仕事とプライベートで忙しくて書く暇が中々出来ませんでした。
今回は長いですが、読んでいただけると幸いです。
今後は大きな予定通りがない限り、不定期な更新間隔をできるだけ短くしていきたいと思います。
藤川SIDE
割り当てられた専用機への独自設定のインストールが終わって不整合や不具合等がないことを確認すると接続していた端末を外して鞄の中に入れて専用機を収容しているコンテナから出て扉を閉めてロックをかけ、南京錠もセットし、備え付けのコンピュータの中身をキッティングしたOSのデフォルトである初期化項目を選択した。
中身を確実に空っぽにしてウィルスをも仕掛けられないようにコンピュータを人間で言う仮死状態にしておく。
操縦に必要なものと武装のロックや射撃管制システムも入っており、明日には飛ばせる状態にあり、テストとシステムのブラッシュアップをする。
この整備室の主はまだ忙しいようだったから静かに去って寮の部屋を目指してゆっくりと歩いていると滅多に使わないスマホ型衛生携帯のバイブレーションが鳴っており、パターンからして緊急性を要するもののようだが、今ここで応じられる状況ではない。
急いで寮の部屋へと向かい、誰にもすれ違わず、尾行もないまま貼ったセロテープが破れていないことを確認して補助錠を解除してカードロックも開けてすぐに入って施錠し、簡易的な盗聴機チェックをして特に何もなかったからやっと電話に出た。
【こんばんは 藤川ですがご用件はなんでしょうか】
〈ミスター•ショウ 急で申し訳ないのだが、頼みがある〉
偉く焦った声で長く聞いていない流暢なフランス語が聞こえてきた。
〈デュノア社長ですね。お久しぶりでありますが、頼みとは一体何でしょう?〉
〈娘のことを頼みたいのだ〉
どうやら、かなり深刻な事態になってしまったようで声が神頼みをするかのように震えていた。
〈なるほど•••しかし、なぜ私に?〉
娘のことならもっと別の人に頼るべきでしょうが出来ないから電話をしているんだろうけど、この敵しかいない失楽園にいる以上は安請け合いが出来ない。
〈貴官にしか頼めない〉
〈確実な保証が出来ないのですが、、、〉
〈貴官なら出来ると信じている あなたのほかにやり遂げられる人を知らない〉
頑張りすぎた結果が信頼をよせすぎてしまったか・・・やるほかないようだ。
〈承知いたしました。お受けします〉
〈ありがどう。こちらから詳細をできるだけ早く送れるようにする〉
〈感謝いたします。いつも言っていることではございますが、自分はまだ公務員なものでお礼は受け取れません〉
一言二言だけ言って会話を終えて相手が切るのを確認してから切り、早速届いているデータに目を通すと『アケミ』が顔を出していた。
『大方、今日の事件で慌てたようね』
国際IS委員会本部と支部同時襲撃事件はかなり限定的とはいえやり方次第でさらに低コストでISを倒すことができるということを明かした素晴らしい事件で焚き付けたのは
テロリストとISのどっちにもダメージを与えられるベストチャンスなわけで利用させて貰った。
「ちょっとでも優位に立とうとするためだな・・・つくづく犯罪に手を出す奴らの思考が分からん。子供を使うなんてな」
『貴方は人の事言えないじゃないかしら』
その声に非難の色はなく、冗談で言っているのが分かる。
「はっ、テロリストは本人含めて
確かに人の事は言えないのは自覚しているが仕事で殺すのと思想という名の嗜好で殺すのは全くもって次元の違う話で当然、初めて殺した時から殺される覚悟は常に持ち合わせている。
明美を殺されるのは防止も覚悟もできていない情けない男なんだが、、、
『相変わらずね。まあ、それが正解なんだけど』
「よく言ったものだな。蛙の子は蛙だと」
『本当、我々人類は成長していない』
成長していたら今頃戦争も下らん差別もやってなどいないし、事実として先祖の猿よりも頭の悪いことをやっていることがその証拠だ。
『フランス組の名簿からやっぱり息のかかっているのが数名、校内のアルバイトも疑わしい者がそれなりにいる』
