姫様ァ拷問の時間だぜェ   作:竜胆の星

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 オリ主が加わり、より苛烈となった国王軍第三騎士団騎士団長に対する拷問です。


拷問1 トーストだァ

 

 

〈sideエクス〉

 

 

 

 国王軍と魔王軍が衝突をはじめ幾年月────────

 私は王国に伝わる意思をもつ聖剣、エクス。

 現在魔王軍の手に落ち、姫と共に監禁されている。

 

 そして今、魔王軍の最高位拷問官であり、トーチャー・トルチュールと名乗る女が目の前に立っている。この女は、連日姫様に対して尋問を繰り返している。王国の秘密について、姫様から聞き出そうという魂胆だ。

 

「姫様………どうしてもお話しいただけませんか?王国の秘密について」

「…………………」

『無駄だ。姫様は王女にして、国王軍第三騎士団【騎士団長】!数々の戦場を生き抜き、多くの戦果を上げてきた。

 この程度の仕打ちに決して屈しない!』

 

 私はそう胸(刀身?)を張って宣言する。そう、そうなのだ!戦場で鍛え上げられ、不屈の精神をもつ姫様が、王国の秘密を口しようはずがない!

 すると、目の前の女は小さくため息を吐くと、鋭い瞳を我々の方へ向けた。

 

「そうですか……それでは大変心苦しいですが………

 今日から本格的な【拷問】を開始したいと思います」

『!っ………なんだと!?拷問は捕虜条約が禁止しているはず!』

「それは人間の法でしょう?」

『くそぉ………』

「エクス………」

 

 姫様が拷問される………そのことを憂いている私に対して、姫様は力強い目を向けた。

 

私は大丈夫だ

『姫様……』

「たとえこの身を焼かれ………焦がされたとしても、私は沈黙を貫く!」

 

「それでは………………姫様、拷問の時間です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈side姫様〉

 

 

 

 私は王女にして、国王軍第三騎士団【騎士団長】、皆からは常に姫様と呼ばれている。

 相棒のエクスと共に、魔王軍の手に落ちて数日、国王軍の秘密を守り抜いてきた私に、とうとう拷問が行われることになった………

 だが、私が秘密を話さないことには変わりない。幼い頃から鍛錬を積み、強くなるための研鑽を欠かさなかった私に、弱点も死角もない!どんな拷問だろうと耐えきってみせる!

 

 そう、私が決意を固めていると、目の前の女………トーチャーが廊下に向かって声を掛けた。

 

「アレを持ってきて頂戴」

 

 すると、廊下から何か大きな金属の入れ物?(※アイアン・メイデン)を一人の魔族の男が持ち運んできた。どうやら拷問に使う道具を持って来たようだな……クッ!一体何をするつもりだ………!

 やがて、その魔族の男はその金属の入れ物を地面に置くと、トーチャーに向かって話し出した。

 

「ほいよォ〜トーちゃん、ここでいいかァ?」

「ええ、ご苦労さま………けれど、私のことはちゃんづけで呼ばないで頂戴」

「あァ………?つれねえなァ、俺とお前の仲だろォ?」

「立場上、今は私が上司よ」

「あいあい……相変わらず真面目ですねェ、トーチャー様はァ」

 

 気だるげに話すその男を見て、私は全身に鳥肌が立つのを感じた!な、なんだこの男は!?

 身長はトーチャーよりも高く、ウェーブがかった藍色の髪をしており、若干垂れ目で瞳は赤色、そして魔族らしく尖った耳をしており、右の額には角が一本生えていた。身体つきは一見細身だが、かなり鍛えあげられていることが私には分かった。

 

 こ、この男、かなり強いぞ…………得体がしれない…………でも顔はめっちゃ整ってるな……………あと声がいい……………って私は何を考えているんだ!?て、敵だぞ敵!

 

「んでェ?この子が姫様かァ?おォ?かわいいねェ〜」

「アルダンテ、姫様に失礼な態度は………」

「まァまァ、自己紹介ぐらいさせてくださいよォ………

 

 お初にお目にかかりますねェ姫様、俺は魔王様の直属の………いや、今は拷問補佐官を務めている、アルダンテ・ファムルと申しますゥ。お見知りおきを〜」

『アルダンテ・ファムル?…………!まさか!《血染めのアルダンテ》か!?』

「この男を知っているのか?エクス」

『はい………奴は数年前まで魔王軍の最前線で戦っていました。恐ろしい強さで幾人もの国王軍の兵士を倒し、おびただしい量の返り血を浴びて、常に全身を赤黒く染めていた………ついた通名は《血染めのアルダンテ》、当時戦場で最も恐れられていた男です』

「そ、そんな奴がいたのか……!」

『姫様が戦場に出られる前に、パタリと姿を消したと聞いていたが………よもや、拷問補佐官なる役職についていたとは!』

「あァ?やめてくれェ………そのあだ名は好きじゃねぇんだ、恥ずかしい………」

 

 《血染めのアルダンテ》か………やはり、私の直感通りかなり危険な男のようだな!自分の通名を聞いて嫌そうに頭を掻いているその男から目線を外さず、私は鋭く睨みつける。

 

「そんなに睨むなってェ〜最高に楽しい拷問だぜェ?」

「アルダンテ、いい加減にしなさい」

「はいはい、分かりましたァ………そんじゃいくぜェ?姫様、これが今日の拷問だァ!」

 

 そう言うと、その男……アルダンテはついに金属の入れ物を開いた。音を立てて開かれたその入れ物の中には────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホッカホカの、焼き立てトーストが入っていた。

 

 

 

『…………………………………………………え?』

 

 

 

 エクスの困惑した声が牢屋の中で響いた。

 いや、…………………それよりもあのトースト…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………なんだそれ?』

「トーストです」

「俺が生地づくりに発酵もして作ったんだぜェ?」

『トースト?はははっ!そんなもので一体どうしようというんだ!!まさか食べ物で釣る気か?子どもじゃあるまいし!』

「おいしそ〜」

『姫様?』

 

 ……………っは!しまった!

