自由への航海   作:天の川

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内面を詰め込んだ結果、話が進まない不具合発生。









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 あれから2日。

 

 心配していたアーロンの報復行動や八つ当たり行動等の原作から大きく外れた動きは見られないまま、ナミはコノミ諸島への帰還を無事に果たし、長鼻の男が村の周りを騒がせている。

 すっかり指定席となったオープンカフェで寛ぐ俺の視界の先では、アーロンが駐在と揉めているし、あとは「その時」が訪れるのを静かに待てば良いハズだ。

 一時はどうなることかと思っていた原作展開は、ある程度修正されたとみて良さそうだ。

 

 それもこれも一重に、ニコ・ロビンの長年に及ぶ逃亡生活で培った交渉術のお陰である。

 

『ターゲットさんには任せておけない』

 

 こう言って自ら交渉役を買って出たニコ・ロビンがキキョウと二人でアーロンパークへと向かったのは、魚人達をブッ飛ばしたあの日の事だ。

 万一に備えて門の外で見聞色を使って聞き耳を立てていた俺の心配を他所に、彼女は見事に魚人達を説得してみせたのだ。

 

 手始めにアーロンの失神を油断からくるラッキーパンチであるとして持ち上げた彼女は、俺の目的を待ち合わせと言い切り、俺達と敵対するコトの無意味さを説いた上で、此方には敵対の意志がないスタンスを平然と貫き、更には俺達が賞金首であると伝えて数日間の滞在許可を勝ち取ったのである。

 言葉にして纏めると簡単に聞こえるかも知れないが、相手は怒り狂うアーロンと魚人達。

 一歩間違えれば命の危険に晒される交渉であり、彼女にどんな思惑が有って交渉を買って出たのか今以て謎である。

 何処からか用意した自身の手配書を見せる荒業まで行ったニコ・ロビンだが、そこまでしてアーロン達を抑える理由が有ったのだろうか?

 

 それに…………力に勝る魚人を相手に一歩も引かなかった彼女の姿は称賛に値するが、それと同時に物悲しさを覚えるのは俺だけだろうか?

 

 荒ぶる相手との交渉のキモはなんといっても度胸だ……そして、度胸は場数を踏むことに依って身に付くのである。

 彼女が交渉上手なのはそれだけの場数と苦労を重ねた証であり、その姿は原作でも少し描かれていた。

 

『真実の歴史を知りたい』

 

 言葉にすればたったコレだけの望みを叶える為に、人の心までもを犠牲にするニコ・ロビンの半生はあまりにも悲しく、そのハードルはあまりにも高い。

 彼女の望みは天竜人である俺ですら手に入れられなかった世界の秘密であり、凡そ一般人である彼女が手にするのは不可能と言って過言ではない……原作のニコ・ロビンは真実の歴史を手に入れるコトが出来たのだろうか?

 

 俺は、ふと頭に浮かんだ事を考えながら、向かいに座るニコ・ロビンに視線を送る。

 

「何かしら?」

 

 視線に気付いたのか読書に励むニコ・ロビンが顔を上げた。

 

 この諸島に来て以来色々と動き回っていた彼女だが、今はこうしてゆったりと過ごしている。

 そんな彼女は今日も露出度の高いヘソ出しスタイル……この島は比較的温暖な気候だが恥ずかしく無いのだろうか?

 

「別に何も? ただ、ニコさんが交渉役を引き受けた理由が気になってな」

 

「貴方に任せておけない……そう言ったハズよ」

 

「だからっ、交渉を俺にやらせて魚人達をブッ飛ばすコトになったとしてもだっ、それはお前にとってどうでも良いことだろ?」

 

「貴方にとっての不都合な結果と思ったんだけど……間違いかしら?」

 

 事実を言い当てたニコ・ロビンは、つまらなそうに膝に乗せた書物へと視線を落とした。

 

「またその話か……飽きもせずによくやる」

 

「うるせぇっ、俺だってやりたくてやってんじゃねぇんだよ!」

 

