ワカバの導き手   作:星月

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第三十四話 vsスターミーⅡ 闇に堕ちた聖女

 シュンは森林の中へと身を隠すと中々姿を現さなかった。

 逃げた、というわけではないのだろう。元々彼の目的はこのエンジュで仮面の男のホウオウ捕獲を阻止するためだ。それなのにその役割を放棄して逃亡するとは思えない。

 おそらくは今も何か反撃の機会を狙って機会を窺っているはず。ひょっとしたら考えがあって身を隠している可能性もあった。

 

「どうした? かくれんぼのつもりか?」

 

 仮面の男が気配の感じられない空間へと呼びかけた。

 当然のことだから返答はない。挑発に値しないような言葉遊びに過ぎないのだが、何の反応もないというのは仮面の男の気分を害した。

 ホウオウの捕獲の為にこのような所で時間を費やす余裕はない。この場で目的を果たしたらセキエイ高原に転進する予定なのだ。他の者に動きを気づかれれば計画が破綻するかもしれない。

 

「そちらから出てこないなら、炙り出すまでだぞ?」

 

 全身から冷気が猛吹雪のように吹き荒れた。

 氷で構成された体は自由自在に氷の力を操作する。

 忽ち森林は樹氷と化した。

 圧倒的な氷の暴力はシュン達にも襲い掛かる。

 

「ッ。さぶ。エーフィ」

「フィッ!」

 

 冷気に耐えられずシュンはエーフィを繰り出した。

 敵に聞こえないようにと小声で名前を呼ぶと、エーフィは主の意を読み取って『しんぴのまもり』を展開した。シュン達の周りを一掃の防御壁が覆う。外気を遮断する壁により、シュン達は冷気からの猛威を防ぎきった。

 

(ポケモンなしでポケモン並の技を繰り出すとかどんな化け物だよ!)

「……長くはもたないか。やはり、こちらからだな」

 

 しんぴのまもりも展開時間は限られている。長時間姿を隠し続けるのは不可能だ。

 だが相手の先手を許すこととなれば、地力で劣るこちらが不利。

 受け手になってはならない。攻めていこうとシュンはハッサムをボールから繰り出した。

 

 

――――

 

 

(これだけ空間攻撃を仕掛け、あたり一面を凍らせても出てこない。思ったよりも冷静なようだな。敵討ちだと意気込んでいるのかとも思ったが)

 

 一向に反撃を仕掛けてこないシュンの様子に仮面の男は彼に関する評価を改めた。

 かつて仮面の男とシュンが戦ったのは二度。

 一度目のウバメの森では仮面の男が圧倒的な戦力差でシュンを下した。

 二度目のうずまき島の戦いでは冷静さを失ったか相手の不意を突き、そのまま封じ込めた。

 そして三度目。手持ちのデリバードを倒し、冷静に対処しようとする動きはかつての戦いと比べて一回り上のしぶとさを感じられる。負けるとは到底思っていないが、そう簡単に倒す事はできないと考えるくらいには。

 

(さて、どうするか。この場は放置してホウオウの元へと向かうか。エンジュシティの方へと移動して襲撃するか。あるいは、あの手を使うか)

 

 膠着状態は望ましくない展開だ。仮面の男は戦局を動かそうと、シュンが打って出ざるを得ない手段を考える。

 敵の性格を考えればどの手を打とうとも姿を現すはずだ。

 さて、どの方針に移ろうかと思案を始めた仮面の男に。

 空中から何かが急速で落下してきた。

 

「むッ! そこか!」

 

 空を揺らす音に気づき、氷の腕をなぎ払う。

 紅い鋼鉄のボディを身にまとうハッサムだ。かなりの速度で仮面の男目掛けて突き進む。

 ハッサムと仮面の男の右腕が衝突し、腕が体をすり抜けた。紅い体はゆっくりと消滅していく。

 

(消えた!? 影分身か!)

 

 本物の姿ではない。本体の姿をそっくりそのまま写し取った“かげぶんしん”だ。

 仮面の男が驚き、四方を探っていると今度は彼の背後から巨体が接近する。

 シュンのラプラスだ。“れいとうビーム”で氷の道を作り、その道をすべる様にして茂みから現れた。

 

「今度はそちらか。ちょこまかと!」

 

 仮面の男はラプラス目掛けて冷気を放つ。

 するとラプラスの背に乗ったエーフィが“ひかりのかべ”を張った。

 攻撃からラプラスを守りきり、その間にラプラスは仮面の男の周りを描くように氷の道を生成。

 仮面の男の動きを制限し、“みずのはどう”で攻撃を加えていく。

 

(仕留める様な強い攻撃ではない。一定の距離を保ち、あくまでもこちらの動きを封じようとしている。ハッサムと同様、こいつも陽動だ。となると、次の一手は!)

