無名の大魔族リーナ、魔族ライフを謳歌する   作:ヌメロン使いの男

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今こそ、決戦の時。

某人の業仮面みたいな発言が含まれます。ご注意ください。


創世の光

「・・・ここも全滅だね」

 

ロゼを連れて周辺の村を巡ったけど、誰一人として生き残っていない。

 

おそらくこの近辺で魔族にされたのは、ロゼだけなのだろう。

 

「遺体を弔ったら、次の村に行こうか。ロゼを預けられそうな安全な場所を見つけないと・・・っ!?」

 

轟音と閃光。

 

直後、猛烈な爆風。

 

「うおっ!?」

 

「うわ〜!?」

 

ロゼが地面をものすごい勢いで転がっている。

 

爆風が過ぎ去り、顔を上げると、景色が一変していた。

 

残っていた建物はあらかた吹き飛ばされ、木々もへし折られている。

 

「何だったんだ今の・・・。あっ、ロゼ!大丈夫か?」

 

「う〜ん、目が回るよ〜」

 

服はだいぶ汚れているが、怪我はなさそうだ。

 

「さっきのは、あれが原因でしょうか・・・?」

 

「そうだろうね。あれもあいつの魔獣のようだし」

 

「嘘だろ!?あんなにでかいやつを創れるのかよ?」

 

私達の視線の先、爆発の起こった方向にあるもの。

 

それは、巨大な“柱”だった。

 

「・・・行ってみよ「まあ待て、フリーレン」・・・ゼーリエ?」

 

「なぜ、ゼーリエ様がここに?」

 

「あの人、だれ?」

 

「フリーレン様の師匠の師匠です」

 

「へー、すごい人ってこと?」

 

ロゼが目をキラキラさせている。

 

ゼーリエは“柱”を指差して言った。

 

「あれが各地に現れてな。あれだけの化け物、そこらの魔法使いだけで対処するのは不可能だ。破壊しに来たら、お前達を見つけた」

 

「・・・やっぱり他の所にも出てきてるのか・・・」

 

「他の所のはもう破壊した。ここのは他のとはだいぶ見た目が違う。奴がいるならここ・・・」

 

ゼーリエの言葉を遮るように、“柱”から閃光が放たれた。

 

「ほう・・・」

 

「眩しー!」

 

私達と反対方向に放たれたそれは、木々を焼き、大地を割り、山を消し飛ばした。

 

「・・・他のやつはあんなものは撃っていなかった。あれは特別製なんだろうな」

 

「・・・じゃあ、さっさと壊さないとね」

 

「そいつらを連れて行くつもりか?」

 

・・・フェルンとシュタルクはまだしも、ロゼを連れて行くわけにはいかない。

 

「フェルン、シュタルク。私とゼーリエでアレを壊してくるから、ロゼを守ってあげて。魔族に変えた人達にも、リーナがまだなにかしてくるかもしれない」

 

「わかりました」

 

「ああ」

 

「フリーレンさん、がんばってねー!」

 


やあ。大量破壊兵器作製のプロ、リーナだよ。

 

「ふふふ、あはははっ!素晴らしい景色だ!やっぱり吹き飛ばすなら大都市じゃないとね!」

 

「見事に吹き飛んでますね・・・」

 

僕達は今、大都市・・・だった場所にいるんだ。

 

僕の魔獣が吹き飛ばしちゃったから、瓦礫しかないけどね!

 

この超巨大魔獣、“神の柱(サウル・ゴッテス)”の攻撃力は超高い。

 

要塞だって簡単に吹き飛ばせる爆発を起こせちゃう。

 

今回の目的はある魔法のお披露目だから、もう使わないけどね!

 

「威力はすごいけど、この見た目なんとかならないの?」

 

「しょうがないじゃん。こいつのメインウェポンだと、近づいてくるやつを迎撃するにはやり過ぎだし」

 

確かに人型魔獣をいっぱい合体させたからキモいけど、近づいてきたやつを迎撃するためだからしょうがないよね。

 

お披露目する前に壊されたらめんどくさいし、防衛システムはきっちりしとかなきゃ。

 

「攻撃するときはこいつらもかっこよく見えるって!」

 

攻撃モーションにはこだわったからね。

 

「きっとアウラ達も気に入るよ!」

 

「リーナ様のセンスは私達にはわからないですからね・・・」

 

「ふん!そんなに言うなら、今見せてあげるよ!」

 

僕の命令に従い、“神の柱(サウル・ゴッテス)”が攻撃準備を開始する。

 

くっついている人型魔獣達が、手を合わせ、頭を垂れる。

まるで、神に祈るように。

 

頂上部分が輝き、その光がだんだん強くなる。

 

