始発点から青春駅へ   作:3ご

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第五十一話

 狭い廊下の端。両手に握り込んだハンドガンはいくつかの傷が出来、マガジンは二本使い切ったせいか残りの弾倉数は三つだけだ。

 弾倉先端にある弾丸を確認し、再度ハンドガンに嵌め込み、スライドを引きトリガーに指を添える。

 

ーー

ーー

 

 場と状況が悪いと考えた私は、スモークグレネードを取り出し天に向かって投げ込んだ。

 反射神経の良いメルは瞬時に反応したのか、手に持ってるスナイパーライフルを即座構え弾音を響かせる。

 すると、内部に詰まっていた煙が辺り一体に充満。その間に私は出口へと走り出し、エレベーターのボタンを押し扉を閉める。

 上階に着きすぐさまエネルギー質の扉を開け、中に入り体勢を整える事にした。

 何せこちらは武器が少ない。作戦を考えなければ確実に負ける。

 

「ミコト、出て来なさい」

「ミコトちゃん、まだ体が完治してないんだから安静にしないと」

「ミコト、怒らないから出て来てくれ」

 

 1分も経ってないのにこの追跡力、何かGPSでも仕込まれたか。いや、これが彼女達の能力だ。

 SRTの精鋭部隊。如何なる環境でも任務を遂行する執念。胆力、忍耐力。

 先手必勝。まずはこちらから手を出して正確な実力を計る。

 机の角から足音を立てずに死角から突っ込むが、驚いた顔をしただけでサノは瞬時に二人に合図を送り、自分達に有利な戦闘の間合いを取り始めた。

 

「ふっ!!!」

 

 流石に三体一では分が悪い。一人、せめて二人だけだったら対処は出来るが、三人揃うと手が負えなくなる。私が懐に踏み込み腹を狙って拳を突き出そうとすれば、横から顔を目掛けて膝蹴りが飛ぶ。そのタイミングで左に体重を掛け、その勢いで回転し裏拳で顎先を狙おうとするも、裏拳ごと背後にいるもう一人に拳を捕まれ、そのまま地面に伏せられる所を後頭部の頭突きで押し除け、場を離れる。

 

 少し距離を取れば後は蜂の巣の展開しか残されてない。

 正確無比なメルの射撃に足、腹、頭に銃弾を何度も打ち込まれ。意識が飛びそうになったがなんとか踏ん張りヨミの腰にあるスモークグレネードを打ち抜き、煙を充満させて姿を眩ませる。

 

 その間にエネルギー管理室を抜け出し通路に出ると、距離を置いて煙の被害が少なかったメルがすぐさま同じ様に部屋を飛び出し一発の銃弾を打ち込もうとする。超至近距離からのスナイパーライフルは普通なら愚策だが、走り出した勢いで体重バランスの偏った私の行動予測など容易い。

 が、私も今まで沢山の戦闘を経験してきた。照準が定まると同時に射程の範囲を予測し、振り返って浮いている片方の足とは逆の足で体重の偏りのバランスを崩す。

 

 トリガーを引くまでゼロコンマ2秒、1秒……!

 

 トリガーを引いた瞬間、片方の踵を無理やり捻り腰まで回転させ、数角度だけ体全体をずらす。

 弾丸は見事脇腹を擦り、後方にある窓ガラスを突き破る。一瞬何が起こったのか頭が追いついていないメルに向かって弾丸を数発放つと全弾がスナイパーライフルの中央に当たったのか銃身ごと曲がり、使えないと瞬時に判断したメルは腰に据えてあるハンドガンに手を伸ばし速攻で構え、私に向かってマガジン全弾を撃ち込む。が、勿論その間に私は体勢を立て直しその割れた窓ガラスの中に向かって走り出す。

 構えが雑。体幹整えず放つ弾丸など容易に読みやすい。わざと照準の中央に背中を向け、同様にトリガーを放とうとした瞬間に腰を動かし体を曲げる。読み通り弾丸は私の前へと飛び、残りの窓ガラスを割ってくれたおかげで飛び込みやすくなった。

 

