最初はトーチャーとアルダンテのやり取り。
一話目の最後はギャグっぽく終わらせたかったのでここに書きました。
トースト拷問後の夜─────────────
〈sideトーチャー〉 〜トースト拷問後の夜〜
「ふぅ………」
仕事終わり、私は自室にてシャワーを浴びた後、ソファーに座って体を休めています。
先ほど、姫様の拷問から得られた情報を魔王様に報告しましたが………
「まだまだ情報が必要………か、仕方ありません、拷問はこれから毎日行います。悪く思わないでくださいね?姫様」
私は暖炉に立てかけてあった鉄串を手に持ち、そう呟きました。
次の拷問の内容は決めてある………あとは彼と最後の打ち合わせをして、それから必要な道具の準備を───────
『ピンポーン』
「!」
私が明日の予定を考えていると、訪問を知らせるチャイムが鳴りました。…………誰でしょう?こんな時間に……………いえ、こういう時に来るのは……………訪問者にあたりをつけながら、自室のドアを開けると、そこにはよく知っている彼が立っていました。
「よォ〜トーちゃん、今いいかァ?」
「………どうしたの?アル」
彼はアル、アルダンテ・ファムル。かつて魔王軍の最前線で戦っていた戦歴をもち、現在は魔王城にて拷問補佐官を勤めている、私の同僚です。………ついでに言えば、小・中・高校からの幼馴染でもあります。
拷問補佐官とは別の任務も抱えていますが………しばらくは姫様へ拷問をする、拷問官のサポートに徹してくれるようです。
そんなアルが、私の部屋に遊びに来ること自体は珍しくありませんが…………
「それは………お酒?」
「おォ、良いワインが手に入ってなァ〜一緒にどうだ?つまみもあるぜェ?」
「それはいいけど……珍しいわね、アルは仕事の前日は呑まない派でしょ?」
「カッカッカ!気分だよ気分!」
「?……まぁいいわ、あがって」
アルを室内に招き入れ、ワイングラスを2つ取り出すと、アルの方はチーズなどのおつまみを用意していました。私がグラスを机に置くと、慣れた手つきでワインを注いでいくアル。あ、いい香り………本当にいいワインみたいですね。
「そんじゃ、姫様の拷問初日お疲れ様ァ!乾杯!」
「ふふっ乾杯」
おつまみと雑談を肴に、私達はワインを飲んで楽しいひと時を過ごしました。
「やっぱり、アルの方にも連絡がきたのね?」
「あァ、姫様の拷問は継続だろォ?早いとこ帰してやりてェがなァ〜………つーか、『我が軍は弱すぎるから、その程度の秘密じゃ勝てない』って…………そんなに弱かったけェ?
「国王軍側の力をつけてきているみたいね………アルが戻ればまた巻き返せるんじゃないかしら?」
「よせよせ………買い被りすぎだァ………それに、俺はもう戦場には戻れない………知ってるだろォ?」
「…………それもそうね、ごめんなさい」
「カッカッカ!謝るこたァねェよ!それより、どうだったァ?今日のトーストの出来は?」
「最高だったわ。おかげで楽に拷問できた」
「だろォ!?こだわったんだぜェ?生地作る時にヨーグルトとかも入れてよォ〜──────────」
そんな風に他愛もない話しをしながら、気づけば2時間近くも経過していました。これ以上は明日の拷問に差し障るので、お開きということに…………酔った状態のアルを自室の出口まで見送りに行きました。
「大丈夫?自分で部屋まで戻れそう?」
「あァ、これくれェなら大丈夫だァ……」
「そう?それじゃあ……「上手くいって良かったなァ」………え?」
「今日の拷問………」
「そ、そうね……アル?本当に大丈夫?」
「トーちゃん………しっかり準備してたもんなァ……」
「!」
「姫様の健康状態とか気にしながら、いろんな拷問考えて……何回もリハーサルしてたもんなァ………トーちゃんは真面目で、努力家だから……上手くいって安心したんだァ………」
「アル………」
「明日からまた拷問、頑張ろうなァ……俺が全力でサポートすっからァ」
「…………うん、頼りにしてる」
「カカッ………おやすみィ、トーちゃん」
「おやすみなさい、アル」
扉から顔を出して、アルが帰るのを見送る。廊下の曲がり角で彼の背中が見えなくなると、私は自室に戻り、ソファーに座って自分の頬に両手をあてました。
彼がお酒を持って来たのは、拷問を頑張った私を労うため………そして多分………有益な秘密じゃないと言われて、私が落ち込んでいないか確認するため……………もう子どもじゃないのですから、その程度のことで落ち込むかも…………と、心配されるのは心外です。
ですが………彼は私のことを気にかけて……私のためを想って………
頬が熱いのは………お酒せい?…………答えはわかっています。
〈sideアルダンテ〉 〜トースト拷問の翌日〜
さァ〜てェ!今日も仕事の時間だァ!