 呆れ眼のキキョウが割り込んで来るのも当然で、これは既に何度か繰り返された会話だ。

 しかし、俺にとっての不都合と認めるコトが出来ず、結果、俺の為に交渉してくれたのか? とは聞けずに、同じコトの繰り返しとなるのである。

 

「いい加減お互い素直に話せばどうなんだ?」 

 

「ふんっ、俺はいつだって素直だっての」

 

「そうだな……グランドラインでの貴様は誰が相手でも物怖じせず、襲い来る海賊、気に入らない海賊とみれば容赦なく沈めたモノだ。ともすれば乱暴者と見られるが、己の心のみに従い一貫して暴れる姿は貴様の唯一の美点だったのだ。それが、この海に来てからはどうだ?」

 

「……何が言いたい?」

 

「私は貴様の護衛としてここに居る。故に、貴様の行いにつべこべ言う舌を持たぬ……しかし、だ。心を持たぬ人形でもないのだ!」

 

 何か不満でもあるのか、長々と語るキキョウは独りでにエキサイトしていき、語尾を強めて丸いテーブルをバンッと叩いた。

 

「何を当たり前な?」

 

「力こそ全てっ! 強い者が正義!! そんな島で生まれ育った私であっても、この村の状況には怒りを禁じ得ぬのだ!! 暴力に任せて力無き者を虐げるっ、それがこれ程醜く、悲惨な姿に成ろうとは……見てみよっ、直ぐそこで行われる不埒な行いをっ! 貴様は何故黙って見ているっ!? 村の者達の声無き叫びを聴いていないとは言わせぬっ!」

 

 俺の呟きも聞かず、丸いテーブルをバンバンと叩いて力説したキキョウは、揉めるアーロンと駐在を指差した。

 外界と隔絶された島で暮らしを営んでいたキキョウですら、この村の状況は腹に据えかねるらしい。

 人間であるキキョウが一方の事情ダケを知っての怒りだが、力による強引な支配は万国共通で反感を覚えるとみて良いだろう。

 

 だが、そうなると天竜人はマジで何なのだ?

 俺が観た限り、天竜人は反感を抑える目的で手心を加える様な真似は一切していない。

 と言うより、支配的な政策をほぼ行っていない。

 ただ気儘に暮らす支配者として君臨し、正義を標榜する海軍が全力で護る……全く以て不可解としか言えないな。

 

 そもそもアーロンのこの村での行いは、元も正せば天竜人が原因であったりするわけで…………まぁ、だからと言ってアーロンを単なる被害者と言うには問題が有りすぎるし、疑問もある。

 

 …………。

 

 とりあえず「その時」が訪れた後にアーロンから話しを聞くとして、先ずはキキョウを黙らせよう。

 このままでは魚人に絡まれ兼ねない。

 

「いや、聞いてないし。俺は通常、盗み聞きをしないからな? ってか、話す舌を持たぬと言っておきながら、舌の根も乾かぬ内にソレかよ?」

 

 見聞色の覇気は便利と言えば便利だが、扱い方が非常に難しい。

 中でも読心術的な業は一際難しく、意志の籠った思考をすくい取る様な感覚であり、相手次第で断片的な情報しか得られないことも珍しくない。

 例えば偶然出会った相手から『ムカつく!』と感じとれたしても、何に対してなのか、誰に対してなのか判らないのはよく在るコトで、誤解を招く恐れすらあるのだ。

 それと、天竜人たる俺に向けられる感情の99%は負の感情だったりするわけで、イチイチ読み取る意味がないのも見聞色を使わない理由だ。

 世界の全てが俺を個人ではなく天竜人と見なし、負の感情をぶつけてくるのであれば、俺は天竜人として振る舞うのみだ。

 

 そう……相手の気持ちなど天竜人には関係無いのである。

 

 ……っと、思考が逸れたな。

 

「貴様っ」

 

 俺の指摘で自己の矛盾に気付いたのか、顔を紅くしたキキョウが立ち上がる。

 

