植物を操るヒーロー   作:姉小路

1 / 12
タグを未来で追加する予定


植物を任意に成長させる能力

中国で「発光する赤子」が生まれて以降、現代社会は大きく変化した。

人々は何かしらの超能力を持つようになり世代を重ねるごとに「超常」は「日常」へと変化していった。そして現在、世界総人口の八割以上が何らかの「特異体質」の超能力者となり何も持たない一般人はマイノリティとなっていた。

 

 

「珍しいですねぇ、小指の関節が二つあるのに個性持ちとは...」

 

医者から告げられた言葉を聞き個性...即ち超能力を持っている方がおかしいだろと齢6歳の俺は思う。

日常と化している「超常」をどうして当たり前だと捉えられないのか、それは俺が多分転生者であるからだ。多分と頭に付けたのには理由がある。俺には前世の記憶の殆んどが無いのである。

何というか前世の自分がどのような世界にいたのか、またどの様に生きていたのかが全く思い出せない。

だけれども自分の本質的な部分でこの世界が自分の知っている世界と異なっていることを教えてくれるので多分ここではない世界で生きていたのだろうと思っている。

 

因みに数少ない記憶として自分が転生する際に頂いた能力は覚えている。

その能力とは「植物を任意に成長させる能力」。これがどこかの漫画から願ったのかはたまた中二病の産物かどちらかは分からない。

どちらにせよ、この能力を選んだという事はきっと強力なもの故に選んだに違いない。

病院から母親と一緒に帰宅し与えられた部屋に籠もる。

 

「せっかくだし個性を使ってみるか」

 

部屋の窓ぶちに飾ってあった観葉植物であるバオバブの木に意識を向けて能力を発動させようと集中する。

しかしどれだけ時間が経過しても全く成長する気配がみられない。

どうしてだろう、病院では使えていたのにここでは全く発動する気配がない。訳わかんねーと思いながらバオバブの木を手に取り机に置き直して再度個性の使用を試みる。

 

「うおっ!?」

 

バオバブの木は俺が成長しろと念じた瞬間サイズが一気に変化する。いきなり自室の真ん中に世界樹ができてしまった...

元は20センチも無かったのに一気に俺の身長と同じぐらいの高さになっている。

一度個性を再び使用して元のサイズ位に戻しておく。あーぁ鉢が完全に壊れちゃってる。

取り敢えず鉢の事は放置してどうしていきなり個性を発動できたのかを考える。

 

予想1

個性の発動に慣れていない。

単純に個性を発動させた経験が少ないからという理由。

今日病院に行ったのも個性を初めて発動したので安定しているかの検診の為である。

そのため慣れていないため成功率が一律ではないという予想。

 

予想2

前世があるから。

俺が前世で個性などという「超常」を体験したことが無かったのでイメージが足り無くて発動できないという予想。

少しはこの説があると思う。

 

予想3

発動範囲の問題。

正直コレが一番ありえそう。多分直接触れる、又は決められた範囲の中に植物が無いと個性の発動要件を満たさないんだと思う。

 

という訳で俺は少し考え以上三つの予想を立ててみた。

まぁ予想を立ててみたけどどうせ正解は予想3だろうな。

一息着いてから検証を始める。

最初にバオバブの木に触れる事なく個性を発動させようとする。今度はデカくなり過ぎないように気をつけながら個性を使う。

バオバブの木はぐんぐん大きくなり僕の腰ほどのサイズになる。おっ上手いこと発動した。これで直接触れるという条件が無い事が分かった。

次の検証は発動範囲の問題。部屋の端っこにバオバブの木を置いて俺が反対側に立つ。大体距離は3メートル位。こっから少しずつ近づきながら個性を発動させる。

じりじりと近付いていきながら個性を発動させる。

残り2メートル、1メートルと距離を詰めて行っても中々発動しない。更に10センチずつ距離を縮めていくとバオバブの木から60センチ付近で個性が発動した。

そのまま1センチ単位で測っていくと61センチで発動した。

まぁ60センチで覚えておけば良いだろう。

 

「61センチかぁ」

 

思わず口にでる。61センチって何とも言えない距離である。なんかカッコいい事が出来ないか考えたが何も思い浮かばない。

そんな事を考えながらも俺は検証を続ける。

様々なポーズを取りながら個性を発動させる。発動したりしなかったり結果は様々だ。ふむ、どうやら個性の発動範囲は自分の体のどこからでも判定があるらしい。そこは便利だな。さてさて次は何を検証しようか、どこまで成長させられるかも気になるし成長の指向性も知りたい。まだまだやれる事は沢山ある。

個性を発動させバオバブの木を再び操ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレ?ここは一体?」

 

気づいたら見知らぬ部屋にいた。うん?どういう事だ?全く理解出来ない。確か最後に...

必死に記憶を遡っているとドアが開かれて見知った人物が慌てた様子で入って来る。

 

「大丈夫!?部屋を見たら倒れてたから心配だったのよ!!」

 

母親がどこか安堵したような怒ったような何とも言えない表情でこちらに駆け込んでくる。

それにしても倒れていた?俺が?原因が全くと言っていい程分からない。個性の使いすぎ?流石に無条件で使えるものでは無かったか。

 

「かなり危険な状態でしたが大丈夫そうですねぇ」

 

後から部屋に入ってきたお医者さん先生が良かった良かったと口ずさみながら状況を確認しつつ教えてくれる。

やはり俺は個性の使いすぎで倒れていたらしい。病院に努めている「生命力」を見ることのできる個性を持ったナースさんによるとどうやら「生命力」が殆ど無かったらしい。こんな事長年の間勤めていて初めてのことらしい。

個性を使用するのに「生命力」を使っているという事なのだろうか?謎は深まるばかりである。

これからの個性使用には気をつけないといけない。

兎も角明日からは個性の使用を慎重にしながら検証を続けてこうと思う。

 

「そんな顔してるけど3日は入院してもらうからね」

 

「そこを何とか」

 

「同じ日に病院に二度来る患者なんてそうそういないよぉ」

 

どうやら次に個性の検証を行えるのはまだまだ先のことになるらしい。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。