無名の大魔族リーナ、魔族ライフを謳歌する 作:ヌメロン使いの男
ありがとうございますm(_ _)m
やぁ、つよつよ美少女魔族のリーナだよ!
まぁさっきは目的達成できないまま敗走したけど・・・魔獣で被害出ただろうからヨシ!・・・いや良くないか。
「いやー、まさか魔力水増ししても釣り合うレベルだとはねー。さすがに予想外」
「あんなの予想できるわけないわよ・・・」
グラナト領から結構遠くまで逃げてきた僕達は、そのへんの村のおうちにお邪魔して休憩している。
村人はどうしたかって?
「むしゃくしゃしてやった。殺すつもりしかなかった」などとリーナ容疑者は供述しています。
「あ~あ、リーニエちゃんがやられたのはもったいないなー」
リーニエちゃんいい魔法持ってたんだけどなー。本当にもったいない。
「私の首切り役人がやられて、グラナト領も落とせなかったし。認めたくないけど、今回は私達の負けね」
悔しいが、アウラの言う通りだ。
まあ、失敗を糧にして学んでいけばいい。
どんな失敗をしても最終的に死ななきゃヨシ!
それに、フリーレンから得たものもある。
「でも、魔力の制限って手があるのを知れたのは大きいよ。これがあれば奇襲攻撃し放題じゃん!」
自分より魔力が小さいと油断したところをドカン!とか。
人間のフリをして街に入ってドカン!とか。
まあ前者はともかく後者は死臭とか角とか尻尾とかどうするのか問題があるんだけど。
奇襲の案が溢れて止まらないよ!
「・・・リーナって陰湿よね」
「失礼な!狡猾と言ってくれよ!」
陰湿ってもう響きがよくない。狡猾ってなんかちょっとかっこいい感じがするよね。
「わくわく奇襲計画はまた後で考えるとして、頼んでおいたあれ、もう集まった?そろそろ使いたいんだけど・・・」
「ああ、もう結構集まって来てるけど・・・何に使うの?戦力にもならない人間なんて集めて」
「ふっふっふ、そんなに知りたければ教えてあげよう!僕の素晴らしい計画を!」
懐からポスターを取り出して壁に貼り付ける。
「僕の計画は、大きく分けて3段階あるよ。まずは第1段階!」
「・・・それずっと持ってたの?」
「この段階では、人間達の間にこの武器を広める!」
銃に似た形をした武器を懐から取り出し、机の上に置く。
「・・・あなた今それどこから取り出したの?」
「まあまあ、細かいことはいいじゃん。これは、魔力のない一般人でも魔法が使える武器。名前は”魔弾“だよ!かっこいいでしょ!」
「誰でも魔法を使えるようになるってこと?それはまずいんじゃないかしら」
アウラの心配はもっともだ。でも、そこはバッチリ対策してある。
「使える魔法は決まってるし、威力が高いやつは打てないようになってるから大丈夫。僕達がくらっても死にはしないよ」
「ふーん、ならいいのだけど。そんな物を広めて何になるの?」
「ふっふっふ、ここからがこの計画の肝だよ!ほいっ!」
机の上に置いていた“魔弾”を叩き割って中身を見せる。
「この武器は、こいつが使用者に接続することで、僕が創った魔獣に近い状態にして魔法を使えるようにするんだ」
“魔弾”の中には、『
「なかなか気持ち悪いわね・・・。魔獣に近い状態にするって、碌なことにならなそうだけど?」
さすがアウラ。察しが良いね。
「その通り!ここからが第2段階、人間をこれに依存させる。もちろんこれには副作用があるよ。こいつを使えば使うほど、使用者は汚染されていくんだ」
「汚染?体が弱るとかそういうこと?」
「いいや、精神に影響が出る。まず、魔族に襲われることを極端に恐れるようになって、これを肌身離さず持つようになる」
「なるほど、それでさらに汚染が進むわけね」
アウラが感心したように言う。
「そういうこと。そして次の段階に進むと、『誰かが自分を殺そうとしている』と思いこむようになる。さらに暴力的になって、人にも平気で魔法を撃ち込めるくらい凶暴になるんだ」
「街中なんかで暴れさせて嫌がらせをしようって訳?与える損害と労力が見合ってないんじゃないかしら」
「そう、このままじゃ嫌がらせくらいにしかならない。でも最終段階まで汚染が進めば話は別さ。汚染の最終段階に進むと、“魔弾“を他者にも積極的に広めようとするようになる。おまけに、“魔弾”を持っている者同士で徒党を組むようになるんだ」
「まあ、うまくいったら被害は大きくなりそうだけど、“魔弾”を壊されたりしたら元にもどっちゃうんじゃないの?」
「そういうところもバッチリ対策済みさ!“魔弾”による変化は不可逆。一度進んだ汚染は元に戻らないようにしてあるのさ!ついでに言えば、最後には“魔弾”が本体ってくらいになるよ。ここまで汚染が進んだら、もう人間とは言えないね。もはや別の種族ってくらい体の中が変わっちゃうからさ!」