 

「ち、違うぞエクス!べつに私は誘惑された訳じゃなくて!ただ美味しそうという感想を述べただけでそれは人類皆思うことでっ!だからけっして誘惑に負けた訳ではないないない────!!!」

『すっごい早口』

「くっ…………!この私が!トースト如きに屈する訳がない!!!」

 

 そうだ!確かに良い焼色だなとか、バターがいい塩梅で溶けているなとか思ったが!私は絶対に屈しない!

 しばらく睨み合っていると、今度はアルダンテが団扇を取り出し、トーストの香りをこちらまで飛ばしてきた。

 

 そしてその香りが、私の脳を刺激した。

 

 

 

(ラン♪ランララランランラン♪ラララランランラン♪)

 あぁ………見える…見えるぞ………小麦の………黄金の絨毯!

 たわわに実った小麦が………収穫の時を待っている!

 イースト菌と無塩バターが奏でる、極上のハーモニー!

 そして何より、小麦の香ばしい香り!!!

 

「はぁ〜はははぁ〜ふふふ〜」

『………姫様?』

「へぇ?…………はっ!ち、違う!違うぞ!これはその、あれだ!その、そういうことなんだ!分かるだろ!分かるよな!?な!?な!?なぁ─────!?」

『よだれふいてください』

 

「しィ~静かにィ〜姫様ァ」

「む、むう!?」

 

 こ、今度は何を………!?

 あ、あれは!?トーチャーがトーストを2つに千切ろうと!?

 

 パリッパリパリパリッ…………そんな、焼き立てのトーストだけが奏でる、幸せの音を聞いた私は────────

 

 

 

「あ、ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 き、聞こえるぅ!音が………音が美味しい!!

 焼かれた表面はパリパリ!少し焦げているのがなお良い!!

 沈黙していられず、割かれる度に美しい音色が生まれる!!

 

 耳が…………耳が!!!  満・腹!!!

 

 

 

『姫様?………姫様!?』

「ごふっ…………くそっ!私は………私は!国王軍第三騎士団騎士団長!!!こ、この程度の拷問に………屈するものかぁ!!!」

「拷問はまだ続きますよ………アルダンテ」

「はいはいィ、これだなァ?」

 

 私がもてる力を振り絞って耐えていると、またアルダンテが金属の入れ物から何かを取り出した。今度は皿のような………!?

 

「な、それは…………!?」

「ビーフシチューを食べたあとの皿です」

「まさか……まさか貴様!!!」

 

 するとトーチャーは私の予想通り、千切ったパンにビーフシチューを付け始めた!

 き、貴様……貴様それは!!!

 

「ぜったいおいしいやつ─────────!!!」

「うめェぞォ?俺のビーフシチュー」

『また貴様が作ってるのか………』

 

 そしてゆっくりと口に運び、トーストを食べたトーチャーは─────

 

「………ンフフフ♡」

 

「んえあはふんふばぁい△♨⤴◯⊕≦✕◇★□あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

『姫様──────!?そんなになります!?』

「何か俺も心配になってきたなァ」

 

 

「………………は…………」

『ひ、姫様?』

「話し……………ます…………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……国王軍にはそんな弱点が……」

「情報は正しそうだなァトーチャー様ァ?」

「話した………話したわよ………だから、トーストを頂戴……一枚でもいいからぁ…………」

「一枚?………何を言っているの………あなたはもう秘密を吐いてしまった」

「カッカッカ!姫様もう用済みってこったァ」

『なっ!貴様!』

「そう、つまり…………

 

 

 

 

 一枚と言わず!トーストパーティー開催よ!」

 

「「いえ───────────い(ィ)!!!」」

『え〜………………』

 

 パーティーだぁ!バターだけじゃない!ジャムにスライスチーズに生クリームもある〜〜〜〜!!!

 焼き立てホッカホカのトーストを両手に持って、私は夢中で食べた。

 

「あーん!あーん!ん〜〜〜〜おいひい〜〜〜〜〜♡♡♡」

「いい食いっぷりだなァ!作った甲斐があるぜェ姫様ァ」

「このトースト、アルダンテが焼いたんでしょ〜〜天才じゃん!」

「カッカッカ!照れるなァ〜!俺のことは『アル』でいいぜ!姫様!」

「うん、わかった!アル!」

 

『すっごい仲良くなってる………』

「アルの良いところですね」

『貴様もあいつをアルと呼ぶのか………』

「拷問中はともかく、今日はもう終わったので」

 

「オラァ!出来たぜ姫様ァ!ベーコンエッグだァ!トーストに乗せろォ〜〜!」

「うわぁ~!おいしそ〜〜〜〜〜!!!」

「黄身は半熟だぜェ〜!!」

「最☆高〜〜〜〜〜!!!」

 

「「ドンッチャ♪ドンッチャ♪ドンチャッチャ〜〜♪」」

 

 

 

 

 

 こうして、私の過酷な拷問ライフが幕を開けたのだった!

 

 

 






 
 原作のまんますぎたかな…………?『駄目だろこれ』と思ったら教えてください。誤字脱字などの指摘もしてもらえるとありがたいです。
 
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