二人目の発見で日本はもはや騒乱状態になりかけている最中で横須賀基地の屋内ドックでは人知れずに緊急出港の用意が進められており、その中には本来ホテルかどこかで監禁されてIS適性のさらなる検査を受けるはずの人物もた。
「あと30分ほどで食糧の詰め込みが完了予定です」
「さらに短縮できないか?」
「やってみます!」
「燃料補給のことについては考えなくても良いのは大きなメリットだな」
屋内ドックには今まで海上自衛隊が保有する潜水艦とは規模も形状も大きく異なっており、一般世間に知られば大きな問題では済まなくなる代物が浮かんでいた。
日本初の攻撃型原子力潜水艦であり、新日英安全保障協力条約の成果物の一つだ。
イギリスのアスチュート級の改良型を共同で設計し建造した後に一番艦である「ニール」のみを極秘で移譲されており、艦名は薩英戦争で公使代理であったジョン・ニールから来ている。
この潜水艦の最大の特徴は対IS戦術を考慮した設計がなされていることにあり、最大潜航深度が推定1000m以上、水中速度55ノット、
海上自衛隊副幕僚長が引き抜きに対する抗議はこの艦の露見を防ぐためにあるのだが、同時に強く言えない原因でもあった。
ちなみに海上自衛隊と防衛省が候補として改良型ロサンゼルス級やタイフーン型の改良型も検討していたが生存性と当時条約締結相手国であるイギリスの持ち掛けた条件を考慮したため、浅い深度でしか発射できない弾道ミサイルを諦めてより安全な距離で魚雷発射管から撃てるハープーンやトマホークを搭載できるイギリス製の潜水艦を採用する判断を下した。
「警務隊から不審な接触や侵入の試みが報告されており、艦長とこの艦が露見するのか時間の問題かと」
「あと30分ほどで出港できるので小さな問題として考えて良い。当面は東京湾内に籠る。陸揚げさせてやれなくて申し訳ない。罵詈雑言は受け入れる」
「艦長、我々がそんな愚か者に見えるのか?と言いたいけど、陸揚げできないのは確かに痛い。まあ、それよりも驚いたし、対IS戦術を考えた人がISに乗れるという事実に対して苦笑いするしかないですが、艦長は実は人外だったりします?」
「それを言うんじゃない。自分自身も頭を抱えているんだから」
副艦長と簡単な乗船前ブリーフィングを行い、チクチク攻撃をもらいつつ今後の方針を決定したところで30分かかるはずが10分で終わった積込の完了報告を受けてすぐに乗り込んで出港に取り掛かった。
「手順一部省略 緊急出港用意!」
『緊急出港用意!』
乗組員が各々の配置について通常とは異なり状況でありながら確実に作業を実施してすぐにタグボートによる曳航が始まり、桟橋からある程度離れたところでタグボートとの接続を解除していよいよ潜航する。
「潜航準備」
『艦橋、発令所 潜航せよ』
『ハッチ閉鎖』
『閉鎖確認』
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『深さ50m』
『ベント開け』
タンクへの注水が始まり、チタン製の巨体はゆっくりと深さ50mに到達し、ドックから離れて深度を下げつつ静かに東京湾内へと向かっていた。
「金井群司令がよくこの出港を許可しましたね」
「これはあくまでも演習の一環で行なっているという名目で以前から正式に発令されているから問題ない。そして、命令の撤回が出港完了までに下達されていないし、撤回には時間を要する上に簡単ではない。特に潜水艦の行動は機密だからなおさらさ」
「しかし、連中がそれで黙っているとは思えんのですがね」
「それは
「艦長、東京湾内に籠る意味は一応聞いても?」
「東京湾内で1日に航行する船は約500隻でその多くが貨物船やタンカーだ。いくら天下の国際IS委員会でもこれらを止めてまで捜索は出来ないし、身内や米海軍を動かすにも時間を要するから先にご自慢のISが先に投入されるだろうが弱点がここでモロに発揮されるんだよ」
「たしかISは宇宙を前提にはされているものの少なくとも現在は大気圏内での空中及び地上戦がメインで海中に深く潜ることを想定されていないだけでなく、海に潜るというメンタル的ハードルの高さで入って来れないことに目をつけたとなると東京湾ニート作戦は有効な手段か」
「その通り、ISは最強の兵器と持て囃されているが操縦者という最も大事な部分を全く考慮していないからこそできる技だ。現にフルアーマーどころか露出狂同然の状態で戦わせるような連中だぞ」
「確かにフルアーマーならともかく、水着状態で深海には来ようとは思わないね」
「あと、補足すると使える兵装に限りがあって安全に潜水艦を攻撃できるのはレーザー系統の兵器だが、深く潜れば潜るほどISで使える現状のレーザーでは大きく減衰してしまう性質があるからこちらを強制浮上させるための攻撃も出来ず、主導権はこちらにある」
副艦長に訳を説明し終えて現在位置を把握し、適時進路を修正を出してパッシブソナーからの情報で目標である最深部に到達し、沈没船の残骸に紛れるようにして我が艦は息を潜めた。
陸での一幕
「潜水隊の任務の性質上、すぐに呼び戻すことも現在位置を教えすることも出来ません」
「国際IS委員会の命令だ!!!」
「我々は海上幕僚監部及び防衛省に従って行動している。所定の手続きを踏まない限り、勝手に行動することはできません」
「これだから男は!!!!」
陸ではうるさいヤギとかしている連中の妄言に対して一貫した態度を貫いているが、政府が権限を使えば時間の問題であろう。
しかし、これでも十二分な時間稼ぎとしての役割を果たせており、金井群司令の胃痛は無駄なものではなかったが、同時にその頃に委員会の連中や女性人権団体が各所に暗躍して忍び寄ろうとしていた。
「拿捕作戦を開始する」
「武装制限はない 確実に仕留めろ」
「無駄かもしれんが、救援として向かおう あいつの世話になったからな これで貸し借りは帳消しさ」
とあるラボにて
「ふーん、二人目、、、えっ、、、先輩」
数多のパソコンと紙束に囲われた者は反応していたアラートをどうでも良さそうに見てそのまま流されることなく、かの者にしっかりと衝撃を与えていた。
捻れ切った運命の果ては再び繋がろうとしたいたが、それがどんな結末を示すのかは神のみぞ知るところ。