「何が何でも人間に被害を与えようという執念を感じるわね・・・。でも、リーナのそういうところ、私は気に入ってるわよ」
そう言ってアウラはニッコリ笑う*1。超可愛い。そういうとこ好きよ。
「そして第3段階!人間達同士で、“魔弾”が取引されるようにするんだ。こうなったらもう止まらないよ!いくら大陸魔法協会が取り締まろうと、全部を回収できるわけないしね」
「なるほど。あなたの計画はだいたいわかったわ。でも、それと『
「最終段階まで行ったときに、“魔弾”を供給し続けるための密売人と生産者になってもらうためだよ」
僕の発言にアウラが首を傾げる。
「それなら、“魔弾”が広まってからでもよくないかしら?」
「ふっふっふ。実は限られた範囲でだけど、もう広めてるところがあるんだ。あと、“魔弾”を広めたのはあくまで人間の商人ってことにしたいから、それを押し付ける用にね・・・」
僕の発言に、アウラがまたもや不思議そうな顔をする。
「あら、リーナがそれだけの功績を自慢しようとしないどころか他人にやるなんて珍しいじゃない」
「さすがにこれ以上功績を積み上げたら討伐軍とか組まれかねないから・・・」
討伐軍組んで確実に殺すとか、そういうのは純粋に強すぎる奴とかだけにしてもらいたい。
僕は戦闘にも結構自信あるけど、フリーレンみたいなのがいっぱい来たら負けるだろうからね。
そのためにも、ヘイトを買いすぎないようにしないと。
ヘイト溜めすぎ、ダメ。ゼッタイ。
「そう。なら、しばらくは大人しくしておくってこと?」
「うん、そうなるかな」
「なら、私と一緒に来ない?自由に動かせる駒はもうなくなっちゃったから、また探さないと」
おっ、これは3年ぶりの二人旅タイムかな?
「もちろん、一緒に行かせてもらうよ!」
街を襲撃してきた魔獣の掃討が終わり、被害の確認も一段落ついた頃。
フリーレン様は、宿に籠もって誰かの似顔絵を書き始めました。
角が生えているので魔族のようですが・・・
「フリーレン様、それは?」
「これ?こいつは、結界を破って魔獣を解き放った張本人だよ。フェルンも見たでしょ、あの爆発」
街の一角を完全に破壊したあの爆発。あれを放った魔族ということですか。
「それだけじゃない。この間、複数の魔法を使ってた魔族がいたでしょ?」
「はい。魔族は一つの魔法を極めると聞いていたので、別の魔法を使ったのを見て驚きましたね・・・」
私とフリーレン様が遭遇した魔族。
最初は爆発する弾を放つ魔法を使ってきましたが、私達がそれを避けたのを見ると、追尾してくる弾を放つ魔法を使ってきました。
フリーレン様もビックリしていましたね。
「複数の魔法を使うことを広めたのは自分だって、こいつが言ってた。しかも、こいつが創った魔獣、確実に人間がどう動くか理解した上で、被害をより大きくするようにできてる」
殺しても死体が爆発して、周りに被害を出す。
即死しないくらいの威力にして負傷者を増やし、人間側の負担を大きくする。
すごく悪辣で狡猾なやり方です。確かに人間のことをよく知っているようですね。
「これは、アウラの部下なんですか?」
グラナト領に既にいた、3匹の魔族。
あれと同じく、その魔族もアウラの部下なのでしょうか。
「いや、それはないね。こいつの魔力はアウラより多かった。本人は友達だって言ってたけど」
「アウラよりも魔力が多いって・・・そんな魔族が、どうして今まで名前が広まってこなかったんですか?」
七崩賢であるアウラよりも強大な力を持った魔族。
それは、人類に大きな被害を出しているはずです。
「うん。こいつに遭遇した人はたくさんいるはずだ。ひどい死臭がしてたしね。でも、情報が一切ないんだ」
それは、つまり。
恐ろしい考えが頭をよぎる。
「だから、こいつと遭遇した人は皆殺しにされてるってこと。魔法使いも、戦士も、こいつに出会った人は討伐どころか逃げ延びることすらできなかったってことだよ。無名の大魔族ってやつだね」
無名の大魔族。一体どれだけの人が、これに殺されたのでしょうか。
「よし、できた」
どうやら、フリーレン様が似顔絵を書き終わったようです。
ひとつ結びにした金髪。
赤黒い二本の角。
真っ赤な瞳。
そして、ニヤニヤ笑っている口元。
「その魔族の名前は?」
「リーナ。アウラはこいつをそう呼んでたよ」
ヘイト管理、大事だよね。
なお、フリーレンの前で創ったやつと同じタイプのやつを使っているので、“魔弾”の中身を見られたら誰が黒幕か即バレます。
リーナはこういうミスをよくやらかします。よく今まで情報が出回らなかったな・・・