「上か!」

 

 ラプラスの攻撃方法から仮面の男は敵の作戦を読み取った。

 上を見上げると、先ほどのハッサムと同様、空中から大きな影が勢いをつけて仮面の男に突き進んでくる。

 

「さすが気づくのが早い。だが、もう遅い!」

 

 影の正体はヘラクロス。シュンを掴んだヘラクロスが落下の勢いをつけて急速接近していた。

 

「舐めるな!」

「“こらえる”!」

 

 迎撃の氷のつぶてはヘラクロスの“こらえる”ですべて封じきった。

 仮面の男の対処はヘラクロスを打ち落とすには至らない。

 シュンが勝負をつけるべく、必殺の一撃を命じる。

 

「“メガホーン”!」

 

 今までの攻撃とは比べ物にならない威力がこもった角が仮面の男に襲い掛かる。

 手持ちポケモンは戦えない。迎撃は不可能。

 対応策が制限されている仮面の男が選んだのは。

 

「ッ!? なに!?」

 

 シュンの表情が驚愕に染まる。

 ヘラクロスの角は仮面の男に届く寸前、敵の目の前に現れた氷の盾によって完全に受け止められていた。

 

「氷の盾!?」

(何にもないところに。何でも有りかよこのやろう!)

 

 不可能を可能にしてしまう異能の力。シュンが歯を食いしばる。

 直後、氷の盾にひびが入り砕け散る。

 それによって生じた空間から、氷の腕が鋭く伸びてきた。

 

「ぐうっ!?」

「かくれんぼは終わりだ」

 

 瀕死の一歩手前で踏みとどまっていたヘラクロスが吹き飛ばされ、シュンは地面に突き伏せられて首元を仮面の男に押さえつけられる。仮面の男は動きを封じ込めてポケモンをボールから出させないつもりだろう。

 ラプラスとエーフィが主の危機を救おうと“みずのはどう”と“サイケこうせん”が放たれたが、相手が悪い。仮面の男は吹雪で一蹴した。ラプラスとエーフィまでもが地面に叩きつけられ、起き上がることが出来ない。

 

「残念だったな。あと一歩のところで、力は届かない。己の無力を呪うがいい」

「偽者の癖に、よく語るじゃねえか」

「その偽者に屈する気分はどうだ?」

「……まだ俺達は屈してねえよ」

「何?」

 

 シュンが不敵に笑う。ピンチに我を忘れたという様子ではない。

 だが敵のポケモンは今ので一掃したはずだ。すでにバクフーンは倒し、敵が新たに繰り出したヘラクロス・エーフィ・ラプラスは今迎撃したばかり。

 動きを封じて開閉スイッチを押せない状態ではこれ以上ポケモンを繰り出すこともできないはず。

 

「最初に“かげぶんしん”をしたハッサムはどこにいると思う?」

 

 もっとも、それはシュンのベルトのボールにポケモンが入っているならば、だ。

 シュンが口にした直後、彼らの上空では二匹のポケモンがいた。

 ハッサムとピカチュウ。二匹ともシュンのポケモンだ。

 ハッサムは空中で掴んでいた両腕を放す。重力に従い、ピカチュウが仮面の男の肩へと着地した。

 

「ぴ、ピカチュウ!」

(まだ空中に戦力を残していたのか!?)

「このっ」

「遅いって言っただろ。準備は、整った」

 

 仮面の男が振り下ろそうと手を伸ばす前に、シュンが言葉を繋げた。

 直後、上空の雲は真っ黒に染まり、ゴロゴロと大きな音を立て始めた。

 

(これは、まさか!)