この魔法の名は『創世の光を放つ魔法(ジェネシス)』。

 

某絶滅戦争してる系アニメに登場した同名兵器ほどの威力はない。

 

せいぜい直線上の都市が2つ3つ吹き飛ぶくらいだ。

 

「この一撃が、僕達の望む、新たな世界の『創世の光』とならん事を!」

 

頂上部分に光輪が現れ、人型魔獣が歓喜の涙を流す。

 

「発射ァ!」

 

光が放たれる。

 

射線上の全てのものは、光の奔流に呑まれて消える。

 

地平線の遥か彼方まで、光が伸びる。

 

後に残ったのは焦土のみ。

 

「あははははは!素晴らしい、まさに神の力!人も獣も、人工物も自然も、全て塵に等しい!」

 

アウラ達も攻撃モーションのあまりのかっこよさに固まってるし、*1僕のセンスの良さがこれでわかっただろう!

 

「ふふん、どうだい!かっこいいだろう!」

 

「・・・え?あ、ああ、そうね・・・」

 

今回の作戦はこれで終わり。

 

大陸中をめちゃくちゃな状況にして、僕の魔法の威力を示す。

 

これで事前に、()()()()()()()()()あれを撃てる兵器の作り方が役に立つ。

 

わざわざ人型魔獣を操作して、各国に売り込んだ甲斐があるね!

 

・・・使うのを自重する可能性はないのかって?

 

魔族と戦うための魔法を、平気で軍事転用する世界だよ?

 

「持ってて嬉しいコレクションじゃない」とか、そういうメンタルだからね。

 

“魔弾”と一緒に流したアレ*2も、帝国なんかは実験を始めてるし。

 

これを各国が使い始めれば、新たな時代、新たな世界が始まる。

 

この魔法はその開幕の合図、まさしく『創世の光』ってわけさ。

 

「・・・全部うまく行ったみたいだし、そろそろ帰りましょうか」

 

「ああ、先に行っておいて。僕はもうちょっとだけ、この素晴らしい景色を眺めてから帰るよ」

 

「わかりました。リーナ様、お気をつけて」

 


 

いやー、やっぱり僕は天才だね!

全部僕の狙い通りに進んでるよ。

 

人間の考えることなんて、やっぱりどこでも同じだね。

 

「ふふふふっ!これで僕の大偉業は、成し遂げられるってわけさ!」

 

「それは気が早いんじゃないかな」

 

「!?」

 

突然、背後から声をかけられた。

 

テンションが上がり過ぎて気付かなかった?

 

「・・・フリーレン。どうしてここに?」

 

「さあ、どうしてだろうね」

 

たまたま近くにいたってこと?

 

めんどくさ!

 

「・・・正面から出てきちゃってさ。何か作戦でもあるわけ?」

 

「まあ、あるにはあるよ」

 

「ふっ、その作戦とやらがあれば、君一人で僕に勝てるとでも?それは自信過剰ってやつじゃないかい?」

 

神の柱(サウル・ゴッテス)”の迎撃システムが起動する。

 

「やはり数の暴力は全てを解決するんだ!」

 

淡い光を放つ人型魔獣達。そして・・・

 

背後からの爆風。

 

それは魔獣達から放たれたものじゃなかった。

 

同時に、“神の柱(サウル・ゴッテス)”との繋がりが消える。

 

「・・・は?」

 

後ろを振り返ると、半分くらいから“神の柱(サウル・ゴッテス)”が吹き飛んでいた。

 

僕の魔獣がやられた?

 

やったのはフリーレンじゃない。

 

一体誰が?

 

「・・・お前と直接会うのは初めてだな」

 

頭上から声がかけられた。

 

「・・・誰だい、君」

 

「ものを知らんやつだな。敵の最高戦力の顔くらい覚えておくものだ」

 

最高戦力?

 

・・・なるほど。ここで仕掛けてくるか。

 

「君が、ゼーリエか」

 

これは大ピンチってやつだね。

 

でも、同時に大チャンスでもある。

 

「つまり、君達を始末すれば、僕の前に立ち塞がるものは何もないってわけだね!」

 

最終決戦ってわけね。

 

いいじゃん、テンション上がってきた!

