「良かったのかボス。イビルアイの独断専行でなし崩し的にアンデッドの出入りを許す口実になっちまった、みたいに周囲には見えるぜ」
「仕方ないじゃない。こうでもしなければ彼らを無策で帝国にでも流れさせていたかもしれないのよ」
「そこだよ。亜人とアンデッド二人、帝国に流したところで問題ねーんじゃねーの?」
「それがある、とあの子が判断したから私達はここにいるのよ。本来なら私達は黒粉のルートを追いかけているところだったのに、あの子から直々にこっちに回ってくれって言われたんだから」
「あのアンデッドと亜人がそこまでの珠かねぇ」
「……王国戦士長に「あのリッチ、いや、エルダーリッチ…あるいはそれ以上の存在がその気になれば俺など何もできずに死んでいたかもしれん」と言わせたそうよ」
「……マジかよ」
「貴女のお気に入りのクライムがガゼフ様に聞いたらしいわ。ガガーラン」
「かーっ、なんであの童貞坊やはそんな重要な話を俺にもってこないかね!」
「ラナーに話せばそこから私に伝わると考えたんでしょうね」
「いーや、あの坊主にそこまでの考えはないね。憧れのガゼフ・ストロノーフとお話しできたのが嬉しくて飼い主にお話しして忘れてたに決まってらぁ」
「酷い言い草じゃない」
「ま、そういう所も可愛いって話だからな」
「貴女ねぇ……」
「それはそうと、イビルアイが仕掛けたのは私達の仕込みだったけど、攻撃を仕掛けた時は本気だったわよね、あの子」
「そりゃあな。そういう点では手を抜かねえ奴だよ」
「鬼ボス、報告」
「みっしょんこんぷりーと」
「来たわね、ティア、ティナ」
「調査結果報告」
「件のアンデッドが他の要注意人物が都市に潜入するためのブラフだった可能性、浚ってきた」
「結果としてそれは白。便乗して侵入したと思しきヤバい奴はいたけど、そいつはヤバすぎてあんな陽動必要なさそうだった」
「……どういうこと?」
「スラム街や墓地をうろついてる王国戦士長級のヤバい女と、墓地で何かを企んでる集団が接触してるのを確認した」
「それって……!私達で対処できそうなの?」
「正直、厳しい」
「王国戦士級のヤベー女一人なら、私達がチームで掛かれば勝てると思う。でも共同墓地に根を張る集団と連携されるとどんな隠し玉がるか分からない」
「かー!とんでもねえ話になってきやがったな!善良なアンデッドをつつきに来て極悪な人間との遭遇かよ」
「人間の方は依頼の範囲外。撤退を推奨」
「鬼ボス、なんなら善良なアンデッド(笑)と極悪な人間をぶつけてみたらどう?」
「それは……彼らの信頼を損なう結果にならないかしら」
「変に策を練らなければいい」
「そう。本当にあのアンデッド達が人間と友好的な存在だというなら、正直に厄介な案件が発生したから貴方達の信頼確保の為に協力してほしいといえば拒む確率は低いはず」
「うーん。正直そういうやり方は好みではないのだけれど……」
「そうも言ってらんねえだろ。このエ・ランテルでなにか騒乱が起きれば帝国に王国へつけいらせる隙になるかもしれねえ。手段を選んでる場合か?」
「それもそうか……。解りました。今後も彼ら善良なアンデッドことモモンガとアヴェには顔を合わせる機会があるから、依頼してみるわ」
「それがいい」
「もしかしたら一石二鳥」
「こら!そういう事いわないの、ティア!」
「しっかし。俺らも本来なら冒険者が気に廻さなくてもいいような事考えて動くようになっちまったなぁ」
「それは、私の我儘に皆を付き合わせて悪いと思ってるわ」
「いんや、悪いとは言ってねえよ。ラキュースの友情の為だもんな。言い換えれば俺達の仲間の為だ。そっちより会則を取るほど組合に忠実ってわけでもねえしな」
「なんなら私達はワーカーになってもいいと思ってる」
「おうなったら王城に出入りできるかは怪しいと思うけど」
「もう!貴方たちったら!本当に……最高の仲間よ」
「で?その最高の仲間の最後の一人はどこいってんだ?」
「ん。なんかふて寝するって言ってた」
「ふて寝だぁ?アイツ眠らねえだろ」
「力量の計れない、でも到底弱いと思えない外見の相手に問答無用で魔法を叩きこむ役目はストレスたまったって言ってた」
「あー……たしかにあいつらこっちに強いか弱いか悟らせない感じだったよな。装備品は上等だから弱くはねえと思うんだが……威圧感っていうのか?そういうのがなんかな」
「はいはい。それはそうだけど雑談はこのくらいにして。やべー奴と墓場の怪しい集団にどう対処するか、話し合いましょう」
「オッケーボス」
「解った」
「おう。ちっと気を引き締めっか」
閑話という事で二話同時更新です。
よろしければ本編となる前話もお楽しみください。
しかし原作とのずれ(ラナー王女からのお願いで青の薔薇エ・ランテル訪問)でモモンガさん達とラキュース、ガガーラン、イビルアイの三人しか出なかった裏側(ティア&ティナは都市内を偵察していた)を会話で表現するのにこんなに長くなるとは…。