「ダメよ、護衛さん。都合が悪いとはぐらかす……この人の何時もの手よ」

 

「失礼な、俺は間違った事は言ってないぞ?」

 

「そうね。だけど、それは人としてどうなのかしら?」

 

「普通に最悪だな」

 

 情に訴えているつもりだろうが、俺には通じない……何故なら俺は天竜人だ。

 イチイチ情に流されていては天竜人などやってられないのである。

 

「変な人ね……最悪だと思っているなら直そうと思わないの?」

 

「思わん。人して最悪でも俺として生きる分には何の問題もない。お前だってそうだろ、ニコ・ロビン? 悪いと知って我慢が出来たり、簡単に改善出来るなら誰も苦労しねぇよ」

 

 暗に「お前も同類」と告げてやる。

 ニコ・ロビンも自らの夢のために悪事と知りながら悪事を重ねるている。

 こうチクリと言ってやれば、口を閉ざすか話題を変えるのがニコ・ロビンだ。

 

「そうね…………ところで、あの泥棒娘さんは一億ベリーで魚人から村を買い取る約束をしているそうね? 貴方が渡そうとしているお金も一億ベリー……偶然かしら?」

 

「はぁ? なんでお前がそれを知っている!?」

 

 思惑通り話題転換に成功するも、その内容に思わず声が裏返る。

 

「先日、私が見聞色で朧気に感じた事を頼りに、ロビンが村人に聞いて回ったのだ」

 

 先日?

 アーロンをブッ飛ばした時か?

 確かに、自分の事より「コレでナミちゃんが救われる!?」と安堵していた村人連中の強い意志が、聞くとは無しに聴こえたが、見ず知らずの人間が問い質して答える様な話ではないハズだぞ。

 

「調査能力有りすぎんだろ……一体どんな聞き方したんだよ?」

 

「秘密よ。だけど、村の人達が簡単に教えてくれなかったのは確かね。それなのに、どうしてターゲットさんは知っていたのかしら?」

 

「知ってたなんて言ってねぇしっ。ナミと取引した金額が一億なのは偶然だ、偶然!」

 

「全くっ……どうして何時もそうなのだ? ロビンは貴様が海軍を追い払った事や、海軍に追われるのを自分のせいにしなかった事を感謝しているのだぞ。そして、貴様が気にかけるナミという女との関係をっ、んぐ!?」

 

「ちょっと、キキョウ!? この人には言わないでって言ったじゃない!」

 

 顔を赤らめたニコ・ロビンがキキョウの口元に手を咲かせて強制的にその口を閉ざす。

 それを合図に移動したニコ・ロビンは、キキョウと揉み合いながらきゃぁきゃぁと騒ぎ始めた。

 

 コイツら……緊迫感の漂う村中でナニやってんだ?

 てか、ニコ・ロビンとキキョウはいつの間にこれ程仲良くなったんだ?

 

『そんな勝手な話があるかっ、アーロン!!』

 

 俺達が実に意味のない会話を重ねる内に、アーロンと駐在のやり取りは佳境を迎えていたようだ。

 家屋と家屋の間からナミの義姉が飛び出し、必死にアーロンに食い下がる。

 

『そうだ、そうだ!』

『止めてくれぇっ』

『ゲンさん放せっ!』

 

 それに呼応するかの様に村の者達が集まり、口々に不満を述べている。

 

 俺がアーロンならこの時点で殺しはしなくとも、ブッ飛ばしは確定だ。

 この状況でも言葉で応じるアーロンは、マジで話の判る合理的な奴なのかも知れない……惜しむらくは、支配の方法と怒りの矛先を間違えているコトだな。

 

『みんな戻れっ……ここで暴れては8年の苦労が無駄になる!!』

 

 地面に投げ付けられたゲンさんが血ヘドを吐きながらも、いきり立つ村人達を収めようとしている。

 

『シャーハッハッハ!』

 

 高笑いを上げるアーロン……そして、家屋の裏手に回ったウソップが屋根によじ登ろうとしている。

 