特記事項がもはや意味もななしていないけど、表面的な効果は今のところまだ有効らしいがまだ疑いだけでは排除も尋問も出来ないのでしばらくは泳がせる必要があるが加減は間違えられない。
「アケミ、すまないけど連中の通話量と出来ればその中身を監視して欲しい」
『了解、あと今夜もまた襲撃者が来るみたいね』
「クレイモアで一気に殺ってしまいたいとこなんだけど」
『流石にそれを隠蔽しきれる自信がないわ』
逆に出来たらこの学園内で何でも出来てしまうが、死体の処理でさえ一筋縄ではいけないのに爆破なんかした日にはどうなるかは火を見るより明らかだ。
「国?個人?」
『今回は個人ね。それもそれなりの大金を出しているみたい』
「依頼主は学内のIS神話の狂信者だな」
『大正解!始末したらこっちから匿名ルートで脅迫しておくわ』
「頼んだ」
そろそろ学校内の雰囲気を殺伐としてものに少しずつIS学園内の匿名掲示板等で女尊男卑派、どうでもいい派と自分に理をもたらす派をそれぞれ焚き付けて対立を自然な風に醸し出させつつ生徒会の目に留まらない程度に調整している。
もちろん、身バレしないようにサーバーなど何度も仲介して発信している内容も少なくともパッと見てもありふれたものにして検閲も逃れる。
仮に情報開示がされても基本的に非協力的な国家のサーバーにしているし、そこらのホワイトもブラックハッカーでは破れない。
「やっと、撒いた餌に食い付いてきたか、、、あと、一般世間の皆さんも参戦させるタイミングを作るだけだな」
『陰謀論って結構便利なものよね』
「特にインターネットの世界に突入してから己が信ずるものしか見ないし、修正も訂正もしないまま行動してくれるから仕事がしやすいな」
一昔前はまず新聞社やらなんやらを抱き抱えるという作業からスタートするけど、今は身バレしない工夫さえすればスマートフォンかパソコン一台で世間を誘引することが手軽になったのだ。
そう思いながら刻印が潰されている拳銃を鞄のシークレットポケットから出してスプレー缶を模した容器に隠しているサプレッサーを出し、取り付けてしっかりとガスが漏れないように締めて次に備え付けの机の引き出しを開いて即席二重底に入れている9mmパラベラム、フランジジブル弾50発入りの箱から3マガジン分の弾を取って天板に置き、手動で1発ずつ込めていった。
『相手は恐らく深夜1〜2時の間に襲撃し、玄関とベランダからの2方向で同時に進行するプランを立てているようね』
「ダミーと細やかなおもてなしをしないとな」
『依頼主は結構な大物ね。口座から800万円ほど動いている。現在はロンダリング中だけど、しれっと横取りしておいた』
生体AIだとはいえ、ほぼ本人の性格だから考えものではあるけど、中々に自分の婚約者の性格がお悪いようですな。
『これくらい強かでなきゃ電脳世界には入れないの。「お主も悪いよのう」と思ってるかもしれないけど、それこそ貴方も人のことは言えないよ』
流石に非難の色とジト目で見られてしまったようだ。
「そこも含めて愛しているんだよ」
『口だけは回るのも変わらないね、ふふ】
付き合った時からしょうもない喧嘩?言い合い?はしたことはあっても本気でやったことはないほど、気が合うというかなぜか自然と地雷を踏み抜かないラインをしっかりと分かっていたし、だいたいのことは彼女がストロングスタイルで解決するからなぁと思いながら分かりにくい場所に隠していたコンバットナイフに近いサバイバルナイフを出して刃こぼれしていないことをチェックして鞘に戻した。
このナイフもかなり思い出のあるもので彼女がキャンプしたいと思い立ってキャンプ用品店ではなく、なぜかナイフ専門店で吟味して買ったものでかなり使い込んで買った当初よりも少しだけ刀身が細くなってハンドル部分も最近交換していたばかりだ。
『まだ持ってるのね』
「当たり前だ」
捨てられるはずがないし、死ぬまで使うつもりでいる。
『肉体は亡くなったかもしれないけど、こうして形に残っていることは
「理解と納得は違うのだよ」
彼女は自身を実質的に電脳化してから死に対しての認識が軽くなってしまっているし、現に死んだことに対して事実的な認識はあってもそれに伴う悲しみはない。
