エクセル日本海軍   作:佐竹福太郎

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1890年5月・6月 東インド崩壊

 エクセル日本海軍 1890年5月・6月

 

 

 東インド崩壊

 

 

***

 

 

 1890年5月、6月の日本海軍の財政には変化がないため、省略する。

 

***

 

 

 列強海軍の中で、最も防諜体制が緩いと言われているものは、幾つか存在する。

 

 

 1つ目は、イタリア海軍。

 

 

 2つ目は、スペイン海軍。

 

 

 3つ目は、イギリス海軍である。

 

 

 それぞれに、情報が流出し易いれっきとした原因が存在するが、本稿での言及は差し控えさせていただく。

 

 

 1890年5月、日本海軍情報部は、スペイン海軍のカルロス5世級装甲巡洋艦の設計図を極秘裏に入手した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 排水量6400トン、最高速力20ノット、主砲に8インチ砲2門、副砲に6インチ砲を8門、補助砲として3インチ砲を12門、水中魚雷発射管2門を搭載した装甲巡洋艦。特筆すべきこととして、ベルト装甲が3.5インチと、当時の平均を下回る厚さだった。

 

 

 この情報は、スペインの諜報員から日本本国へ、上海経由で輸送されたが、日本海軍の次期装甲巡洋艦建造計画に影響を与えたかどうかは謎である。ただ、常盤級の次に建造された十勝級装甲巡は、カルロス5世級と同じように、主砲の8インチ砲を単装砲塔2基に収めていた為、少なからずの影響はあった可能性はある。

 

 

 1890年6月、融和的な関係を築き始めていた英米を尻目に、オランダ領東インドでは、植民地政庁と現地住民の対立が最高潮に達した。そして、1890年6月5日。オランダ領東インドのセレベス島(現在のスラウェシ島)で、現地住民が集合して反乱軍が形成され、治安維持組織と衝突、大規模な武力紛争が起こった。

 

 

 セレベス島の反乱鎮圧に回された軍と警察の間隙を突くように、東インド各地で暴動が発生。植民地政庁は反乱と暴動に対応しきれなくなり、オランダ領東インドの独立も時間の問題と思われた。

 

 

 列強各国は、驚くほどにこの植民地反乱に無関心だったが、1つの国を除いて、オランダに手を差し伸べた国があった。当時、インドシナを植民地とし、東南アジアに一大拠点を築いていた、フランスだった。フランスは、スラウェシ島といった東インド内に軍を派遣、反乱を鎮圧した。

 

 

 しかし、問題はここからだった。そもそも、このスラウェシ島に端を発した大規模反乱は、フランスが裏から手引きしたものだったことが、後にフランス政府から公式に発表されている。現地住民に武器や物資を与え、反乱を手助けしていた。これは、インドシナに拠点を持っていたフランスだからこそ、できたことだった。

 

 

 フランスからの援助を切られた反乱軍は、当初の頃はゲリラ戦を仕掛けてフランス・オランダ連合軍を翻弄したが、6月下旬には徐々に鎮圧が完了。“インドネシア”という国が産声を上げることはなかった。

 

 

 結果、フランス軍はスラウェシ島から手を引かず駐屯。反乱により東インド統治に限界を感じていたオランダは、フランスの現地駐屯を受け入れ、また、東インドをフランスとオランダの共同統治という形を取ることを了承した。ここに、1816年から始まったオランダ領東インドは、74年で実質的に崩壊した。

 

 

 この一連の動きに対して、列強各国はフランスへの警戒度を高めたが、直接的な行動を取ることはなく、フランスのオランダ植民地切り取りは、ひとまず成功したのだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 だが、実は、日本海軍内でこの反乱の鎮圧に加わり、南進しようと計画している集団が存在した。いわゆる南進論である。

 

 

 オランダも日本への鎮圧援助を求めるほどに、状況が逼迫していた点も、この南進論を増長させた。しかし、「声の箱」は、現段階で、日本海軍が植民地を警備するほどの余裕が無いことや、海上交通路の途中に台湾やフィリピンがあることで、通商護衛をすることが戦時中に困難だと判断し、東インドでの反乱には関与しないとした。

 

 

 これは南進論者たちの反発を買った。現在は国防省の置かれる市ヶ谷に本拠地を置いていた「声の箱」の前で、南進論派の将校たちが座り込みを慣行し、バリケードを構築。憲兵隊と押し合いになり、南進論派は3か月の「声の箱」への登庁を禁止された。将校が不足していた為に、このような処置となったが、しばらくの間、「声の箱」と南進論者たちの間には、確執が残ることとなった。

 

 

 オランダ領東インドの崩壊は、日本海軍内に思わぬ火種を植え付けることとなったのだ。

 

 

【艦艇紹介】

装甲巡洋艦浅間

 

 

【挿絵表示】

 

 

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