 よしっ、順調だ。

 

「そうだっアンタっ! 女二人侍らせていい気になってないで、なんとかしてよっ! このままじゃゲンさんが殺されちまうよっ」 

 

 順調と思ったのも束の間、ナミの義姉が俺達の方へと進み叫んだ。

 

「はぁ? なんで俺に振るかな? 大体、お前らは生きる為の闘いと銘打ってアーロンの支配を受け入れたんだろ? だったら、ルールを破ったそのオッサンが悪いんじゃねぇか」

 

「アンタねぇ!!」

 

「ノジコ止せっ……その男が我等の為に動くような男なら、今頃こう成っておらん!!」

 

「シャーハッハッハ! その男はオレ達と取り引きをしているっ……ソイツは判ってんだよっ、ラッキーパンチに二度はねぇってコトがよぉ!! 今度やり合えば死ぬのは自分だってなぁ!」

 

 恐るべきはニコ・ロビンの交渉術だな……ここまで思考の誘導が可能なら最早マインドコントロールの域である。

 

 自分が倒されたのは油断が全てとのニコ・ロビンの言葉を信じるアーロンは両手を広げ、さも強者は自分であるかの様に振る舞っている……実際は、何度やっても俺の勝利は揺るがないのだが黙っておくか。

 

 こうして俺が異を唱えないコトでアーロンの宣言は真実となり、村人達は露骨にガッカリとした表情を見せているが、それも今日で終わりを迎える。

 

 原作通りにルフィがアーロンを倒したら表面上は一件落着だ……まぁ、アーロンを倒したダケではホントの解決にはならなかったりするのだが、アーロン退治のその先は、俺の問題だ。

 

「そんなっ……アンタ最低ねっ!!」

 

「いやいや、おかしいだろ? どうして俺が非難めいて言われなきゃならない? 関係無いヤツでもお前らの為に動かなきゃ悪いってのか?」

 

「っ!? この人でなしっ!!」

 

「俺は人じゃねぇからそんなのは当たり前だ」

 

「なんだぁ? テメェ、同胞か?」

 

「魚人ってのは視力が悪いのか? 俺のどこをどう見たら魚人に見える?」

 

「……フンッ。テメェが何者だろうが関係無ねぇ。命が惜しければソコで黙って二人の処刑を見ていろっ」

 

「二人だと!? 駐在だけじゃないのか?」

 

 原作から外れた展開に俺は思わず立ち上がりアーロンに問い掛ける。

 

 ってか、またかよ……。

 

 原作を近くで見ているだけで影響を与えてしまう……これはもう、原作展開の為には原作見物を諦めるしかないってコトか?

 

 …………。

 

 いや、違う。

 見ることの出来ない原作を維持する意味が俺にはない……諦めるとするなら原作に忠実な展開の方だ。

 しかし、未来知識とも言える原作展開を手放すのも惜しい気がするし……ここは、思案のしどころか。

 

「その女には反乱の意志がある! ナミの関係者だかって多目に見てやってきたが、テメェとの会話は見過ごせねぇ……これは、明らかな反乱の意志だ!!」

 

「ん? まぁ、そうだな……」

 

 ごもっともなアーロンの意見に、それどころではない俺は気のない返事をするに留める。

 誰がどうみても反乱の意志があるどころか、実際に殺害依頼も受けているし、下手な反論は更なる不測の事態を招きそうだ。

 

「大変ね。このままだと貴方のせいで人が死ぬわ……どうするの?」

 

 キキョウとのじゃれあいを終えたのか、普段の平静さを取り戻したニコ・ロビンが隣で呟いている。

 

 相変わらず痛いところを突いてくる女だ。

 そこらの他人が自分の意思で勝手に死ぬなら俺の知ったことではないが、俺のせいで、となると話は違ってくる。

 なんというか、寝覚めが悪いとでも言うのだろうか……天竜人にあるまじき下らない感情論だ。

 

「ちっ…………言われなくても女の方は俺がなんとかするさ」

 

「駐在さんは見殺しにするの? アーロンは貴方のせいで堕ちた威厳を取り戻す為に、彼を殺そうとしているんじゃないかしら?」

 

「はぁ? それはっ……」

 

 違うだろ!?

