始発点から青春駅へ   作:3ご

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第三十話

 電柱の影に隠れる四人。

 それぞれが自分の身長を考慮し、一番下がヨミ、次にメルでその上が私。そして一番身長が高いサノ。

 

 電柱の影から出ている顔は、上から下まで綺麗に陳列している。客観的に見てお団子の様に見えるだろう。

 それもこれも、全てはこのスーパーの内情を知る為。特殊な隠密作戦なのだっ!

 

「逆に怪しくないか……これ。たまに通行人と目が合うんだが」

 

 目的のカイザーが運営しているスーパー。俯瞰視点で見ると真四角な形状をしており、商店街の通りに入り口があり、当然客足は多い。

 側面に細い裏路地が左右二つあり、片方は裏道へ、もう片方は行き止まりの道で、そこがこの店の裏の出入り口まで繋がっている。

 

 私達が陣取っているこの電柱は裏の出入り口の方に続いている道で、裏道手前に生えている。スタッフが何人も出入りしていることから、裏口は一つしか無いみたいだ。

 

「サノちゃん、目が合ったら微笑んでおいて。これは疑いを掛けられたら終わる任務」

「ですわね。サノ、あなたは通行人が通るたびににひひーと口角を上げておいてくださいまし」

「あ!? お買い物を終わらせた奥様がこちらに来るよ!? サノ、早く!」

 

 サノの作りに作りまくった微笑ましい笑顔を見た奥様は、うわぁ何あれぇとポツリと呟きながら早足で去っていく。想像以上の速度だ。世界早歩き選手権なるものがあればトップに躍り出るだろう。

 

「おい、私は一生懸命こなしたぞ」

「サノ……いえ、私はお好きですわ」

「サノちゃっ! 明日を向いて生きよう!」

「ん、良いと思う。人避けの為にもっと笑顔を振りまくべき」

「お前ら適当な事言うなよ? その角度でこっちの表情なんか見える訳ないよな?」

 

 そう、私達の視点は一つから外れない。

 ここから出てくるであろうパキッと決まったスーツ姿のカイザー社員が出てくるまで、じっと辛抱。

 

「あのー……?」

 

 背後から私達に向かって声をかける人物。

 振り返ると、そこにはシャツにエプロン、胸には大きなバッジを付けた店員さんが立っていた。

 ニコニコ顔をしているが、私には分かる。この人は怒っている! だって目が笑ってない。

 

「何をしているのかな?」

 

 究極でシンプルな質問だ。答え方によってはヴァルキューレを呼ばれる可能性もある。

 頭を回転させろ。裏口から来る人を見張ってましたは0点。人を探していますも0点。趣味ですはー……20点。

 

 すると、ヨミが店員さんに向かって唇に人差し指を当て、その指先を一方の方向へと指した。先には二匹の猫がゴロニャンとくつろいでおり、一匹は無警戒だが、もう一匹はじっとこちらに視線を向け警戒している。

 

「私達はにゃんこハンター! キヴォトス中のあらゆる野良猫達をそのスマホに収め、ネットにアップして承認欲求を満たす者達!! その名前に聞き覚えは!?」

「いや特にないけど。あと私は犬派だからね。貴様は敵だ」

 

 いきなりの宿命の対決に困惑するヨミだが、キッと目を尖らせうおおおおと叫びながらその猫二匹に突進を仕掛ける。当然猫二匹はびっくりしてそそくさと散り散りになるが、彼女は振り返って親指をグッと私達に向けてきた。

 

 きっと、単純に言い訳を考えれなくての奇行だと推測。

 

 彼女の作戦では、店員さんも猫好きで可愛いよねーでもあんまりこの辺うろちょろしないでよね。っと共感を交えた茶目っ気で押し通そうとしたのだろうが、まさかの犬派だ。

 

「おい敵、戻って来い」

 

 店員さんの圧の一言に渋々戻る彼女。

 もう私達はおしまいなのだろうか。

 

「とりあえずスマホを見せなさい。変なの撮って無かったら許してあげるから」

「わん……。後、中には沢山のえっちな写真が入ってますから、あまりジロジロ見ないでくださいね」

 