 背後でマガジンを装着した音が鳴り始めたと同時にその割れた窓ガラスに向かって大きく飛び込む。

 ジャンプし、空中で体を捻り逆さまになった瞬間。視線をメルに移し片方に持っていたハンドガンを彼女の頭部に照準を合わせ、引き金に指を添える。

 

 意識を集中させると、段々と時間の進みが遅くなる。少しのブレでもこの距離なら大きな角度になり、目標対象には当たらない。サイトが彼女に重なった瞬間引き金を引くなど不可能だ。手ブレを予想し、流れるように打ち込んでもずれる。腕が真っすぐに突っ張った瞬間、まるで自身の体が一つのバレルの様に張った時。

 1フレーム、2フレーム、3フレーム……。

 集中が増せば増すほど、コマ送りになる視界。

 まだ、骨の軋みを感じる。まだ、サイトの重なりがブレる。まだ、息を吸い込み切ってない。

 心臓の鼓動は1回目、まばたきは0回目。肩の力が抜け始めた。次一瞬で力が入れば。

 

 ──今だ!!!

 

「はっ!!!」

 

 三発の銃声が鳴り響き、結果を見る前に私は窓を突き破り部屋の中に転がる。

 ガラスが何度か肌を切り裂いたが、幸いにも突き刺さってはいない為ダメージはそこまで大きくはない。

 すぐさま体勢を立て直し、体を出さずに一発の銃弾を窓越しに打ち込んでから顔を出すと、そこには倒れたメルの姿と介抱しているサノ。シールドを構えているヨミが壁を作っていた。

 どうやら一人は倒したみたいだ。項垂れた状態。意識が飛んでいるのか、何度かサノが頬を叩いてもびくともしない。そのままエネルギー室まで引き摺られ、廊下にはヨミが一人。

 

 彼女達から隠れてやり過ごすのは殆ど不可能。

 そもそもここは敵の本拠地。やり方などいくらでもあるし、ジリ貧になればこちらが負ける。ここはまず片方の体力を削り、連携に溝を作る作業が必要だ。

 

 どんな相手でも、相手の心理状態を自らの戦いの作戦に組み込む。それは戦場の一瞬の状況でも変わらず、呼吸すら大事な情報だ。盤上の駒を先に出した方が負けるし、わざと出させて出方を見る先手打ちも重要。どちらが先の先の先まで読み切り最後の王手を決めるのか。

 

「どうしたのヨミちゃん。かかってこないとつまらないよ?」

 

 窓越しにゆっくり片手を出し、手招きのジェスチャー。視線を交わしているヨミの表情は分かりやすく、目を見開き片手に持っているハンドガンの照準をしっかり私に合わせる。

 数秒前に比べて呼吸が荒くなった。

 いくら私が大切なミコトだとは言え、大切な仲間を傷つけられれば例え洗脳されていても怒りを感じるはず。しかも挑発されているのだ。

 すぐにやり返してやりたいが、敵の出方が見えない以上下手に出るのは憚られる。当然の判断だ。

 ──だから、私もゆっくりと彼女に対して銃を構えられる時間を得る事が出来る。

 

 50:0。

 私は手招きをしているから銃は構えていない。それで相手は自分も有利だと感じる。けど、状況は瞬時に変わるもの。私が銃を構えれば50:50でイーブン。

 が、ヨミはシールダーだ。

 本人は盾を構えているから実際は銃を構えられても50:50ではなく、肌感覚的に90:10の割合で考えているだろう。

 そこがシールダーの溝。相手の装備と自分の装備の価値で作戦は変わる。今の私は割れた窓ガラス越しだから、彼女も迂闊には発砲して来ない。勿論弾切れの心配もあるし、今は裏でサノがメルの介抱をしているから少しでも時間を稼ぎたい筈だ。

 

 ──そこを狙う。

 

 さっきの三発の銃弾。

 一発目は脳天。

 二発目と三発目はベルトを狙った。

 そのベルトに装着されていたのは数個のマガジンと、手榴弾。

 今も回収されずそこに置き去りにされている。一つだけシールドの外側に転がり、無造作に放置だ。

 