俺は今、
昨日からいよいよ本格的な拷問が始まり、姫様から王国の秘密を聞き出さにゃァならねェ。今回も成功させねェとなァ!
「アルダンテ、準備は出来ていますね?」
「おうよォ〜必要なもんは揃えてあるし、こいつの整備もバッチリだぜトーちゃ………トーチャー様ァ」
「流石ですね」
目の前にいるどえれェ美人は俺の上司、トーちゃんことトーチャーちゃんだァ。
俺とトーちゃんはいわゆる幼馴染ってやつだなァ。普段は愛称で呼び合う仲だが、今は仕事モードのトーちゃんに合わせてなるべく敬語を使うようにしてる………………が、昔のノリでついついタメ口で喋っちまいそうになるんだよなァ……………
……………にしても、昨日はトーちゃんを元気づけるつもりで遊びに行ったが、大丈夫そうだったなァ。余計なお世話だったかァ?
まァ、今朝会った時は「楽しかった」って言ってたし、行って良かったよなァ?
あ、んなこと考えてたら姫様の牢屋についたわ。
「姫様………拷問の時間です」
トーちゃんが決め台詞を言っている間に、俺は準備に取り掛かる。今回の拷問の…………たこ焼きの準備になァ!
俺は持ってきたもの………たこ焼き用の屋台を開いた。よ〜しよし、鉄板は温まってるなァ?熱してから蓋をして持ってきて正解だったぜェ〜これですぐに焼ける。
…………何かエクスが『今日の姫様はお腹パンパン!』とか、『王女にして第三騎士団〜』とか言ってるなァ…………まァいいや。
まずは生地を穴の半分くらいまで注いでェ〜そこにタコ、青ネギ、紅生姜、天かすを入れていくゥ。
『それは………たこ焼き?はっはっは!そんな庶民の食事に、姫様が誑かされるわけないだろ!』
「うわぁ~☆」
『姫様?』
あ、姫様こっち来た。
「よォ姫様ァ〜これから生地をかけて丸めていくぜェ〜見とけよォ?」
「そうなのか!は、はじめて見るな!」
『姫様?』
「あ………いや、その、だ、大丈夫だ!食べたこともないものに私が屈する訳が無いだろう!?」
「生地入れてくぞォ〜」
「おぉ〜………ん?入れすぎじゃないのか!?鉄板の穴が見えなくなってしまったぞ!?」
『姫様………』
あァ、所見だとそう思うかァ。俺は二本の鉄ピックを手に持って鉄板の前に立つ。
「まァ見とけ〜こうしてやんだよ」
「おお!どんどん丸いのが出てくるぞ!というかひっくり返すの速っ!?すごいな!」
「カッカッカ!たこ焼き屋でバイトしてたからなァ!」
『魔族ってバイトとかするのか』
よーし、全部ひっくり返したな?そんじゃこの上にさらに生地を流し込んで、きれいな丸になるように焼いていくぞォ〜
にしてもえらい楽しそうに見てくれるなァ姫様。そういやさっき食べたことないとか言ってたか?
「なァ姫様、たこ焼き自体は知ってるみてェだが、食べる機会はなかったのかァ?」
「ん、まぁ………………な、存在は知っていたんだ。いつも祭りの様子を城の窓から眺めてたから…………屋台でそれを買った国民達が美味しそうに食べていたんだ」
そう言うと姫様はギュッと服を握りしめて、うつむいちまった。
そして………………
「しょ、正直…………うらやましかったです……」
『泣いた!?』
ポロポロと涙を流し始めた………………
「………なァ、もう普通に食わせていいか?」
「駄目に決まっているでしょう、拷問よこれ」
「いやでもォ…………可哀想じゃねェか」
「私だって心苦しいわよ…………手早くすむようにするから」
「頼むぜェ?ほい、たこ焼き上がりィ〜」
その後、出来立てのたこ焼きをほっふほっふしながら幸せそうに食べた姫様は、無事(?)王国の秘密を話してくれた。
……………なんか「これが
「なるほど………国王軍最強の武器がそんなところに隠されて………」
「お〜上手だぜェ姫様」
「えへへ〜ありがと〜アルって教える上手いね!
見ろエクス!これ私が焼いたんだぞ!中身はチーズだ!」
『………………』
〈おまけ:拷問後〉
「んでェ?最強の武器の在り処がわかったんだろォ?魔王様はなんて?」
「それが……『そんな強力な武器、怖くて使えない』……だそうよ」
「あァ!?お前そりャ……………!?」
「怖いなら仕方ねェな」
「えぇ、仕方ないわ」
無理強いはよくねェもんな
高校生の時はバイト戦士だったオリ主です。
書いてて思ったこと、『トースト拷問後とかトースト拷問の翌日とか書いたけど、トースト拷問ってなんだ………?』