美少女権   作:ばきしむ

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プロローグ&1話

 

 

美少女権

 

プロローグ

 

想像したことはあるだろうか?

 

毎朝起こしてくれる純愛系妹。

 

門で待っている幼馴染。

 

色白帰国子女系乳袋。

 

清純系お嬢様生徒会長。

 

図書室にいる地味系眼鏡。

 

一番風紀を乱している巨乳風紀委員長。

 

威圧感あるクーデレ系女子。

 

近所に住むやさぐれ系姉御肌姉貴。

 

無表情アンドロイドメイド。

 

ツンデレなサキュバス。 ドジッ子系吸血鬼。

 

「非現実。」そう言い放ってしまえばそれまでかも知れない。だが、実際それは老若男女問 わず、尊尚親愛し、和氏之璧なコンテンツ。 それが「美少女」である。

 

そして2×××年、人類史上最高の発明と呼ばれるものを日本が発明する。それは限りなく 人間に近い新しい生命を生み出すというもの。

 

人と同様の細胞、「美少女細胞」からなる組織で構成される 「素体」と呼ばれる型に各々の 思い思いの設定、容姿を「素体」の「心部」に組み込むことで完成する。

 

「美少女」

 

人々は呼ぶ。「願望」と、「希望」と、

 

「神の真似事だ。」などと言う意見もあったがそれらよりも需要のほうが膨らんでいった。 そんな中、「美少女」の普及がまだ進んでいなかったころ、歴史に名を残す出来事が起こる。

 

第1××代内閣総理大臣「肝 織田男」が新たな法律、「美少女権」を制定する。。

 

全てはそこから始まった。

 

 

第一話

社畜元オタクの憂鬱

 

鳴りやまない時計。目が覚める。

 

いつもの天井。

 

肌寒い。この季節に毛布一枚は辛い。そろそろ買い替えないと

 

起きて髪をとくのと、歯磨きを秒速で行う。勿論、テレビをつけて朝のニュースを見る暇は

 

ない。スーツに着替えいつものカバンを持ちいつものように家を出る。 ポストには新聞やチラシが所狭しと砲煙弾雨のように詰め込まれている。見るに堪えない。.. 鍵をかけた後、「風原 翔太」は一つ大きなため息をつき、その黒くて暗黒静な瞳を見開 いた。早朝、午前七時三十分。…

 

日本の中心地、「東京」。ある出来事を境に23区ではない新たな市町村が割り当てられた。 ここは元々県外からの通勤客が多く特に平日の早朝はひどい。翔太は毎朝早朝に出勤し満員御礼の車内の中会社に向かっている。小窓から見える看板には「美少女」がハンバーガーを手にし、 うまそうに齧り付こうといている写真が堂々と掲示されている。

 

「腹減ったな…」

 

ここ数日まともな食事をとれていない。朝はコップ一杯の水か、いつの日にか買ってあった もやしを一掴みして口に放り込むくらいだ。 だが、そんな生活にも慣れてきた。ゴミ屋敷での生活。明らかに労働基準法を守っていない過重労働。娯楽のないつまらない生活。最初の頃は鬱まじかだったが今はそう悪くない、と

 

感じている。待ち人なんぞ、くる気配がない、というかそんな暇はない。 俺は顔も隈だらけでおまけに猫背だ。家についてもシャワーを浴びてそのまま寝る。通勤中も資料と上司のことで頭がいっぱいだ。

そんなことを考えてるとすぐ駅に着くはずなのだが今日は違った。

ふと視線に入る。ギリ見えるか見えないかの距離に「美少女」が座っていた。二次元から出てきたような美貌。セーラー服を身に着けておりスマホをいじっている。その隣にいるのはやや禿げかかった中年の会社員の男のようだ。

 

(美少女権が執行されて一年かぁ。)

 

そんなことを一瞬思ったその時、中年男は「美少女」のスカートの中に手を入れた。

「!!」

彼女は驚きながら、そして悔しさを顔に出しながら。 男は荒い息を吐きながら、「美少女」を弄んでゆく。だが彼女はこの嫌悪極まりない行為に対し歯をくいしばって耐えている。しかしその顔はまんざらでもなさそうだった。周りはこれに気づいていない。いや、たとえわかっていたとしても誰も、何も言えないだろう。 はたから見たら異常な光景だろう。見るに堪えないだろう。俺もだ。しかしこれはこの国からしたら正常なのだ。

 

「美少女権」というものがある限りは。

 

【美少女権】

 

どこかのあほが作った新たな権利。美少女のための権利。幸せに生きていくための。表向きはまともで生活の確保や最低限の物資が与えられる。

だがこう記されている。

 

「美少女はいかなる立場であっても飼い主であるもの(人間)に忠誠を誓わなければならな い。また、これを妨げる者は人種職種関係なく罰する。」

 

このことから一気に「美少女」が普及し、今では子供の世話をしたり炭鉱で働かせたり。その中で一番多いのが今、彼女のように「性処理用」として消費されていることである。これは法律なため、以下の行為を妨害してしまうと犯罪者として認定され、重い罰を受けることになってしまう。これは同じくして「美少女」にも言えることで、「美少女」であっても 処罰を受けてしまう。なぜこんな法を作ってしまったのか…

初め見た時は画期的なものだと思っていたが今となっては「美少女」は単なる道具としか思っていない。

 

俺は、辛かった。「美少女」であっても、たとえ人間が作ったものであろうと、命あるもの はそれ相応の権利を手にすることが出来るのに。

 

