遺恨のIS   作:アルファデッド

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緊張感を上手いこと出せなかった・・・


水面下

陸では相変わらず騒がしく報道合戦を展開し、政治的な睨み合いが続く中で海中700mのところで静寂が保たれていた。

 

二人目発見から3時間

東京湾 最深部700m付近

改良型アスチュート級原子力潜水艦 発令所

 

藤川艦長SIDE

 

我が国が保有するディーゼル潜水艦より余裕のある設計をされた発令所で普段より少し厳重な警戒態勢を命令したが、今のところ無事に時間が過ぎて海上の往来が落ち着きつつあり時間帯が迫っていた。

 

「艦長 また着水音を探知しましたが、すぐに離水しました」

 

「ここまで来るとISは本当に最強なのかと疑問を呈したくなりますが」

 

「世界秩序を崩壊させた実績は伊達ではない。しかし、スポーツなどというふざけた言い訳のせいで運用と設計に大きな欠陥が生じた結果だと言った方が正確だ。フルアーマーかつ潜水対応のISが出れば我々は淘汰される、、、なお、操縦者の負担を考慮しないものとした場合の話だ」

 

「運用思想や目的の違いによる影響を痛感させられるとは、、、」

 

「すべてのものには一長一短があるからこそ万能など存在しないんだよ、副艦長」

 

特にISは当初の設計思想から大きく逸脱したものであり、誰もそれに触れないまま今に至ってしまった哀れで悲しき怪物だ。

 

「そろそろ連中の息がかかった身内か在日米海軍が投入されるだろう。ここから呑気に海中遊泳する暇はなくなる 警戒を厳となせ」

 

『警戒を厳となせ』

 

「浪川3佐は夜間シフトに備えて今のうちに仮眠をしておけ」

 

「艦長、連中があと何時間で来ると予想してますか?」

 

「早くて2時間後だ。早く仮眠を取ってくれ」

 

「承知しました。仮眠に入ります」

 

副艦長がベッドがある艦尾へ行くのを見送るとさまざまな情報を表示しているモニターの前に立って予想される敵や展開に現在集まっている情報から必要か数字的なデータにないものを加味した上で複数のプランを組み立てつつ、さらに入ってくる新たな要素に合わせて更新し、最適解を出すことに徹した。

 

そうしているうちにあっという間に時間が経ち、自分の予想した通りになった。

 

「艦長、スクリュー音探知 方位045 距離4000 、、、さらに同じ方位から複数のスクリュー音を探知 ロス級と思われる さらに水上艦のスクリュー音がわずかながら聞こえます・・・アーレイ・バーク級です」

 

「総員、戦闘配置」

 

『総員、戦闘配置』

 

横須賀に寄港していた艦と日本の太平洋側近辺で展開していた方を呼び寄せて捕縛か殺害するだけのために贅沢な面子からアメリカの本気度が伺える。

 

少なくとも米海軍は自分が浦賀水道を抜けてないと確信しており、高確率で戦闘は間違いなく避けられないだろう。

 

「艦長、注水音です」

 

「エンジン始動用意 バラストタンク無音ブロー 毎秒4mで浮上」

 

相手は間違いなく有線魚雷を使い、我が艦への至近弾を狙って航行不能に近い状況に追い込んで強制浮上させる算段で安全距離を1500mに設定していると俺は読んでいる。

 

「発射音を探知 5、6本 速度45ノット 真っ直ぐこちらに向かってます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出港40分・・・

 

横須賀基地 本部庁舎 群司令室

 

「総理は決断した・・・価値を示してやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米海軍 ロサンゼルス級原子力潜水艦 『アナポリス(アルファ)

 

艦長SIDE

 

※【】内はすべて英語です。

 

 

【魚雷戦を入力用意 1、2番装填 通常弾頭 有線誘導 発射管注水 目標はポイント東京(最深部)の沈没船の300m手前にセット ()()()()1()5()0()0()m()

 

私ならそこに隠れてやり過ごすからこそ、そこに撃って損傷を与えて浮上させればミッションコンプリートだ。

 

シャイアン(ブラボー)シャーロット(チャーリー) 魚雷装填完了】

 

【命令書通り、3、2、1、0 カウントスタート】

 

[00:29:43]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同海域 水上 護衛艦いかづち 艦橋

 

水測員SIDE

 

少しくらい部屋に目が少し痛くなる眩しい画面に流れる線を見つめながら機械が拾っているスクリュー音などを経験と勘と相手を特定しているとここなら聞く機会のある音と・・・

 

「・・・音紋符合、やはりロサンゼルス級です」

 

「こんなところで魚雷を撃ってなにをするつもりだ」

 

「ピンガーを放ってもいません。ますます意味がわかりません」

 

「艦長、新たな音紋を探知・・・聞いたがない原潜の音です」

 

「なんだと?!」

 

[00:26:21]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【データ入力完了】

 

本来は確実性を図るためにピンガーを放ちたいが、ここでの作戦は日本政府に無断で実施している上にあくまでも事故(偶然)という上層部が用意したカバーストーリーに箔をつけるためだ。

 

【新たなスクリュー音を探知・・・水上艦 『むらさめ型』です その後方にラファエル・ペラルダ(アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦65番艦)が予定位置へ航行中】

 

偶然通りかかっただけか、嗅ぎついたのか分からんがどちらにせよ手遅れだ。

 

[00:24:39]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米海軍 ロサンゼルス級原子力潜水艦 『シャーロット(チャーリー)

 

艦長SIDE

 

 

【艦長! 方位220にスクリュー音です】

 

【目標だろう】

 

【いいえ・・・げ、原潜です!】

 

【馬鹿な ()()()()()じゃないのか?】

 

[00:19:12]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米海軍 ロサンゼルス級原子力潜水艦 『シャイアン(ブラボー)

 

副艦長SIDE

 

 

艦長が命令書を受け取ってから様子がおかしい。

 

【艦長、本当にポイント東京に直撃させるのですか?】

 

【その通りだ。しつこいぞ】

 

やはり、おかしい。

 

こんな首都の目先で魚雷を撃つという命令が本当にあるのか?

 

一体我々はなにをさせられている・・・

 

[00:10:02]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【カウントダウン 5、4、3、2、1・・・】

 

【艦長 いつまで経ってもディーゼルの音が聞こえてきません】

 

【ゼロ】

 

【発射!】

 

東京湾内で火ぶたが切り落された。

 

 

 

 

 

 

 

[00:00:00]

 

 




読んでいただき、ありがとうございます。

コメント等があると幸いです。
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