紺野エリカの机を倒した犯人は俺だけど白状禁止にされてる 作:Brahma
空き教室にて
「山下くんって、花火ちゃんのこと気にしてるでしょ」
日南は微笑みながら俺に話かけてくる。
こいつ美人すぎるだろ。でもみゆきの笑顔のほうが俺は好きだけど。
「まあ、そうだけど」
「花火ちゃんのことが好きなの?」
うわそうきたか。花火のことは何とも思ってないの知ってて探り入れやがって。この嫌味女神め。
「そんなわけあるか。あいつ、空気読めなさすぎだろ」
「でも力になりたいと強く思っている」
「ああ。そうだよ。だってみゆき…。」
俺の顔が一瞬赤くなる。
「平林さんを助けたかった。だけどそのかわりに花火ちゃんが攻撃されている。だから平林さんを助けた花火ちゃんを助けたい」
「ああ、そうだよ。でも弱キャラの俺にはどうにもできないよ。」
「私考えていることあるから。その時が来たら教えてあげるわ。平林さんの仇を討たせてあげる」
「そんなことできるのか?」
「紺野エリカに復讐したいと強い動機を持っているあなたが必要なの。これは、わたしや夏林さんが犯人にならずに、紺野エリカの意表を突く必要がある。それに最悪犯人が分かった時に自分だと言えるだけの強い動機を持っているあなただからこそ協力してもらう意味がある。そして、あなたのその気持ちは冷静なコントロールがあってこそ効果がある。わたしならあなたに紺野の標的が向かわせずに処置できるわ。」
「いや向かうことはないって?そんなの関係ない。覚悟を決めるさ。いざとなったら紺野とも戦ってやる。」
「その意気や良しと思うけど、あなたを紺野がまたいじめるようじゃクラスの空気がまた悪くなるじゃない。それはごめんこうむりたいのよ。それに女のいじめってきついわよ。」
「わかった。この怒りをぶつけられるならなんだってやってやる。」
「じゃあね。」
と日南は手を振って教室を出て行こうとしたが、またもどってきた。
「そういえばあなたも花火や友崎君に似たタイプよね。馬鹿正直に口に出すタイプ。」
「バカが余計だ。」
「これが上手くいったあとで、紺野に机やいす倒したのは実は俺だとか、自分から正直に言わないわよね。」日南はにらみつけるように念を押してきた。
「わたしの提案に乗った以上従ってもらう。」
美人の睨み顔は恐ろしい。
「わかったよ。言わない」
「ならよし。」と日南は今度は微笑んで教室を出て行った。
ほんとに頭のいいやつは。
日南はあいかわらず、自分と仲の良い女子を通じて夏林の同情心をあおるよう話しかけている。「花火ちゃん、えらいわよね~」「大人になったよね~」「確かに言ってることは正しいからもったいないわよね。」「どうすれば助けてあげられるかな…」
日南は神前真央とも時々話している。
「紺野さんのオフショルダーはちょっと…」
「あのつけまつげは…」
「ちょっとあれじゃ読モの道は遠いよね…」
(へえ、あれってダサイのか…)
「花火ちゃんのこと日南さん言ってたでしょ。
わたしもエリカやりすぎだと思ってる。ちょっと引いてる。」
そんな会話が聞こえてきた。
ある日のこと
「たま~そんなに離れていないでこっち来なよ~」
「わたし、離れてなんていないよ。それは私が小さいから!遠近法!」
「あれ~この机こんなに大きかったっけ?」
「だからあ、それわたしが小さいからそう見えるだけ!」
七海、日南と仲のいい瀬野や柏崎をはじめ数人の女子が夏林を囲んで楽しそうに話している。
「ねえねえ今度このメンバーでカラオケいかない?」
「たまにはいいかもwたまだけにね~?」
「みんみは、無理にわたしにからめなくていいから!」
俺はほほえましい気分でそれを眺めていたが…
そんな夏林も明るくなったなと感じた数日後だった。
日南から写真付きでメールが届いた。
「夏林さんのストラップ、こんなになっていた。そろそろ動いていいわよ。ただしタイミングをよく考えてね。」
それは日南や七海がつけているのと色違いのストラップ。無残にも背中が引き裂かれていた。
「わかった。」
それは昼休みの教室。俺はエリカの机といすを転がしてやった。エリカがもどってきて
怒りに顔を震わせる。
真っ先に前の席のほうの小柄な少女をにらみつける。
「これ花火がやったんだろ」
「わたしじゃないよ」
「ええ、花火はやっていないよ。」
「なぜ葵がそういうんだよ」
「だって花火はやっていないって証明できるから。ほかにも見てた人いっぱいいるけど…。」
紺野は次に自分のグループのツインテ女子に向いた。