始発点から青春駅へ   作:3ご

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誤字・脱字報告助かります。
書いてるととても楽しくなり、自分でも見落としが多くなるので、ありがたいです。

さて、ここからは数日間程書き溜め作業に入りたいと思います。
プロットではもう結末まで決まっているのですが、執筆しているとさらにキャラクターが動かせそうなので、大筋は変えずに、物語の深堀にも時間を割いていく所存です。

にしても、初めて小説で二次創作をしましたが、とっても楽しいですね。今まで何故やろうと思わなかったのか疑問です。

そしてシロコちゃんは可愛い。
現場からは以上です!


第7話

「ふぅ~こんなものかしらね。シロコちゃん、そっちはどう? 終わりそう?」

「……進捗、だめそう」

 

 残暑手前の炎天下。三人して二階の部屋の片づけをせっせと行っているのだが、想像以上にほこりやら虫問題やらで見積もり以上の時間が掛かっていた。

 

 エアコンの掃除もしなければならないので扇風機だけで熱を逃がそうと足掻くが、太陽はこれでもかと熱を部屋に送り込んでくるのだ。もうそろそろ夕方だし、早めにお月様出ないかな。

 

「ふーむ、これは中々手こずる問題ですな。所々壁も劣化していますし、これは今日だけで終わらせるのは不可能でしょう。せめて燃えるゴミなどだけでも全部回収して、日を跨いで掃除した方がよいですね」

 

 デカルトの言う通りだ。早朝から作業してこれでは明日の朝までかかってしまう。

 肉体的にも疲れたし、正直もう休みたい。それにーー今日一日中ただ働き!!

 

「そうね、もうここまで来たら素直に諦めるわ。あーあ、明日は業者に頼むかぁ。うーん……」

 

 椅子に座り、炭酸飲料を一気に喉に流し込みながら、胡坐をかく。もうこれで五本目だ。うっぷと何回も口ずさみながら作業してる様は、どの角度から見ても乙女とは言い難かっただろう。でも一緒にいるのはナミさんとデカルトさんだけだし、気にしても仕方ないか。

 

「ふぅ、さて社長、報酬の件ですが……」

「なに、今忙しいの」

 

 不機嫌をこれでもかと全面に押し出すナミさんに圧されたのか、彼は臆病にも私の後ろに隠れてしまった。

 

「ナミさん、彼は頑張ったよ」

「う、君に言われなくても分かってるよ。今は業者を手配中なの。少し待ちなさい」

「だってよ、よかったね」

 

 ほっと胸を撫で下ろす姿に哀愁を覚える。そもそも昨日私とお弁当で手を打とうと話していたのに、こんな重労働だなんて聞いてないと途中で我儘を言い始めたのは彼だ。何故今そのタイミングで駄々を捏ねたかは分からないが、きっと彼にも境界線というのがあるのだろう。

 

 確かしょ……しょう……しょうげ……えっと、なんだっけ。ああそうだ諸葛亮だ。確かその組織を運営するのに教祖自らが背中を見せないといけないって言ってた。くだらないとは言わないけど、なんか色々大変だなぁ。

 

「はぁー何とか話しついた」

「社長、お疲れ様。汗で体べとべとでしょ。私の部屋でお風呂入ってく?」

「んー……あ、それならさ、温泉にでも行かない?」

「温泉? え、行きたい。この辺にあるの?」

 

 ここに来てからという物、目の前の事に集中しすぎてたせいか、そういったレジャースポットなどは周った事が無かった。それにお金も潤沢にある訳じゃないし。

 

「うふふ、そっか行ったことないのか。そこのお店も私が経営している温泉宿なの。決して大きくは無いけど、ここら辺にそういったのが無かったから張り切って作っちゃった」

 

 凄い。

 凄い人だとは思ったけど、まさかここまでとは。どこにそんな体力と時間があるのだろう。

 

「現場経営は他の人に任せてるのよ。あくまで私はオーナーって立場ね。さ、じゃあデカルト、これが報酬」

「ふむ? なんですかなこれは?」

「温泉宿のカードね。これさえあれば年中入り放題だから。報酬はこれでいいでしょ? 対価にしては破格過ぎると思わない?」

「な!? ななななんと!?」

 

ーー

ーー

 

 硫黄の香りが漂う密閉された空間。水蒸気が眼前全体に漂う。向こう出入口がギリギリ視界確保出来る状況に最初は困惑したが、こうして入っていると人が視界に入らない分、普通の温泉よりもゆったりとした自分のスペースを確保出来た気分になる。ナミさんきっての要望らしい。センスがある。

 

「ね、気持ちいでしょ? 逆に露天風呂は視界がクリアだから気分でいつでも変えられるし、目が悪い人の為に出入口を二つにしてあるから困る事も無い。おかげでそれなりに繁盛していてね、利益が凄いのなんのって」

 

「へぇ、温泉のお仕事はよく分からないけど、そんなに儲かるんだ」

「普通はそこまで儲からない。けどま、私の手腕が凄いだけ」

 

 えっへんと力こぶを指さし、ふふんと天狗っぽく鼻を鳴らす。

 こうしてみると、やっぱりナミさんはとっても美人さんだ。すべすべの真っ白な白い肌に、輝く金髪。そして星空のような青々とした瞳。

 本当に綺麗な人は水をかぶっても綺麗だとは言うけど、彼女は別格。

 

「ねぇシロコちゃん」

「ん?」

「少し、大きくなったね。どことは言わないけど」

「へぁ!? ……エッチなのはダメ。死刑」

「どこかで聞いたセリフね……」

「やはり噂は本当だったのかも……」

「噂? 私が閉店作業をしている時に何を話していたのよ」

 

「えっと、社長が私をかくまってる理由は、いずれ食べる為だって」

「そうね、豚さんみたいにぶくぶく甘やかして、最終的にはベーコンにしてやるよっておいおいあいつらそんな事吹き込んだのかよもう明日は野宿ね野宿」

「テント……いいかも」

「よかないでしょ。というか、どう? 仲良く出来そう?」

 

「……多分」

「どうしてそういう時はいつも自信無いの。何かあるの? 別に他のお客さんと話す時は普通なのに」

「特に……。大丈夫だよ。ふぅ、のぼせたかも。もう先に上がるね」

 

 考え込むと、辛くなる。

 思い出すと、悲しくなる。

 いくらこの世界では無かった事だったとしても、それが私の過去を変える訳ではないから。

 

ーー

ーー

 

「はい、牛乳」

「牛乳……?」

「甘くておいしいよ。飲んだらご飯食べようか。何か食べたい?

「……今日もいいの?」

「もっちろんじゃない! 一日休日潰して貰ったんだしさ。がっつりなんでも私にいいたまえ」

 

「えっと、じゃあラーメン」

「ラーメン? 珍しいね。どうしたのさ」

「……昔好きだったの。久しぶりにいいかなって」

 

 

 




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