しかし、俺を残したことに後悔はあるようだが、彼女が示したかった意思を誰かがやらねばならん。
それが俺というだけだ・・・
『少し軽率だったね。ごめんなさい』
「大丈夫だ。いつまで経っても受け入れようとしない俺が悪いのさ」
『話は変わるけど。ドイツも動いているようで
「ああ、
明美が生体AIを作る過程で発明したクローン技術の一部が
明美の技術は本来、誰にも知らされることがないはずの秘密だったのだがあのクソビッチが流しやがったせいで遺伝子強化試験体が世界中で研究されてしまう事態となり、緊急で国際研究倫理委員会と国際連合に要請して禁止したが、結局止められることはなく数多の被害者を生んでしまった。
『彼女はドイツ政府および国防軍の意向であなたに友好的に接触するけど、国際IS委員会ドイツ支部はあなたを抹殺するために
「発動条件は彼女の境遇と子供であるが故の感情コントロールがトリガーだろうね」
テロリストが少年兵を育てているのと変わらんやり口と言えるだろう。
怒りを制御できないから発破をかければ目論見通り暴発し続けて
プライドという名の染みもたっぷり吸わせていることだろうが、幸いなことに階級の壁のおかげで少なくとも少しは耳を傾けてくれる。
『彼女を上手いこと味方にさせれるかもね』
日本国内ではないデメリットかもしれないが、軍事関係者という肩書は結構便利で外国人においては企業の会長や政治家には及ばないものの大きなメリットを誇る。
少なくとも平常時における暴走は抑えられるがトリガーはたぶん競技中で本人の意思を無視する可能性が大きいが・・・
『プランは組んであるけど、あなたも既に練っているでしょ』
「ああ」
「『とりあえず、放置・・・アハハハハハ!!!』」
つくづく俺と彼女は似た者同士でどうしようもないほど
『で、アナタ正座』
「あっ!?!?」
彼女には勝てない・・・
『ターゲットは優雅に眠っている 赤外線とサーモでも確認している』
『ドアも通常通り施錠されている』
『特段の異変もありません』
依頼を受けて本来セキュリティレベルが高く、リスクしかないせいで誰も受けようとは考えないものを内部者のおかげで大したことのない殺しで大金を得られるビッグチャンスとなっている。
たかだかデスクワークと指揮しかしたころのないご老体を殺すのは朝飯前でさっさと終わらして帰りたい。
『
『
ピッキングとは大層なことを言っているけど、マスタキーと同等のものをかざすだけのことなんだが、こいつはピー音もならない。
『
『おい、どうした?』
『
落ちる?伸縮式の梯子で2階の高さからか?
小学生じゃあるまいし、、、
『原因がこっちでは分からない』
おいおい、何のためにいるんだよとイラつきながら持っているハジキを握り直して仕事を続行した。
『
ドアを少し乱雑に開けてすぐにベッドに弾を全て撃ち込んだのだが、おかしい。
(殺した感じが全くしない)
と思った直後に部屋の電気が急に点けられて目を眩まされてしまった。
『おい、ターゲットが出てきたぞ』
僅か数秒のことで倒れる音と足音が聞こえて、それが近づいていることは分かるが、目が回復するかどうかのタイミングで猛烈な頭が瞬時に頭を襲い、地面に伏さざるを得なくなって手足を縛られた。
『クソ!?、こっちから援護をs』
『ベランダh 』
耳につけているイヤホン無線受信機からは声が一つ一つ消えていることをむざむざと叩きつけられていき、このあとどうなるかは想像出来てしまっているが、この仕事に就いた時点で覚悟している、、、はずだった。
「さて、残っている君だけのようだね」
まるで殺しすらやったことありませんと言わんばかりに朗らかな声でやっと回復した視力でターゲットの姿を写真以外で初めてみたが、人畜無害に見えるのに雰囲気が明らかにただの艦長どころではない。
死神だった・・・
依頼主がくれた情報に大きな隔たりがあって騙されたようだが、そこに文句と恨みを込めているとドアが閉まる音がすると同時に依頼の失敗が確定してしまったことで覚悟するしかない。
「もう一人くらいは取っておきたかったが、あっさりと逝ってしまったからね。〇〇さん」
な、なんで名前を知ってる!?