 全く今時の生徒は。と眉間に皺を寄せながらスマホを開く店員さん。

 写真フォルダに到達したのか、ふむふむとわざとらしく声を出す。きっとこの人もさっさと終わらせたいのだろう。事務的に処理を遂行し終わるその時。

 

「ふぉ!?」

 

 急に変な声を出し始めたかと思うと、店員さんの視線は私に向き、足元から頭の先まで這わせる。

 何だろう? 今日の服装がおかしいのかな。今日は狼ちゃんがデカデカとプリントされたパーカーにスキニーパンツ。シンプルでおかしい所は何もない筈だが。

 

「……まぁ良いだろう。もう変な動きはするなよ」

 

 最終的に赤面まで達した店員さんはそそくさとその場を後にするが、やはり最後には私をチラリと視界に入れていた。

 ヨミの写真フォルダには一体何が入っているのだろう。

 

「作戦失敗ですわね。次の案を考えましょうか。とりあえず横のカフェに入って作戦会議ですわね」

 

ーー

ーー

 

 私はミルク入りアイスコーヒー、サノはカフェモカ、メルはエスプレッソトニックとか言うよく分からないので、ヨミはブラックコーヒー。

 メルは何となく分かるけど、サノが甘いのでヨミが渋いチョイスをするのは意外だった。見た目的に逆だ。

 

「さてさて、我々ドッグハンターの次なる作戦なのだがね」

「おい待て店員さんに負けるなよ。最後まで通せって」

 

 ヨミの頭部に手刀を入れるサノ。

 さっきの店員さんに何を見られたのか大変気になったが、その前に今はまず目の前の作戦に集中。

 私を見て赤面すると言うことは大方予想出来るが、宝箱というのは開けてみないと中に何が入っているか分からない。

 

 とりあえず二口三口程コーヒーを楽しんでから、本格的に次の作戦会議に入る。

 

「でもどうされますの? やはりドローンが一番だとは思うのですけど」

「でもここって飛行禁止区域じゃ?」

「その点は大丈夫。私に掛かれば無線帯域くらい誤魔化せますよ。長時間は無理ですけどね。一応ミレニアム入れるくらいの学力は持っていますし」

「あー自慢だサノちゃん! 自慢はいけないんだ!」

「ふふん、私は頭が良いんだ」

 

 鼻を鳴らし胸を張る彼女。

 せっかく素晴らしい学力を持っているのに、その使い道が私を主軸にしたえっちな小説なのは悲しい限りだ。

 

「じゃあ次の作戦案はサノちゃんだね」

「む! 任命されたのなら仕方ありませんね! 暴力と隠密はどちらがお好きですか?」

「そんなの暴力に決まってるじゃないの……ですわよねシロコさん?」

「決めつけ……!?」

 

 すると、サノが一枚の紙を私達の前に差し出す。

 そこに書かれていたのは、この周辺の地図と、それを管理している電波塔だ。

 

「ともかく、あの神社みたいにドローンを使ってこの建物をスキャンするのが手っ取り早いと思います。ですが、さっきシロコさんが言ってた様にこの周辺は飛行禁止区域」

「ドローンの飛行管理は周波数帯域で決められていますからね。飛ばした瞬間、電波塔がその無線をキャッチし、アプリを通して警告してくる。という流れですわね」

「そうだ、極論、その電波塔に侵入して許諾出来る無線帯域を広げるか、一部ドローンだけ許可をすればいい。それか電源を落とすかだが、それは他の施設に迷惑が掛かるから却下だ」

「その中なら……許諾出来る範囲を広げる?」

「です。あの手の施設をきちんとスキャンしようとすれば、大体1時間は必要になります。私が誤魔化そうとしても10分が限界です」

「でもサノちゃん、警備ロボットはどうしよう? 監視カメラとか熱探知とかは解除出来るけどさ」

「あの電波塔自体そこまで警備は厳重じゃない。そのくらい何とか出来るだろう。私達なら」

 

 不適な笑みを浮かべるサノ。

 グビリとカフェモカを飲み干して咽せた後、こんな事もあろうかと言い、四つのとある物を私達の前に出した。

 




店員さんは一体何を見たのでしょうね・・・!

(>◽︎<)<そういえば、モモイがもうそろそろ褒められたいなーって言ってました!
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