だができない。法で防がれる。いやそもそも俺に「一発噛ましてやろう」という度胸がない。 いつもだ。上司には頭を下げ、自分の仕事じゃない作業を強制される。 負け組だ。あの中年と違い、俺には時間がない。

 

負け組だ。あの中年のように、俺には時間がない。・・ 思えば思うほど胸が苦しくなる。だからやめた。昔好きだったアニメも漫画も特撮も。俺は社会人になって娯楽という存在から遠ざかっていくのを感じていた。

電車が揺れる。人が揺らぐ。俺の心がぐらつく。

 

「っ…疲れた。」

 

今日の仕事は一段と酷かった。ひと段落ついたがこのままだと一週間はあの仕事だろうな と思うと心苦しくなった。・・

退勤。朝とは比べ物にならないくらい人がいない。まるで世界に自分だけ取り残されたよう だった。そう考えるとなんだか自分が嫌になって目を閉じた。そうしとかないと顔から溢れそうだった。涙なんかじゃない。もっとこう、感情的な何かが。

 

「なんか……ないかなあ。」

 

具体的には言わない。ただ、なにか、心のよりどころがほしい。。 たまらなく欲しい。ぬいぐるみでもいい…むなしい。そんなことできるはずがないのに…

このまま社蓄として一生こき使われるのか。 思えば思うほど意識が遠のく。結局、三大欲求には抗えず深い夢の世界に没頭してしまった。

 

最近はずっとこの夢だ。懐かしい青年時代。忘れたはずなのに夢ではそれはまるで現実かの様に見えた。見たいアニメを見たいだけ見て、読みたい漫画を読みたいだけ読 んで、やりたいゲームをやりたいだけやって、たまに怒られて、でも、そんな日々が楽しく て。外に行かず家でほぼほぼの一日を過ごしてきたが。一オタクとして、人生を。

 

「は!?」

 

いかん!つい寝てしまっていた。目が覚め急いで電車の中から外をのぞく。

 

「あ……危ねえ…..... 」

幸い、降りるはずの駅の一個次な様だった。料金はかさむが、終点まで行かなかっただけましか、

 

「ったく... 何考えてんだ俺は……。」

 

寝て起きてガンガンする頭を押さえて車体の前に座る為立ち上がる。いつもより膝が重く なった気がした。デスクワークのせいか、それとも自分に嫌気がさしたのか。

 

「はあ~」

 

ため息をつくと一気に体の中の空気がなくなり、このまましぼんでしまうんじゃないかと 思った。

 

「次は~稚奈図~稚奈図~。」

 

元気のない、抑揚のない声が耳にこびりついて離れなかった。

 

「稚奈図」。あまり馴染みはなく、あまり治安もよろしくない。ましてやこんな時間に一人でいるのは余計危ない。だが今日は人が減ったたようで少なく、若者の姿はない。いるのは寝ている呑兵衛だけだった。なに寒気を感じたが早く帰らないと睡眠時間が削れる、と思いスマホのナビで自分宅まで帰った。

 

「八代井はこっちだったような……」

 

一時間後、走ったところもあったためか、早い時間で近くまで来ることが出来た。あとは分かる。スマホを閉じ、もう限界寸前の足を運ぶ。

 

角に差し掛かったところだった。 俺は、見てしまった。いや、感覚的には、見られたのだ。その時には、怒りや安堵、もうそれは感情じゃ表わせられない感覚が消えた。一角に、共通のゴミ捨て場があった。そこに投げ捨てられていたのは、荒んではいるが外見は傷を負っていない、

それは、それは泥をかぶったダイヤの原石か、あるいは魔法使いにドレスを着せてもらう前のシンデレラか。

よくできた、美しい「美少女」の「素体」だった。 時が止まった。そう形容するのも勿体ない。全身の毛が逆立ち、瞬きを忘れる。

 

「ま、まずいな...」

 

意識が飛ぶ前に戻って来れた。思い出したからだ。実は美少女権には 「美少女」はどう扱ってもいいが「素体」を放棄、及び乱雑に扱うと罪になってしまう。これはとてもきつく、何でも、学校の義務教育でもこれを学ばされるらしい。..

 

このまま人が来たら俺が放置したと思われるかもしれない。そうなれば会社にだって今の

生活だっておさらばになってしまう。それだけは阻止しなくては。

問題はそこからだった。通常、「美少女」を取り締まる警察のような役割を持ち、警察内部 の組織である

「BGMO」

[Beautiful Girl Manage Organization]

に連れていくのが適切だ。

 

ただ俺は勝てなかった。欲望に。

自分でもよく分からなかったが冷たいはずの「素体」が暖かい気がしたのだ。

触れなくても、無いはずの「心」が熱く燃えていた。

 

 

これは窃盗になるのだろうか。ゴミ箱に捨てられていたとは言え、誰かのものかも知れない。嫌な気がしたのは、家に帰ってからだった。

背負っていた「素体」を下ろし無造作に置く。そうするとなんだか申し訳なくなり唯一ある椅子に座らせてあげた。

少しはまともになった気がした。

『無いんだったら自分で作ればいいのよ!』

とある人の言葉を思い出した。

が視線を向け周りを見ると現実が座っている

 

 

 

明日も長い

 

 

 

『無いんだったら自分で作ればいいのよ!』

ーー《涼宮ハルヒの憂鬱より》

 

 

 

 

 

 

 

 




ばきしむです。pixivやってます。なんか100字以上じゃないと投稿できないみたいですね。3話くらいしか更新できないかもです。
応援してくれると嬉しいです、好評なら続けるかも
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