紺野エリカの机を倒した犯人は俺だけど白状禁止にされてる 作:Brahma
例のうわさどおり、友崎と水沢と日南が一緒にいた。
本質がゲーマーである日南と友崎、そして中身を何も持っていない日南とやりたいことをもっている友崎が、2年の文化祭の時に上演し、作家菊池風香の伝説となった「わたしの知らない飛び方」で示唆したアルシアとリブラのように結ばれることになったのだ。
2年の終わりに日南の誕生日プレゼントのために作成したシューテイングゲームがきっかけで、ゲームデザイナー兼プログラマーの遠藤氏と知り合い、そのゲームを操作、実況することによってその魅力を売り出すとともに、プロゲーマーとして売り出そうと目指した友崎は、水沢とともに優秀で美人で折衝力にたけた日南を社長としてYontendoと提携したゲーム会社Arciaをたちあげた。水沢のプロデユースのもとプロゲーマーとしての足軽氏と友崎を売り出すとともに、遠藤氏のゲーム操作と実況をしてゲームの売り上げも伸ばして急成長中という。
「葵、社長業兼プロゲーマーって忙しくないの?」
「忙しいけど楽しいわ。副社長の水沢は優秀だし、遠藤さんの作るゲームは面白いし充実している。文也も足軽さんもプロゲーマーとして売り出しているしね。」
「文也?」
「ああ、わたしのところに婿入りさせたのよ。うちの家族女ばっかりだから。」
「なんか友崎はアルシアに婿入りしたリブラみたいになっちゃったね。」
「菊池さんが売れたせいで、友崎の撮った「わたしの知らない飛び方」の動画がうちの会社の予言だということで宣伝になってるみたいね。」
菊池さんは、『純混血とアイスクリーム』が出版社にみとめられ、マイケル・アンデイのファン層を中心に大ヒットとなった。そして高2の関友祭で上演された創作劇「わたしの知らない飛び方」についてSNSの間でいつしかうわさとなり、幻の名作をみたいという声がネット上にあふれた。
「ああ、あのときの動画は、菊池さんと話してUPしたよ。」
「懐かしいね。」
「この会場でも上映しようと思うけど」
「いいねえ」
『わたしの知らない飛び方』が上映され、おおつという歓声が上がる。
「山下くん、みゆきさん、これが菊池さんから俺と日南の結婚式に寄せられた祝電。」
『友崎くん、日南さん お久しぶりです。わたしは『純混血とアイスクリーム』が大ヒットして、アニメ化の折衝やほかの作品の執筆打ち合わせで非常に多忙です。お二人の式へ行くことが日程的に困難になったので、この祝電でお祝いの言葉に代えさせていただきます。二人とも結婚おめでとうございます。旧校章を同封します。お二人が旧校舎の第二被服室で会っていたことは知っていますので、お二人にこそ、この校章はふさわしいので。それではまた逢う日まで。ごきげんよう。お幸せに』
「まんま劇の最後のクリスの祝電みたいだな。」
「菊池さんの姿がみえないね。今日もこれないのかな。」
「??あれ紺野じゃないか」
紺野エリカが俺たちの話しているところへ歩いてくる。
「山下、平林」
「?」
「すまなかった。」
紺野の腰は、少なくとも30度くらいに曲げられている。頭が下げられ横髪がたれる。あの紺野が…
なんのことか俺は即座に理解した。
「いや、紺野、おれこそすまなかった。」
俺はとっさにしゃがみこみ、紺野に土下座をした。
「いや平林のことをおもってしたことだろう。わたしが悪かった。二人は結婚したんだってな。あらためておめでとう。」
「ありがとう。女騎士団長さんも幸せになれよ。」
「動画でやってる菊池の劇か….懐かしいな。あの劇のおかげでわたしはクラスに完全に戻れたんだよな。」
遠くで神前真央が微笑んでVサインしているのが見えた。
ありがとう、とLINEを送った。
「山下くん、紺野さん?」
「この声は?菊池さん?」
「はい。なんとか間に合いました。」
「紺野!」
「夏林?」
「お久しぶり。」
「みんなで食べるために、うちの店の同窓会特製パッケージ持ってきたよ。みんな食べて、食べて。」
「たま~ありがとう」
「夏林…」
「ん?」
「あのときは…すまなかった。」
紺野は夏林に頭を下げる。
「うん。いいよ。紺野」
「ん?」
「動画。やっぱり騎士団長、かっこいいじゃん。」
紺野エリカは、動画に映る自分をみて、てれくさそうな笑顔を浮かべた。
「菊池」
「紺野さん?」
「今度は、わたしが幸せになれる小説を書いてくれないか。」
「はい。喜んで。」
菊池さんはほほえんだ。俺もみゆきもほほえんだ。こんどこそ本当の和解ができた気がした。
アニメ未放映の原作ネタバレがありますが興味も持った方はぜひお読みください。