自由への航海   作:天の川

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今回のキーワード。

暴力
捏造
勘違い
フラグ





「はっーはっはっはっ…………ハッ!?」

 

 やっちまった……。

 

 ハンコックの性格に差異があるかを確認するだけのつもりが、つい余計な事を言ってしまった。

 原作に居なかった俺がハンコックと変に接触すればどんな事態を招くか想像もつかないのだ……不思議な事に周りの女達が固まっているし、この隙にとんずらするのが得策か?

 

 …………。

 

 よし、逃げよう。

 

 そうと決まれば善は急げ、小型船の舵を握り九蛇の船を追い越した俺は、九蛇の船の船首の前でUターン行動に入る。

 

「待つのじゃ!」

 

 蛇の頭を器用にもたげさせて、近くにやってきたハンコックに呼び止められるが知った事ではない。

 

「嫌だ。用は済んだし俺はもう行くぜ」

 

 ハンコックに一瞥だけくれた俺は、出航の準備に取り掛かる。

 

「な、なるたる無礼! そなたの用が済んでも、妾の用は済んでおらぬわ! そこになおるが良い! 妾自ら死を与えてくれるわ!」

 

 何が無礼か解らないが、ハンコックは片手を腰に当て仰け反る様な姿勢で俺を指差している。

 原作通り偉そうなのは良いとして、原作よりも怒りっぽいのは気のせいだろうか?

 

「死、とか要らねぇし。

 大体なぁ、俺に構うより石にした連中を元に戻してやれよ? アイツラは国の為に、お前の為に命を賭けて俺と戦ったんだぞ? 二心無く仕えてくれる人間は何にも勝る得難い宝って知らないのか?」

 

「よ、よくもぬけぬけと……元を正せば男よ、そなたがこの島に現れたのが原因であろう! 何の企みがあって、どうやってこの島に来たか申すが良い!」

 

 わなわなと震えるハンコックだが……この感じは怒りではなく、まだ少女だった頃のハンコックと同じ怯えによるモノに思える。

 

 幻の島と呼ばれた自身の安住の地である島に、天竜人である俺が一人で容易く現れた……この事実が彼女にえもいわれぬ恐怖を与えているのだろう。

 ハンコックの冷酷な面と偉そうな態度は、怯えを隠す為の仮面であり鎧であると云うことか……。

 

 あの日、

 あの夜、

 あの場所で、

 俺は確かにハンコックと出会った……いや、止そう……俺にとっても気分の良い思い出ではない。

 ま、あの出会いだ……彼女が俺を騒ぎの元凶と知らず、単なる天竜人と認識しているならそれはそれで良いだろう……ハンコックが俺に頑なな態度でも勘弁してやるか。

 

「ちっ……俺はコレを頼りにお前に会いに来ただけだ……別に何も企んでねぇよ」

 

 ハンコックを安心させてやるために、レイリーから預かった永久指針を投げ渡す。

 

「こ、これはっ……」

 

 永久指針を見事にキャッチしたハンコックは、指針を見るなり言葉を失った。

 

 そして、

 

『スレイブ・アロー』

 

 何の躊躇いもなく唐突に、ピンクのハート型の何かを作ったかと思うと、ソレを引っ張り訳の解らない矢を何本も放ってきたのだった。

 

「はぁ!? 何しやがる!? オラオラオラぁ!!」

 

 迫るピンクの矢を叩き落とすが、元より俺を狙っていないのか範囲が広い。

 

 俺が得た能力は、意識を加速させる事で精密な動きを可能とする類いのモノであり、スピードやパワーが上がるといったモノではない。

 まぁ、反応速度が劇的に上がっているから、スピードは多少上がっていると言えなくもないが、それでも肉体に備わる能力を越える事はないだろう。

 

 そんな訳で俺を狙わない同時多発的な広範囲攻撃は捌き切れず、敢えなく船への被弾を許す事となる。

 

 ピンクの矢が刺さった辺りを中心に船が石化し、船体が僅かに傾いた。

 

 よし、ブッ飛ばそう。

 この手の能力は意識を奪えば元に戻ると相場は決まっているのだ。

 

 え?

 原作? 勘弁?

 なにそれ?

