自由への航海 作:天の川
強引にカームベルトを越え、東の海に到着してから2週間の時が流れた。
無事に東の海へとやってきた俺は、手始めに『斧手のモーガン』と呼ばれる海軍大佐が治める海軍支部の街を探し、状況確認に向かった。
そこで目にしたのはモーガンが失脚し、変わろうとする海軍と街の姿だった。
ルフィ達が暴れたのか?
との推察は容易に出来たが、身内の恥となる出来事に海軍の連中は揃って言葉を濁し、推察は推察のままとなっている。
適当に海兵をブッ飛ばして詳細を聞き出しても良かったのだが、海軍と無駄な軋轢を産む必要も無ければ、詳細不明のままルフィ達を追いかけるのも又一興と思い、穏便に海軍支部の街を後に……したかったのだが、ニコ・ロビンの素性がバレて一騒動が有ったり無かったり。
今のところ、海軍に大規模なニコ・ロビン追跡の動きは見られないが、大きな動きが見られれば紋章を使って黙らせる必要も出てくるだろう。
全く以て面倒な限りである。
そんな事情もあって逃げる様に海軍支部の街を後にした俺達は、ルフィ達が次に現れるであろう『オレンジの町』へとやって来た次第である。
そこで、ニコ・ロビンに大きめのサングラスを買い与えた後は、今後の航海プランを考えつつ街の酒場に入り浸り、海賊の襲撃を受けて今に至る。
「どうして暴れないのかしら? ターゲットさん」
ウェスタンスタイルに身を包み倒木に片足組んで腰を掛けるニコ・ロビンが、キキョウとユッタリとした組手に励む俺に語り掛けてきた。
加速させた意識の中でより正確に動くには、こうして身体の動きを確めるように、日々鍛練を重ねるのが重要と成ってくる。
普段、ロクに会話をしないくせに邪魔をしないで欲しいものだ。
「はぁ? 俺がいつもいつも暴れるとでも思ってんのか? ニコさんや」
「貴様は海軍が相手でも暴れるではないか……海賊風情に憩いの邪魔をされ、何故、大人しくしている?」
額に汗を浮かべ俺の拳を受けながら、キキョウがなんとも失礼な事を言うには理由がある。
現在、このオレンジの街は、海賊『道化のバギー』の略奪を受けており、偶然居合わせた俺達は、街の住人と共に街の郊外へと避難しているのである。
暴れない主な理由はルフィ待ちになるのだが、これだけが理由でも無ければ、頭の良いニコ・ロビンの前で未来知識となるコレを言うわけにもいかない。
しかし、解せぬ。
大人しくしていたら不思議がられるって何なんだ?
「俺よりもアイツらが大人しく逃げている方が不思議だろ? ……なぁ、町長さん? 海賊に街を荒らされて、アンタラは何で黙って逃げてんだ?」
近くで輪になって愚痴を言い合う集団の中心に収まる人物、この街の町長に疑問をぶつける。
街の住人と一緒に逃げて来たのは、コレを聞く為だったりする。
「な、なんだと!?」
「俺達だって好きで逃げてるんじゃない!」
「そうよ! 道化のバギーは容赦の無い海賊よ!」
「アイツラは人の命を何とも思ってないんだ!」
俺の言葉に青筋浮かべた避難民が、思い思いの事を言ってくるが、要は命惜しさに暴力に屈する道を自分で選んでいるダケだな。
「だったらなんだってんだ? お前等は相手が恐けりゃ何をされても黙って従うのか? そんな態度が海賊行為の容認に繋がり、その積み重ねが海賊をのさばらせる原因になっているんだろ? お前等はそんな世界が望みなのか?」
「ぐぬぬ……小わっぱめ……言いたい放題言うてくれるではないか!」
黙り込んだ避難民を掻き分けて、白髪の町長が現れた。
「は? 言いたい放題? こんなもんは素朴な疑問ってモンだ。ま、別にアンタラがどうしようと俺には関係無いし、ここで海賊行為が終わるのを黙って見ていたいと言うなら好きにすりゃいいさ」
