無名の大魔族リーナ、魔族ライフを謳歌する   作:ヌメロン使いの男

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黄金郷編、開幕。

原作に比べて難易度が大変なことになってる気がしますが、フリーレン達は大丈夫でしょうか・・・?




黄金郷、突入

やあ。旅する魔族、リーナだよ。

 

今僕達は、マハトが閉じ込められている城塞都市ヴァイゼに来てるんだ。

 

いや、正確に言えばまだたどり着けてないんだけどね!

 

黄金になっている区域に結界が張られてるんだけど、これがかなり強力だ。

 

僕の魔法でも貫通できなさそうだったから、今アウラと二人で頑張って解析してる。

 

「これは突破するのに苦労しそうね・・・」

 

「3つ組み合わせるってなんだい!いくらなんでも厳重すぎだよ!」

 

この結界は、3つの理論を組み合わせて作られているっぽい。

 

それぞれが複雑でめんどくさいものっぽいのに、組み合わせられてるから解析に時間がめちゃくちゃかかる。

 

僕達は旅をしながら人間が使う結界とか封印系の魔法の解除法を調べてたからいいけど、人間の魔法なんて普通の魔族は学ぼうとしないだろうから絶対突破できないでしょ、これ。

 

「このままのペースで解析してたら、どのくらいかかると思う?」

 

「・・・少なくとも2年はかかるわね、これは」

 

やばいね。

人類の叡智の結晶とかそういうレベルでしょ、これ。

 

「・・・アウラ様、リーナ様。先程、結界付近に強大な魔力を感じました。どうやら魔族のようですが・・・」

 

ふーん。そいつもマハトを開放しに来たのかな?

 

「まあいいや。僕達はどんどん解析を進めて・・・え?」

 

結界が、崩壊してる・・・?

 

「えっ、結界が解除された!?アウラがやったの?」

 

「私じゃないわ。マハトが解除できるならとっくの昔にやってるだろうし、リースの言ってた魔族じゃないかしら」

 

ふむ。

リースが言ってた魔族、かなりすごいやつみたいだね。

 

「ねえアウラ、人間の魔法に詳しい魔族って誰かいる?」

 

「うーん、心当たりはないわね・・・」

 

つまり、無名の大魔族ってことかな?

 

「なんにせよ、結界が解かれたのは運がいいね。今のうちに侵入しちゃおう!」

 

いざ、黄金郷・・・ってあれ?なんか金ピカゾーン広がってない?

 


 

「今の私はこの黄金郷さえも元にもどせる」

 

「黄金郷自体の解析もある程度必要だから、今すぐというわけにはいかないけどもね」

 

「もう聞きたいことは聞けたでしょ。そろそろ戦いを始めよう」

 

ポコッ

 

「いてっ」

 

いきなり上から石ころが飛んできた。

 

誰だ、こんなときにいたずらして。

 

「・・・!」

 

見上げると、そこにいたのは見覚えのある魔族だった。*1

 

「やあ、フリーレン。2年ぶりかな?」 

 

「・・・お前」

 

「君と戦いに来たわけじゃないから、攻撃しないでくれるかい?」

 

リーナの背後から、二人の魔族が現れる。

 

アウラと・・・知らない魔族。

だが、二人ともリーナと同様、魔力が感じられない。

 

「この状況で戦いを挑むほど、君は愚かじゃないだろう?」

 

「・・・」

 

マハト達に加えて、こいつらと戦うだけの余力は私達にはない。

 

「どうした、フリーレン。上に何か・・・」

 

デンケンが上を見上げ、息を呑む。

 

「・・・上に何かいるのか?」

 

マハトが上を見る。

 

「久しぶりね、マハト」

 

「・・・アウラか。なんの用だ?」

 

「用があるのは私じゃないわ」

 

リーナ達が降りてくる。

 

「やっほー、僕はリーナ。君を結界から開放してあげようと思ってここに来たんだけど、そこの女の子に先に解除されちゃってね」

 

こいつ、マハトを開放しようとしてたのか。

本当に厄介なやつだ。

 

無名の大魔族がリーナに尋ねる。

 

「ねえ。どうして、マハトを開放しようとしてたの?あなたに利益があるとは思えないのだけど」

 

「利益?魔族側の戦力が増えるじゃん。七崩賢最強を封印されたままにしておくなんて、もったいないと思わない?君はそうじゃないわけ?」

 

「私は、マハトを次につれていくために」

 

「次?マハトはここで何かしてたのかい?」

 

「マハトはここで、人間の“悪意”を知ろうとしていたの」

 

「へぇー。人間のことを知ろうとするなんて、珍しいね」

 