 

 それは雷の前兆。操っているのはシュンのピカチュウ。

 

(散々氷を操ってくれやがって。十倍にして返すぞ)

 

 仮面の男やラプラスが放った氷の粒子によって形成された雲。どんどん静電気が蓄積されていき、巨大なエネルギーが溜まった今。ピカチュウがその莫大なエネルギーを操り、放出する。

 

「ま、待て!」

「待たねえよ。人の命を奪うようなやつの偽者が、命乞いなんてするんじゃねえ!」

 

 必死の叫びにしかしシュンは聞く耳を持たず、ピカチュウに命令を下す。

 雷が落ちる。目にも止まらぬスピードに氷の盾の形成も間に合わない。雷が仮面の男に直撃した。絶縁体である氷の電気抵抗によって発熱が生じる。水になってもなお発熱がやむ事はない。

 爆発が起こった。氷が急激に熱せられた事によって生じた水蒸気爆発だ。周囲を包み込むような爆発に、仮面の男達は飲み込まれていった。

 

 

――――

 

 

 エンジュシティでシュンと仮面の男の戦いが激化。

 一つの結末を迎えようとしていた頃。

 もう一つの部隊であるセキエイ高原でも大きな動きが起ころうとしていた。

 

「それでは、少しツクシと話してくる。すぐ終わるから待っててくれ」

「はい。わかりました」

 

 ガンテツがイエローと言葉をかわして各ジムリーダーに与えられた待機室へと入っていく。

 部屋の中にいるのはツクシ。ガンテツが住まうヒワダタウンのジムリーダーだ。かつてゴールドが交流した相手でもあり、シュンも彼のポケモンを相手にジム戦を挑んだ実力者である。

 今回はガンテツがツクシに専用のキャプチャーネットの調整を依頼されており、その品を届けに来たところだった。

 届けるついで声援を送ろうと考えたガンテツ。イエローも余計な口は挟まないようにと部屋の外で待つことにした。

 

「ふうっ」

 

 一人になったイエローは大きく息を吐いた。

 イエローの耳にも先ほどゴールド達からエンジュの知らせが届いている。仮面の男が出現、シュンが迎撃に出たという情報だ。

 

(オーキド博士たちの言うとおり、また伝説のポケモンを巡る戦いが始まったんだ。黒幕の候補者がいる以上、このセキエイ高原でも大きな戦いが起こるかもしれない。僕もしっかりしないと!)

 

 今こうしている間にも仲間が強敵に立ち向かっているのだ。

 自分が気を緩めているわけにはいかない。いつでも動けるように心の準備をしておこうと意気込んだ。

 凛々しい姿はかつてカントーの危機を救った英雄の顔そのものだ。

 

「ここにいたのか、イエローさん」

「え?」

 

 ふと、名前を呼ばれて視線を上げた。

 聞き覚えのないような、あるような曖昧な声の調子に違和感を懐いて相手の顔を確かめる。

 

「……え? あなたは? どうして、ここに?」

 

 ここにいるはずのない相手と非常に似ている顔だった。

 理解ができず、イエローは困惑する。

 相手はイエローの様子には目もくれず、足早に接近。拳を鳩尾目掛けて打ち込んだ。

 

「ァっ!?」

 

 腹部に思い衝撃が走り、肺から息が零れた。

 イエローは耐え切れずに膝を突き、首にさらに一撃を食らって意識を手放した。

 

「悪いな。その羽、もらっていくぞ」

 

 気絶した事を確かめて、相手はイエローの被る麦藁帽子へ手を伸ばした。

 狙いは帽子についている二枚の羽だ。布のようなもので隠されているが、その中身がたいせつなものであることはよく知っていた。

 深々と突き刺さっていたが、相手は手早く抜き去り、その場を離れていく。

 この後、付近を通りがかったナツメ達によってイエロー達が発見、介抱される。

 しかしイエローの帽子から失われたものに気づいたものはいなかった。そして、イエローを襲った襲撃者も明らかにされることはなく、セキエイ高原内でも新たな局面を迎えようとしていた。

 

 

――――

 

 

「……っ。何とか、生きているか」

 

 煙が晴れていく中、シュンが左腕に手を当てながら姿を現した。

 彼自身も爆発の渦に飲み込まれていた。

 だがピカチュウが咄嗟に“まもる”を発動。爆発の衝撃からシュン達を守っていた。

 それでも爆風が収まるには時間がかかり、多少のダメージを負う事になったが、手も足も出ずに直撃した仮面の男よりは幾分もマシなものだった。

 

「ハッ。さすがに、これだけの爆発だ。お前とて無事では済まされなかったな」

 

 シュンはゆっくりと爆発の中心部へと向かう。

 そこには水溜りが形成されていた。

 今も気泡のようなものを作って顔の形を作ろうと動いているが、非常に小さなものだった。おそらくは先ほどの爆発で大気中の氷の多くが蒸散してしまったのだろう。

 

(それでも、完全に破壊してもまだ再生しようとするしぶとさは不気味だな。強いを通り過ぎて怖いとさえ思えてくる)