「おー、驚いているねぇ。やはり、新人か。歓迎しようじゃないか」
決して笑ってもなければ怒ってもいない真顔が怖く、まるで善良な一般市民の顔はしているのに目の奥から無しか見えない。
「さて、自分のことは調べられているだろうからね。紹介は不要だな。〇〇さん、年齢は省略でいいか。当然の如く・・・」
次々と俺の情報を読み上げて全て合っていることの怖さでなんとか違うと否定しようとしたが、口が思い通りに動いてはくれない。
「依頼主は割れているし、オタクらが何者かも分かるけど君はまだ出て数回の新人で忠誠心もクソもないだろ?金が目的なだけで」
「はっ、テメェに話すことはねぇ」
「借金返済で理由が独り身の親の治療費か、ありきたりな奴だな」
こいつは本当に同じ人間なのか疑いたくなるほど、正確に俺を言い当てているし、抵抗など無意味だと突きつけられる。
「ああ、そうだよ。なんか文句でもあるんか」
「なに、ちょっとしたお使いをやってもらうだけさ。君のお仲間の首を持って帰ってもらうだけの簡単なものだが、拒否すればお察しの結果になるだけさ」
やるしかないし、こんなしょうもない所で死にたくもない。
「クソっ! やってやるよ」
「早速首の作成だな。しかし、その前にこれをあげよう」
首に針が刺さったような痛みが走ったが、その直後に全身が何かに内部を貪られるような鈍痛を感じたが、それもすぐに消えてi・・・
早朝
更識楯無SIDE
再び身元不明の遺体が学園内で見つかって前回と異なるのが銃火器が見つかったこと。
明確に学園内で誰かが暗殺される予定だったことを示し、さらにそれが学園の監視網を堂々と抜けたという失態を露呈している。
実家から何者かが二人目を暗殺するという情報は掴んでいたものの真偽不明だったために慎重に対処すると思った矢先のことだった。
これが実家がくれた情報と合致する連中であれば藤川は一体何者で誰が依頼して実行したのかを全力で調べる必要のだけど、、、
「学園内の雰囲気がかなりピリピリしているのが非常に気になる」
「ええ、私のところも何とも言えない嫌な空気になってます」
これが何かの引き金でなければいいのだけど、ここ最近学園内の掲示板で台頭してきているように感じる『RAISEN』、『folk』と『spark』という3つのネームが発している内容に違和感がある。
『RAISEN』はやたら何か煽るような発言、『folk』は特段可笑しなものはないけど引っかかるし、『spark』は身を引きつつ率先して動いているようでしてないけど、『RAISEN』に突っかかっている内容が見受けられる。
いつもなら見もしないのに何故か、勘がこれを無視してはいけないと叫んでおり、目を話せない状況に陥っている。
「発信元は特定できた?」
「何カ国かのサーバーを中継していて追跡が困難だとしか言えませんけど、最大限の努力はしています」
このままでは学園内で分断が広がってしまうけど、下手に介入出来ないもののすでに主義主張のぶつかり合いによる喧嘩も何件か起きており、非常にマズイ事態になっている。
「藤川の動向は逐次報告して」
「承知しました」
未だに集まらない情報が彼の胡散臭さを増すけど、それを証明出来るだけのものが手元にない。
書類整理と決裁をしようと手を動かした矢先に電話が鳴り、受話器を持ち上げて聞くとどうやら国内で活動する殺し屋のアジトで爆発があったらしいけど、事故ではないようで調査の結果では自爆と思われる。
しかし、アジトのど真ん中で自爆を許すとは思えないから間違いなく何かあっただろうけど、次々へと頭を抱える問題が飛んでくる。
もし、これが狙ったものだとしたら相手は相当性格が悪いことだけは確かと言える。
エイミー•ベイツSIDE
※【】内はすべて英語
面会申請に時間がまだまだかかるようで結局は日本の原潜の性能調査に乗り出そうと出港準備に取り掛かっていた。