リーナはマハトを見つめている。

 

「ねえ。なんで、人間の“悪意”なんて知ろうと思ったの?」

 

「俺は、人間と魔族の共存を目指している。人の“悪意”を理解できれば、それに近づけるはずだ」

 

マハトの答えを聞いて、リーナはニヤリと笑った。

 

「ふむ。人間との共存ね・・・。なかなか面白いことを考えるんだね、君。・・・人間の悪意が学びたいなら、いいものを見せてあげるよ」

 

そう言うとリーナは、青いティアラを手に取った。

 

「これは、身につけた者の記憶を見ることができるものなんだ。僕は人間の“悪意”をよく見てきた。これを見たら、なにか得るものがあるかもしれないよ。見てみる?」

 

「ふむ・・・いいだろう」

 

マハトの答えを聞いて、リーナは無名の大魔族の方を向いた。

 

「君も見てみる?」

 

「ええ、ぜひ。あと、私はソリテールよ」

 

二人の答えを聞いて、リーナはニヤリと笑ってこう言った。

 

「じゃあ、僕の記憶の中へしゅっぱーつ!」

 

リーナのティアラから、激しい光が放たれた。

 

 


 

目を開けると、そこは燃え盛る村だった。

 

「ここは・・・」

 

「大体十七年くらい前の、南側諸国での戦争中。これから起こるのは、僕が狙ってた村で起きたことだよ」

 

南側諸国。

 

フェルンが元々住んでいたあたりだ。

十七年前ということは、フェルンが両親を失った戦争で間違いないだろう。

 

 

逃げ惑う村人たちを、魔法で殺していく兵士たち。

 

その表情は・・・笑っていた。

 

『そっちに行ったぞ!』

 

『よーし、当たったぁ!』

 

『くそっ、外した!避けんじゃねえよ!』

 

まるで的当てでもするように、楽しそうに。

村人の背に魔法を撃ち込んでいた。

 

「ふふっ、なかなか趣味の悪い遊びをしているね。あとこれはあくまで僕の記憶だから、魔法とかで動きを止めようとしても無駄さ」

 

趣味が悪いと言いつつ、リーナはニヤニヤと笑っている。

 

『へへっ、最後の一匹いただき!』

 

「・・・もう終わったみたいだね。じゃあ、次に行こうか」

 

 

景色が変わり、今度は広場のような所に数十人の民間人が集められていた。

 

ニヤニヤしながら兵士の一人が話し始める。

 

『俺はお前達に慈悲をかけることにした!ゲームに勝ったものにのみ、だがな』

 

兵士が数本のナイフを放り投げる。

 

『最後の一人になるまで殺し合え。残ったやつだけ逃がしてやる』

 

民間人たちは最初、困惑したように互いの顔を見つめていた。

 

『うわぁぁぁっ!』

 

だが、一人がナイフを手に取り、隣の人を切りつけた。

 

そこからはあっと言う間だった。

 

ナイフを持つ者は隣を切りつけ。

持たないものは殴りつけ、噛みつき、首を絞め。

 

殺し合う人々を、兵士達はニヤニヤしながら見ている。

 

最後には、血に塗れた男一人が立っていた。

 

『これで、俺は助けてくれるのか・・・?』

 

虚ろな目で、男は兵士に問いかける。

 

『ああ、お前は見逃してやる』

 

『そうか・・・』

 

兵士達に背を向けて、フラフラと歩き出した男。

 

それを、兵士の一人が魔法で吹き飛ばした。

 

『ブハハハハハ!やっぱこの遊びやめらんねーな!』

 

『ギャハハハ!見たかよあの顔!『助けてくれるのか?』だってよ!』

 

『助けるわけねえのになぁ。自分が生き残るために同胞を殺しまくるとか、生きてて恥ずかしくねえのかよ!ハハハハハ!』

 

「・・・これは、何をしている?何の目的があって、こいつらはこんなことをしている?」

 

いつの間にか近くにいたマハトが、リーナに質問する。

 

「見てわからない?遊んでるんだよ。同族が、殺し合うのを見て楽しんでる。人間って案外こういうの好きなんだよ?」

 

リーナはニヤニヤして続ける。

 

「人間は、案外殺し合いが好きなもんだよ?異民族との戦いとか、暴君への反逆とか、勇者の魔族との戦いとか。そういう物語、人間には人気なんだよ、特に男の子には。ねえ、フリーレン?」

 

ニヤニヤしながらリーナはこちらを見る。

 

「・・・」

 

マハトはずっと黙ったままだ。

 

「おや、さっきので気分が悪くなったかい?それとも、兵士達に不快感を覚えたかな。もしそんな風に思ったんだとしたら・・・」

 