「だが、もう無駄だ。お前はもうここでお仕舞いだ」

 

 小さな塊をシュンは蹴飛ばした。

 抵抗する術がない氷塊は勢いに逆らえず地面を転々。

 復活の勢いも大きく下がり、地面に力なく横たわった。

 

「これで、仮面の男のホウオウ捕獲は、失敗だ」

(もっともこの氷の塊を操作しているということは、操作者も失敗にはもう気づいている。手下を動員して再びホウオウ捕獲に向かう可能性もある)

「でも、ホウオウ捕獲ともなれば仮面の男みたいな理不尽な力がなければ上手くいかないだろう。手下がそう簡単に捉まえられるとは思えない。まずは、一安心だ」

 

 脅威を討ち払い、シュンが安堵の息を零した。

 敵にとってホウオウの捕獲は最大の目的だったことだろう。それを阻んだ事で敵の策は大きく遅れをとったはずだ。

 苦しみながらも三度目にしてようやく得た勝利。

 

(後は、本物を倒すだけだ。……サツキさん)

 

 だが素直には喜べない。

 今シュンが倒したのは偽者であるということ。

 そして何よりも、二度目の戦いで失われたものが大きすぎた為だ。

 喜びよりも悔しさが勝ってしまい、息を整えたシュンは瞳を閉じて、想い人の姿を脳裏に描いた。

 

「……さて、行くか」

 

 これ以上の長居は無用。

 セキエイ高原に向かい、ゴールド達と合流するか。

 あるいはこのままエンジュに残って敵の襲来に備えるか。

 どちらをとっても敵の出方次第で方針も変わる。

 ならばまずはゴールド達と連絡を取ってからにしようとシュンはポケギアへと手を伸ばした。

 

「ピッ!? ピカッ!?」

「えっ?」

 

 突如、ボールから出ていたピカチュウが何かに気づいた。

 鳴き声を挙げてシュンの前に飛び上がる。

 すると飛んだピカチュウに強烈な水流が襲い掛かった。

 水の勢いはすさまじく、ピカチュウの体を押し切って後ろに立つシュンにまで襲い掛かる。

 

「ぐぁっ!?」

 

 シュンの体が巨大な木に叩きつけられた。

 強烈な一撃で肺から空気が零れていく。

 両膝を地面に突き、何とか立て直そうと体に力を篭める。

 

(まさか、もう敵襲が来たと言うのか? いくら何でも早すぎる。前もって敵は第二陣を用意していたとでもいうのかよ!?)

 

 まだ仮面の男を撃破してから十分も経っていない。それなのにもうロケット団が増援を派遣したとは考えにくい。

 ならばあらかじめ敵が戦力を配置していたということになる。

 痛みに顔をしかめながら、シュンはゆっくりと"ハイドロポンプ“を放った敵の姿を捉えようと顔を上げた。

 

「お前は、スターミー!?」

 

 そこにいたのはスターミーだった。

 水タイプであるし攻撃を仕掛けたのはこの個体で間違いないだろう。

 しかし重要なのはそこではない。

 ポケモンの種類以上に衝撃を受けた事があったのだ。

 

「まさか、サツキさんのスターミーか! ――仮面の男! やはり、貴様は!」

 

 怒りで我を忘れそうだった。それほど仮面の男への怒りは今まで以上の熱を帯びる。

 

『やつらの狙いはおそらく、彼女のポケモン達』

「ポケモン?」

『そうじゃ。かつてロケット団はポケモンの生体実験を行っていた。

 そしてその実験結果として、トレーナーの手持ちポケモンを操る術を手にいれておった』

「他者のポケモンをですか!?」

『実は、やつらは以前もサツキ君を捕縛しようと策略していた。すんでのところでシュン君が駆けつけてくれたおかげで事なきを得たが。今思えば、あの時もやつらは情報が目的、ということではなくただ戦力を欲していたのかもしれん。その為にサツキ君を狙って、今回も』

 

 先日のオーキド博士との会議を思い出す。オーキド博士の考え通り、仮面の男はサツキのポケモンを利用している。利用するために、サツキを手にかけた。

 自分を襲った相手がサツキのポケモン。彼女に大切に育てられ、愛されていたポケモン達が悪意ある者に利用されているとわかって、怒らないわけがない。

 

『気づいたようだな』

「――――ッ!?」

 