 持ち上げていた片方の銃をゆっくり降ろし、ヨミに目掛けて照準を合わせる。

 彼女は微動だにせず、きっと私の銃弾が自分の身を傷つけるとさえ思っているであろう。盾越しの彼女の表情は上手く見えないが、動かないのが何よりの証拠。

 

 ──読めた。

 

 一発の銃声が鳴り響く。それと同時に大きな爆発音。

 背後に置いてあった手榴弾が全部引火したのだろう。複数の爆発は大きくなり、スモークグレネードもあったのか、煙と爆発の勢いで落ちてきた天井のせいで辺りが視界不良になる程の粉塵が舞い散った。それは距離のある私の所まで届いている。

 これでヨミも戦闘不能になればいいが、彼女はとにかく頑丈。体力も耐久力も化け物染みている。山道での練習中、私でさえ息が上がる地獄の坂道を息一つせずに楽々に登りきっていた。

 

 だが、流石の彼女でもあれだけの爆発に巻き込まれれば──。

 

「な!?」

 

 もしかしたら、思考が読まれていたのは私の方だったか。

 彼女はきっと選んだのだ。距離を詰める方法を。

 普通に走っては私に引き離されるのは自明の理。シールドはとにかく重い。その分防御力と近接戦闘力は高いのだが、重要なスピードが落ちてしまう。だから加速装置として手榴弾を受ける事を選んだ。想像していたより脳筋な選択に開いた口が塞がらない。作戦は成功だ。彼女は私の目前まで迫り、大きな盾を振りかぶり私の体を大きくのけぞらせる。

 

 何とか両手でガードは間に合ったが、壁がへこむ程大きく叩きつけられ体力と意識を奪われてしまった。

 事務室の机を蹴り上げ彼女に投げ込むが、当然の様に盾で防がれダメージも無い。

 あまりにの背中の痛みにしばらくは呼吸が出来なさそうだが、だからと言ってヨミの進撃が止まる訳もなく、適当な椅子を持ち上げて彼女に投げつける。

 

 どんな訓練をすればシールドで椅子が弾き飛ばせるのだろう。しかも私目掛けて。

 ガードが間に合わず、顔に椅子が当たり視界が眩まさせられると、突進してきたヨミにもう一度吹き飛ばされそのまま盾の力で壁に挟まれる。

 ジリジリと圧力が増す度に壁がへこみ、後頭部を力強く打った影響か一瞬意識が飛んだが、また圧力の痛みで無理やり意識を戻される。適当に数発ハンドガンをシールドの目線の所に撃ち込むが、当然びくともしない。が、急な反撃に動揺したのか、一瞬だけ力が弱まった。

 

 その機を逃さない。

 

 すぐさま両手をシールドの両肩に置き、壁に押される力を利用して両膝を体の中心に畳み込み、両肩を壁際に付け、両足をシールドの正面へと添える。なるべく斜めになる様に自身の体制を変える。

 ずっと鍛えてきた脚力。足の力は腕を凌駕する。

 縦の力と横の力、踏ん張る力と持ち上げる力。どっちが強いかなんて明白。水平は垂直に勝てない。

 一瞬弱める。

 力の分散に迷ったヨミの心理状態は丸分かりだ。グラグラとバランス力を欠き始めた。硬直した体勢は次の一手が大事。押し込むのもトドメを刺すのもとにかく体勢がいる。が、そんな悩んでいる時間はこの場にて存在しない。

 

「──ふっ!!」

 

 両足に一気に力を入れ、彼女をシールドごと後方の壁まで拭き飛ばす。

 そのままの勢いで一気に叩き込もうと、体を起こし前のめりになり両足に力を込めて加速しようとした瞬間、ヨミは空中で体を回転させ、壁に両足を沈み込ませ、ゼロコンマ数秒硬直した後にシールドを構え直しながら一気に私目掛けて突っ込んできた。

 流石にあの加速を用いたシールドの打撃を受ければしばらく起き上がれないだろう。

 もう少し判断を遅くすれば私に照準を合わせて突進出来たのに、本能、反射的に選択してしまった君の負けだ。

 