「ヴァイゼの人間達とは、ずいぶん違うものだと思っただけだ」

 

リーナは鼻で笑って言った。

 

「ふっ、まあそう簡単に『正義感』とかが芽生えるわけないか。というか、芽生えたら困るよ」

 

そこから、私とリーナ、マハトは、酷い光景を幾つも見た。

 

毒に苦しむ人々。

 

軒下に吊るされた死体。

 

飢餓に苦しみ、極度の空腹感から死体を貪る人。

 

そして、殺戮を繰り広げる兵士達。

 

私は少し気分が悪くなったけど、マハトは無表情のまま。

リーナはニヤニヤ笑ったままだった。

 

何度目か数えるのが嫌になるほど、兵士による殺戮を見せられた後。

 

唐突に、リーナのティアラが煌めいた。

 


 

「・・・ふむ。みんなちゃんと戻ってこれてるね。どうだったかな?」

 

マハトは人間の“悪意”を理解できたかな?まあ無理だろうけど。

 

フリーレンはちょっと気分が悪そうだ。グロに耐性があんまりないのかな?

 

「なかなか有意義な時間だった。機会があれば現場で観察してみたいわ」

 

「そうだろうそうだろう!見たければあれを起こしてあげてもいいよ!何を隠そう、さっきのは僕が引き起こした戦争だからね!」

 

「・・・は?」

 

うおっ、急に反応したねフリーレン。

 

僕が戦争を起こしたって言うのが信じられないのかな?

 

「ほんとだよ!国境で奇襲攻撃だと思われるように工作して・・・」

 

「もういい。黙れ」

 

・・・なんか怒ってない?

 

「・・・それで、マハトは人間の“悪意”を理解できたかな?」

 

「・・・」

 

その様子だと、やっぱり理解できなかったみたいだね。

 

「人間と共存が無理だってことはわかったでしょ?同族同士でも殺し合うようなやつだよ?」

 

「・・・」

 

あれー、まだ共存できると思ってる感じ?

意外と頑固な人・・・いや魔族だね。

 

「まあいいよ。僕らに時間はまだまだいっぱいあるんだし、いつかは無理だってわかるでしょ。ま、その前に人類は滅んじゃうだろうしね!」

 

ふん、いいもん!

 

せっかく開放しにきた魔族が『人類との共存』とかわけわかんないこと言ってても気にしないもん!

 

仲間になってくれそうになくても気にしてない・・・気にしてないんだからね!

 

(リーナ落ち込んでるわね・・・)

 

(リーナ様確実に気にしてますね・・・)

 

「アウラ、リース!もう帰るよ!」

 

マハトの馬鹿!もう知らない!

 

 


 

「うわーん、せっかく戦力が増えると思ったのにー!」

 

「はいはい、もうわかったから泣かないの」

 

ヴァイゼから離れた私達。

 

リーナ様はずっと泣いていて、アウラ様がそれをなだめています。

 

「・・・アウラ様はリーナ様の母親みたいですね」

 

「え?年はリーナの方がずっと上よ?」

 

「リーナ様がおっしゃっていた、人間の母と子はこんな感じなのかなと思いまして・・・」

 

「・・・うわーん、アウラママー!」

 

「ちょっと、私はママじゃないわよ!」

 

「ふふっ」

 

やっぱりリーナ様は愉快な方ですね。

 

「もう、さっさと帰って・・・帰る?」

 

「どうしたんですか、アウラ様?」

 

「帰るって・・・私達、どこに帰るわけ?家とか領地とかなくない?」

 

「リーナ様、あてはあるんですよね?」

 

リーナ様は、どこに行くつもりなのでしょうか?

 

「・・・考えてなかった」

 

「まあ、そんなことだろうと思ったわよ・・・。で?どうするの?」

 

旅をしているときは、洞窟で雨宿りするくらいで十分でしたが、住むのは遠慮したいですね・・・。

 

「うーん・・・そうだ。家、作ろう」

 

「「えっ?」」

 

*1
フリーレンが『万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)』を解析したあたりから見ていた。話しかけたのに無視されて怒っていたが、アウラに「聞こえてるわけないじゃない」と指摘され、小石をぶつけた。




黄金郷編、閉幕。

人間のことを知ろうと旅に出たフリーレンに、人間の悪性マックスの光景を見せて大丈夫か?
まあ、大丈夫でしょたぶん。

リーナ達は急に現れて急に去っていったので、「何だったんだアレ・・・」と思われています。

リーナの記憶に出てきた兵士はちゃんと全員リーナに始末されています。魔法の軍事転用、されてるよね・・・?
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