俺が自由であるように、町長や避難民がどの道を選ぶのかも又、自由。
肩を竦めてお手上げのポーズを取った俺は、鍛練を再開しようと視線をキキョウに戻した。
「黙ってなどおれんわっ!! 良いか、小わっぱ! この街は儂が40年の時を掛けて皆と共に作り上げた宝じゃ!! 小わっぱに言われずとも皆の避難が完了した今、海賊どもに物申しに行くわいっ!」
俺に啖呵を切った町長は「誰ぞ、鎧を持っておらぬか!?」と叫びつつ、避難民の輪の中へと消えていった。
「くっくっく……そうかよ……死にに行くか……ま、好きにしな」
原作通りと言えば原作通りだが、暴力に屈することを良しとしない、意思の力には好感が持てる。
俺も、いつかは世界様の覇気に抗えるだけの意思の力を持ちたいモノである。
「悪い人ね……町長さんをけしかけて何を企んでいるのかしら?」
サングラスを掛けて立ち上がり、近寄るニコ・ロビンの口角は僅かに上がっている。
「別に何も? 素朴な疑問だって言ったろ? 世界の在り方は個々人の意思の集合で決まるハズだ……ならば、この大海賊時代は世界の人の望み、と謂うことになる……その確認だ」
「面白い説だけど、それはどうかしら?」
「じゃぁ世界の在り方や歴史は誰が決めているんだ?」
「…………さぁ? 考えた事もないわね」
少しだけ考えたニコ・ロビンはわざとらしく小首を傾げた。
ニコ・ロビンは、俺の前で殆ど笑わなければ考古学者としての顔も一切見せない……この旅で、信頼関係を全く築いて来なかった俺の努力の賜物だ。
ってか、原作的にも海軍的にも物凄く邪魔だし、サッサと船を降りてアラバスタに戻って欲しいのだが、どうしたモノか?
「そうかよ……ま、俺もそろそろ行くか」
町長が街に向かうならそろそろルフィが現れる頃合いだ。
モンキー・D・ルフィ……原作を通じて一方的に知っている昔憧れたヒーロー……いつの間にかルフィの年齢を越えてしまったが、この世界のルフィは一体どんな奴だろう?
まぁ、今日の俺の目的はルフィじゃないし、俺に喧嘩を吹っ掛けて来ないなら、チラ見して放って置くのが良いだろう。
俺が手を貸すような真似をしなくても、自力でグランドラインを乗り越えシャボンディに辿り着くのが原作であり、ルフィである。
原作を再現するなら何もしないのが望ましい位だ。
「やはり暴れるのか? 貴様はそうでなくてはな!」
街の方角を見詰めていると、キキョウがどこか嬉しそうに語りかけてきた。
佇まいからして付いてくる気、満々らしい。
「だから、暴れねぇっつーの! てか、お前等付いてくるなよ!?」
「嫌よ、ターゲットさん」
「私は貴様の護衛だ!」
こうして俺は期待と不安を胸に秘め、言うこと聞かない女を連れて、バギー海賊団に占拠された街中へと向かうのだった。
◇◆◇◆◇
「この上だな……」
街の港に程近い、コンクリート制の大きな建物。
俺達は3人並んで屋上を見上げる。
見聞色を使うまでもなく、ばか騒ぎする音が聞こえるこの建物の屋上にバギー一味は居るだろう。
「俺が先に行く……この上に居る連中に用が有るのは俺だ。お前等は別に来なくて良いからな?」
どうせ言うことを聞かない二人に言うだけ言った俺は、民家の壁を蹴って、建物の屋上へと掛け上がる。
屋上の光景が目に入ったその瞬間、
――ドォーン!!
耳をつんざく音と共に、砲弾が俺に迫る。
「はぁ?」
なんだ? このタイミングは?
内心で軽くボヤキつつ意識を加速させた俺は、迫る砲弾を慎重に受け止め、衝撃を逃すように身体を一回転させて砲弾を上空にぶん投げた。
「キキョウっ!」
「任せろ!」
蛇の弓を引き絞ったキキョウが狙いを定め、上空の砲弾へと矢を放つ。
――ドォーン!!