 前のめりになった体を一回転前転させ、両手が床に添えられる瞬間、ヨミの体が私の頭上を通過しようとしたタイミングで一気に両足を天に突き刺す。読み通り彼女の体は天井へと吹き飛ばされ、床に打ち付けられた。

 

 意識が無くなったのか、ぴくりとも動かない。

 

「はぁ……はぁ……強かった。けど、私はもっと何十倍も強いシールダーと戦った事がある。まだまだ修行が足りないね」

 

 彼女の腰にあるハンドガンとマガジンを取り、部屋から出た瞬間。

 

「ぐっ──!!」

 

 嵐の様なアサルトライフルの弾丸が全身を襲う。

 視界を確保するより前に、近くの細い廊下へと逃げ込む。

 

「あと一人……でも、流石に体が痛すぎる。体力も……きついね」

 

 相手はサノだ。

 彼女はとにかく速い。こと戦闘に於いてはスピードが勝敗を決めると言っても過言ではない。

 特に近接戦闘では顕著だ。力の差というのはそこまで重要な要素じゃない。どれだけ腕力が強かろうと、キレのあるナイフ一本を持った人に負ける事などざらだ。つまり、同じ装備を持った物同士なら速さを持っている人が勝つ。体重の差は関係が無い。

 だから、今の私の方が圧倒的に不利。

 

「クフッっ……ちっ」

 

 ヨミの一撃がかなり響いている。吐血などいつ以来だろうか。満身創痍。

 とにかく今の目的は、もう一度ナラム・シンの玉座に戻り、カイロスもどきを数発殴ってから仮面をもぎ取る。

 今は四階。三階の時間・空間研究室に入り、扉を吹き飛ばして玉座に舞い戻る。

 

「とかく歩く──って、流石に逃してはくれないか」

 

 廊下の先へ背を向けながら歩く途中、視線の先にサノが現れた。

 とても彼女らしい登場の仕方だ。無駄な小細工は不要、一対一の勝負をご所望らしい。しかも足元にアサルトライフル。手元にはハンドガン。

 

 正真正銘、真正面から戦う気満々らしい。

 

 普通、ここまで正面からなら何か事前に会話をするのが定石なはず。憎たらしい一言とか、よくも私の仲間をとか。

 けど、サノに至っては急に腰を落とし、全速力で私に向かって走り始めたのだ。まぁ、定石通りに行けば私がすかさず一発を撃ち込む予定だったのだけど、もしかして思考が読まれていたのかな。

 

 向かってくる彼女に向かって数発弾丸を撃ち込む。

 避けてバランスを崩した所に足を置き大きく転倒させ、床に突っ伏した所にマガジン全弾を撃ち込むという作戦だったのだが、なんと彼女は片手で受け止め突進する選択をする。

 

 が、それは織り込み済み。

 

 わざと目元に銃弾を送り込み、腕を上げる瞬間を待っていた。

 私も片足に力を込め小さく前方にステップする。そしてその反動を利用し、腰を斜め後ろに回し、左足を軸に右足を上げ、彼女の突進に向かって大きく回し蹴りを繰り出した。

 フック気味の掛け蹴りに近い回し蹴り。正面だと予測した彼女の側頭部に靴裏がヒットすると、サノは大きくよろけた。これで勝負が付くと思ったが、彼女は壁に叩きつけられた反動を利用し大きく右手を振りかぶると、そのまま私の腹部目指して突き刺す。

 体勢を戻す前に喰らった一撃は私を床に蹲らせるのに充分な威力だった。確実に肋骨が数本いってる。まるで車……いや、電車に跳ねられたみたいな衝撃。普通の銃弾よりも強いだなんてそんな話は聞いてない。いや待って私電車に跳ねられたことないぞ。まずい、思考がおかしくなってる。

 

 私はサノを見上げ、サノは壁にもたれ掛かりながら私を見下ろす。

 もう、どうにでもなれだ。

 ゆっくりと起き上がり、片方の手は右頬に添え、もう片方の手は彼女に向かって突き出す。

 相手の土俵に引き摺り込み、選択肢を狭めて相手を蹂躙する。でもそれは相手の土俵に対して少しでも勝算がある前提での戦い方だ。今の所彼女と殴り合って勝てる可能性は0に近い。

