比較的調子が良かったので字数が前回より多くできた。
よろしくお願いいたします。
対IS戦術
その名の通り、無類の強さを誇るISに対抗するための戦い方であるものの限定的な状況下でしか使えず、拠点防衛向きな一面を持っている。
予算とやコストパフォーマンスというものを一切無視することで初めて有効なものとなる。
ISにはシールドバリアーがあり、最終手段である「絶対防御」が存在していることで最強を意のままにできる。
しかし、それも万全なものではない。
シールドバリアーは被弾をする度に削られるだけでなく、極めて貫通力の高い兵器を用いれば操縦者を瀕死状態に追い込める。
そして、問題の絶対防御が発動するがこれにも大きな欠点が存在する。
操縦者の命を守ることだけに特化したもので死に至るような攻撃さえしなければ無力化は可能となっているのだが、先述したようにコスト度外視な作戦であるため、何度も使えない。
この戦術の要となるのが操縦者に関する情報を徹底的に収集することと人間が本能的に回避せざるを得ない状況を探究することにある。
ありとあらゆる情報を駆使し、限界点を見極めることで操縦者の動きを心理的に封じてその隙にシールドバリアーを破壊する。
極めてシンプルながら準備と実行のレベルが極めて高いが、何度かISを撃退に成功している例が存在しており、確かな効果が証明されているもののそれに伴う弾薬用の平均は1億ドルを超すもので最大の問題点だ。
操縦者を鈍らせる濃密な弾幕と全方位からの広範囲攻撃を成立して初めて成功に持ち込めるというやり方しか存在していないと公開されているが、大量の催涙ガスを散布したことで操縦者を無力化したという非公式記録が存在している。
操縦者がISを展開をしていない時に暗殺するという安上りな方法もあるのだが、厳重なセキュリティを突破し、特定されないようにするという難題があるかめ、どちらも併用することが今のところ有効なやり方であるというのが一般的な結論である。
長々と説明したが、簡単にまとめると金、情報、暴力、心理をフル活用してISをギッタンギッタンにするという戦術と言えない代物で発表された当初は誰も使おうとはしないほどに滑稽で無謀すぎたからだ。
考案者である潜水艦の艦長は水上艦や航空部隊との連携によってISを退かせたという実績によってこの戦術は知られるようになったのだが、肝心の本人がIS適正を有していることが判明したことでこの戦術は世間一般まで広く知られることになる•••
核爆弾級のニュースで沸き立っている中、司令部を横須賀に構えている第2潜水隊群の本部庁舎ではまるで世とは無関係なほど静かで2等海佐の階級を持ち、アラフォー手前で海の男とは思えない顔の持ち主と群を司る1等海佐が報告を待ち侘びていたかのように鎮座していた。
「藤川2等海佐 以下130名の者は本日1400に帰港しました。艦及び人員に異常なし」
「ご苦労、そして帰港して早々で済まないが全人員を直ちに基地体育館に集めろ」
「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
1等海佐は失念しているということをお首に出さないように口を開き、
「3日前にIS適性を持つ男性が発見されたことで内閣府から全国の男性を検査する命令が下っている。帰港の疲れを癒させたいが緊急を要する事態として実施しろと圧力が強くてな」
群司令から明らかに苦労人臭さが漂っており、我々自衛隊員の宿命を体現しているところに混じる申し訳なさが藤川を襲う。
「•••承知致しました。その分の時間を乗員たちの休暇を与えてもよろしいでしょうか?」
「2日を追加して構わん 全乗組員を体育館に集合した後、以後の指示は検査会場の指揮官が別示する 実施」
「実施します! 藤川2等海佐は帰ります!!」
軽やかな10度の敬礼して群司令室から退出するとすぐに自艦の元へと駆け、陸揚げを今かと待っている野郎共に残酷なお知らせをしなければならないということに対して精神的な腹痛を感じながら少しばかり遠いところにある屋内ドックに入ってすぐに見える黒鉄の潜水艦に掛かるタラップの前で門番のように立っている副艦長に全乗員を埠頭に集合させ、目標を体育館であることを下達すると副艦長が艦内に戻ってから10分ほどで130人が出て整列して検査会場を目指した。
「2日の休暇を追加するから検査会場で問題を起こすなよ」
「その言葉に二言はありませんね?」
念の為に確認している3等海佐の副艦長の目には万が一の可能性について言わせない何かがあったが、、、
「群司令からはそうするようにと許可を貰った。申請はこちらで一括承認するが、行動計画を立てたい者は検査後に申し出よ」
隊列を乱さないように歓喜を露わにする乗組員たちの顔には僅かに存在していた不満が消え失せており、早く検査を終わらさせようと行進の速度が僅かに速まっていた。
船乗りにとって陸揚げが命の次に大事なものだ。
屋内ドックからは比較的近い基地体育館の前に着くと一旦隊列を分かれさせて中に入るとこちらを歓迎していないムード満載の白衣集団と検査会場要員の隊員たちがいた。