キキョウの矢が砲弾を貫き、爆音と爆風が辺り一面に襲い掛かる。
「何なのよぉ!?」
「アイツ、スんゲェぇ!?」
「正に、ド派手!! ってどうなってる!?」
屋上では爆風から顔を覆いながら驚くナミ、檻の中で喜ぶルフィ……そして、こんな時でもノリ突っ込みを忘れないバギーの姿。
…………。
なんだ、この状況は?
ルフィは檻の中……ナミはバギーの近くに居るし、ゾロに至ってはこの場に居ない。
これで原作通り……なのか?
まぁ、良い……余り自信は無いが、とりあえず目的を果たしてから成り行きを見守るとしよう。
「おいおい……いきなり大砲をブッ放すたぁ、どんな了見だ? 道化のバギーさんよぉ?」
空を蹴って屋上に降り立った俺は、今日の目的であるバギーと向き合う。
「あら? ブッ飛ばさないのね? どういう風の吹き回しかしら?」
建物の壁に生やした腕を使い梯子の様に登ってきたニコ・ロビンの手には、金の詰まったアタッシュケースが握られている。
背中から生やした手にケースを持たせ運んで来たらしい……花のように自分の手足を咲かせる能力『ハナハナの実』やはり、中々便利で厄介な能力だな。
「コイツラに用が有るって言ったろ?」
振り返らず説明するとニコ・ロビンは「そう」とだけ呟いた。
「なんだぁオメぇラ!? よぉくもオレ様のバギー玉を無駄にしてくれたなぁ!? あぁん?」
眉間にシワを寄せ笑える顔を作り両手を腰に当てたバギーが、臆する事なく顔を突きだし寄ってくる。
独特のメイクと口調がなんとも愉快な海賊らしい海賊、道化のバギー。
平均300万の東の海において、1500万もの懸賞金が懸かっているのは伊達ではない様だ。
「あん? 無駄なのは街への破壊行為だっつーの……まぁ、良いや。 喜べデカっ鼻、お前等は俺の護送団に選ばれた!」
バギーのデカっ鼻を指差した俺は、ビシッとポーズを決める。
ここ数日で薄れゆく原作知識を吟味した結果、これから先はバギー海賊団に付いて行くのが面白そうとの結論に達していたのだ。
原作でもグランドラインを突き進む事になるバギーを適当に誘導しつつ、ルフィ達を追い掛ける……これぞ、面倒な雑用はバギーの一味に押し付け、原作に与える影響も少ないであろう一石二鳥の航海プランだ。
「だぁれがデカっ鼻だ!! 派手にフザケタ野郎だ……オレ様を道化のバギーと知りながらのその暴言、何処のどいつか知らねぇが許してやる訳にゃぁいかねぇなぁ」
「悪い悪い……俺の名はオーザ、ワール・D・オーザだ。こっちのサングラスはニコリともしないニコさんで、あっちのビキニは男嫌いのキキョウだが……赤っ鼻の方が良かったか? バギーさんよ?」
「…………むかちーん……俺ゃぁもう切れたぜ。これ程腹が立ったのは久しぶりだぁ。野郎共っ! このハデ阿呆を派手に殺せぇ!!」
「「了解しやした!」」
何故か怒ったバギーの指示に従い数人の男達が飛び掛かる。
「させるかっ!」
キキョウが弓をしならせ束ねた矢を放つ。
「ぐぇ!?」
「ぎゃぁ!?」
「ごふっ!?」
放たれた矢は空で別れると飛び掛かる男達の鳩尾に当たり、男達を遥か後方に吹き飛ばした。
「え? 今の……どうなってるの?」
呆れたナミがポカンとしている。
まぁ、常識で考えれば弓矢は人を吹き飛ばす様な武器ではないからな。
「ハァァァキィィ!?」
大口開けたバギーがキキョウと男達の消えた方向をキョロキョロと首を振って見返している。
驚く中にも事実を言い当てコミカルさも忘れない……やはり、思った通り愉快な男だ。
「その通りだ。俺とコイツは使える……闘うのも一興だが、俺の話を聞いてからでも遅くはないぞ」
「……言ってみな」