 と、喉まで出かかった言葉を飲み込む。

 

 なるほど……駐在が殺されかけるのは原作通りの展開で俺は何の関係もないのだが、原作を知らないニコ・ロビンにこんな言い分が通用しようハズもない。

 ニコ・ロビンにとっては駐在の苦境も俺のせいに見える訳か……これは厄介だな。

 

「どうするの?」

 

 畳み掛けるように同じ質問をぶつけてくるニコ・ロビン。

 

 くそっ。

 

 ウソップは何をしている!?

 

 アイツが登場してくれりゃぁ原作の流れに戻り、駐在もノジコも死なずに済むんだっ。

 

 俺は見聞色で把握しているウソップが居るであろう屋根の上に、チラリと視線を向ける。

 それに釣られる様に顔を向けたニコ・ロビンは「あら?」と小さく呟いた。

 

『これが、見せしめだぁ!!』

 

 俺達が余所見している間にも話は進み、駐在を乱雑に掴んで軽々と振り上げたアーロンが地面に叩きつけようと気勢を発する。

 

『火薬星っ!!』

 

 ウソップの狙撃がアーロンの顔面を的確に捉え煙を上げると、手放された駐在が地面に転がり窮地を脱する。

 

『オレは勇敢なる海の戦士、キャプテーン・ウソップ!!』

 

 屋根の上で膝をガクガクと震わせながらウソップが名乗りを上げている。

 

 よしっ、これでいい。

 あとはアーロンにお帰り願えば良いだけだ。

 

「こうなると知っていたのかしら?」

 

「……ウソップとやらが何かしようとしていたのは気付いていた。キキョウにも判ったよな?」

 

「そうだな……魚人と駐在に意識が集まる中で、あの男だけが別の方向を向いていたのは私も確認していた」

 

「そう……便利なのね」

 

 納得したのか定かでないが、口を閉ざしたニコ・ロビンはソッポを向いた。

 何か感付いている様だしニコ・ロビンを連れ歩くのもそろそろ限界だな……アーロン遍が終わればルフィにでも押し付けるか?

 これも原作ブレイクだが、俺が連れ歩くよりかはマシだろう。

 

『下等な人間がオレに何をしたぁ!?』

 

 激怒したアーロンがウソップの立つ家屋をガシッと掴み、持ち上げようと力を籠めている。

 

 ヤらせねぇよっ。

 

「ストップだ、アーロン。その家屋には俺の荷物が置いてある……俺達には手を出さない。それが約束だろ?」

 

「テメェっ……!!」

 

 素早く移動した俺は、上から押さえる要領でアーロンの腕を掴んで制止を試みる。

 

「そう睨むなって馬鹿力め……大体、無駄に村を破壊してどうする? 取り口が減って困るのはお前さんだぜ?」

 

「減れば増やすまでよっ!」

 

「馬鹿か、テメェ? 支配地域が広まればその分苦労もデカくなるっての…………おいっ、魚人共! ボサッとしてねぇでこの馬鹿力を止めやがれっ」

 

 俺達のやりとりを唖然と見ている魚人達に努めて軽く言ってみたが、俺の内心はヒヤヒヤものだ。

 と言うのも、「魚人は産まれながらにして十倍の筋力」との触れ込みは伊達ではないらしく、アーロンは体勢有利な俺と拮抗する馬鹿力を発揮している。

 

 それにしても……コイツはつくづく惜しい男だな。

 覇気も纏わず生身だけでこの力……極めれば天竜人の力にだって抗えたんじゃないのか?

 

 俺はそんな事を考えながら混沌とする場を纏め、「その時」が来るのを待つのだった。











果たして、アーロン遍は次で終わるのか?

次回!
「俺がアイツの敵なんだ」

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