無名の大魔族リーナ、魔族ライフを謳歌する 作:ヌメロン使いの男
フリーレン達は、リーナによる人類の殲滅を食い止めることができるのでしょうか?
やあ。傷心中でもかわいいリーナだよ。
「・・・はあ。わざわざ開放してあげに行ったのに・・・」
「またその話?いいかげん忘れなさいよ」
僕達は今、洞窟を改造して拠点を作ってるんだ・・・はあ。
あんな強力な魔法を使う魔族を仲間にしそびれたら、ため息だってつきたくなるよ。
フリーレンは解除できてたけど、そのへんの人間なら永遠に黄金のままにしておけるだろうね。
まあ、過去を振り返ってもしょうがないから、さっさと拠点を作ろう。・・・はあ。
「リーナ様、あちらの拡張は終わりました」
「じゃあ次はこれで、床を平らにしておいてくれ」
僕はリースに、水晶でできた鎚を渡した。
「これは?」
「地面に触れたら、平らに均してくれる道具だよ。範囲は狭いけどね。」
だいぶ前に滅ぼした村の祠にあって、めちゃくちゃきれいな見た目だったから持ってきたんだけど、なかなか役に立つ代物だ。
穴が空いてたら埋めてくれるし、盛り上がってるところは削ってくれる。
・・・なんでこんなものを大事に祀ってたんだろうね?
「家具とかを出すから、終わったら教えてくれ」
「わかりました」
僕の着ている・・・というか服の下、胸に巻いている包帯なんだけど。
その内側には、変な紋章が刻まれていてね。
これはちょっとしたものなら入れておける、四次元ポ◯ットみたいなものなんだ。
これもどこかの村から奪ったものなんだけど、祠の真ん中に大事そうに包帯がおいてあったのはシュールだったよ。*1
包帯の中には、食器、バラバラにした棚、替えのドレス、便利な魔道具を入れてる。*2
旅するのにめちゃくちゃ便利だったから、とても気に入ってる。
いっぱい使ってもらえて、作った人も喜んでるでしょ!
え?包帯を胸に巻いてて苦しくないのかって?
・・・女の子に言っていいことと悪いことがあるよ。*3
「ふう。これで完成かな?」
「なかなかおしゃれな感じになったわね」
今回僕達が拠点にしたのは、深い谷の底にあった洞窟だ。
やっぱり秘密の拠点は、地下に作りたいよね。
ランタンを光源にしているから、おしゃれな雰囲気が漂っている。
「拠点も完成したことだし・・・アウラ、リース。いよいよ、例の作戦を開始するよ」
「ふふっ、楽しみね」
旅の道中閃いて、もう下準備は済ませてある。
今回の作戦は、僕達はほとんど何もしなくてもいい。
準備しておいた魔獣に命令するだけで、うまく行けば人は滅ぶ。
「うまくいくといいのですが・・・」
「大丈夫。きっとうまくいくはずさ!」
きっとうまくいくって、僕は人間を信じてるよ。
「あっちに行ったぞ!見つけ出して殺せ!」
怖い。
「いたぞ!こっちに一匹!」
こわい。
「あっ・・・」
「よし!一匹仕留めた!」
こわいこわいこわいこわい。
おねえちゃんがころされた。
「ここにもいたぞ!弱ってるやつだ!」
「油断するな、全員で囲め!」
いやだ。
しにたくない。
「動けなくしてから燃やすぞ!じゃないと完全に死なん!」
いたい。
いたいいたいいたい!
「たす・・・けて・・・」
「もう逃さんぞ!化け物め!」
ちがうよ、ばけものなんかじゃないよ!
「いた・・・い・・・たす・・・け・・・」
「くたばれ!」
あつい。
「ああああっ!あづいっ!あついよぉっ!」
ああ、かみさま。
わたしが、わるいこ、だから?
こんな、ひどいこと、するの?
「ああぁっ・・・ごめ・・・ん・・・な・・・さ・・・」
言い終える前に、少女は事切れた。
「待て!魔族め!」
「違う!俺は魔族じゃない!」
俺は今、一緒に暮らしていた恋人に追いかけられている。
「ならその角はなんだ!」
「朝起きたら生えてて、俺にもわけが分からなくて・・・!」
「そんな見え透いた嘘、信じられるか!」
くそっ、何なんだ!