そして、真ん中には国産の第二世代IS「打鉄」が置かれていて検査に来ていた隊員が触れては当然のように反応がなく去っては次が触るという流れ作業ですぐに終わりそうで隊員たちの陸揚げに大幅な影響がないことに安堵しつつ、検査会場指揮官の指示に従って並んだ。
十数分が経った頃に自分の番が回ってきた。
「はぁ〜、名前と年齢」
「藤川翔 39歳」
「IS触って反応なかったら去ってください」
言葉の端々からは検査員とは思えぬ態度だが、この世の中ではまだ優しい方の対応で女尊男卑が広まってからは下手に言い返すことも抗議することも命取りなため、特段何も引き摺らずに人殺し兵器ISに触れた。
カチッという音と共に激しい頭痛が始まり、脳中に膨大な情報のような何かが叩きつけられて身体が妙な軽さを感じる可笑しな感覚になっていた。
(
それらが終わる頃には僅かに空中浮遊していることと金属の塊が手足に纏わりついているという理解したくない現実が目に入ります、とりあえず大急ぎで解除を願うと母なる大地を踏めることを再確認しようとしたその時に拘束された。
「2人目確保ーーー!!!」
「警務隊を呼べ!そして、彼を助けるぞ!!」
白衣集団に囲まれて手を強く拘束されると同時に見慣れた青色の作業服の袖から伸びる手が俺を助けるべくして白衣の腕を剥がしにかかった。
体育館ではもはや騒動状態で軽い乱闘が起きようとしており、かなり危険かつ最悪なものに転がりかけた瞬間にさらなる増援が俺を保護するかのように司令部へと連行している。
「とんだ災難ですな」
「代わります?」
「悪いが、結構です」
俺を連行している警務隊員からは大して思ってもない同情の声をかけられたが、その同情心があるなら交代して欲しいと言うと顔を逸らされた。
とりあえず、とんでないことになったなと他人事のように考えることにした。
副艦長に艦長権限の委譲と引き継ぎ資料を大至急作られなきゃいけないことを頭の片隅においた、現実逃避に集中しよう•••とはならなかった。
「まさか真面目な君がとんだ問題を引き起こすとはなぁ、、、人生はどうなるか分からんものだのう」
群司令室に連行されて一言目が俺には辛い、、、
「群司令、、、引き起こしたくてやったものではないです、、、」
「わかっている そして、君の身柄はかなり悲惨なことになりかねない」
「十中八九モルモットですよねぇ」
「幕僚監部は最大限の努力をしてくれるとはいえ、最悪のシナリオを前提として動くべきだろうな」
「せっかく陸に戻れたと思ったみんなが浮かばれません」
「その分の休暇措置はもう既に手配した 向こうには何も言わせん」
「流石です」
「群司令の肩書はこういう時にこそ発揮されるからなぁ」
呑気なような会話をしているように見えるが群司令は先から死にかけている胃を摩っているし、俺は俺でどうやって切り抜けるを高速で考えたが良い末路が想像できないけれど、最良の手段は緊急出港し、領海内で隠れるくらいしかないだろう。
国際IS委員会日本支部
醜い話し合いが行われているが、とても人の人権扱っている会話とは思えない内容であり、ISが齎した最大の
「二人目は一般家庭の出身であり、特段障害となるような要素はありません」
「なら研究材料として最適ですね」
「しかし、海上自衛隊副幕僚長からは人員の引き抜きは困ると…」
「ふん、旧兵器しか扱えぬ分際の戯言だ」
「NATO、EUや国連からも研究材料とすることに対する猛抗議と制裁の用意があるという声明を発表しており、我々の立場が揺らぐことが避けられません」
「なんでそこから抗議が来ている?」
「どうやら、駐在武官補佐時代に功績を挙げていたことが原因のようです」
「どんな報復が来るかが分かりません」
「黙れ!!!ISの神話を否定する材料を残してはどうなるか分かっているのか!劣等種がつけ上がるぞ!!」
会議は何一つ進んでいないものの、慎重派と過激派が罵詈雑言を互いに浴びせているが、研究材料にすると決定は変わったわけではなかった。
しかし・・・
「諸君、静まれ!! 奴の身柄については詳細検査の結果で決めようじゃないか! どうせ、大したことなんてあり得ないのだから」
委員長の鶴の一声でほぼ研究所送りが決定してしまっており、これが世界の縮図である。
『二人目が発見されました 藤川翔 海上自衛隊所属であり、・・・』
『対IS考案者として名高く・・・』
『幻の
『EU各国は二人目男性の人権侵害に対する憂慮を示しており・・・』
世界は空中分解の危機を迎えようとしてしていた。
新たな希望として
滅びゆく蜘蛛の糸として
駆除すべき害獣として
異端者として
世界はどこに向かおうとしているのか、誰にも分からないであろう。
また、この夢か…
深い闇に穢さられる彼女が泣き叫ぶわけでもなく、ただ目の前の事実を受け入れる潔さに満ちた顔で沈みゆく前に腕を掴んだ。
しかし、穢れが自分の手を弾いて己の無力さを叩きつけてくる。
自分の婚約者も
迫り来る悪意は確実に忍び寄ろうとしていた。
「
突然の失踪はあるかもしれませんが、頑張りますので読んでいただけると幸いです。