 

「どうした……の。ほら、得意でしょ? かかって来い」

「言ったな……ミコト。必ず沈めて部屋に連れ帰ってやる」

 

 言い終わると同時に、躊躇いの無い渾身の右ストレートを振りかぶってきた。紙一重でそれを躱し、カウンターの右ストレートを小さく当てる。すぐさま追撃のカウンターの右ストレートを放ってくるが、これもダッキングで躱し本命の左フックをさっきと同じ側頭部に叩き込んだ。 

 

 ふらりと力なく倒れそうなサノの反応。これで終わったかと思ったが、急に片方の足で踏ん張ったと思ったら、見えない角度からの大振りの左アッパーをもろに喰らい、二歩三歩と体を仰け反らされる。

 私もふらりと意識が飛びそうになったが、なんとか踏ん張りそのまま片方の足を軸に軌道を作り、彼女のふくらはぎに向かって大きく蹴り込んだ。

 

 体勢を崩した彼女の顔めがけて膝を突き出すも、片手で軽くいなされてバランスを崩し、そのまま地面に突っ伏す。逃げる間もなくサノはお腹にのしかかりマウントを取り、右手を振りかぶろうとするが、その瞬間状態を全力で起こし彼女に抱きつき、床に引き摺り込んだ後、体勢を変え今度は私がマウントを取る。そのまま右を大きく打ち込んだが、頭だけで避けられ床には穴が空き、サノの両手が私の足を持ち上げると、そのまま前方に投げ飛ばされてしまった。

 

 その最中、カチャリと金属音が響く。

 投げ飛ばされた私のベルトから落ちたハンドガンだ。

 互いに床に突っ伏している状態、視線を交互に交わす。

 勝利条件は互いに同じ。戦闘不能にさせること。でも……でも。

 

「は! 考えている事は同じか?」

「ん、みたいだね。そんな詰まらない終わり方は嫌かも」

 

 互いに息を整える。

 次が勝機のタイミングだ。

 

「「行くぞ!!!」」

 

 互いに走り出す。

 勢いはサノの方が上。けど、振りかぶる速度は私の方が速い。

 数メートル、数十センチ、数センチ。

 互いの足元が重なり合った瞬間、どっちが先に打撃を与えれるか。

 彼女より先に拳を出す。出し切る、伸び切る。私の拳はサノの横を通り過ぎ、もう当たる事はない。

 サノの勝利を確信した顔。覚悟しろ、歯を食い縛れと言わんばかりの表情。

 けど、床に倒れるのはサノだ。この勝負は先に拳を出した方が勝ち。相手の先の先まで読んだ方の勝ち。私の狙いは最初っから拳じゃない。その奥にある鍛え上げられた脚。

 

 振りかぶった拳の方に腰を大きく捻り、右足を斜め上に左足と一緒にさらに大きく腰を宙回転させる。

 左足は大きく回り、サノの顎先に打ちつけると、そのまま彼女は前のめりに倒れ込んだ。かく言う私も慣れない技に背中を強打したが、気絶するまでには至らない。

 ──胴回し回転蹴り。見よう見真似だったけど上手く出来てよかった。

 

「はぁはぁはぁ……つ、強い。SRTってこんなに強いんだ」

 

 落としたライフルと装備を拾い、サノをきちんと寝かせ、奥の廊下へと突き進む。

 

 狭い廊下の端。両手に握り込んだハンドガンはいくつかの傷が出来、マガジンは二本使い切ったせいか残りの弾倉数は三つだけだ。

 弾倉先端にある弾丸を確認し、再度ハンドガンに嵌め込み、スライドを引きトリガーに指を添える。

 

「身体中ボロボロ……けど、後少し」

 

 

 

 

 

 

 




長く書きすぎた・・・。いつもは大体3千字以内に納める要領で書いているのですが、今回の話は別けない方がいいかなと思いまして(@’ω’@)ヘヘ
あと、いつも誤字修正して頂いて本当ありがとうございます。非常にありがたいです。
前章もう終わるので最後まで是非お付き合いください!
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