 ここは現実で甘くない。

 俺に舐めた態度で危害を加えてくるのなら、例え同情すべき原作キャラでも容赦はしない、ってか容赦するべきではないだろう。

 原作保存は動き易くなる為の方法論の一つに過ぎず、原作に拘り過ぎて動きを阻害されては本末転倒となる。

 

 沈みかける小型船を蹴った俺は、九蛇の船へと飛び移る。

 

「人が友好的にしてやったのに、やってくれたじゃねぇか? ブッ飛ばしてやるから掛かってきな!」

 

 怒気を含んだ覇王色の覇気を撒き散らして甲板に躍り出ると、船上にいる女が意識を失いバタバタと倒れていく。

 

 ん?

 

 九蛇の戦士の中でもエリートのハズがこの程度で倒れるのか?

 

「ゆ、友好的!?」

 

「そ、それより姉様に一体何を渡した!?」

 

 意識を保った女、ソニックゴールドとマリーだったかが、巨大な頭を押さえながら俺に話し掛けてきた。

 

 ハンコックと似ているかと問われれば微妙だが、三姉妹が似ていないのは原作通りだし問題あるまい。

 

「おぉ、お前らか? 立派に成長した様で何よりだ」

 

「なに? 立派に成長?」

「何処かで、会った?」

 

「なんだぁ? お前ら俺が誰か判ってないのか?」

 

 だったら何でハンコックはあんなに怯え、キレてんだ?

 

「黙れっ! この卑怯者めが! 二人から離れよ!!」

 

 蛇姉妹に気を取られていると、背後から飛んできたハンコックのソバットが俺の後頭部に迫る。

 

「遅いっ! オラぁ!!」

 

 能力を発動させて振り返った俺は、的確にハンコックの長い足をガードすると反撃の拳を繰り出した。 

 

「な、何故じゃ!? 何故石化せぬ!?」

 

 覇気で悪魔の力を防いでいるだけなのに、ハンコックも能力にかまけた馬鹿なのか?

 だが、体術は中々のモノだ。

 顎を撃ち抜くハズの一撃はハンコックのクロスアームにガードされ、後方に吹き飛ぶこともなく、甲板の上で数メートル後退っただけで踏ん張られた。

 

「ちっ……良い反応してんじゃねーか? だがなぁ? イキなり蹴り掛かるのはどんな了見だ?」

 

「黙れと言っておろう! よくも、わらわの恩人であるレイリーに預けた品を盗んでくれおったな!」

 

「はぁ? なんでそうなる?」

 

「惚けるでないわ! そなたが投げ寄越したこの永久指針が何よりの証……あの強く優しいレイリーがそなたゴトキに遅れを取ろうハズがなかろう! ならば、答は明白!」

 

 ここで一呼吸置いたハンコックは、片手を腰に当てビシッと俺を指差し仰け反った。

 

「そなたが賤しくもレイリー宅に忍び込み、盗み出したのじゃ!!」

 

「黙れっ! デコ女!!」

 

 ヘボ探偵も真っ青の馬鹿推理を披露するハンコックに飛び掛かった俺は、仰け反る顔を目掛けて撃ち下ろしの右を振り下ろす。

 

 攻撃を『受けた』ハンコックがバランスを崩し、甲板の上に音を立てて倒れ込んだ。

 

「あ、姉様を……」

「蛇姫様のお顔を……」

 

「「殴ったぁ!??」」

 

 周りの女達が頬に手を当て叫んでいるが、残念ながら俺のチョッピングライトは寸でのところでガードされている。

 

 その証拠に、ハンコックは何事もなかったかの様に起き上がった。

 

「誰が空き巣の様な真似をするかっ! 俺は欲しいモノは『力』を使って手に入れるんだ!!」

 

「怒るとこソコぉ!?」

「あの男、最悪よぉ!」

 

『メロメロ・メロゥ』

 

 起き上がったハンコックは完全に表情の消えたジト目で石化光線を放った。

 

「そんなもんが効くか!」

 

 避けるまでもなく腕を組んだ俺の身体を、変な光線がすり抜けてゆく。

 

「その様じゃな……ならば、蹴り殺し、切り刻んで魚のエサにしてくれようぞ」

 

「上等っ! 能力にかまけた馬鹿が近接戦闘で俺に敵うとでも思ってんのか?」

 

 聞く耳持たない。

 そんな雰囲気を漂わせるハンコックに口で説明するのも面倒だ。

 

 それに、王下七武海の力をこの身で確めておくのも悪くないだろう。

 

 こうして俺は、海賊女帝、ボア・ハンコックと殴り合う事になるのだった。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

「ま、まさか、七武海程度が殴り合いで俺と互角に渡り合うとはな……」

 

 能力を使う度に体力が消耗する……こんな設定は原作には無かったぞ?