 

「私に勝つ気でいるのか?それこそ、自信過剰というやつだな」

 

「ふん!僕に挑んだこと、後悔させてあげるよ!『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』!」

 


 

「『魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)』」

 

「『地獄の業火を出す魔法(ヴォルザンベル)』」

 

「おっと、危ない」

 

すばしっこいやつだ。

 

範囲の広い攻撃でも、全く当たる気配がない。

 

「これで行こうかな!『ものを浮かせる魔法(シュウェーブン)』!」

 

リーナの周りに、小型の魔獣が浮かぶ。

 

「行け!」

 

飛び回る小型の魔獣それぞれが魔法を撃ってきている。

 

「ふっ、なかなかおもしろいことをするものだな」

 

ゼーリエは楽しそうにしているけど、笑っている場合じゃない。

 

リーナ本人に近づこうにも、妨害が激しすぎて困難。

 

魔獣が放つ魔法も殺傷力が高く、油断できない。

 

全部撃ち落とすには数が多い。

 

「ふふふふっ、やはり戦闘は楽しいものだねぇ!」

 

更に、隙あらば本体からの攻撃が飛んでくる。

 

「『破滅の雷を放つ魔法(ジュドラジルム)』」

 

「『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』!」

 

しかし、リーナがゼーリエに撃ったのは光の弾を放つ魔法だった。

 

「なに・・・?」

 

「ちっ、避けたか」

 

こいつ、口で言ったのと違う魔法を使った?

 

「・・・性格悪いな、お前」

 

リーナの着ている服の袖から、魔獣がちらりと見えた。

 

なるほど、隠してた魔獣が別の魔法を使ったのか。

 

「狡猾だと言ってくれるかなぁ!」

 

リーナがゼーリエに一瞬で近づき殴りかかるが、杖で弾かれる。

 

「『魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)』」

 

「ちっ、『再生する魔法(リパラトゥラー)』!」

 

ゼーリエの魔法がリーナの腕を吹き飛ばすが、すぐに再生されてしまう。

 

「そんなんじゃ意味ないよーだ!」

 

いちいち相手を煽ってくる辺りから、余裕が感じられる。

 

「・・・お前、本当に魔族か?」

 

突然ゼーリエが立ち止まり、リーナに問いかける。

 

「えっ何急に。僕は正真正銘魔族だよ?」

 

「魔族の“プライド”が、お前からはまるで感じられん。それに加えて人の利用の仕方も違う。善意につけ込むのではなく、憎しみを煽って争いを引き起こす・・・」

 

「・・・」

 

リーナは黙ったままだ。

 

「相手を挑発し、冷静さを失わせようとする。自分で暴れまわるだけじゃない、人間の心理をよく理解したやり口を使う」

 

・・・まさか。

 

「・・・お前、中身は『人』だろ」

 

リーナはニヤニヤして言う。

 

「なかなかいい線行ってるけど、あいにく僕は生まれたときから魔族さ。たしかに人のことはよーく知ってるけど」

 

正直ホッとした。

 

こんなのが元々人間なんかじゃなくてよかったと、心の底から思った。

 

リーナが唐突にこちらを見る。

 

「あ、そうだフリーレン。君、人間のことを知るために旅してるらしいじゃないか」

 

・・・なんでこいつがそんなことを知ってるんだ?*3

 

「人間にとっても詳しい僕から教えてあげよう。君も見たでしょ?同族同士で殺し合うやつらを」

 

ヴァイゼで見た、リーナの記憶が頭をよぎる。

 

「人はね、争いをやめられない生き物なんだよ。僕達魔族がいなくたって、殺し合いは起こる」

 

実に愚かだね、とリーナは言う。

 

「その証拠に、魔族に対抗するために作った魔法だって、もう人に向けて撃ってる。外敵がいなくなれば、内輪もめが始まるんだよ」

 

人同士の戦争は、今に始まったことじゃない。

 

長く戦争が続いたこともあった。

 

でも、どれも最後には決着がついた。

 

「戦いは、永遠には続かない。いつか終わるよ」

 

「いつか?一体いつ終わるんだい?・・・終わらないさ!」

 

リーナの口角が更に吊り上がる。

 

「これから起こる戦争は、簡単に終わるようなものじゃないさ!武器も流した、火種も撒いた!あとは人間の悪意が、勝手に戦火を広げるさ!」

 

「人の欲望に、悪意に際限などない!アレが欲しい、コレも欲しい!アイツが憎い、ソイツが妬ましい!そうして君達は、争い続けてきただろう!」

 

「勇者も、誰も彼も!人間の善性を信じすぎる!『いつか戦いは終わる』って?そうだろうね、人類が最後の一人になれば終わるよ!」

 

「人の悪性から目を背け!『敵を殺せば』『魔族を殺せば』!いつか平和が来ると!」

 

突然、空に閃光が走った。

 

「なんだ・・・?」

 

こちらに飛んできているわけではないが、あれは先程あの“塔“から放たれたものと同じ魔法だ。

 

「ははははっ!やはり使ったね!僕が流したあの魔法を!」

 

リーナは愉快そうに笑う。

 