そして、錯乱した艦長の拘束などの的確な判断に対する評価として中佐へのスピード昇任して修理を終えたロサンゼルス級シャーロットの艦長を命じられて調査のため出港の準備をしているのだけど、ジョン兄さんと打ち合わせをしているところでもある。
【エイミーの感じたことを言ってくれ】
【大して言えないけど、まるで企みも稚拙な考えを全て見透かされたような感覚に陥った】
艦長の錯乱、迫り来る魚雷の回避に専念していたとはいえ、あのな感覚は無視できないほどには感じていた。
【エイミーにそれを言わせる相手か、、、艦長は変わったのだろう?】
ジョン兄さんが私に対してどういう評価をしているかは分からないけど、少なくとも悪い方ではないだと私は思う。
【戦ってはいないから何とも言えないけど、彼の指揮を受けたことあるクルーも決して侮れないと考えるべき】
【それでもそれがないよりはマシだ。ありがとう】
【エイミーがそう言うのであれば間違いなく、厄介なことになるだろう】
【【(ノーマン)兄さん!?】】
大佐どころか少将まで登り詰めて本来はここにいる予定がないノーマン兄上が後ろから現れて打ち合わせの輪に入ってきた。
【遅くなってしまったけど、昇任おめでとう】
【ありがとうございます。ノーマン兄さん、あっ!?ノーマン少将】
【今はノーマン兄さんで良い、家族の団欒で怒る人は流石にいないだろうから】
それはたぶん少将という圧倒的な力を相手に咎められるのは勇気ある副官か、それ以上の方だろうけど、ここは言わないでおくのが妹としての最適解。
【この調査に私も参加することになったが、あくまでも部隊の指揮をするが後方にいる。本当は前に出たかったものだが】
【それは司令部の胃痛の種です】
それは流石にツッコミ待ちでいいのよね?
【ハハハ、それもそうか。あと、許可はこの作戦を終わり次第降りるそうだ。ヨーロッパに出だしから遅れているが接触しておくことは君のいい経験になり、利益にもなるはずだ】
それはそうだけど、申請しておいてなんだが本当はノーマン兄さん向きの案件ではないのかと思っていたのだけど・・・
【エイミーがいつも俺たちの顔を立てて功績を譲っていることは知っているが、君も立派にベイツ家の人間だ。妹の顔を立てることも兄の当然の務めだ】
それを言うのは卑怯だと思いながらノーマン兄さんに顔を向けた。
【兄上たちの顔を立てるのが私の責務ですから。日本の原潜の性能を暴いて見せます】
当たり前のことを言ったはずなのに兄上たちの顔が少しだけ渋くなっており、『違う違う、そうじゃない』と言わんばかりのものだった。
オルコット中将SIDE
不知火製作所について軽く探りを入れようとしたところで向こうのセキュリティに引っかかるのだが、これで疑いは確信に変わり、間違いなくフロントカンパニーで生体AIである『Winters Light』が関与しており、彼らの息がかかっていると考えて間違いない。
彼は出会った時はまだ自らの意思は介在していたが、あの事件以降は分からないものの壊れていることは姪の言葉が証明しており、きっと止まらないだろう。
我が国、いや、ヨーロッパの方針は早期に変わらなければ永遠に遅れるどころではすまず、消滅すらあり得る。
秘匿回線を使用する電話の受話器を持ち上げて先に海軍本部へと伝えなければならん。
【オルコット中将です。第一海軍卿に取り次いで頂きたい】
保留音が鳴っている間に纏めるべきことを頭で整理していると退官を控えている方とは思えないほど貫禄がありながら若々しい声が聞こえた。
【第一海軍卿エドワードだ】
【NATO軍事委員英国代表オルコット中将です。報告のため連絡した次第であります】
【…私と君の仲だ。堅苦しい言い方は好かん】
確かに家柄の関係で面識があってクレー射撃をしている間柄だけども、それはプライベートの話である。
【君の思っていることな分かるが内容が内容だから君に萎縮されては困る】
単純な実力で一代貴族とはいえ騎士爵を勝ち取った強者で辛うじて世襲貴族の准男爵であるオルコット家で制度上はこちらが上位でも暗黙の了解で男爵に匹敵するお方に敬語を抜かすことは出来ないが、、、