 そうとは知らずに最初から能力を使いまくった俺は、仕止めきれないまま息切れを起こし、闘いは長期戦となってしまう。

 

 くそっ……能力を手に入れて浮かれた馬鹿は俺だったのか?

 こんな、能力無しのハンコックに手こずる様じゃこの先が思いやられるぜ。

 

「ど、何処までも偉そうな男じゃが、最後に勝つのは妾に決まっておる」

 

 クロスカウンターで互いの顔面にパンチと蹴りをめり込ませた俺とハンコックは、満身創痍に成りながらも強気の姿勢を崩さない。

 

 互いの覇気もとっくの昔に底を尽き、俺とハンコックの闘いは単なる殴り合いの様相を呈していた。

 身長によるリーチの差からこのまま行けばハンコックがやや有利……だが俺にはまだ悪魔の能力が残されている。

 

 体力の消耗具合から考えて使えるのは後一度で限界だろう……ならば、その一度に全てを掛けてラッシュを叩き込んでやる!

 

「えぇ加減にせにゅか!!」

 

 最後の勝負を掛けようとしたところで、いつの間にか船上にやって来ていたニョン婆にゲンコツを落とされた。

 自身の身長以上に飛び上がり、俺とハンコックの二人を同時に殴り付けるとか、大した妖怪っぷりとしか言えないぞ。

 

「痛てて……ババァ、何しやがる!? お前も敵ならブッ飛ばすぞ!」

 

「邪魔をするでないわ! 全く……何処から来たのじゃ? いつもいつも鬱陶しい女よ」

 

「二人とも見上げたもんじゃが、ワシにょ攻撃でフラつくようにゃら、最早闘える身体ではあるみゃい? ここは引き分けでどうじゃ?」

 

「あん? 俺の本気はこれからだっつーの」

 

「そのチビ男など、妾がこれから見事に倒してみせようぞ!」

 

 むかちーん。

 

「誰がチビだ? このデコ広女めっ。お前なんか俺が能力を使いこなせりゃ瞬殺の雑魚武海のクセにっ!」

 

「己っ、二度ならず三度までも……! そなた、妾の魅力がコンプレックスなチビ男で良かったのぅ? メロメロの能力が通じたなら、そなたなど一瞬で石になっておったわ」

 

「あん? 続きやんのか? この、デカ女っ」

 

「何時でも掛かってくるがよい。この未熟男っ」

 

 俺とハンコックはデコを突き合わせ、互いにメンチを切って火花を散らす。

 

「えーっい! 二人とも子供か!! 止めいと言うておろうに! そみょそみょお主、何故蛇姫と闘こうておりゅにょじゃ?」

 

「当然っ、このデコ女に俺の方が強いって解らせてやる為だ!」

 

「馬鹿はお主じゃ! 自分で言うておった目的を思い出してみよ!」

 

「えーーっと……ハンコックに会う……だったな」

 

 おかしい。

 確かに俺の目的はハンコックに会うことだった。

 それが何故こんな事になっている!?

 

 さては、メロメロの実の力で魅了された結果か?

 

 って、違うか。

 

「相も変わらずごちゃごちゃと五月蝿い女よな。久しぶりに楽しんでおったのじゃ……男よ、そなたもそうであろう? ニョン婆は黙っておれ……我等の邪魔をするでないっ」

 

 顔を腫らし乱れた髪をかきあげたハンコックは、途中俺に同意を求めてきたが、正直、全然楽しくない。

 

「黙りませにゅぞ……蛇姫よ、時に苦言も言うが、ワシはそなたが我が儘であっても構わにゅと思うておるのじゃ。我が儘姫の元、国民が纏まりゅ……そんな国が世界に一つくらい有っても良かろう。じゃが! そなたの我が儘を許しても、恩を仇で返す様な真似は許さにゅ!!」

 

「恩じゃと? 何を申しておる? 妾は今日の今日まで、コヤツの様な無礼な男は見たことも会うた事もないわ」

 

 ハンコックはやはり俺を知らないと言う……となれば彼女の畏れの対象は全ての男になる、のか?