 空から忌々しい機械の声が響いた。

 さらに視線を上に向けると、そこには顔全体に仮面をつけた男がヨルノズクの背に乗り、ポケギアを手にしていた。

 声の発生源はそのポケギアだった。おそらくこの男も仮面の男の部下なのだろう。

 

『そうだ。このスターミーはサツキのポケモンだ。よく知っているお前ならすぐ気づくかもしれないと思ったが、まさかこんなにも早く真実にたどり着くとはな』

「……テメエ!」

『おお怖い怖い。今にも食って掛かりそうな声色だな。面を向かって会いたいとは到底思えない。だから、このポケモン達にお前の相手をしてもらおうか』

「ふ、ざ、けるな! 出て来い、この卑怯者!」

 

 言葉だけで人を殺せるのならば、おそらくシュンは仮面の男を何度も殺していることあろう。

 冷静さを失うどころか、全身から殺意が湧き出ていた。

 

「サツキさんのポケモンを操って、奪い取って! お前は! 何とも思わないと言うのか!」

 

 ただの新手だけならばここまで自分を見失うことはなかったはずだ。

 それでも、サツキを連想させるものが現れたともなれば話は別。彼女の誇りを汚すような手段を講じてきたのだ。無理もない。

 シュンが空へ向けて声を荒げるが、仮面の男は全く心を動かす気配はない。

 

『操る? 奪い取る? 人聞きが悪いな。私は彼女のポケモン達に何も害意を与えていないつもりだが?』

「どこまでも惚けやがって。お前達ロケット団が他人のポケモンを操る手段を持っているってことは知っているんだよ!」

 

 なおも知らないフリを続ける相手に、シュンは怒りを増幅させた。今にも飛び出しかねない状態の彼を押しとどめているのは、おそらく彼女のポケモン達の力への評価だろう。

 だから下手に動くことも出来ず、この場にはいない仮面の男への追求を続けた。

 

『だから害意を与えていないと言っているだろう? そのポケモン達の主は、サツキのままだ』

「……なにを言っている? どういう意味だ」

 

 到底信じられない説明だ。だが戯言と吐き捨てるにはあまりにも単純すぎる。

 本当のような気がして、それでは一体どうやってサツキのポケモンを操っているというのかとシュンが考えを膨らましていると。

 その場に、新たな人影が現れた。物音で存在に気づいたシュンは音の方へと振り返る。

 

『簡単な事だ。その主が、私に従っているということだ』

 

 仮面の男の声は耳に届かなかった。聞こえていたはずなのに、脳が受容しなかった。

 シュンは茂みから姿を見せた一人の女性の顔を見て凍りついていた。

 敵に一瞬でも隙を見せれば命取りになる。それくらい分かっているはずなのに。

 もう会えない可能性の方が高い。そう思っていた女性を目にして、シュンは身動きがとれなかった。

 

「……馬鹿な。何故あなたがここにいる? あの時うずまき島での戦いで仮面の男によって、奪われたと、思っていたのに」

 

 「殺された」という言葉さえ使えない所にシュンの不安定な心が滲み出ていた。

 女性は蒼く、腰まで届きそうな程の長さの髪いわゆるロングストレートをしていた。

 美貌を感じさせる顔の半分が仮面の男と同じ絵柄の割れた仮面で覆い隠され、笑みは消えて無表情を貫いている。

 体のラインが見えるような蒼いボディースーツが彼女のキメ細かく白い肌を隠しているが、姿かたちを見間違える事はない。

 このジョウト地方を共に旅してきた女性を、別人と間違えるはずがない。

 

「生きていたんですか。――サツキさん」

 

 サツキがゆっくりとした足取りでスターミーと並ぶように寄り添っていく。

 こうしてシュンは最も会いたかった女性との、最悪な再会を果たしたのだった。

 

 

 

 

 

 

ここまでの活躍をポケモンレポートに書き込んでいます…………

 

 

 主人公:シュン

 持っているバッジ:5個 (ウイングバッジ、インセクトバッジ、レギュラーバッジ、ファントムバッジ、スチールバッジ)

 

 

手持ちポケモン

 

 バクフーン♂ Lv49

 ピカチュウ♂ Lv54

 エーフィ♀ Lv54

 ラプラス♀ Lv56

 ヘラクロス♂ Lv54

 ハッサム♂ Lv51

 

ボックスメンバー

 

 サナギラス♂ Lv54

 ピジョット♀ Lv50

 サンドパン♂ Lv47

 

レポートに書き込みました!!




久しぶりの投稿となりました。
これからも引き続き頑張ります!
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