元々入隊した時の同期でもある。
【承知いたし、いや、分かった】
頑固で一度言ったことは簡単に曲げられないことを痛感している自分としてはこれ以上の抵抗は意味を成さない。
【
【…やはり、あのAIが動いているか】
【はい、不知火製作所の異様なセキュリティの固さとその防御作動法が物語っているかと】
あの生体AI、正確には一度だけ会ったことある彼の婚約者であった冬川明美•••奇才にして豪胆で女傑や鉄の女という言葉を体現したと言っても過言ではないほどの人間であり、死神にすら見えてしまった。
調査を進めているが、彼以上に厄介だと思えるほど表の人間すぎる経歴なのだが、情報部員ではないということが大きく裏の話がキレイになくせいで人物像を掴めない。
【製作所へのコンタクトを試みてくれ。たぶん、向こうから来る方が早いかもしれんがな】
【ええ、我々がやっていることは確実に割れている】
そう言っていると外部ネットワークと接続がされている端末に一通のメールが来ており、少なくとも自分が知っているものではない。
【こっちの手間が省けたな。このままナイトトークと洒落込もう】
【・・・ええ、時は金なりとも言いますからね】
我が国の未来と栄光のためにどっちに出るか分からない一歩を踏み出した。
『【皆さん、ご機嫌よう。アケミ・フジカワです】』
ヨーロッパ各国を天災のハッキングを防衛しきり、目的が分からないと軍関係者で話題のAIとの初接触になるわけだが、どう見ても生身の人間にしか感じられない。
【君のことは噂は予々だ。Winters Light】
『【どう呼んでも頂いて構いません。サー•エドワード。そして、
実はどこかで生きているなどというオチだったりするのかと思えるほど現在発表されているAIとは一線を画すほど人間らしく、プログラムされた感じない。
【どういう用件で連絡を図ってきたのかね。
『【いきなり本題を問う人は嫌いではないけど、一応、様式美に則って頂きたい。ご存知ではあると思いますが・・・】』
【アケミ・・・まさか】小声
自己紹介とは言っても我々が知っているものとは大して変わらないのだけど、やはりNATO本部の作戦用サーバーのセキュリティを定期点検まで誰にも察されることなく強化した狂人AIは伊達ではなく、先ほど届いていたメールは端末を操作しいていないのにもかかわらず、いつの間にか消去されている。
しかし、生きていると錯覚させられるのは自身の脳細胞を活用した生体AIは調査で事前に知っていても驚く。
生体AIを実現させるだけに自分の分身であるクローンを利用するのはやはり、根からの倫理観をかなぐり捨てた研究者であるように聞こえてしまうが、クローン技術が発表されてすぐに禁止を要請した時点で少なくとも人の道から外れた者ではないというだけでも
『【私たちの狂った成果で世界を壊してしまった償いを自分たちの手でしなければならない。その片棒を担ぐ夫の手助けをお願いしたい。無論、報酬は用意しています。それが私と夫の頭脳】』
【そういうことか】
【ウィリアム、敢えて無視していたが•••】
【君と彼はIS共同開発者だったか】
『【ええ、夫「ショウ•フジカワ」と私「アケミ•旧姓:フユカワ」から出来る見返りが当面は開発技術の無償提供とその使用権しかありませんけども・・・】』
それしか出来ないと宣っているが、幻扱いで本当に存在しているかどうかすら怪しいけれど、世界中が彼らを探し求めていた。
それがいきなり現れては様々な技術を丸々ただ同然で渡してくるというとんでもないことをしようとしており、扱いを間違えれば文字通りに世界のパワーバランスは崩壊という可愛いシナリオではすまず、焦土化するまで激しい遺恨を残すことになるのだが、我が国の優位性を取り戻せるチケットでもある。
【私個人では判断をしかねる。首相以上の者に仰がなければならない】
