けられそうだけど。

 

 

「……今日から私達は『フィアンナイツ』として活動しましょう。そして貴女は…【ツバキ】と名乗りなさい」

 

「……かしこまりました。ラフィーネ殿」

 

 

 こうして……私達、『フィアンナイツ』が此処に結成された。

 偽りがこの組織の標的となったわけだけど…まぁ嘘だと知られたときはその時で話し合うことにすればいい。

 そう思いながら、私は彼女と共に廃坑を後にしたのだった。

 

 

 

〜END〜

 




如何でしたか?多少原作の設定混じってたりしたり、そもそも地の文が前半多すぎて余りにもつたない感じになってしまいましたが……次回からはそうならないよう心がけます。次回からカルナ達『フィアンナイツ』が本格的に始動します。仲間達も原作と照らし合わすなら……
それではまたお会いしましょう。感想・高評価とうお待ちしております!
追記:主人公カルナとツバキのプロフィールのリンクを貼っておきますので、良ければ其方もご覧下さい。

カルナ&ツバキのプロフィール
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=312031&uid=297376
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