エクセル日本海軍   作:佐竹福太郎

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 苦し紛れのフッド級戦艦の小話ぃ......


1890年4月 フッド級戦艦

 エクセル日本海軍 1890年4月

 

 

***

 

 

 1890年4月の日本海軍の財政状況は悪化した。明治政府が、各国の緊張度がそこまで高くないと見たことにより、軍事予算の減額を行ったことが原因であった。

 

 

 先に述べてように、日本海軍の予算に不満を持つ人間は一定数存在しており、その数は少なくはなかった。そのような層のガス抜きということも、この4月予算の減額は兼ねていたが、残念ながら、後世の分析では、この予算減額は全く不満を減らすことには効果が無かったという研究結果が出ている。

 

 

 もちろん、「声の箱」から、政府首脳部に宛てた抗議文が現在も残っている。暗号文であったため、正確な表現・内容ではない可能性がある物だが、ここに抜粋して記載しておく。

 

 

各国との緊張度は、現時点で低い段階にあるが、減少傾向にあるわけではない。逆に、増加傾向にあり、将来的に戦争となることは明白である。この時機の海軍予算減額は、日本の首を真綿で締めるようなものである。

 

 

 ただ、「声の箱」の政府に対する行動で、分かっている中で確認できるのはこの抗議文のみであるため、予算の減額自体は容認していた可能性はある。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 この予算減額により、日本海軍の年間予算は68400から65250と3150減少、およそ5パーセントの減額だった。これにより、月あたりの予算は5700から5438に減少、赤字は224から460と倍増した。

 

 

 この時点で、日本海軍の資金は3240あり、この状態が常盤就役の1890年11月まで継続した場合、資金は20しか残らない計算となる。日本海軍は、借金をすることは避けられるが、どこかで歯車が狂った場合には確実に借金をし兼ねない、綱渡りの状況に突き落とされたのだった。

 

 

 予算を減額された日本海軍とは対照的に、4月に北洋艦隊の年間予算は54250から54750と、500ほど増額されており、僅かではあるが月あたりの予算は4521から4562と増加している。少なくとも、清が日本に対するファイティングポーズを崩したわけではなかった。

 

 

 

 国際情勢では、特に大きな変化は起こらなかった。しかし、この月に、日本海軍の次期戦艦建造計画に、少なからずの影響を与えた戦艦が起工していた。

 

 イギリス海軍の建造した、フッド級戦艦である。

 

 フッド級戦艦は、排水量8500トンの、戦艦としては小型の艦であった。主砲として8インチ連装砲塔を2基備え、副砲として7インチ砲を8門搭載、補助砲として2インチ単装砲を10門装備した戦艦であった。

 

 

 速力は当時の戦艦としては速く、16ノットを発揮した。

 

 当時の大口径砲は命中精度が高くなく、また、砲品質の低さと、徹甲弾技術があまり高くなかったことから、砲口径の割に貫徹力が低かった。その点、当時の8インチ砲は品質が高く、砲口径に対して高い貫徹力が期待できた。1910年代まで現役であったことを鑑みると、その品質が高かったことも頷けるだろう。

 

 

 フッド級戦艦に対しては、フランス海軍やドイツ帝国海軍がその存在を注視していた。8インチ砲は10インチや12インチ砲に比べて発射レートが高く、大口径砲でも貫通が困難な装甲は、装甲巡洋艦にとって脅威となり得た。

 

 

 フランス海軍は、フッド級戦艦に対して、夜戦といった不意遭遇戦で、装甲巡洋艦がこの戦艦と対峙した場合、一方的な砲撃を受ける可能性があるために、魚雷を発射して即座に退避するべきだとしていた。

 

 

 10000トン以上の戦艦の複数建造が難しいと考えていた日本海軍は、次期戦艦建造計画で、フッド級戦艦のように、重装甲に8から9インチ砲を主砲に据え、速力を18ノットとする高速戦艦の計画案を出しており、この計画案はフッド級戦艦の影響が強いと考えられている。

 

 

【艦艇紹介】

 

フッド級戦艦5番艦ジュピター

 

 

【挿絵表示】

 

 

※日本海軍情報部が入手したジュピターの完成図

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