「さすがだねぇ!他国が混乱していると見るや否や、魔法を撃ち込むとは!*4

 

こんな時まで、戦争を仕掛けようとしてるのか・・・。

 

頭がどうかしてるとしか思えない。

 

「言っただろう、フリーレン!人の悪意は、欲望は止まらないと!その果ての終末だ!僕が滅ぼさずとも、人は滅ぶ!滅ぶべくしてね!」

 

「・・・違うよ、リーナ」

 

「はあ?」

 

確かにお前は、人間の『悪意』には詳しいらしいね。

 

でも、人間を動かすのは『悪意』や『欲望』だけじゃないって、私にはわかる。

 

「人は、欲望だけで動くわけじゃない」

 

お前にはわからないだろう、リーナ。

 

「誰かのために、善意で動く人だっているよ」

 

どこかのお人好しな勇者みたいにね。

 


 

・・・なんだろうね。

 

なんかすごいイラッと来たね、今。

 

「そんなもので争いが止まるなら、僕の計画はここまで進まなかったさ!」

 

例の国の戦争もそうだけど、別に僕がいなくたって人間は争い続ける。

 

「僕の計画の進行こそ、この惨状こそ!人の悪意の証明だ!」

 

「お前のもたらした状況だろ」

 

「僕はちょっと力を与えただけさ!」

 

創世の光を放つ魔法(ジェネシス)』を他国に撃ち込みまくってる奴も、どさくさに紛れて略奪してる奴も、人狼ゲーム的なムーブをしてる奴も。

 

洗脳したりとか、命令したりなんてしていない。

 

「その力をどう振るうかは、君達次第だっただろう?」

 

ま、予想通りめちゃくちゃになったけど。

 

「故にこれが、君達の選択というわけだ!これこそが人の望み!人の夢!人の業!」*5

 

フリーレンが顔をしかめている。

 

「・・・やっぱりお前は化け物だよ、リーナ。人の心を持っていても、お前のは悪意の寄せ集めだ」

 


再び戦闘が始まる。

 

「『魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)』」

 

「学習しないね!そんなんじゃ駄目だよ!」

 

リーナが再び小型魔獣を展開して防御しようとする。

 

「無駄だ」

 

しかし、ゼーリエが放った魔法で全て撃ち落とされた。

 

「何だって!?」

 

「まさか『蚊を撃ち落とす魔法』が、こんなところで役に立つとはな・・・」

 

「そんな、そんなふざけた魔法でっ!」

 

リーナは激昂してゼーリエに飛びかかる。

 

「動きが単調になっているぞ」

 

「なっ!?ぐうっ・・・」

 

振るおうとした右腕の肩から先を吹き飛ばされ、リーナが飛び退く。

 

「『再生する(リパラ)・・・』」

 

ここだ。

 

「『魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)』」

 

「あっ・・・!?」

 

私の撃った魔法が、リーナの胸を貫いた。

 

「ゴフッ・・・なかなか、やるじゃないか」

 

苦しげに言うリーナの胸には、大きな穴が空いていた。

 

明らかな致命傷だ。

 

「でも、まだ終わりじゃないさ・・・」

 

「いや、もう終わりだよ。お前は今、ここで死ぬ」

 

リーナは口から血を垂れ流しながら、いつもの笑みを浮かべる。

 

「知らないのかい?ラスボスには、第二形態があるんだよ!」

 

空中へ飛び上がり、リーナが叫ぶ。

 

「『統合する魔法(インテグレーション)』!」

 

*1
リーナから「僕の作ったものの中で最大の破壊力を持つ魔法」とは聞いていたが、実際に見るのは初めて。想像を上回るぶっ飛んだ威力に驚いている。攻撃モーションの感想は頭からすっぽ抜けた。

*2
絶対にばら撒いちゃいけなかったとある魔法。それ自体に殺傷能力があるわけではない。内容は次回発表。

*3
自分の記憶を見せた時、フリーレンの記憶がちょっと逆流してきた

*4
撃ち込んできたのは、例の兵士達の所属していた国。リーナがわざとその国にのみ攻撃を仕掛けなかったことにより、これを好機と見て予想通り他国への侵攻を開始した。

*5
リーナはこのセリフを言いたいがためにペラペラ喋っていた。聞けば誰もが思うだろう!このセリフを一度は言いたいと!




リーナ「第二形態ってロマン!」
アウラ「最初から全力で行きなさいよ・・・」

これがリーナの望み!
リーナの夢!
リーナの業!

え?リーナの『創世の光を放つ魔法』より強力な、本物のジェネシスはどんななのかって?

ガンダムSEED見ろ!
でも食事中はやめたほうがいいよ!
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