 

 だとすれば、我が同族とその取り巻き達は、なんとも罪で愚かな事をしているとしか言えまい。

 度を越えた畏れは些細な事で反乱を招く。

 それは、あの日の脱走劇からも明らかだ……俺がタイガーの牢の鍵を開け、首輪を解錠しただけで後は雪崩の様に脱走劇は広がったのだ。

 

 馬鹿貴族達は、どうして人を虐げる危険にも気付かず、あんな事が平気で出来るのだろう?

 

 あの日、ハンコックを探して向かった先で俺が見た光景は……。

 

「姉様……覚えてませんか? あの日、あの時、」

「止めろっ! こんな人目につく場所で話す事じゃない!」

 

 俺の思考とリンクするようにあの日の事を話そうとする緑髪の妹を制止する。

 

「心配は無用じゃ。この船上にょ者はここにいる五人以外は皆意識を失にょうておる。お主と蛇姫にょ闘いにょ覇気に充てられてにゃ」

 

「いや、その歳、その面で語尾が『にゃ』とかどうかと思うぞ」

 

「お主は真面目にゃ話しも出来にゅにょか!? 少し黙って話を聞いておれ」

 

 

「はぁ? なんで俺がお前らの都合に従わなきゃいけないんだ?」

 

 てか、こんな胸糞の悪い話をする必要がどこにある?

 どうしても思い出話しがしたいなら、俺の居ないところで勝手にやってくれ。

 

「そなた、何を隠そうとしておる?」

 

 取り出したハンカチで顔を拭いたハンコックは、腫れの引いた綺麗な顔で俺を見ている。

 いくら何でも早すぎるが、ワンピース世界ならコレくらいは当然か。

 

「別に隠そうとはしてないぞ? 待ってるのが面倒なだけだ」

 

「そなたという男は……良かろう。待って話を聞くなら、そなたの船の石化を解いてやろう。これでどうじゃ?」

 

「何を偉そうに……元はと言えばお前が石化させたんだから直すのは当然だ。まぁ、その条件を飲んでやるから手短に頼むぜ」

 

 あの船こそが俺の旅の生命線……小型船が直るなら少し位我慢をするのも良いだろう。

 

 こうして、甲板の上に大の字になって寝転がった俺をよそに、三姉妹とニョン婆は時折眉間にシワを寄せながら、あの日の事を話すのだった。

 

 

◇◆◇

 

 

 

 はぁ……やっぱこうなるよなぁ……くだらねぇぜ……嫌な過去を思い出して嫌な気分になる。

 一体誰トク!? って感じだし、もし、この光景を見ている奴が居たのなら、これより先は見ない事をオススメするぜ。

 

「妾達を『助けた』子供……その子供が成長したのがそなた。コレで間違いないのじゃな?」

 

 過去を思い出して、今日の出来事を照らし合わせ、色々な推測を重ねて一つの仮定に辿り着いたハンコックは、大の字に寝る俺を見下ろす様に問うてくる。

 

「残念、外れだ……俺にお前らを善意や同情で『助けた』覚えはない…………だが、汚いモノをぶら下げて、お前に襲い掛かろうとしたクズを後ろから刺し殺し、室内で海楼石の檻に入れられていた2人を逃がしたのは俺か? そう聞かれればイエスと答えてやる」

 

 太陽を背負うハンコックの眩しい顔を見上げながら事実を教えた俺は、ゴロンと寝返りうって横を向く。

 その途端、膝から崩れ落ちたハンコックは所謂、女座りに座り込み両手で顔を覆い隠すと嗚咽を上げて泣き出した。

 

「「姉様っ!」」

 

 姉妹二人はハンコックの背後に駆け寄ると肩を抱くように寄り添った。

 泣き声こそ上げないものの、二人の大きな瞳にも涙が浮かんでいる。

 

 この雰囲気、どうすんだよ?