今朝、起きたら生えてた角と尻尾が全ての元凶だ。
「嘘じゃないんだ!信じてくれ!」
「黙れ!」
ドスッ
「うぐっ!?」
ルミィの放った矢が足に刺さった。
「お前・・・お前は!」
「待て、ルミィ!話を聞いてくれ!」
たまらず転んだ俺に、ルミィは構わず矢を放つ。
ビシュッ
「あぐぅっ!?」
今度は腹に刺さった。
内臓が焼けるように痛い。
「ゴフッ、ゴホッゴホッ」
「お前は、ずっと!私を、騙してたのか!」
次々に、俺に矢が撃ち込まれる。
「一緒に星空を見たあの日も!私のことを好きだって言ったあの日も!全部!ぜんぶ!」
「ぐ・・・う・・・」
俺を見るルミィの顔は・・・泣いていた。
「ぜんぶ、うそだったのかよ・・・」
「る・・・みぃ・・・」
ルミィが、俺の頭に狙いを定める。
「ごめ・・・ん・・・な・・・」
「・・・っ!あああああっ!」
ルミィの放った矢が、俺の頭を貫いた。
「ふふっ、うふふふ・・・あーっはっはっはっ!」
「ふう。成功してるみたいでよかったわ」
僕は、血に塗れた光景を映し出す水晶玉を片付けて、アウラとリースとハイタッチした。
「驚くほどうまく行きましたね・・・」
「専門家の僕が考えたんだもん、当然さ!魔族や魔獣を憎む人間は多いからね」
僕が何をしたのかって?
僕達は旅の途中、リースの魔法で感知されないようにして、夜中に人間たちに僕の作った魔獣を埋め込んだんだ。
僕が魔獣に指示を出せば、魔獣は効果を発揮する。
頭に埋め込んだものは大型の魔獣に。
胸に埋め込んだものは魔族みたいな姿になる。
この世界で、魔族や魔獣に恨みを持つ者は多い。
隣の人が、妻が、娘が。
信じていた人が、魔族だった。
いくら弁明したとしても、「騙されないぞ」となるだけさ。
なんたって魔族は、人を欺いて殺すものだから。
まあ、僕を知ってる魔法使いが見れば、僕に何かされた人間だってことはわかるだろうけどね?
「にしても、さっきのは最高だったね!恋人を自分の手で殺しちゃうなんてさ!」
魔獣を埋め込まれた人間と視界を共有できる水晶玉で観察してたけど、実に愉快だった。
でも、お楽しみはまだある。
きっと、近いうちに誰かが僕の仕業だって気付くだろう。
その事実が広められたら、魔族っぽくされてた人は喜ぶだろうね。
でもね。
「うふふふ。恋人が言ってたことが本当だってわかったら、あの子はどんな顔をするんだろうね?」
そう。
これは、魔族や魔獣の姿に変わったのが僕の仕業だってバレてからが、一番面白くなる。
信じきれなかったがために、自分の手で大切な人を殺めてしまったという事実!
それがわかったときのリアクションが楽しみだよ!
「リーナ様、どうしてあの人間達は謝っていたんですか?」
「人間達はね、神ってやつを信じているんだ。悪いことをしたら神様から天罰が下るってね。だから神に赦しを請い、祈るんだ」
普段神を信じていない人だって、窮地に立てば神に祈るものさ。
「まあ、神に祈りを捧げたところで、どうにもならないけどね」
神なんてものがいるとしても、祈りを聞いてくれるなら、とっくに魔族は滅びてるでしょ。
「祈るんだったら、僕のことを知ってる、優秀な魔法使いに」
きっと彼女なら、僕の仕業だってすぐ気付くはずだ。
「――フリーレンに、祈るべきだね」
この混乱が収まらないうちに、作戦の第2段階へ進もう。
「さあ、人類をさっさと殲滅しちゃおうか!」
今回リーナ達が鑑賞していたような悲劇は、至る所で起きています。
魔族のような姿になった家族をかばって殺された人もたくさんいます。
変わるのは姿だけで、精神は人間のままです。
次回、作戦の第2段階とフリーレンサイドです。