「お前、グランドラインに行くんだよな? ついでに俺達を連れて行けって話だ……別にタダって訳じゃないぞ。ニコさんや」
背後に控えるニコ・ロビンに向けて手を伸ばす。
「その呼び方なんとか成らないのかしら? ターゲットさん」
「呼び名が変はお互い様だ……ほらっ受け取れ……一億入っている。それで俺達をシャボンディに連れていけ」
ニコ・ロビンから受け取ったケースをナミに向けて投げ渡す。
「い、一億ベリーっ!?」
ケースを受け取ったナミは、直ぐ様ケースを開くと物凄いスピードで札束を捲り確認してゆく。
「ほぅ……偽物じゃない様だなぁ? 一億って言やぁ大金だ……悪くねぇ話だが、オメェを連れて行かなくても、もっと楽に一億手に入れる方法がある……何か分かるかなぁ?」
顎を擦ってナミの行いを見ていたバギーはナイフを取り出すと、悪どい顔をしてそのナイフに舌を這わせている。
「流石、道化のバギー……海賊の鏡の様だな? 出来るかどうかは別にして、俺達を殺して一億を手に入れようとするか……だが、その金が前金だとしたらどうする?」
「なぁにぃ!? 一億が前金だとぉ? オイッ……条件を言ってみろ」
「期限は無しで護送を優勢しなくても構わない……要は好きに航海してお前等がシャボンディに辿り着くまでの間、俺を客としてお前等の船に乗せろって話だ。無事にシャボンディに到着したら後、五億払おう……バギー海賊団なら簡単な話だよな? そこの、野郎ども!!」
バギーを煽るなら手下を煽るべし。
良くも悪くも親分肌のバギーは手下に持ち上げられれば断れない……これは、原作からも明らかだ。
「ヤッホーイ! これで俺達も金持ちだ!」
「流石、我等が船長バギー様!」
「入ってくる話がデカイぜ!」
「よぉーしっ野郎共、みなまで言うんじゃねぇ……オレ様はグランドラインを制する男だ! モノのついでにお前等を乗せりゃぁ五億手に入るってぇ訳かっ! だぁはっはっはっは……」
「バ・ギ・ぃ!」
「ご・お・く!」
「バ・ギ・ぃ!」
「ご・お・く!」
「バ・ギ・ぃ!」
「ご・お・く!」
バギーが了承とも取れる高笑いを上げると、手下達が待ってましたとバカリに囃し立てる。
「契約成立だな?」
バギーに向けて右手を伸ばす。
「おぅよ……派手にフザケタ野郎だが、客となったからにゃぁ歓迎してやるぜ……野郎共! コイツ等は今日からオレ様の客だぁ、丁重に持て成してやれ!! ただぁし、金が払えねぇってなった時は覚悟しな?」
俺の手を握り返したバギーが尤もな事を述べる。
契約の概念が通用するなら裏切られる心配は無いだろう。
「シャボンディにさえ行けば、五億だろうが百億だろうが問題ねぇよ……つまりだ、五億を手にするかどうかは、道化のバギー、お前次第だ」
「何度も言わすな……オリャァ、グランドラインを制する男だぜぇ?」
「えーっ!? グランドラインを制するのは俺だぁ」
今の今まで大人しくしていたルフィが檻の中から待ったをかけると、ナミが「あのバカっ」と小さく呟き、額に手を当て溜め息を吐いた。
「くっくっく……そうかいそうかい。麦わら野郎、グランドラインを制するのはバギーでなく、お前か?」
「あぁ。グランドラインを制して海賊王に俺はなる」
叫ぶでもなく、虚勢を張るでもなく、実に自然体のままでルフィはあの名言を口にした。
なるほど……この世界でも、ルフィはルフィらしいな。
「くくっ……ハァッハッハッハ…………だってよ? 道化のバギー、お前さんと契約したのは俺の間違いかぁ?」
名言を聞いてテンションの上がった俺は、笑いながらバギーの肩をバシバシと叩く。
「阿呆ぬかせぇ! あんな小僧が海賊王に成れるわけねぇだろうがっ」