 

「お主……天竜人を殺めておきにゃがら、ようも今日まで生きておれたにゃ? いや、よくぞ生きていてくれた……言葉を失った三人にょ代わりに例を言うわい……この通りじゃ」

 

 横を向いた視線の先に現れたニョン婆は、三頭身でありなが綺麗な土下座を披露した。

 

「また語尾に『にゃ』を使いやがって……さてはババァ、真面目に話す気が無いだろ?」

 

 むくりと上半身を起こして笑みを浮かべた俺は、胡座をかいてニョン婆へと向き直す。

 

「お主という男は……いや、それもこれも辛い過去を隠す強がりにょ裏返しかにゃ? まこと、蛇姫によう似とるわい」

 

「はぁ? 辛い過去?」

 

 このババァは何を言い出すんだ?

 そりゃ修行の日々は辛く厳しいモノだったが、あの日々が有ったから俺は海に出れたんだ。

 

「妾達の前では強がらずとも良い……そなたも妾達と同じ(奴隷)であろう。あの場に現れたのが何よりの証……幼いそなたに人を殺めさせたバカリでなく、知らぬ事とは言えそなたを殺そうと……」

 

 背後から抱き付いてきたハンコックの細い腕が俺の胸の辺りで交差する。

 

「ん? まぁ、俺も籠の鳥(天竜人)だったし似たようなもんか? けどな? 俺は人を殺めてない! 俺が殺したのは……クズだ!! アイツラこそが俺の敵……いつか聖地に戻った暁には、一匹残らず見つけ出して根絶やしにしてやるぜ」

 

 本来なら天竜人は奴隷を必要としない。

 放っておいても世界中の国が貴族の娘を、従順なメイドとして送り込んでくるのだ。

 反骨心を胸に秘める危険な奴隷を使う必要がないのだ……つまり、ハンコック達を買ったのは馬鹿な同族であっても、虐げ続けたのはその取り巻きだ。

 天竜人の権力を傘に着て、影でヤりたい放題を続けるクズ……俺の威光を傘に着るクズは始末してやったが、他の同族の取り巻き迄は調べ切れていない。

 クズであっても知恵は有る……尻尾を掴むには中々に骨が折れるのだ。

 

 回されたハンコックの細腕を撫でながら俺は目標の1つを表明する。

 

 しかしまぁ、この細い腕で俺と互角に殴り合うとかどうなってんだ!?

 

「はぁぁん!?」

 

 奇声を発してハンコックが崩れ落ちた。

 

「「姉様!?」」

 

 姉妹二人が倒れたハンコックを揺り動かす。

 

 てか、コイツラさっきから姉様しか言ってないな。

 

「ゴッホン……して、お主はこの後どうするにょじゃ? 如何に強かろうと、今すぐ聖地に乗り込むにょは実力が足りにゅにょではないか?」

 

 痛いところを突いてくるババァだな……ハンコックと互角程度の実力じゃ三大将には敵わない。

 だが、俺が天竜人と気付いても、三大将と闘うことなく普通に帰れる天竜人とは如何な年の功でも気付くまい。

 

「そ、そう急くでないわ……妾はこの御方にまだ詫びて許しを請うておらぬ。妾はそなたから受けた恩を1日足りとて忘れた事は無い!」

 

 正気に戻ったハンコックの俺への呼び名が『御方』になっている。

 

 なるほど……如何な七武海でも天竜人と知ったなら、態度が変わると云うことか。

 

 これは、面白くないな……安易に身分を明かすのは控えるとしよう。

 

「ちっ……馬鹿かお前? その広いデコに脳は詰まってないのか?」

 

 ハンコックのデコに軽くデコピンを入れてやる。

 

「は、はい?」

 

「嫌な事なんかサッサと忘れて気にすんな。俺に許しを請う? 何の事か解らねぇが、俺に許しを請うなら全てを許そう…………何故なら俺は、偉いからだ!!」

 

 立ち上がってそう叫んだ俺は、ポカンと口を開けて呆れる女達の視線を他所に、腕を組んで高笑いをあげるのだった。

 

 それから、船を石化を解いてもらった俺は、一人の九蛇の戦士を旅の道連れに迎え入れ、東の海を目指してアマゾン・リリーを後にするのだった。

 









次回!
「イカサマ師(主人公)登場!〜見聞色でカードゲームは負け知らず!?〜」
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