『【ええ、この件が戯言ではないと証明するためにサー・エドワードとオルコット男爵の官用パソコンに日本語で言うお通しみたいなデータを送らせて頂いたのでご査収ください】』
メールアプリには一通が届いたことを通知しており、開封にはパソコンに付属している指紋認証を使用する固いロックが掛かっており、開けるとそこにはブループリントがあったのだが・・・
【対IS兵器の開発に必要なデータと試作兵器の設計図・・・それもISの弱点を数値化したデータまである】
この女性に対しての評価をいい意味でも悪い意味でも修正しなければならないようだ。
【・・・ミセス•フジカワ、日本に行ったことある私が知っているお通しではないのですが、、、これは最後の晩餐の間違いじゃないのか?】
『【これから様々なことをして頂く予定の相手に対して当然のことをしただけです】』
【・・・この件は他の国にはしていないのか?】
『【あなた方が最初です】』
これはNATOの加盟国を巻き込んだ方が良さそうな気もするけれど、そもそも一軍人で決めて良い範疇ではなくなっている。
【これから上と協議をするが、友好国を巻き込んで良いか?】
【エドワード!?】
ほぼ即答と変わらない返答で驚いてしまったが、エドワードは慎重で有名・・・いや、必要な大胆さを持ち合わせていたが、こんなすぐに発揮されるとは思わなかった。
『【あなた方の判断を信じています】』
【感謝する。君の期待には沿う努力をしよう 君の目的は?】
それを最も肝心なことであり、これ次第で友好的になるか、敵対するのかが決まる。
【我々の過ちであるクローン技術とISの廃絶です】
今のところはこれを信じるほかはないだろうと思いながら真目的がなにかを探ることを考えつつ歪な三者会談は終わりを迎えた。
『【急な申し出ながら丁寧に対応して頂いてありがとうございます。返答は不知火製作所までお願いいたします。秘匿回線を使用しておりますのでご安心ください。それでは失礼いたします。】』
彼女はパソコン画面から消えると自分と同時に電話の向こうにいるエドワードのため息が聞こえ、同時に椅子が軋む音がしていた。
【国防参謀総長へ報告をせねばなるまい・・・ウィリアム、NATO本部で信用できる人物や国を見繕ってくれ】
【承知しました】
【どうやら我々の想像を超すスピードで世界は激変するようだ。それに備えて乗り遅れや間違いは許されなくなった】
悠長に紅茶を片手に調査をしている場合ではなくなり、本格的に動くしかないがこれは姪だけでなく我が国の未来の到達点を定めるために・・・
某ラボ
「キーーーーー!!!」
また、サーバーへの侵入が阻まれて逆探知を阻止するためにサーバーのケーブルやシステムの強制終了をしているけど、とても間に合わない!!
場合によってはまた拠点の移動をしなきゃいけなくなるけど、もう既に十数回していてこれ以上は勘弁してほしい。
「凡人にして固すぎぃーーーー!!!」
ドイツで気に入らないものがあったから暇つぶしにコアネットワークで取れていない凡人共の先端技術を拝借しようとしたら警告と同時に今になっているのだけど、前は二人目のデータを入手しようとしたら弾かれて居場所までご丁寧に特定されて逃げざるを得なかった。
ここまで強固なシステムを築ける人間は限られてくるはずだけど、有り得ないと思いながらその可能性とこれまでの出来事から考えると・・・
「まさか、ミーちゃん先輩」
十全の私の攻撃を防げる唯一と言っていいほどの人物だけど、亡くなっていると聞いているけど遺体は確認されているわけではないことまでは知っているが、彼女のクローンかAIがどこかにいて今も稼働しているなら私のやることが全て台無しにされるのは納得できるけど、それでは困ってしまう。
ショー先輩が二人目なら確実に知っているはずだからどこかのタイミングで聞き出すか仕掛けるしかない・・・
続く・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます。
不定期な更新ではありますが、今後もよろしくお願いいたします。