解像度低いのは仕様です
朝オールマイトから個性を受け取ってから個性を試す時間もなく僕、緑谷出久は今雄英高校の前に立っている。それにしても髪の毛を食べただけで個性は授かったのかな?
そんな事を考えながら門をくぐる。
「どけぇ!!デク!!」
「か、かっちゃん」
後ろから大きな声で怒鳴られた事で思わず避けてしまった。個性を授かったもののいつもの癖でビビってしまう。
(だけどもう前とは違うんだ!)
ガクガク震える足を抑えながら勇気を出して一歩踏み出そうとする。だがその前に躓いてしまいコケてしまう。
来るであろう痛みに備えるがいつまで経っても痛みが来ない。
「大丈夫ですか?」
「えぇ!?」
声をかけられ周りを見てみると自分が宙に浮いている事に気づく。声の主の方を見てみるとそこには青年が立っていた。彼は何かの植物を使って僕を支えてくれているようだ。
「あ、ありがとう」
「いえ、俺が助けなくても恐らく彼女が助けただろうし礼は不要です」
感謝を述べたがバッサリと切られてしまった。少しショックを受ける僕を傍目に僕を助けてくれた青年はそのまま「では」と言い先に進んでいてしまった。
「あの、大丈夫?」
少し放心していると女の子に声をかけられる。さっき青年が言っていた女の子だ。彼女にも礼を言おうと思ったが中々言葉が出ない。
「転んじゃったら縁起悪いし良かったよ」
「へ、あ、えっと...」
「じゃ、お互い頑張ろう!」
(女子としゃべちゃった!!!!)
僕は少しテンションが上がってしまった。
筆記試験が終わり実技試験へと移ることになった。
会場も変わり皆各々スタート地点で準備をしている。
周りを見回しても皆自信に満ち溢れており少し不安になる。
(あ、さっきの女の子だ。お礼言わなきゃ)
視界の中に偶々校門前であった女の子を見つける。
女の子の方に向かって歩いていくも途中で後ろから肩を掴まれる距離そこにいたのは実技試験の説明中にいた怖いメガネの人だった。
「君はなんだ?妨害のために受験しているのか?」
「えぇと、その」
メガネの人に責められて衆目の目に晒されている中、突如として賽が投げられる。
『ハイ、スタート!!』
あまりにも突然のことに周りにいた全員が固まる。スタート?一体どういうことだ。皆が混乱している中、言葉を発した張本人であるプレゼントマイクが続ける。
『オイオイどうした!?実践にはカウントダウン何かねぇぞ!!それに、リスナーの一人は走り出してるぞ!!』
それを聞き周りにいた皆がスタートを切る。
か、完全に出遅れた!!周りが先を進む中僕は少し後ろを追っている。落ち着け、焦るな。大丈夫、僕にはオールマイトがついてるんだ。
市街地に辿り着き少しオールマイトの事を考えていると突如として建物が破壊され穴から僕よりも少し大きい位のサイズのロボットが出てくる。
『標的補足、ブッ殺ス!!』
来た来た来た!
ロボットの特徴を見るに恐らく1ポイントのロボット。コイツを倒して勢いをつける!!
ガクガクブルブル
(何で動かない!僕の体!!)
目の間にいるロボットを倒したいが体がビビってしまい動くことが出来ない。どうするどうするどうする?
「メルシー」
動けない僕を置いて横からロボットにビームが飛ぶ。
どうやら他の受験者の人の攻撃っぽい。
「良いチームプレーだったよ、もう会うことは無いだろうけどね」
そのままビームの人は次のロボットを探しに何処かへ行ってしまった。もう二度と会わないってなんて事を言うんだ...
『残り6分〜』
不味い、もう残り時間は少ない。1ポイントでも多く持ち帰らないと。そう思い周りに目をやるとロボットの数が少なくなっていることに気づく。
(不味い!どんどんロボットの数が凄い勢いで減ってる!!)
そんな状況下で僕は判断を下すことが出来ず立ち尽くしてしまう。そんな中、試験会場に爆音が響き渡る。
なんだ!?と思うより先に市街地のおくから巨大なロボットが出てきた。で、デカすぎる!コレが0ポイントのロボットか!!
「に逃げなきゃ、まだ僕は1ポイントも稼いでないんだ。洒落にならん!!」
周りの受験生と一緒になって僕も0ポイントのロボットと反対方向へと逃げる。オールマイトがくれたのに全部無駄になっちゃう、逃げないと!
「いったぁ」
逃げる僕の後ろから小さく声が聞こえてくる。
振り返るとそこには校門の前で会った女の子が倒れていた。0ポイントロボットの撒き散らした瓦礫に巻き込まれてしまったらしい。
ポイントは貰えないからメリットはない、そう考えるよりも先に体が動いていた。周りの人と逆方向に走り0ポイントロボットに向かう。
「ちょっと君、待って!!」
足に力を込めて思いっきりジャンプする。
僕自身には自信が無いが勝てる理由はオールマイトが授けてくれた個性というだけで十分だ。
記憶の中のオールマイトが言う。
(ケツの穴グッと引き締め心の中でこう叫べ!)
「スマッシュ!!」
僕の振るった拳が0ポイントロボットを吹き飛ばす。凄い!コレがオールマイトの力!あんなにデカかったのに一撃で吹き飛ばした!
「おおおおぉぉ、落ちるぅぅ」
ロボットを吹き飛ばしたのは良いもののジャンプで高い所に来てしまったようで僕の体は落下している。
待て落ち着けよ僕、オールマイトの力だぞ。着地なんて楽勝だろ。今はどうやって着地するかを考え、ろ?
「いっったぁぁ」
冷静になり腕をふと見た瞬間に激痛が走る。
自惚れるなよ僕、僕はまだスタートラインに立った、だけなんだ。いきなりオールマイトになれる訳が無い。
そんな事を考えていても僕の体の落下は止まらないので今も凄いスピードで落下を続けている。
どうする?両足と右腕はさっきのスマッシュで壊れてしまってる。残ってるのは左腕だけ、着地の時にもう一度スマッシュすれば上手いこと衝撃を消せるか?いややるしかない。
「覚悟を決めたって目しちゃって、だから待てって言ったのに」
突如として空中なのにもかかわらず声が聞こえる。
隣を見てみると校門の前で助けてくれた青年がいた。それを認識すると同時に何か柔らかいものの上に着地する。
「あ、あの」
「はい?」
「助けてくださりありがとうございます」
「今回は受け取りましょう」
僕の感謝にニコリと笑う青年。なんか笑顔が様になっている気がする。僕はそのまま語る柔らかい何かに乗ったまま地上に辿りつく。
「良かった!無事だったんだね!」
地上に辿り着くと瓦礫に巻き込まれていた女の子がいた。良かった、無事に逃げられたみたい。
そうして安堵するのも束の間、絶望の宣告が下される。
『終〜了〜!!』
「あ、あぁああああぁ」
クソ!1ポイントも取れなかった...
クソクソクソクソクソクソクソ!!オールマイトからせっかく力を授かったのに僕が不甲斐ないばかりに
ただただ痛みを噛み締めながら悔しがることしか出来ない。
「そんなに悔しがらなくてもまぁ大丈夫だと思いますよ」
体が痛み動けない僕に先程の青年が声をかけてくる。
多分僕の一撃を見たことでポイントを沢山獲得しているとでも思ったのだろうか。一瞬怒りが込み上げてくるも彼に怒るのはお門違いだと思い直ぐに冷静になる。
青年は僕にそれだけを言って去ってしまった。
その後ろ姿を見たあと僕は痛みに耐えられず意識を手放した。