「ですよねぇ……うちの親分世間知らずで」
アタッシュケースを両手でしっかりと抱き抱えたナミは、バギーを宥めにかかっているらしい。
「そうかぁ? あの状況でアレが言えるんなら大したモンだぜ……ま、後はお前等で勝手にやってくれ。俺達は酒でも頂いてるぜ」
軽くナミの肩を叩いた俺は、バギーとナミに背を向けて、バギーの一味が用意していた酒宴の席へと足を運ぶ。
「ちょっとアンタ! 誰だか知らないけど煽るだけ煽って行かないでよ! もうっ、アンタ達みたいな考え無しを見てたらウンザリするわ!」
「分かるぜナミィ……オリャァもう疲れたぜ。あの派手阿呆だけでも厄介なトコに、あの麦わら小僧だ……ヨシっ、オメェにバギー玉を一つプレゼントしてやる。派手に吹っ飛ばしな!」
「え? ちょっと……!?」
◇◆◇
揉めるバギーとルフィ、そして慌てるナミを肴に酒を飲む。
バギー海賊『団』と言うだけあって、きっちりとした料理人がいるらしく、飯はかなり旨い。
一億は今の俺のほぼ全財産だが、バギー海賊団に護送依頼を出したのは考えていたよりも、良い買い物だったかもしれない。
金の力で自発的に言うことを聞いてくれるなら、暴力で押さえ付けるよりも余程安全だろう。
この世で最も手強い敵は、味方の顔して背後から狙う奴だからな。
「止めなくて良いの?」
いい気分に水を刺すかの様に言葉を発するは、隣に座るニコ・ロビン。
普段マトモに話さないくせに、今日に限って邪魔をしてくれる。
あれ?
そういや、最近は話し掛けられる頻度が増えた様な……?
ま、気のせいか。
「ん? 何をだ?」
ニコ・ロビンはいずれ俺の元を去る運命だ。
出来るだけ素っ気なくを心掛け、肉を頬張りながらニコ・ロビンに意識を向ける。
「何って、ターゲットさんはあの子達に会いに来たのでしょ? このままだと2人とも危ないわよ」
「……何の話やら」
「貴方の話よ? 貴方が道化のバギーに会いに来たと言うなら、それはおかしな話になるわ。海賊達が現れたのは昨日の夕暮れ……今日になって会いに来たのは何故かしら? それだけでないわ……貴方が東の海で真っ先に向かった海軍の島。あそこにはあの麦わら帽子の子がいたらしいわね……そして、次に立ち寄ったこの島にも彼が来た。コレって偶然かしら? もっと言えばグランドラインを乗り越える術を持ちながら、護送団を雇うのもおかしいわ……一体、貴方の狙いは何処にあるの?」
「ふんっ……これだから頭の良いヤツは嫌いなんだ。何にでも理由を付けて探ろうとしやがる……大体、海軍の島に麦わらが居たって何故知っている?」
「酒場で聞いたのよ」
「なんだそりゃ? 俺が聞いても教えなかったくせにっ……あの海兵ども、男女差別か?」
「高圧的に聞く貴様のせいだろう」
肩に乗る蛇に魚を与えながらも、キキョウは鋭い突っ込みを入れてくる。
「そうね」
「俺は普通に聞いたダケだ! まぁいい。ニコ・ロビン、お前の問いに対する答はこうだ…………お前には関係無い、ってかサッサとアラバスタに帰れよ?」
「嫌よ……私が邪魔なら殺すか海軍に突き出せば良いわ。クロコダイルを恐れない貴方になら出来るハズよ」
実に魅力的な提案だが、原作的にも絶対無理だ。
「ちっ……それが出来りゃぁ苦労はしねぇっつーの」
「ふふ……変な人ね」
「お前、今笑った……?」
『キャァァァ!』
和みかけたのも束の間。
女の叫びに視線を送る。
視線の先ではナミが大砲の導火線を素手で握りしめていた。
そこに迫る複数の男達。
まさに絶体絶命。
「助ける?」
「いや、問題ない」
――ギィィン!!
ナミと海賊達の間に割り込む一人の男。
海賊狩り、ロロノア・ゾロの登場である。