ミッドナイトランナー   作:ばきしむ

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ばきしむです。
執筆が遅くなりました


4話【捜査】

4話

 

「済んだか?」

背後から声を掛けられ振り返るとそこには彼がいた。

咄嗟の出来事に慌てふためいてしまう。

「は、はぃい!」

「お前な、声がちょっと大きいんだよ、キズに響く」

そう言って腹部の包帯をさする。その奥が赤く滲んでいく。少し顔も険悪だ。私がちょっと怒らせちゃったのかな…

「済んだのなら早く行くぞ」

車にもたれ掛かるようにしてやっと立っている。長時間車内にいたのもプラスされて随分と疲労が溜まっているようだ。まぁ仕事量なら多分私の方が疲れてるんですけども。

 

野暮なことを考えながらランニングしている人達を見る。仲間らしい人と合流し話しているようでこちらには一切気づく様子はない。

そりゃぁそうか…

私はまだ…

日に当たれない。

 

 

あれから車を走らせ続け、「鳴家」を抜け、今は「金川」に来ている。少し前に「鳴家ここまで。金川ここから」という看板が見えていた。傷の手当のこともあってか走行距離はそうでもない。金川は鳴家と違いそれほど都会では無いが田舎という程でもない、近くに海が隣接し、コンビナート区域が目立つ。それに比例し人口も増加傾向にある。

とは言えのどかな町だ。見慣れない海を目に入れているからかも知れないな…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同日 「金川」警察署

 

署前、ジャケットを羽織った男がゆっくりと背筋を伸ばした。目には1つ目立つ傷があり、昔の悲劇を想像させる。

鋭いながらもその目はどこか遠くを見ている。

 

今日は少し寒いな…

 

肌に感じる風を感じながら署内に入る。少し暖房の効いた空気を全身に受ける。外とは違い、重々しい空気が署内を取り囲んでいた。

中では大勢の警官達がいつもよりも慌てた様子で動き回っている。慌てるのも無理は無い。

最近金川を始めとした殺人事件が増加傾向にあり、その手口も様々なものになっているからな。

でもってここ数日は特に酷く合計3体の遺体が首から下を切断されそれぞれ等間隔の場所に埋められていた。

犯人もいまだ見つからず捜査は難航、現場には被害者以外の形跡は見つからず未だなんの手がかりもない。捜査一課もお手上げ状態にな

 

「青竹さん!ちょっといいですか?」

その声に耳を向けると、見知らぬ警官がこちらを呼び止めようとしていた。

「どうかしました?」

「砂藤警部補が至急来てくれ、と…」

なにか問題があったのだろうか。

「わかりました。ありがとうございます」

軽く一礼をしてから警部補のところへ足早に向かう。

にしても今まで何も無かったのに…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「えっ、相棒…ですか?!」

「急で申し訳ないんだけど、うちで組めるの青竹くんしか居ないんだよね…」

大柄の砂藤警部補が今日はなんだかちっちゃく見えてしまう。

「いや、でも砂藤警部補、自分は」

「私だって本当はやりたくないんだよ、こんな事…青竹くん……君にしか出来ないんだ」

「そんなこと言われても…」

「だってね、来た子がね…元「鳴家」の捜査一課らしいんだよ…こちらとしても鳴家とは…」

元々鳴家は治安があまり良くない。それで鳴家は他の部署と比べて圧倒的に変わり者が多いと聞く。

警察学校時代、良く耳にしていた[鳴家は他部署と仲が悪い]と言う噂は本当らしくて警部補もこれを危惧しているんだろう。

ましてやキャリアの浅い俺と組ませるとなると…

 

ガタッ

 

(ん?)

部屋の扉が開かれ、一人の見知らぬ女性が入ってくる。

凛々しい目をしており、こちらを一点に見つめ他のものに目もくれず歩いてくる。

 

「本日付けで金川警察署に配属されました、橙松です。よろしくお願いします。」

謎の気迫があり、威圧感が強い。そのオーラに押しつぶされそうになる。

「君が…青竹くん?」

突然こちらに視線を向けられる。しっかりと開いた瞳孔に吸い込まれそうだ。

「はい!お願いします!」

取り敢えず最初が肝心だ。人の7割は第一印象で決まるとされているからな。

「そう、よろしく」

快く返されたがどうやらそこまでのようだ。相棒として求められるところが高いのか、あまり会話はしたくなさそうだった。

早速気まずい空気が部屋中に漂い、周りの警官も動きの一切を止めている。

「えーと…早速だけど2人にはこの前の殺人事件の捜査をしてほしいんだけど…」

「あ、はい…」

警部補が何とかこの空気を壊してくれる。この人のこういうところは尊敬する。

「えーと…橙松さん…事件のほうの…」

「書類なら既に持ってる。いくよ。」

「え、急…」

そんなことを小声で言おうとしたが橙松さんはすでに部屋を出ていってしまっていた。

「あの、橙松さん!?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

午後3時。走ってはいるがまだ金川を脱出できていない。長時間運転に慣れているとはいえ流石に眠くなってきた。やっぱこんなことしてちゃダメだよな…とは思いつつ反抗は出来ない。

突然、男が身を乗り出してくる。

「おい、止めろ」

「え、急にどうしt」

「いいから、」

「はい…」

 

坂をあがったところに屋根付きの休憩所を見つけた。そこは海を一望できる休憩には最適な場所だった。まぁ曇り空であまり絶景を拝むことは出来ないが。

「ここは…」

「休んでろ」

「え…?」

彼はそう言って車から降りる。緊張していた空気が一斉にドアから解き放たれる。

私の緊張も解けたようで眠気が束となって襲ってきた。

寝れずにはいられなかった。

 

 

 

(やっぱ疲れてたよな…)

彼女の寝顔を見ながら自分の行いを悔やむ。

あの時俺が君の車に入らなけりゃ、こうして巻き込まれることもなかったのに。

ここまででいいよ。ごめんな。

あとは俺だけで何とかするよ。

 

リルルルルルルル…

 

 

ツッ

「…………」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 




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